冥王計画ゼオライマー:史上最強のロボットを描いた漫画

昨日は日中も肌寒い位でしたが、今日の日中は暖かでしたね。「暖か」なんて言葉が抵抗なく使えるなんて…先月の今頃は思いもしませんでしたよ。今夜も暖かいですが、また明日になれば朝夕冷え込むことでしょう。寒暖差が大きいので体調にはくれぐれもご注意を。きっと皆さんの体も今年の長い長い猛暑にやられて知らず知らずのうちに消耗していることでしょうから。
そういえばまた昨日はたくさんのアクセスをいただきまして、日記全体で493位、サラリーマン・OL部門で84位という当ブログ史上2番目の順位となっています。つい先週も史上2位と言っていたのですが、一つだけ順位を上回りました。また来ちゃいましたよ成層圏(笑)。二桁は荷が重いにゃー。
ま、そんなことはさておいて、今夜は古い漫画の記事を行ってみましょう。先週、30年近く前という遙かな昔にちらっと見た「冥王計画ゼオライマー」が完全版になって出版されていることが判明したので、早速Amazonで購入して取り寄せて見ました。

私が「ちらっと」見たのは、1983年か84年頃の「レモンピープル」という雑誌ででした。「レモンピープル」と聞いただけで、ある年齢・ある属性の方々の眉がぴくっと動く様が目に浮かぶようです。自称は「美少女コミック」と称していましたが、要するにロリコン雑誌の草分けであり、従来の劇画調の成人向け漫画と一線を画した可憐な美少女と性的描写の組み合わせで人気を博していました。
連載していたのは吾妻ひでお・あさりよしとお・雨宮淳、内山亜紀などの比較的有名な漫画家から、千之ナイフ・破李拳竜・阿乱霊といったカルト的人気を持った個性派漫画家まで様々でしたが、そんな中で異色の巨大ロボット漫画を連載してたのが「ちみもりお」でした。

「ちみもりお」-おそらく「魑魅魍魎」をもじったのではないかというペンネームですが、この人は後に「高屋良樹」名義で「強殖装甲ガイバー」の連載し、現在もほとんどこれ一本の執筆に専念している模様の漫画家です。「ガイバー」は劇場公開されたり、テレビアニメとして放映されたり、OVAが出ていたりしているほか、2回も実写映画化がなされているので、ご存知の方も多いかと思います。私も20世紀末、近所の漫画喫茶で読んでいたのですが、21世紀になってその店がなくなってしまった後、仕方なく現在も通っているちょっと遠い漫画喫茶に行くようになったら「、ガイバー」が全然置いてないので続きが読めなくなっています。
メジャーな「ガイバー」をさておいて、誰も知らないかも知れない超マイナー作品「ゼオライマー」を語る、それがユースフクオリティー。「レモンピープル」に連載されたのは1983年10月号から84年11月号までで、約1年でした。一般誌で「強殖装甲ガイバー」の連載を始めるために成年漫画誌での活動を停止したことにより、「ゼオライマー」も途中でいわゆる「第一部・完」という形で終了してしまいました。

その後、設定などを変更した上で1988年から1990年にかけて同名タイトルのOVAとしてアニメ化されました。こちらはDVDやBRになって販売されており、私もDVD版を持っています。詳細については改めて後日語りたいの思いますが、このOVA版の「ゼオライマー」がゲームのスーパーロボット大戦シリーズに登場したことを契機として、2007年に「完結編」が掲載され、完全版の刊行に至ったようです。
ストーリーですが、日本でロボット研究をしていた氷室遼三博士は、世界支配を目論む巨大組織、鉄神帝国ネマトーダの誘いに応じ、妻の氷室美久や同僚の若槻魔沙樹らを伴って、ネマトーダの世界支配に貢献するロボット研究を行いますが、実は協力すると見せかけて、自分達にしか扱えない最強のロボットを完成させ、冥王として世界に君臨しようと企みました。
最強のロボット「ゼオライマー」の開発は順調に進みましたが、ある日氷室博士は妻の美久が魔沙樹と通じていたことや、ゼオライマーが魔沙樹と美久以外には操縦できないようにされていることに気づきます。設定の変更は不可能であったため、氷室博士は偶然の事故を装って魔沙樹と美久を殺害し、ネマトーダの蘇生技術で、殺した二人を胎芽の状態に還元してから蘇生させました。そして、記憶の再構成前に二人とゼオライマーを奪い、ネマトーダを脱出し、無垢な二人の成長を待って彼らを操ることで、氷室博士自身が全世界を掌握することを目論見ます。しかし、ゼオライマーの覚醒を恐れた助手の秋津は、新生児になった魔沙樹を奪って姿を隠してしまいます。

14年間後のある日、秋津マサキとして育てられていた若槻魔沙樹と、氷室博士の姪・美久として育てられていた氷室美久が再会し、ネマトーダも氷室博士の所在を把握し巨大ロボットを出撃させます。否応なくゼオライマーに搭乗させられて迎撃に出たマサキは、ゼオライマーに隠されていた記憶・人格再生プログラムによって若槻魔沙樹の記憶を取り戻していきます。
ネマトーダの将軍・ゴルシードが差し向ける巨大ロボットとの戦闘を重ねる内に、マサキはもう一人の人格“魔沙樹”との間で苦悩を続けるのですが…という感じです。OVAはまたちょっと設定が違っているので、これはあくまで漫画版のあらすじです。
主役メカ・ゼオライマー自体は14年前の設計であるため、作中では既に旧式な巨大ロボットなっていますが、異次元から無限のエネルギーを取り出すという驚異の「超次元システム」の搭載により、他の巨大ロボットを圧倒する超絶的な攻撃力と鉄壁の防御・再生能力を併せ持つ、最強無敵のロボットとなっています。何しろコクピットが完全破壊されようがパイロットが原子分解されようが、瞬時にして再生することができるので、イデオンやガンバスターすら凌駕する史上最強のロボットかも知れません。

そして成人向け漫画らしい設定(笑)として、「超次元システム」の核となるのが氷室美久という可憐な女の子(中学2年生の14才。エヴァを彷彿とさせますが、当然こちらの作品の方が先行しています)で、「次元ジョイント」を装着して「超次元システム」の接点として機能するという、ゼオライマーの「心臓」というべき存在なのです。その「次元ジョイント」、装着部分がなんと彼女の子宮。ゼオライマーの起動中は頭部の光球内に全裸で浮かび、光球内に設置された触手群によって性感帯を責められることでエネルギーを供給するようになっています。ああなんという成人向け設定(笑)。その間の美久はゼオライマーのパーツとして扱われ、コクピット内のマサキとの会話もできないままに触手に責めまくられるという……。まさしく美久だけにみっくみくにされてます。

また、「次元ジョイント」は本来半永久的に機能するのですが、オリジナル(一個しかなく、複数の制作は不可能)の回収に失敗したため、寿命の短い代用品を使用せざるを得なくなっていて、2週間程度で交換しなくてはならなくなっています。この辺りの設定もまた美久ちゃんのエロシーン描写に多大な貢献をすることとなっています。美久ちゃんにとっては非常に可哀想な陵辱シーンのオンパレードとなる訳ですが、読者からすると

ということになるのでしょう。
なお、氷室美久は当初はいろいろな秘密を知っている謎めいた美少女として登場しますが、秋津マサキが“魔沙樹”として覚醒し始めると立場はすっかり逆転してしまいます。美久自身は前世の記憶がないため、“魔沙樹”に真実を告げられ、父のように慕っていた氷室博士を妻であった自分が裏切っていたという事実にショックを受け、“魔沙樹”に籠絡されて彼の言いなりになってしまいます。この籠絡にあたってのアクション(笑)部分も、絵柄自体は可愛らしいものの、調教といってもいい程のハードなシーンが続くのですが、「レモンピープル」連載当時の画力が後に比べればまだまだ足りない感じですね。完結編では流石に流麗な美久ちゃんが描かれていますが、その完結編では残念ながら(?)エッチなシーンはあまりありません。

単行本巻末によると、実はサ○ライズが1999年頃にアニメ化を企画したそうでうが、結局日の目は見なかったようです。しかし、2008年に開始された「冥王計画ゼオライマーΩ」(原作:ちみもりお(高屋良樹)、作画:ワタリユウ)は、これをベースにしているそうで、完結編ラストから続編として描かれているようです。

こちらは成人向け漫画ではないのでそっち方面の描写は抑制的だそうです。そのせいか(作画も違うからかも知れませんが)、美久ちゃんは一層幼くあどけない感じがしますね。裸にはなっても要所要所は長い髪で隠していたりして。

「冥王計画ゼオライマー」完全版は、ダークな方向に進んでいくのかと思いきや、実際には後天的に生まれた「秋津マサキ」の人格が思いの外強かったせいで、若槻魔沙樹の記憶は受け継いだものの、人格までは継承しなかったということで、「氏より育ち」ということわざを地でいくような展開になります。「逃げた助手」という程度の扱いしかされていない秋津さんですが、実はいいお父さんだったのかも知れません。美久ちゃんもそんなマサキが好きになったみたいです。その一方でじゃあ若槻魔沙樹は一体どんな育ち方をしてあんな悪の権化みたいになったのだろうかという疑問が沸いてきます。大体「魔沙樹」ってなんなんだ。普通のセンスで付けられないDQNネームですね。若槻魔沙樹の両親はヤンキーだったのでしょうか。

さらに美久ちゃんはといえば、前世では邪悪な魔沙樹とは愛人関係となり、今世ではマサキとも恋愛関係になるということで、どちらにしてもこの二人は相性がいいとみたいです。やはり運命の二人なのか。赤い糸で繋がっているのか。

なお、最後の敵であるネマトーダ総帥と彼が操るロボットにな大きな秘密があります。この設定はOVA版とも共通している部分がありますので、OVA版ゼオライマーの記事で触れたいと思います。そういえば、「ミク」というキャラも終盤登場しますよ。姓は「初音」じゃないと思いますが。

OVA版でも美久ちゃんは氷室美久として登場します。容姿はだいぶ違っていて、それは別に構わないのですが、設定の変更により、なぜ「氷室」なのかが不明になってしまったことは残念。そもそも姓がいらないのではないかと……おっと、その点についてもまた後日に。

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