記憶に残る一言(その84):パケ裏のセリフ(魔法少女アイ参)

桜が開花してもうすぐ4月だというのになんか薄ら寒いですね。これも花冷えというやつなんでしょうか。でもこの言葉は4月に使いたいものですね。世間では小中高の皆さんが春休みに突入のことでしょう。短いけど、宿題がないのがいいですよね。それにくらべて大学の春休みは夏休み並みに長かったなあ。

本日は記憶に残る一言です。今回はわりと汎用性の高いのを紹介しましょう。18禁PC用ゲーム「魔法少女アイ参」のパッケージ裏のセリフです。タイトルどおり、「魔法少女アイ」シリーズの第三弾に当たります。

「魔法少女アイ1」は2001年6月22日にcolorsから発売されました。ダークな雰囲気の中で、謎の妖魔「ゆらぎ」と異世界からやってきた魔法少女の戦いを描いた作品で、非常にくせのあるキャラデザインのほか、魔法少女といいながら基本物理で戦ってたり、ハードな触手陵辱がこれでもかと出てきたりと非常にユニークな作品でした。

2002年9月27日には続編の「魔法少女アイ2」が発売され、3年後の世界が描かれました。新キャラが登場したほか、ダークな雰囲気とハードな触手凌辱シーンはそのままながら、コミカルなシーンが多くなりました。私がプレイしたのは「魔法少女アイDVD壱plus弐」というセットものでした。これは2003年12月26日発売で、内容については2012年7月7日の当ブログ記事に記載しております(http://nocturnetsukubane.blog.fc2.com/blog-entry-58.html)。

ま、ここまでは良かったんですよ。くせのある絵柄は好き嫌いが激しかったかも知れませんが、「魔法少女が戦いに負けて凌辱される」という、現在の魔法少女凌辱系エロゲーの始祖とも言われる作品として後発作品に大きな影響与え、セールス的にも成功した作品でした。

そして「2」では、異世界での話など、秘密が明らかになったことがある一方で、「ゆらぎ」については謎が増え、ストーリー的にもこれから一体どうなるんだ!?というところで尻切れトンボ的に終わっていたので、続編を求めるファンの声も強かったのですが…発売元のcolorsは、2006年には実質的に解散状態となってしまったのでした。

ところがこの人気シリーズを絶やすのは惜しいと考えられたのか、「MS-Pictures」 が版権とスタッフの一部を正式に引き継ぎ、2008年に「魔法少女アイ参」 の発売告知がなされました。ファンは、あのアイにまた会えると、首を長くして発売を待っていたのですが…

2008年12月19日に発売された「魔法少女アイ参」は、とんでもない作品として姿を現したのでした。

● エロシーンが真っ黒(CGがない)
エロゲーには、シナリオ重視のためエロシーンが控えめな作品も存在することはしますが、凌辱モノである「魔法少女アイ」では、その価値はやはりエロCGにあるといえるでしょう。テキスト自体にはエロ描写があるのですが、それに追随すべきCGが全く表示されませんでした。

● 事前情報では公称1.5GB、しかし実際は500MB
近年エロゲーは大容量化が進んでいますが、サイズを水増して発表することは割とあるようです。それでも9240円というフルプライスなら、1.5GBはないと合格とはいえず、1GB未満はありえません。なのに500MBしかなかったという。

● 物語が体験版並に短く、投げっぱなしな終わり方
シナリオライターが自らのサイトで、自分が書いた分が削られていることを公言し、製作過程に致命的なトラブルが存在したことをうかがわせます。

フライングゲットした勇者達から悲惨な報告が続く中、誰かがパケ裏の「ごらんの有様だよ」というセリフに注目し、掲載しました。本来は触手に陵辱される美少女達の画像を背景に「ごらんの有様だよ」と表現していたのですが、「これは自虐ネタじゃないのか!?」ということで注目を集め、名言として後世に語り継がれることになってしまったのでした。

衝撃は業界にも広がり、買い取り価格は暴落し、買い取りを拒否する店舗も出ました。その後、公式サイトでは、パッチ (修正ファイル) を無料配布するとの告知がでましたが、翌年2月29日に発送されたそれの中身は84.9MBしかなく、製品版と合わせても600MB程度しかありませんでした。まさに「ごらんの有様だよ」パート2。「魔法少女アイ参」ならぬ「魔法少女アイ惨」ではないかとの声も(誰うま)。

いわゆる「ゆっくりしていってね!!!」のアスキーアートを転用し、メインキャラであるアイとリンによる「ごらんの有様だよ!!!」AAが作られ、さらに人気を博すことになってしまいました。なお「魔法少女アイ参」は、年末も押し詰まっての発売ながら、あまりの地雷っぷりに、並み居る強豪を押しのけて、エロゲー版クソゲーオブザイヤー2008の大賞を受賞してしまったのでした。

こうして魔法少女陵辱ものの始祖とも言える「魔法少女アイ」シリーズは見事に大爆死し、歴史の闇の中に消えていきました。今ではネットスラング「ごらんの有様だよ」の元ネタとしてしか存在価値がない状態です。なお、「ごらんの有様だよ」と言ったのは前作の敵であるシンなのかと思いきや、新キャラの九十九院ユキなんだそうです。買わなかった私にはどういう活躍をするキャラなのかも定かではありませんが。

この人が九十九院ユキ。退魔師を受け継ぐ家系に生まれた女性。自らにも退魔の能力があるということですが、そんなんでゆらぎに勝てたら魔法少女はいらんので、きっとこの人も酷い目に遭うんじゃ…

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