2018年春季アニメ序盤の感想(その3):ゴールデンカムイ/踏切時間

ゴールデンウォークに突入しましたね。大阪も海外からの旅行者も含め観光客で賑わうことでしょう。名所の一つと言えば日本一高いあべのハルカスなんでしょうが、大阪人はあんまり行っていないようです。東京タワーに東京人があまり行かないのと同じでしょうかね。しかしうかうかしていると日本一の座を奪われてしまうかも。

まだまだ続く春季アニメ序盤の感想。本日はまず「ゴールデンカムイ」です。原作は本年度の手塚治虫文化賞のマンガ大賞を受賞しています。日露戦争で“不死身の杉元”と呼ばれた杉元佐一は、元カノの梅子(子細あって親友の妻となって現在未亡人)の病気を直すため、アイヌから奪われたという莫大な埋蔵金を求めて北海道をさすらう話です。網走監獄から脱獄した24人の囚人の体の刺青が地図になっているという話で(なんかコブラにも似たような話がありましたな)、狩猟の得意なアイヌ人少女アシリパと共に探索行に向かいますが、他にも埋蔵金を狙う勢力が。

「北鎮部隊」と称される最強師団・第七師団と、函館戦争で死んだはずの江戸時代の亡霊・土方歳三一派と三つどもえで宝探しという様相ですが、たった二人で勝ち目があるのでしょうか。それとも今後仲間が増えていくのか。

私の記憶する限り、対戦型格闘ゲーム「サムライスピリッツ」シリーズのナコルル以来のアイヌ少女ヒロイン・アシㇼパ(「リ」はアイヌ語の小書きリ)がいい味を出しています。まだ10代前半でちびっ子で、父親がロシア系なので正確にはハーフ。なかなかの美少女で、弓の腕や狩猟の知識は豊富な反面、アイヌ娘のたしなみとされる家事・裁縫などしてこなかったので、コタンでは嫁のもらい手がないそうです。アシㇼパ自身は「新しい時代のアイヌの女」を自称しており、アイヌ伝統の信仰や慣例を重んじた上で古い因習に捕われず現実的かつ合理的で柔軟な思考をしています。

そしてアシㇼパに対する杉元の態度が実にいいです。命を救われたということもありますが、常に「アシㇼパさん」と呼んでおり、他の和人のような差別的な言動は一切しません。性欲が貯まってきたら襲ってしまう鬼畜野郎だったらどうしようかと思いましたが、アシㇼパに対しては紳士なのが実にいい。またアイヌの食文化にとまどいながらも、結果的に珍味・美味を堪能することに。

アイヌ文化を丁寧に描いているとして北海道は平取町アイヌ文化情報センターでも人気になっており、アイヌ民族博物館の職員は「文献や資料をよく調べている。文様も細かく描写されており、見応えがある」「全国の若い世代にアイヌ文化に興味を持たせるきっかけをつくったという点で貢献度は非常に大きい」と評価しているそうです。アイヌの料理や狩猟など風習・文化がリアルに表現されており、北海道アイヌ協会の理事長は「よく描かれている」と評価しています。

北海道の和人達がしばしば差別的言動をするのが非常に気にくわないのですが、実際そういう感じだったんでしょうね。それを「慣れている」と言うアシㇼパに対し「慣れる必要なんてないんだぜ」と言う杉元の静かな怒りが心地よいです。味噌を「オソマ(大便)」と呼ぶなど、異文化交流には難しさもありますが、この二人なら乗り越えていけそうです。


ナコルルは鷹のママハハ、狼のシクルゥをつれていて、ゲーム中でも戦いに参加していましたが、アシㇼパにもレタㇻという白銀の毛並みを持つエゾオオカミがいて、アシㇼパのピンチに馳せ参じて、その身を呈して護っています。幼獣のころに熊に襲われている所をアシㇼパが保護し、家族同様に育てましたが、成獣になると本能が勝り、アシㇼパの下から巣立ったそうですが、恩は忘れていない様子です。アイヌヒロインには動物が必ず従うというのはもはやお約束なのか。

わずか2年とはいえ、北海道で暮らした身としていは、北海道が舞台のこういう作品は思い入れ一入です。よく登場するヒグマの怖さもまた格別。「三毛別羆事件」なんてググると怖気をふるいますよ。

続いて「踏切時間」。双葉社の「月刊アクション」で連載中のマンガが原作です。踏切待ちで足止めされる若者たちの日常を描いたオムニバス形式のショートストーリーとなっています。

わずか5分枠のショートアニメなのですが、いくつかシリーズがあるらしく、第一話に登場したアイとトモは「二人の青春」シリーズ、第二話に登場した真島さんと田西は「真島さんはエロい」シリーズ、第三話に登場した黒部と先生は「先生といっしょ」シリーズなんだそうな。他にもシリーズがあるそうなので、各シリーズ1話ずつやったら終わっちゃったりして。

正味3分程度しかないのでさっさと本編やれと思いつつ、ちゃんと主題歌「トマレのススメ」があって、しかも結構いい曲だという。内容はなにしろ3分なんで気楽に見てればいいだけではあるんですが…


「二人の青春」シリーズのアイとトモは女子高生コンビで、アイは平凡な日々に焦りを感じているようですが、トモはガチ百合で先輩のアイに恋愛感情を抱いていて、それを秘密にしていましたが、アイの余計な発案でばれてしまうと言う。ウホッいい女!もうつきあっちゃえよお前ら(笑)。ケンシロウ、百合はいいぞ!

「真島さんはエロい」シリーズは、おそらく中学生なのにやたら大人っぽい真島さんの姿を眺めてハアハアと興奮している、いかにも中坊な田西のモノローグが中心になっています。実は真島さん、結構気さくなので、普通に話しかければ田西も仲良くなれそうなのですが…童貞中坊には高いハードルなのか。

「先生と一緒」シリーズは、風紀委員で真面目そうな女子生徒黒部とおっさん先生の物語。何を話したらいいかわからないものの、無視してはいかんだろうと思う先生と、先生の存在に気づいていて、あえて気づかないふりしているんだから話しかけてこないでと思っている黒部。しかし意表をついた先生の話しかけに、実はゲラだった黒部が馬鹿うけしてしまうという。仲良くなっちゃえよ二人(性的な意味ではなく)。

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