記憶に残る一言(その94):大槻班長のセリフ(賭博破戒録カイジ)

花腐しの雨が降った大阪。大阪の雨は悲しい色やねんとか言いたくなります。大阪を代表する歌手といえば故やしきたかじんかも知れませんが、個人的には上田正樹なんですよね。「悲しい色やね」は胸に響きますねえ。やしきたかじんは「劇場版機動戦士ガンダム」一作目の主題歌である「砂の十字架」を歌っていましたが、これを「人生最大の汚点」と呼んでいたそうなので、私はあんまり好感を持っていません。まあ私も楽曲としてそんなに好きではないですけどね。やはり二作目の「哀・戦士」ですね。

さて本日は記憶に残る一言。今回は実に脇役らしい脇役である「賭博破戒録カイジ」の大槻班長のセリフを紹介しましょう。アニメ版のチョーの演技が実にいいんですよね。

大槻班長はフルネームは大槻太郎。命が懸かった極限の状況下以外では怠惰で自堕落なクズ人間伊藤開示(カイジ)が、多額の債務を背負って送り込まれた帝愛グループの地下王国で、カイジの所属するE班の班長を務めています。この地下王国の正体は核シェルターで、強制労働施設(要するにタコ部屋)が併設されており、債務者たちが拡張工事に従事させられています。


強制労働の日当は3500円ですが、借金返済及び食費・施設利用料によってその9割が天引きされてしまうため、手取りはたったの350円。しかも地下王国でしか通用しないペリカという通貨(1円=10ペリカ)で支払われます。一週間に6日働いて一ヶ月でもらえるのは9万1千ペリカ。

食事やシャワー、ベッドと睡眠時間など最低限の環境はありますが、重労働と高温・粉塵といった劣悪な環境から体を壊してしまい、借金を返済する前にに再起不能となる者も多い恐ろしい場所ですが、一応インセンティブもあって、ペリカを貯めれば「一日外出券」「一日個室券」「フルコースディナー」「サービスランチ」が得ることも可能なんですが、一日外出券の値段はなんと50万ペリカ。半年分の月給をほぼまるまる貯めないと届かないという。そこで大抵の囚人達は、給料日に買える酒・つまみ・タバコ・菓子などといった嗜好品を楽しみにしています。


ダメ人間カイジは当然こんなところにいつまでもいる気はなく、一日外出券をゲットして外で博打をして一気に金を稼ぐことを狙いますが、そこはダメ人間。周囲でビールだの焼き鳥だのを飲食しているのを見ると胸がざわつきます。そこに巧妙に甘言を用いて堕落させるのが大槻班長。まあこのあたりの詳しい話は「記憶に残る一言(その41)」で紹介しているので興味のある方はご覧ください。(https://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-1083.html)


大槻班長、帝愛側と結託しており、嗜好品の販売を行っています。その価格は地上の2倍というぼったくり価格ですが、山の上とかホテルの中とかでこれに似た価格を見ることがあるのでまあ地下への搬送に費用がかかっているのかも知れません。他に娯楽があるわけでもなく、囚人達はせっかく手に入った給料を刹那の飲食に浪費してしまいます。これを目の当たりにしたカイジが墜ちないはずもなく。

小さい缶ビールと甘言でチョロくもなけなしのペリカを浪費して豪遊するカイジを見ながら、側近の石和と沼川に言って聞かせる大槻班長のセリフが今回の記憶に残る一言です。



ビールと焼き鳥、ポテチといったコンビニで買えば2~3千円の“豪遊”するカイジを見ながら、「食べ終わったら…奴はとりあえず満足して…こう考えるだろう…明日からがんばろう…明日から節制…だ…と!」




いや~名言ですね。というか大槻班長自身、多額の債務で地下王国送りになっているクズの一人のはずなんですが、カイジよりよっぽど教訓を得てきているような。正直、ぼったくり価格で嗜好品を販売しているとはいえ、それだけなら悪人とまではいえないのですが…

実は大槻班長、帝愛上層部と掛け合い、囚人達のガス抜きと称してオリジナルルールのチンチロリン「地下チンチロリン」を開帳しており、しかもイカサマを繰り返して囚人達から大量のペリカを搾取していたのです。カイジを堕としたのも、嗜好品を買わせるためではなく、チンチロリンに誘い込んでカモにするのが真の目的でした。

その後カイジの反撃に遭ってイカサマが発覚し、有り金をほとんど奪われてしまうのですが、そのときの見苦しさも一見の価値ありです。大槻のため込んだ額は実に1,800万ペリカ以上で、これは180万円に相当していました。これを債務返済に充てたりいいのにと思いますが、大槻は一日外出券を大量購入しての長期バカンスを夢見ていたようで、現時点でも一人なら一ヶ月以上外出できたはずでした。


発言自体は至極全うなものなのに、自身の腹黒さ極まるクズっぷりで全てを「ノーカン!ノーカン!ノーカン!」にしてしまった大槻班長。しかしゲスっぷりがきわまったせいで一部でカルト的な人気を博しているようで、「1日外出録ハンチョウ」というスピンオフ作品も作られています。ここではカイジと出会う前の大槻が主人公となっており、一日外出券を使いグルメや観光を嗜むグルメ漫画として描かれています。

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