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封印された日本の村:オカルトにあらず、かつて存在した風景の記録

浅田真央引退

 浅田真央の引退記者会見がありました。26歳で引退なんて、スポーツ選手としても早すぎる気がしますが、フィギュアスケートは殊の外選手寿命が短いので、業界では大ベテランなんでしょうね。あれだけの才能を持ち、あれほど各種大会で勝利しながら、オリンピックでは遂に金メダルに手が届かなかったというのも運命なんでしょうか。とにかくお疲れ様でした。「曲り角」の先の人生が幸せに満ちていることを。

封印された日本の村 

 本日は歴史ミステリー研究会編「封印された日本の村」を紹介しましょう。彩図社から2016年3月7日刊行されており、私としては異様に新しい本を読んだことになります。図書館、よく購入した。

封印された日本の秘境 

 本書は「封印された」シリーズの一冊で、他には「封印された日本の秘境」「封印された日本の離島」があります。それらも読んでみたいですが。裏表紙には「廃村となった村、存在し続ける村…どの村からも人々の息づかいが聞こえてくる」とだけしか書いてありませんので、Amazonの内容紹介です。

封印された日本の離島 

 昔から人々は日本のあらゆる場所で村を作り生活してきた。しかしすでに消えてしまった村は多い。かつて人々はどんな場所で生き、どんな事情で消えていったのか。また、現存する村々がどのような文化を継承しているのか…「村」を通して人間の生きざまが見えてくる。

杉沢村伝説 

 “封印された”なんて仰々しいタイトルをつけられると、ネットで噂される都市伝説の「杉沢村」とか「鮫島事件」なんかを連想するんですが、本書にはオカルト色は一切なし。まあ“キリストの墓”がある村とか“八つ墓村”のモデルとなった事件が起きた村なんかも紹介されているので、超常現象系のミステリーが取り上げる内容がないでもありませんが。

鮫島事件 

 第一章「人々が追われた村」は、噴火や土石流などの自然災害や、ダム建設計画のために消えて行った村を取り上げています。中でも印象的なのは、奈良県十津川村が大水害に遭い、被災した村人が北海道に移住したという話。北海道にいたとき、空知地方に「新十津川町」があったのを覚えていますが、あれがその移住先だったんですね。北海道には他にも広島県出身者が移住した「北広島市」や仙台藩の分家が集団移住をした「伊達市」なんかがあります。探せば他にもあるかも。

十津川大水害 
軍艦島

 第二章「繁栄のなごりが残る地」は、今も残る有名な廃墟が取り上げられています。有名な軍艦島(端島)、鰊御殿や旧大社駅など、今は使われていないけど観光資源としてはなお働いている施設、そしてアパート群や竪坑櫓などが出てきます。印象的なのは六甲山中にひっそりと立つ摩耶観光ホテルの廃墟。道路もない山中にあって解体もままならず、今なお鎮座していますが、美しい廃墟として有名だそうです。

 旧大社駅
摩耶観光ホテル 

 旧大社駅も駅としての使命は終わっているのですが、廃止後もホームや駅の掲示などがすべて当時のまま残されており、2004年に国の重要文化財に指定されており、2009年には近代化産業遺産に認定されているせいで、全く廃墟感がないですね。

大久野島 

 第三章「人の姿が消えた地」は、近代化とか行動成長によって人々が流出してしまった結果消えた集落や村を紹介しています。印象的なのは大久野島。瀬戸内海の島ですが、かつて地図から消えていた時代があったという。

ウサギの楽園となった大久野島 

 今ではウサギの島として有名ですが、戦時中は毒ガス製造の拠点とされ、その事実が極秘事項だった(化学兵器製造はジュネーブ条約違反だったし)ため、島の存在そのものを軍によって抹消されていたそうです。ウサギも毒ガス検知のために飼われていたのが始まりだとか。

大久野島の軍事遺構

 毒ガス製造施設ほか、様々な軍事遺構が多数残っており、ウサギを愛でる他、廃墟マニアもウハウハな島かも。しかし適切に処理されないままに廃棄された毒ガスの影響か、環境基準を大きく超えるヒ素による土壌汚染が確認されており、水は島外から船で運ばれているそうです。

キリストの墓とされるもの 

 第四章「逸話や伝説が残る村」は、今も存続している村ばかりが登場。全然封印されていません。「キリストの墓」がある青森県新郷村には、なんとピラミッドもあるそうです。MMR風に言えば「ここは古代の東武ワールドスクエアだったんだよ!!」「な、なんだってー!!」という感じ。

ピラミッドもある 

 昔は戸来(へらい)村という名前で、盆踊りでは「ナニャドヤラ」という奇妙なはやし歌がヘブライ語から来ているという説があったりして、イスラエルの「失われた十氏族」との関わりも指摘されていたりして。まあ確かに面白いけどキワモノの限りだと思いますけど。ちなみにキリストの墓は一般にはエルサレムの聖墳墓教会と言われていますが、その他インド・カシミール説、南フランス説、イギリス説があるそうです。しかし、聖書によれば死後復活して昇天したということなので、遺骸は存在しないということに。

おんだ祭 

 あと面白かったのは奈良県明日香村の「おんだ祭」。厳粛な神事…なんですが、飛鳥坐神社の舞台で、衆人環視の中で天狗とお多福が性行為を繰り広げるそうです。外人大喜びでこれを目当てに来日する人もいるとか。見るぶんにはいいですが、やれと言われたら困惑しますね。

かなまら祭 
魔王マーラ 

 祭事には性的なものって案外あって、川崎市の金山神社の「かなまら祭」なんか特に有名ですよね。メガテンシリーズに登場する魔王マーラのような男根御輿が練り歩くという。こっちは担ぐだけならやってやれないことはなさそう。

八つ墓村 

 第五章「事件の舞台になった村」は近現代史に登場する事件の現場が紹介されています。秩父困民党が明治政府に対して武装蜂起した「秩父事件」の旧粟野村とか、横溝正史の「八つ墓村」のモデルになった、一晩で30人もの人を殺害した「津山事件」(今なお日本犯罪史上最大の大量殺人事件とされます)の舞台となった旧西加茂村などが登場。

秩父事件 

 各記事は短いので物足りないところもありますが、自身で調べてみる端緒として非常に面白い本だと思います。
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北へ向かう列車は

只今帰省の為乗車中なんですが、思いの外空いています。自由席にも空席があったり、1日違うだけでこんなに違うのか・・・

拝見拝読致しました。
私もこの類の本は結構好きで、何冊か買ったり、実際に足を運んだりしています。昨年も、旅行の際にこの記事に載っているとある場所に行って見ました。今は静かな所なので、現地の方に迷惑を掛けないよう数分で退散しましたが・・・。過去に忌わしい事があったとの事ですが、考えてみれば今自分の暮らす街だってほんの70数年前に空襲で何千人殺された事実がある訳で。 『1人の死は悲劇だか、数万人の死は統計上の数字にすぎない』という言葉、身にしみますね・・・。

Re: 北へ向かう列車は

 satoruさんこんにちは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

> 只今帰省の為乗車中なんですが、思いの外空いています。自由席にも空席があったり、1日違うだけでこんなに違うのか・・・

 4日ともなるとむしろ帰省先から帰る人も出る頃ですね。休みをシフトできれば余裕が生まれますね。とりあえず周囲に人があんまりいない方が快適ですよね。

> 拝見拝読致しました。
> 私もこの類の本は結構好きで、何冊か買ったり、実際に足を運んだりしています。昨年も、旅行の際にこの記事に載っているとある場所に行って見ました。今は静かな所なので、現地の方に迷惑を掛けないよう数分で退散しましたが・・・。過去に忌わしい事があったとの事ですが、考えてみれば今自分の暮らす街だってほんの70数年前に空襲で何千人殺された事実がある訳で。 『1人の死は悲劇だか、数万人の死は統計上の数字にすぎない』という言葉、身にしみますね・・・。

 私は子供の頃オカルト大好き少年だったのですが、その頃ありとあらゆる怪しい本に触れたせいか、大人になってから非常にスケプティック(懐疑的)になってしまいました。連中、昔からある話を結構蒸し返して新しいふりをするんですよね…

 本書はオカルト色は薄いのですが、怨霊系というのもだいたい戦国時代くらいまでしか出てこないのが不思議ですよね。原始人の霊とかあんまり聞かないです(外国では例があるようですが)。あと犬猫蛇狐狸なんかは動物霊として出てくる話を聞きますが、恐竜とかアンモナイト、三葉虫の霊という話も聞きません。霊にも寿命があるんですかね。
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