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東京最後の異界 鶯谷:タナトスとエロスの狹間に咲く奈落の花

青に染まる公園

 国営ひたち海浜公園のネモフィラが見頃になっています。約450万本のネモフィラが咲き誇る景色はまさに絶景。春はネモフィラで青く染まり、秋はコキアで赤く染まるというまことに結構なひたち海浜公園。日本で一番魅力のない県とか言ってるヤツは一度見に来いや!(高田延彦風)

東京最後の異界 鶯谷 

 本日は本橋信宏の「東京最後の異界 鶯谷」を紹介します。本橋信宏の著作は初めて読みましたので、まずは作者のプロフィールから。

本橋信宏 

 本橋信宏は1956年4月4日生まれで埼玉県所沢市出身。埼玉県立川越高校では辛坊治郎と同期だったそうです。早稲田大学政治経済学部卒業後、24歳でフリーライターとして文筆活動を始めました。その傍らで「ナイスですね~」で知られるAV監督村西とおると知り合って、AV作品制作に関り、数作品ではAV男優も務めたそうです。

村西とおる 

 1985年の「『全学連』研究─革命闘争史と今後の挑戦」以降、反体制運動評論家として注目を集めることとなり、またその一方でアンダーグラウンド文化に関する評論活動も本格化させていきました。政治思想からサブカルチャーまで、幅広い分野で文筆活動を行っています。

全学連研究 
 
 「東京最後の異界 鶯谷」は2013年12月13日に宝島社から単行本が刊行され、2015年2月19日に宝島SUGOI文庫から文庫版が刊行されました。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

東京最後の異界 鶯谷 帯 

 JR山手線で最も乗降客が少ない駅、鶯谷。広大な寛永寺の墓地と駅を挟んだ反対側は都内有数のラブホテル街で、風俗産業の最先端スポットとなっている。入り組んだ路地には正岡子規の終の棲家や初代林家三平の生家、夏目漱石が通った料理屋が今でも残る。この特異な街はいかにして生まれたのか。その歴史と地理的背景、男女の肉声を採録。生と死が隣り合わせる鴬谷の不思議な魅力を描く。 

鶯谷駅周辺 

 鶯谷駅という駅はあるのですが、鶯谷という地名はないという不思議。駅の西側(上野桜木)は高台になっていて、土手の上に寛永寺の墓地が広がっています。そして駅の東側(根岸)はかつて正岡子規が暮らし、初代林家三平が生まれ育った下町…のはずなんですが、駅から見るとラブホテル街が続いていてある意味壮観。

鶯谷北口

 正直日暮里から上野にダイレクトに行ってくれと思ったりもするわけですが、何かの拍子に降りてみると駅前にはデリヘル嬢とホテルに行く、あるいは吉原に向かう変態紳士達が大勢たむろっているという。

 鶯谷南口

 本書では在りし日の鶯谷とか江戸時代からの歴史とかにも触れていますが、大半は鶯谷周辺で展開される風俗の話となっています。「韓デリ」「人妻の聖地」「吉原」etc…。著者は風俗で稼ぐ人妻にインタビューも行っていますが、韓デリでは著者曰く「行き過ぎた国際親善」を敢行しています。この手の風俗探訪インタビュー作品では、大抵作者はインタビューだけしましたよ、手は出してませんよ的ポーズを取ることが多いのですが、ある意味正直者ですね。

うぐいすだにミュージックホール

 個人的に鶯谷のイメージというと、1975年代にヒットした笑福亭鶴光の「うぐいすだにミュージックホール」。てっき実在するストリップ劇場なのだと思っていましたが、架空の劇場でした。ストリップ劇場の呼び込み兼司会の典型的な台詞や、劇場内における客や踊り子をリアルに描写しています。

 鶴光のサンスペ

 私は鶴光が大好きなんですが、さすがにこの歌を歌っていた頃はまだ鶴光の魅力に目覚めてませんでしたね。ヒットしたのはいいのですが、師匠である笑福亭松鶴から「落語の勉強をせずにストリップの歌を歌っている」と激怒され、3か月の破門を言い渡されたそうです。

ラブホテル街 

 既にこの曲の頃始まっていた「笑福亭鶴光のオールナイトニッポン」(サンスペ)で絶大な人気を博していたので、本業が落語家であることを忘れられていたりして。私の中ではほぼ完全にラジオパーソナリティでした。

信濃路 鶯谷店 

 正直風俗系の話は紹介しにくいのですが、興味を惹かれたのは駅前にあるという24時間営業の居酒屋「信濃路」。NHKの「ドキュメント72hours」でも2014年5月23日に「大都会・真夜中の大衆食堂」と題して取り上げられたそうです。

信濃路メニュー表 

 店内のメニューを見ると庶民派料理が格安で並んでいますね。私は高級フレンチよりもこういった店の方がなじむような気がします。風俗はともかく、この店は一度行ってみたいですね。

これでもかと豆腐料理 

 それから豆腐ならぬ豆富料理の名店「笹乃雪」。複数の愛人と交際する人妻が愛人に連れて行って貰ったという店ですが、なんと創業三百二十年で、古くは赤穂浪士や正岡子規にも供された当時の製法そのままににがりと湧き水のみを使用した豆富が賞味できるそうです。こういう粋な店に連れて行く甲斐性がなければ愛人も持てないということでしょうかね。

高台と低地 

 本書に登場する「韓デリ」で働く韓国人の女の子は、若くて独身で仕送りのために働いていますが、デリヘルとか吉原で働いたり、愛人となっている日本人の人妻達は基本的にお金のため、ということのようです。夫に不満があったり離婚寸前というケースもありますが、家庭はごく円満で夫は好きだけどお金が必要だからというケースもあったり。夫を愛したままでも出来るんですね、こういう仕事。バレたらただでは済まない気がしますが、身バレしないようにわざわざ鶯谷に来るんだとか。

寝取られた清楚妻 

 もっとも、夫が実は寝取られスキーだった場合はむしろ「我々の業界ではご褒美です」ということになるのかも。「一盗二婢三妾四妓五妻」という言葉が昔からありますが、男から見て、一番楽しいのは人妻を盗むこと(寝取り)、二番目に楽しいのは妻の目を盗みながら家の女中や下女を抱くこと(「良いではないか良いではないか」というヤツか)、三番目は妾を囲うこと、四番目は娼婦・娼妓を買うこと、最後の五番目が妻を抱くこと、という意味です。

よいではないかよいではないか 

 ちなみに三番目の妾と四番目の妓は入れ替わり、「一盗二婢三妓四妾五妻」となる場合もあるそうで、このあたりの順位は伯仲しているというか、人によるのかも知れません。「一盗二婢」と「五妻」は鉄板。つまり自分の妻はつまらないけど他人の妻は魅力的というがなんとも闇の深さを感じさせますね。日本男児の業は深いと言わざるを得ませんな。でもなんとなく気持ちはわかる(爆)。征服感とか背徳感がいい味出すんですかね。いや、やったことはないですよ。刃牙の無茶苦茶イメトレ的なアレですよ。「思い込みの力だ!!」

無茶苦茶イメトレ 
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