2017年冬季アニメの感想(その2):CHAOS;CHILD/亜人ちゃん/ACCA/クズの本懐

今日は昨日と打って変わって日差しの明るい一日でした。東京じゃ桜の花見をやってるかも知れませんが、筑波嶺ではまだ早いかな。ほころんでるけど一分咲きにも満たない感じ。気温にもよるけど、来週辺りが見頃でしょうか…

さて大半終了してしまった冬季アニメ。感想を書いていかないと春季アニメが始まってしまいますね。ではまず「CHAOS;CHILD」。

正直1クールに詰め込み過ぎです。妄想科学アドベンチャーシリーズの姉妹作品である「STEINS;GATE」のアニメ化が名作とされるのは、2クールかけてじっくりとストーリーを描いたことで、原作(ゲーム)を知らない人にも充分理解できるようにしていたからだと思うのですが、本作は原作を知らないと置いてけぼりを喰らってしまいがちです。

主人公のリア充気取り・情報強者気取りの宮代拓留の周囲で猟奇事件(ニュージェネレーションの狂気の再来)が頻発したのは、「この世に偶然なんてない、あるのは必然だけ」(木之本桃矢)だった訳で、クトゥルフ神話的に言えば、盲目白痴の絶対神アザトースの意思を具現化するべく生み出されたナイアーラトテップがあらゆるお膳立てをしていたということです。

事件の黒幕とも言える存在(ナイアーラトテップ)は、確かにあっと驚く人物だったのですが、実はアザトースであった宮代拓留の、自分ですら忘れていた意思を実現させるために行っていたのだという。盲目白痴というのも例えで言えばまさに宮代拓留にぴったりだなあ。

凄まじいバッドエンドで終了し、視聴者までも宮代拓留のこの顔にしてしまった作品ですが、なんと続編を制作するんだそうな。「rewrite」もそうでしたが、1クール見てきて“実はバッドエンドでした(てへぺろ)。トゥルーエンドは次回やるからまた見てね”という展開は嫌いです。それをやるなら最初から2クールで制作しての1クール目でやるとか、最初からバッドエンドであることを公表するかして欲しいものです。

本編ではやたらディソードでチャンバラをするのだけど、ディソードってギガロマニアックス妄想を具現化するための端末であって、そういう使い方をするもんじゃないでしょう。もしそうなら剣道でも習っていた方が(笑)。


それにしても宮代拓留、イマジナリーフレンドを具現化するだけでなく、ギガロマニアックスの能力まで付与できるとは、どんだけオールマイティーな能力者なんだ。もっと有効に使えなかったのか、その力と思いますが、自覚がなきゃどうにもならないのかな。

収穫としては、「ハルチカ」以来注目しているブリドカットセーラ恵美が、来栖乃々(南沢泉理)を好演したこと。ゲームでは女王様然としているそうですが、アニメではむしろ気弱で何かに怯えるような演技が多かったような。7話の号泣演技はとても良かったですね。もう一本、もう一本あれば「好きな声優さん」で…

続いて「亜人ちゃんは語りたい」。亜人とは言っても「亜人」での亜人(ややこしいな)のような不死性とかは一切なく、むしろ生活する上ではハンデキャップとなっているような特徴を持つ人間の物語でした。

大学時代から亜人に興味を持っていたものの、会うことはできなかった高校の生物教師である主人公・高橋鉄男は、いきなり4人もの亜人に遭遇することになります。ヴァンパイア、デュラハン、雪女、サキュバスと、亜人はなぜか全員女の子。彼女たちは、それぞれ亜人としての悩みを抱えており、話を聞くうちに高橋先生はなんとか彼女達の問題を解決しようと奮闘することになります。

基本学園コメディーで、高橋先生はヒゲゴリラな外見に似合わず心優しく、亜人達のハートをがっちり鷲づかみ。普通の生徒達にも変人だとは思われているものの好かれていて、客観的に見てとっても良い先生です。見てくれはモテそうにないのですが、無自覚なたらし体質で、女の子(含むサキュバス)はみんなメロメロ。

亜人は強い光や熱に弱い(ヴァンパイヤ、雪女)とか、分離した頭を持ち歩かなければならないので手がふさがる(デュラハン)、異性を強烈に催淫させてしまう(サキュバス)など、有害無益というか、およそ役に立ちそうにない特徴を持っていますが、サキュバスだけは風俗とか夜の店では大活躍できそう。なのになんで共学校の先生なんて職業を選ぶんだ佐藤先生。せめてそこは女子校だろうに。

この人がキャバ嬢とかやったら、「佐藤さん、あんたのせいでメチャクチャだ」的に入れ込んで家財を傾ける人続出でしょうね。それなのにサキュバスという特徴とはあまりにも裏腹に生真面目なせいで、人里離れた借家から朝夕のラッシュを避けて始発終電状態で通勤しているのはあまりにも可哀想。せめて高橋先生と結ばれればいいのですが。それにしても佐藤先生を演じるひよっちは達者な声優さんですね。

最終回に水着サービス回を持ってくるとか、ちょっとおせーよとか思ったりもしますが、4月から7月までの期間の話だったのでむしろ自然か。亜人同士が仲良くなるだけでなく、一般生徒とも衝突があったりした後で親しくなって、特に日常をはみ出すような事件は起こらず、「優しい世界」に終始していましたが、それはそれで良かったと思います。

メインヒロイン格のヴァンパイア・小鳥遊ひかりがいい味出していましたね。おしゃべり好きでいたずら好きで人懐っこくて。この子がいなかったらまた別な展開になっていたような気がします。演じたのは前回の「アニゲラ!ディドゥーーン」にもゲスト出演した本渡楓。

「ガーリッシュナンバー」でもあざと可愛いアイドル声優・久我山八重役を好演していましたが、杉田智和が肝の据わりぶりや面白エピソードの紹介ぶりを激賞していました。この人もあと一本あれば「好きな声優さん」で紹介したいですな。

次は「ACCA13区監察課」。シャレオツなOP、飯テロぶりを発揮するパンやケーキの実にうまそうな描写、深謀遠慮渦巻く展開と、エロ方面ではない形での深夜アニメらしい深夜アニメでした。

主人公ジーンが王家の血統であることが判り、ACCA嫌いで解体を公言するバカ王子を廃しようというクーデーターで次期国王として担がれる展開になり、ジーンもその気になっている…という展開でしたが。

ジーンの言動が「装甲騎兵ボトムズ」最終回直前のキリコを彷彿とさせたので、それはないだろうと思ったらやはりそうでした。クーデターにかこつけて自分の区を中心とする新体制構築を画策していたリーリウム家の野望というか陰謀が、実はばればれで騙したつもりが騙されたというオチは面白かったです。

バカ王子もACCAが彼を王位継承者として認める代わりに、群衆の前でACCAの存続を約束させられ、とりあえず王政の権力拡大は阻止されました。まあドーワー王国の実態は各区による連邦制のような国なので、ゴリ推しすれば無血クーデータが流血クーデターになるだけなんでしょうが。

リーリウム家が支配するフラワウ区は分離独立し、13区は12区になってしまいましたが、いずれは戻ることが期待されています。もしや統合戦争勃発…

ニーノが粋で格好いい(声まで津田健次郎なのでやたら格好いい)、色気より食い気の美少女ロッタが可愛い(悠木碧の「幼女戦記」での演技とのギャップを楽しむという側面もありました)、とまあそんな作品でもありましたが、最後に間違っていたことが。ジーンとロッタのママンであるシュネー王女が王家を離れるさい、同行した従者のアーベント。白髪つながりで、この人が後のグロッシュラー長官だと思っていましたが…


正体は、監察課課長のオウルだったんですね。髪を金髪に染めていたとは。各区の視察が仕事なのに、乗り物酔いがひどくて自分では視察にいけない監察課課長とは一体何なんだと思っていましたが、そこには王政とか枢機院の意思が働いていたのでしょう。そしてニーノがしばしば連絡していた相手もオウルだったということに。いや~すっかり騙されました。

5長官制度の廃止により、ACCAの最高責任者となったモーヴ本部長。ジーンは実は惚れていたようですが、彼女はグロッシュラーと良い感じ。CV田中敦子ではそもそも手に負えなさそうでもあります。残念ながら失恋してしまいましたが、ニーノとやけ酒でも飲みましょう。

監察課3人娘から彼女を選んでもいいのですが…基本おやつばかり食べてたような印象が。この中なら左の子かなあ。

そしてニーノも父の代からの任務を解かれたのだから、ロッタと付き合っちゃえYO!ジーンと同級生になるために、パパンの命令で25歳で高校生やらされたせいで、実際にはロッタとは20歳位(つまり倍)年齢が離れているけど、愛があれば年の差なんて。何よりもレイルとかシュヴァーン王子とかに持って行かれちゃうのは不本意です。でもいとこ婚になるけど、ロッタが結婚した方がシュヴァーンはまともになりそうな気も。

それにしても昔「3年B組金八先生」に出演した田原俊彦は、高校を卒業していたのに中学生役をやっていましたが、それでもせいぜい3~4歳差。10歳サバ読んで高校生になるのはかなり辛かったのでは。アダルトな雰囲気で女子生徒からはモテたかも知れないけど。

これはステキにまとまった良い作品でした。ニーノは危なかったけど誰も死ななくて良かった。シュネー王女が亡くなった鉄道事故は、本当に事故だったみたいですね。

最後に「クズの本懐」。「亜人チャンは語りたい」が4月から7月までの物語だったのに対し、こちらは4月から翌年3月までの物語。途中から主人公が茜先生になってしまったような気がするのですが(笑)。

少女マンガ原作のせいか、女子達の心理が鬱陶しいくらいに細かく描写されていました。それはともかく、前作「舟を編む」から継続してノイタミナ枠を視聴した人は、あまりのギャップに驚いたことでしょう。いきなりJKが喘ぎますからねえ。茜先生も喘ぐけども。これは…アイドル声優とかはオーディションを回避したんでしょうか。或いは事務所に止められたりね。

反面、オノコ達の心理描写はちと怪しい。麦はまだしも、鳴海先生は美化しすぎだ。男はそんなもんじゃないZO。「幼女戦記」の言い方を借りれば「それは、青年教師の皮を被ったバケモノ」。まあある意味ぶっ壊れた人じゃないとリアルビッチ先生茜ちゃんの相手は務まらないか。

それにしても茜先生、もしやサキュバスなんじゃないかという位モテまくり、男を取っ替え引っ替えして快楽を搾取してきたのに、なんとなく鳴海先生と結婚したらすっかり収まりそうな予感。まるで聖書に出てくる「改悛した罪の女(マグダラのマリア?)」みたい。じゃあ鳴海先生はキリストなのか。だとしたら、振った花火に結婚式に来いというドSなキリストだこと。

麦に失恋したモカ(鴎端のり子)はいち早く立ち直って自分の足で歩いています。正直以前よりずっと格好いいですね。その後風紀委員になって「かもさんチーム」として戦車道に参加するんですね、わかります(中の人つながりで)。

結局のところ、それぞれ想い人に振られた花火と麦ですが、所詮は代替品。振られた者同士で本格的にくっつくという選択は無かったのでした。いや、花火はその気配を見せたけど、麦が断った。ここも男子高校生の性欲ってヤツを舐めているような。「DKのセイヨクを甘く見たら、処女膜がいくつあっても足りないぜ」と伊達臣人も言っています(言ってません)。

スーパーレズ先生、えっちゃんこと絵鳩早苗も吹っ切った様子。この人の断髪は過去を断ち切ったという意味なんでしょうか。

いとこの桐嶋篤也がえっちゃんに「ZOKKON命(ぞっこんラブ)」ですが、安易にお手軽にくっついては欲しくない。どうしても手に入れたいものは絶対手に入らない、それが宿命(誰の?)

学校では生徒達が二人の先生を祝福。正直新任教師同士が一年も経たずに結婚とかどうなんですかねえ。同僚からヒソヒソ言われそうだけど。見た目確かにお似合いなんですが、その後鳴海先生が妻の寝取られを見てハァハァ言うみたいな変態趣味に走るようにならなきゃいいが。いや、二人がそれで幸せならいいんですけど。

ブーケの薔薇をブーケトスだと押しつけて「次は取られちゃダメよ」という茜先生。いい性格してるな先生。恋愛ブルジョアの茜先生も、そのスタイルではあと10年も経てば通用しなくなってしまい、一気に“振るジョア”から“振られタリアート”に転落した可能性があるので、いい時期にライフスタイルの転換が出来たんじゃないですかね。個人的にはBBA化して転落していく茜先生を生暖かい目で見守るというのも一興なんですが。

モノローグで「私たちは本物を探してる。それが簡単に手に入らない事を知っている。どんなに願っても祈っても届かないものかもしれない。今度はもっと傷つくかもしれない。それは私たちをもっと孤独にするかもしれない。だけど求め続ける」という花火。

それは「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」で主人公八幡が言った「俺は、本物が欲しい」と同じ事なのか。もし花火の言う「本物」が「本物の恋」という意味だと、一気にこの子が浅薄に感じてしまうのですが。八幡の「本物」はそれだけではないと思うので。

まあなんだかんだ、あれだけ喘いで18禁アニメかよと思わせた花火ちゃんも結末まで処女のままでしたよ。正直ロストバージンで大人になったと勘違いするようなバカではあって欲しくはなかったので、精神的には一応成長したと認めてあげたい(「興味の無い人に向けられる好意ほど気持ちの悪いものはない」なんて無茶苦茶ムゴイことを考えていたのが「ごめんなさい…!でも…ありがとうございま」と言えるようになった)ですが、モカの方が吹っ切り方が早くて好きでしたね。

「今救われなくてもそれで良い。私達は本物を探してる。そのために生きていく」か…。その挙げ句また麦とくっついてもその意義が変わっていればいいのでしょうかね。でも個人的には麦とはもうくっつかないで欲しいですね。

茜先生は華麗なる性の遍歴の末に、身体の関係だけでは満たされないもの(=本物)があることを漸く知ったようですが、そうなる可能性もありながら、その前に気付くことが出来た花火はむしろ幸いなのかも知れないですね。

ヒロイン安良岡花火を演じた安済知佳は、凄く声質が素敵です。花澤香菜と間違えられることも多々あるようです。番宣ラジオ「クズの女子会」をモカ役の井澤詩織とやってますが、番組の面白さもさることながら、この人は地声自体がとってもいいんですよね。この人は…ああ、キャラの数的にもう行けるので、近日「好きな声優さん」で取り上げます。

あ、あと茜先生も「好きなアニメキャラ」で取り上げますとも。私はマジで好きですよこの人。OPのこのシーン、髪型的には花火なんですが、それにしてはグラマラスだと思ってたら、若き日の(今も若いけど)茜先生だったんですね。
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