ガールズ&パンツァー 劇場版:ガルパンはいいぞ

スウェーデンがロシアとの緊張関係を高まりから戦争への備えを国民に呼びかけていると思ったら、今度はフランスの大統領が徴兵制復活をぶち上げています。極東では“チビのロケットマン”(byトランプ大統領)が大騒ぎをしていますが、西は西でなにやらきな臭い様子。スウェーデンとロシアは16~19世紀の間に10回も戦争をしていますし、わりと仲が良さそうなフランスとロシアもナポレオンのロシア遠征というのがありました。備えあれば憂いなしということでしょうか。それにしてもつくづく、ロシアってヨーロッパ扱いされない国なんですね。トルコも入りたくても入れないみたいですが。

そこでという訳ではありませんが、本日はお正月にAmazonプライムで見た「ガールズ&パンツァー 劇場版」の感想などを。昨年12月にはOVA「ガールズ&パンツァー 最終章」の1話がリリースされており、オイオイオイその話題じゃねーのかよとツッコまれそうですが、最近見たのが劇場版なもんで仕方ありません。

「ガールズ&パンツァー 劇場版」は2015年11月21日に公開され、当初は小規模ロードショーでしたが、口コミやtwitterで作品の評判が広まり、累計動員は145万人、累計興行収入は25億円となったそうです。ガルパン応援大使となった蝶野正洋の「ガルパンはいいぞ」は2016年度アニメ流行語大賞銀賞(第2位)を受賞しています。第47回星雲賞 メディア部門を授賞しているということで、SFとしても認められたということに。

「○○はいいぞ」といえば、蝶野の前にアミバ様も言っていました。ぜひご登場願いましょう。

ストーリーはテレビアニメ最終話の続きとなっており、学校の存続を賭けて臨んだ戦車道全国高校生大会で優勝した大洗女子学園のその後が描かれています。優勝を記念したエキシビションマッチが開催され、大洗女子学園とテレビで名前だけ登場していた知波単学園が混成チームを組んで、聖グロリアーナ女学院とプラウダ高校の混成チームと戦います。


知波単学園はその名のとおり「チハたん」こと九七式中戦車を主体としたチームで、大会では黒森峰女学園に一回戦で瞬殺された模様。全車両突撃を伝統としていて、持久戦とか防衛戦が全く出来ない困ったちゃん達です。グロリアーナとプラウダという強豪タッグが相手なら、せめてサンダース大学付属高校あたりと組みたいところ。

結局命令を聞かない知波単学園の突撃によりみほの戦略は破綻し、もう一歩のところで敗北してしまう大洗女子。まあエキシビションだから…といいたいところですが、この敗戦を凶兆とするかのように、生徒会長の杏が文部科学省の学園艦教育局呼び出しを受けます。

なんと大洗女子学園は廃校。「優勝すれば廃校を免れる」というのは可能性という口約束に過ぎず、検討はしたものの廃校の撤回はできなかった、ほぼ詐欺のような通達を受けてしまいます。なにしろ各学校とも学園艦という、マクロスやヱクセリオンもびっくりの超大型船を学園艦としており、経費がかかるであろうことはそりゃあもう請け合いです。
そもそも大洗女子は生徒数の減少と目立った活動実績がないことを理由として、文部科学省の学園艦統廃合の方針により今年度限りの廃校が決定していたのですが、それまでにもっとちゃんとやっておけよ言いたくなりますね。それにしても学園艦教育局と直接交渉するのが生徒会というのは謎過ぎる。そういえば大洗女子、学校長とか教職員の姿を見たことがないぞ。

それでも杏、密かに戦車道連盟や西住流戦車道家元(みほの実家)の後ろ盾を得て学園艦教育局長と再交渉し、天才少女の誉れも高い島田流戦車道家元の娘・島田愛里寿率いる大学選抜チームに勝利すれば、今度こそ廃校を撤回するという確約を得ます。しかし試合内容は参加可能台数上限が30輌での殲滅戦とされ、戦車が8輌しかない大洗女子チームにとってはあまりに過酷な条件でした。文部科学省としてはどうしても廃校にしたいらしいですね。上のお方の意志を忖度してたりして。


しかし、あまりの不公平ぶりと大洗女子の窮状を見かねた黒森峰、グロリアーナ、プラウダ、サンダース、アンツィオといったライバル校の対戦相手達が続々と大洗女子に戦車毎「転校」してきて、加えて知波単や継続高校といった大会参加校のメンバーも「転校」してきます。ここに事実上の高校選抜チームが結成され、高校生対大学生という戦いの様相になります。まるで「リングにかけろ!」での世界連合ジュニアチームとギリシャ十二神チームの戦いみたいですね。

アンツィオはテレビでは一瞬しか登場せず、大洗女子に瞬殺されたかのようでしたが、OVA「これが本当のアンツィオ戦です!」では、しょぼい戦車しか持たないにも関わらずそれなりに健闘していたことが描かれていました。


ところで知波単はエキシビションで共に戦ったからいいとして、継続は何故参戦?OVA「これが本当のアンツィオ戦です!」で、みほは森峰女学園時代に練習試合で継続と対戦し、苦戦させられたことを語っていました。隊長のミカはフィンランドの民族楽器カンテレを弾いているだけなのになぜか優秀な指揮能力を見せていました。CV能登麻美子のせいでしょうか。「いっぺん、死んでみる?」と言ったとか言わなかったとか。


大学選抜チームは大戦末期に登場したセンチュリオン巡航戦車、M26パーシング重戦車、M24軽戦車、T28重戦車のほか、学園艦教育局の差し金で運用が認められたカール自走臼砲後期型を擁する強力チームで、指揮官の島田愛里寿は西住流のライバルである島田流の後継者で、13歳にして飛び級で大学に入った天才です。みほ同様、状況に応じた変幻自在の戦術を駆使し、単独戦闘能力も非常に高く、試合では無類の強さを発揮します。さらに中隊長のメグミ、アズミ、ルミのM26は三人による連係攻撃「バミューダアタック」を使ってくるという。バミューダ→トライアングル→三者連携攻撃ということで、ほとんど「黒い三連星」。この三人に多くの戦車が撃破されてしまいました。

最終局面ではみほ・まほと愛里寿の対決という構図となり、まさに西住流対島田流の対決となります。二対一にも関わらずそれでも互角に戦う愛里寿に対し、みほは捨て身の戦術に出て…


劇場版だけあって戦車戦はとても迫力があって見応え充分です。ただ、大洗女子に何か個人的に恨みがあるかのように尋常ならぬ敵意を見せる学園艦教育局長が異様です。戦車道大会での成績に基づくというのなら、廃校にするのは継続とか知波単とかアンツィオでもいいんじゃないかと。というか、戦車道がそんなに学校存続のために重要だというのなら、そもそも大洗女子で20年も戦車道が廃れていたのがおかしいと思います。このあたり、もっと大洗女子をつぶさなければならない理由があったら説得力があったのにと思います。そもそも経費経費言うんであれば、各校とも独立行政法人にしろよとか学園艦という制度そのものを止めた方がといも思えますが。


大学選抜チームも圧倒的戦力で立ちはだかってきますが、こちらは別に悪役という訳ではないので、怒りをぶつける対象として学園艦教育局長がいたような気がしますが、こっちも文部科学省の役人なのに、いつも一人でしか登場しないのが謎。もっといろいろ官僚がいるだろうに。

それでも、あれだけキャラが沢山居るのに、それぞれにちゃんと見せ場を作ったのは凄いことだと思います。水島監督、アンタこれほどのことが出来るというのに、「迷家-マヨイガ-」は一体なんだったんだよ…

戦車戦以外で面白かったのは、風紀委員で結成するカモさんチームが、廃校のショックでやさぐれて他校と喧嘩するまでに落ちぶれたあたりでしょうか。アイデンティティーの崩壊って辛いですね。ただちゃんと復活も描いていたのでよしとしましょう。


あとカチューシャ&ノンナで有名なのプラウダに、突如登場した思いっきりロシア人的風貌のクラーラ。CVはなんと本物のロシア人ジェーニャ。ノンナと常にロシア語で会話するため、カチューシャから日本語で話せとツッコまれていましたが、実は日本語も堪能だったという。なぜテレビ版に出なかったし。

テレビ版ではクールな雰囲気があったまほ、実はみほにとっても優しいことが判明。幼少期のエピソードも盛り込まれ、姉妹仲はとっても良かった様子。もっと実家に帰れよみほ。愛犬までノーリアクションだったとは(笑)。

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