記憶に残る一言(その76):小笠原綸子のセリフ(SHIROBAKO)


ますます暗黒面にのめり込んでいる「魔法少女育成計画」、11話でも2名死亡してもはや3人しか残っていません。ラスボスと思われたクラムベリーが、ドジ過ぎて戦闘系の能力を一切持たないスノーホワイト以下のゴミクズ魔法少女かと思われた「たま」にまさかの敗北とは。それにしてもクラムベリー…ラ・ピュセルを惨殺したりと所行的には死んで当然なんですが、まさかラスボスになれなかったとは。それどころか「まほいく」史上最も無残な遺体となってしまいました。下半身だけ…

しかし、その後の惨劇はさらに後味が悪いもので…。魔法少女を4人に減らすというファブの目標は達成されたので、もう殺し合う必要はなくなったんですが、相棒のスピードスターを目の前でスイムスイムに殺されたリップルの怒りは消えず。二人の激突は必至です。


小雪でもスノーホワイトでも表情が曇りっぱなしの主人公。彼女が心から笑える日はもう来ないんじゃないでしょうか。なにしろ次回最終回だし。しかし、戦闘に参加しないが故に生き残っているのだからある意味スゴい人かも。

それでは本日の本題です。「SHIROBAKO」から記憶に残る一言を行ってみましょう。13話にして「第三飛行少女隊」編第1話での小笠原綸子のセリフ二つです。

小笠原綸子は物語の舞台となる武蔵野アニメーション(略称ムサニ)の看板アニメーターで、1クール目の「えくそだすっ!」編では「えくそだすっ!」のキャラクターデザインと総作画監督を担当していました。名実ともにムサニのエースであり、業界だけでなく一般のアニメファンにも知名度は高く、そのゴスロリファションから「ゴスロリ様」の異名も持っています。


「第三飛行少女隊」のスタッフは基本的に「えくそだすっ!」と同じ布陣で当たるということになったので、当然のようにゴスロリ様にキャラデの依頼が来たのですが、まさかの拒否。「えくそだすっ!」で自分の課題が見えてきたので、もう一度アニメーターとしてのスキルを磨きたいと言います。

そして代わりに推薦したのが井口祐未。原画は6年目で、仕事が早く、小笠原綸子と並んでムサニの看板アニメーターされる人です。しかしキャラデはやったことがなく、ムサニの社運をかける「第三飛行少女隊」は重すぎると固辞する姿勢でした。しかし井口さんは小笠原を「綸子はん」と呼んで駆け出しの頃から尊敬していました。その綸子はんが井口を落としたセリフが一つ目の「記憶に残るセリフ」であるこれです。


「誰にも、どんなことにも初めてはあるものです。」そして宮森も熱くラブコールをしたことで、「チャンス貰えるなら…ありがたいです!頑張ります」と受諾することになった井口さん。

しかーし、そう簡単には問屋が卸さないわけでして。頑張ってキャラデしてみたものの、原作からは全くOKが出ません。しかも要領を得ないぼんやりしたコメントのみ。キャラデが決まらないと原画が描けないということで、作業ストップという事態に。タダでさえタイトなスケジュールが…


苦悩しつつもキャラデに取り組み井口さん。この人、「具体的に言えや!」とキレたり八つ当たりもおかしくない状況で、本当に頑張っているのですが、原作者からのダメ出しはひどくなる一方。闇堕ち寸前ということになってしまいます。


井口さんを推薦したこともあって、見かねた綸子はん、監督の木下、ラインプロデューサーの渡辺、制作デスクの宮森を呼びつけてお説教をします。

「サポートが足りないと思うのです。あなた方は井口さんをずっと放りっぱなしではありませんか。原作者が何も言ってくれないからと言って、その全てを井口さんに丸投げするのは仕事を放棄しているのと同じです。井口さんを抜擢したのなら、最後まで井口さんを支えて差しあげてください。」


この場面を見て、「推薦したのはあなたじゃないですか」と思ったら、聞こえたのか自ら井口さんのフォローを行います。宮森の運転する車に乗せて井口さんを拉致する綸子はん。なぜか絵麻も一緒です。オアシスだというバッティングセンターで投打に汗を流します。皆格好だけは一流プロなんですが、実力が伴っていたのは小笠原道大のフォームの綸子はんだけでした。


ピッチングでは水原勇気のドリームボールを投げる綸子はん。若い人は知らんでしょうなあ、これは。思わず「ゴスロリ甲子園」という訳の判らないアニメを妄想する宮森あおい。

そして爽やかに汗を流した後で自分語りを始める綸子はん。駆け出し時代はTシャツにジーパンだったという綸子はんは、キャラデに抜擢された時、井口さん同様にプロデューサーや監督にぼんやりしたダメ出しを受け続け、心が折れそうになった経験があるのだと。



「その時理解したのです。批評、ダメ出し、注文。全てにハイハイと頷いていてはいけないのだと。だから自分を守るために、私は鎧をまとったのです」そうか、ゴスロリファッションは武装だったのか(笑)。そして二つ目の記憶に残るセリフを発します。

「ツラい時期のない職業なんてありません。屈辱をバネに、どれだけ自分が頑張れるかです。」大先輩である綸子はんにも苦しい時代があったと知った井口さん、「女の子っぽくする方向ではないのかもしれません。中性的な可愛さなのではないでしょうか」という具体的なアドバイスも貰って復活します。

綸子はんのように服装で「武装」する井口さん。「第三飛行少女隊」の主人公、アリアのコスプレだそうですが、宮森が驚いています。プロデューサー達も根性出して、作中最大のクズ野郎、原作担当編集者の「変な話」茶沢を捕獲して原作者にキャラデを見せたところ、ようやくOKが出たのでした。


たろーも平岡もむかつくキャラでしたが、最後までクズを貫き通したのは茶沢でしょう。原作者とムサニの間を取り持つ立場でありながら、報告・連絡・相談を怠ったり、握り潰したりと滅茶苦茶やっていたので、製作スケジュールを極めて逼迫させる元凶となっていました。こいつがまともな人だったらそこまでの苦労はなかったと思いますが、そうすると作品が盛り上がらないのでこういう「悪役」も必要だったんでしょう。本当にいるのかこういう人?

最終話での打ち上げパーティーでは記念写真カメラマンになっていたのには笑いましたが。ちゃんと反省したのならいいんですけどね。同じ事やらかして放逐される未来が見えそうです。

余談ですが、例の“SHIROBAKO年収図”だと、小笠原綸子の年収は513万円で木下監督を上回っています。メーカープロデューサーには及びませんが、業界ではかなりの高収入。これくらい貰えればもはやワーキングプアとは言えず、十分暮らしていけると思いますが、ここに至るまでが大変そう。監督より左は完全にワーキングプアですよね。夢で腹は膨れるかい?


さらに余談を続けると、あれだけのピッチング・バッティングフォームを見せたわりに、高校生時代は囲碁部だったという綸子はん。なぜにアニメ業界に入ったのか。JK時代の綸子はんは、雰囲気的にはJK時代の絵麻に似ているような。純情可憐なJKがアニメーターになるんでしょうか。

スポンサーサイト