2017年秋季アニメの感想(その2):Code:Realize/宝石の国/アニメガタリズ

いやいや、2017年もいよいよ押し詰まってきましたね。まさにザ・年の暮れ。あっという間の一年でしたが、よく考えるといろいろあったなあと。あまり思い返すと疲れるのでやめましょう。忘れてしまうのが一番。そうか、それで「忘年会」なるものがあるんだな。

2017年秋季アニメもほぼ終了しましたが、2クール作品「Fate/Apocrypha」がまだなんですよね。やむなく明日に回して感想の第2弾です。まずは「Code:Realize ~創世の姫君~」。女性向け恋愛アドベンチャーゲームを原作とした作品です。それは何を意味するかと言うと、プレイヤーの代理たるヒロイン以外は、基本周囲はいい男ばかりになるという。いい男といっても「ウホッ」系ではないのですが、腐ってしまった女性向けにはそういうのもありそう。

全身に猛毒を宿した記憶喪失の美少女・カルディアと、彼女を取り巻くいい男達が、カルディアの謎に迫っていきます。正直ノンケなのでいい男には全く興味はないのですが、本作の男キャラはルパン、フランケンシュタイン、ヘルシング、サン・ジェルマンなどかなりべたべたな連中ばかり。インピーだけややマイナーですが、巨大な大砲で月を目指すというベルヌの「月世界旅行」の主人公です。

その他にもエルロック・ショルメ(ルパンシリーズに登場するシャーロック・ホームズのパロディキャラ。日本では思い切りホームズと訳されています)やネモ(ベルヌの「海底二万里」に登場する潜水艦ノーチラス号の艦長。今ではむしろ「ふしぎの海のナディア」で有名)も登場します。

本来ならマルチエンディングなのでしょうけど、アニメではルパンが「お相手」になっています。前にやはり乙女ゲーを原作とした「神々の悪戯」を見ましたが、こういう作品はゲームではヒロインはCVなしであるのがお約束ですが、アニメではなぜか早見沙織が充てられる不思議。ま、はやみんが出ていなければ見ることもないんですけどね。逆ハーレム状態のヒロインの声には透明感と気品あふれるはやみんボイスが似合うのか。

全ての黒幕だったのにかなりあっけなくやられてしまったカルディアパパンの情けなさに全米が泣いた。全知全能を自称するならもうちょっとしっかりしてくれよ。そして綾波レイ状態で水槽に浮かんでいた無数のカルディア。あれを人数分取り出せばメインキャラ一人につき一人のカルディアを配給できたのに……あ、あのままでは生きられないのか。

絵は綺麗で笑いありサスペンスありなんですが、ストーリーはかなり薄っぺらいです。というのも主人公達はいいとして、これと敵対する国とか組織とかの構成員が少なすぎるから。モブな戦闘員ばかりという感じ。まあそれを詳細に描くには尺が足りないんでしょうけど。あと終盤、奈落に落とされたルパンがなんの伏線も描写もなく突然戻ってきてカルディアを救出するのは流石に説得力が。過程より結果が大事なのが乙女ゲーなんでしょうか。とりあえずインピー役の森久保祥太郎が演技をするたびに、杉田智和のやる森久保祥太郎の物真似を思い出して笑ってしまいました。似すぎだわ。

「宝石の国」。これはストーリー途中で終わってしまったので第二期待ったなしなんですが、作って貰えるのでしょうか。金剛先生役の中田穰治以外は女性声優ばかりが登場というハーレム世界ですが、宝石達は性別がないという設定で、体のラインも少年のよう。空から襲撃してくる正体不明の「月人」とこれを迎え撃つ宝石達という構図ですが、ほぼ毎回撃退しているものの、何度も飽くことなく襲撃してくるせいで徐々に月に連れて行かれる宝石が増えていくとう。

宝石達はそれぞれの宝石の特徴(硬度とか靭性)を持っていますが、金剛先生だけ異質で何者なんだろうという感じです。宝石達は全員金剛先生を慕っているのですが、何やら月人と関係がある模様。それを追及していこうかというところで終わってしまっているので中途感が半端ないです。

主人公のフォス(フォスフォライト)は硬度も靱性も最下級で、自他共に役立たずと見なされていましたが、物語が進むにつれ体の多くを欠損し、それを他の鉱物で補完していく内に能力も性格もどんどん変わっていきます。その変わりっぷりをCV黒沢ともよが好演していました。

宝石達はなにげに人気声優総登場といった感じで超豪華ラインナップなんですが、一番好きなのはやはりダイヤモンドですかね。中性的とか少年的といわれる宝石の中で、どう見てもダイヤモンドだけは美少女。CV茅野愛衣の愛らしい演技もあって、たまらない可愛さです。可憐だけど闇を抱えてたり。

ニコニコアンケートによると、一番面白かった2017年アニメの第二位でした。特に女性では一位。大流行となった「けものフレンズ」には一歩及びませんでしたが、「メイドインアビス」や「幼女戦記」を抑えるとは流石です。中田穰治が初パーソナリティーだという番宣ラジオも面白かったです。ちなみにベスト20中、視聴していたのは11作品でした。多いんだか少ないんだか。


「アニメガタリズ」。アニメビギナーの阿佐ヶ谷未乃愛は、曲者揃いのアニメ研究会に入り、仲間達に振り回されながらも次第にアニメの世界にのめり込んでいきますが、なぜか執拗に廃部にしようとする生徒会とのバトルや、コミケやらのイベントなどを経て、物語は意外な方向に向かいます。

終盤の展開は筒井康隆の「パプリカ」風でしたが、むしろ現実が崩壊していく様子はフィリップ・K・ディックの作品のようでした。アニメに浸食される現実とか、アニメは現実と別世界で実在すとか、メタ満載でシュールな展開が面白かったです。

展開はさておき、ストーリーのあちこちでちりばめられる他のアニメ作品のパロディが、やけに古いモノが多くておっさんは大喜びなんですが、若い人はついてこれないんじゃないかと。もともと未乃愛が子供の頃に好きだったという一話打ち切りのアニメ(「超カタルシス的少女エターナルシンフォニー」)も、「トップをねらえ!」とか「フランダースの犬」とかたくさんの作品を混ぜこぜにした作品でしたし。

そもそもネコ先輩という異形が最初からいたので普通の学園ものじゃないだろうと思っていましたが、まさかここまでとは。アニメに浸食された世界で、未乃愛のママン、愛が「『妹さえいればいい』がが楽しみー!京ちゃんとっても可愛いわよねぇ」と言っているのには笑いました。思いっきり実名かよ。中の人の主演作だからいいのか(笑)。

初期設定までネタにするというメタバリバリ作品でしたが、それも容認される作風だったからいいんでしょう。最後は高校入学時の4月に戻ってやり直しという展開でしたが、物わかりのいい生徒会、既にあるアニメ研究部、ネコ先輩の代わりにネコミミJKキャラと、未乃愛にとっては「優しい世界」に変わっていました。光輝(オーロラ)先輩だけ消えてしまったけど、彼はアニメ界の住人だったので仕方がない。新たに設定したイケメンキャラにやはり光輝(オーロラ)と名付けるむごさよ。

未乃愛が切羽詰まって口走った「土下座ェ門」。誰が知ってるんだこの名前(笑)。ですが私は知っていただけに爆笑しながら何ともいえない気持ちになってしまいました。冨樫センセと並ぶ締め切り破り野郎萩原一至の「BASTARD!!-暗黒の破壊神-」の2巻きに登場するモンスターで、連載中はビホルダーという名前だったのに、単行本ではこんな名前に。手足も生えているし。23巻で買うのやめちゃったんだよなあ「BASTARD!!」。初期と展開が違い過ぎてさぁ…(ぶつくさ)。

個人的には「さかな&ねこ」の作者・森井ケンシロウがアニメ監督だったという事実にびっくりしました。てっきりマンガ家だと。「咲鐘湖学園」という名前とか、OPにさかな&ねこの面影がちらほら。あまり話題にならなかったかも知れないけど、ED「グッドラック・ライラック」も含めいい感じの作品でした。

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