あなたに似た人:賭けと妄想の恐怖を描く短編集

10月の道

 10月も色々天候が不安定で、今日も雨に降られてしまいましたが、日中の時間だけは順調に短くなっていますね。早く秋らしい日々を満喫したいものです。

あなたに似た人 

 さて本日はロアルド・ダールの「あなたに似た人」を紹介しましょう。ロアルド・ダールの本は初めて読みました。

ロアルド・ダール 

 ロアルド・ダール(1916年9月13日-1990年11月23日)はイギリスの小説家です。ウエールズのカーディフで生まれ、両親はノルウェーからの移民でした。第二次世界大戦ではイギリス空軍(RAF)の戦闘機パイロットとして従軍し、5機撃墜でエース・パイロットとなりましたが、自身の搭乗機も撃墜されて脊髄に重傷を負い、その後遺症には生涯苦しめられることになりました。

RAF.jpg 

 その後、昔の経験を元に小説を書くようになり、風刺やブラックユーモアに満ちた短編小説や、児童文学で有名になりました。ダールの短編小説は「奇妙な味」と評されます。元々は江戸川乱歩の造語で、ミステリともSFとも、また怪奇小説ともつかない特異な作風を指し、ストーリー展開及びキャラクターが異様で、読後に無気味な割り切れなさを残す点に特色があります。日本では阿刀田高なんかが有名ですね。

阿刀田高 

 児童文学でも有名で、「チョコレート工場の秘密(Charlie and the Chocolate Factory)」(1964年)は2005年に「チャーリーとチョコレート工場」として映画化されています。実は2回目の映画化で、1回目は「夢のチョコレート工場」という題で1971年に公開されました。

チョコレート工場の秘密 

 今夏公開されたスピルバーグ監督の「BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」は、1982年に刊行された「オ・ヤサシ巨人 BFG(The BFG)」が原作となっています。

チャーリーとチョコレート工場 

 宮崎駿はダールのファンで、「紅の豚」や「風立ちぬ」にオマージュとしてダール作品のエピソードを挿入しているそうで、またダールのいくつかの邦訳書の前書きや解説などを行っているそうです。 

オ・ヤサシ巨人 

 「あなたに似た人(SOMEONE LIKE YOU)」は1953年に刊行されたダールの第二短編集です。邦訳は1957年10月に早川書房から刊行され、2000年に新装版が刊行されています。それでは例によって文庫本(旧装版)裏表紙の内容紹介です。

ビッグ・フレンドリー・ジャイアント 

 その夜、ある家の晩餐の席で一つの賭けがなされた。美食家を自認する客の一人が、食卓に出た珍しい葡萄酒の銘柄を判定できると言いだしたのだ。賭け金はなんと邸宅と当主の令嬢―絶大な自信を持つ当主はその賭けに同意したが……幻想とユーモアと恐怖をちりばめた奇妙な味の短編を得意とする鬼才ダールが、賭博に打ち込む人間の心の恐ろしさと人間の想像力の恐ろしさをテーマに描いた珠玉の15編を収める代表的短編集。 

 本書には、ミステリ・マガジン2007年3月号で、作家・評論家・翻訳家らへのアンケート結果によりミステリ小説オールタイム・ベストの短編部門第1位に輝いた「南から来た男」の他、上記内容紹介で取り上げられている「味」、そして妻の夫殺しが完全犯罪になるまでを描いた「大人しい兇器」などが収められています。

新装版あなたに似た人 

「南から来た男」は賭博をテーマとした作品で、ライターで10回連続で火を付けられるかどうかで、キャデラックの車と指一本を賭けるという話です。あっと驚くオチが秀逸です。

 「あなたに似た人」という作品は入っておらず、都築道夫によれば「各作品に登場する人物たちは、きわめて異状のようには見えるけれど、そうではない、あなたがたの中にもこういったところがあるんじゃありませんか、という皮肉である」ということです。私自身は賭博ってあまりしないので、賭博サイドの作品については、似てると言われてもなあ……という気がします。宝くじは年に数回買いますが、あれって賭博ですかね?パチンコは昔何度かやりましたが、当時はタバコの煙がもうもうでたまらなかったのと、全然玉が出なかったので、トータルで1万円も使っていないと思います。競馬とかは全く不調法で。

新装版あなたに似た人2 

 ですが、「人間の想像力の恐ろしさ」をテーマとした作品の方は確かに面白いですね。今は有名になった当時は若く無名な画家に、背中に刺青で妻の肖像を描いて貰った男の話「皮膚」は、その結末がはっきり描かれてはいないのですが、それだけにちょっと怖いです。また寝ている間に毒蛇がシーツの中に入ってきた男の話「毒」はそんなこっちゃないかというオチではあるんですが、その過程の蛇をなんとかしようとするドタバタが面白いです。

 一番好きなのは「告別」です。中年の婦人から恋人が自分の悪口を言っていると吹き込まれた金持ちの老紳士が恋人に復讐する話なんですが、そんなおしゃべり婦人の一方的な話をあっさり信じて復讐に走る男の愚かしさが実に情けないのですが、似たような話はおうおうにして現実にもありそうです。ラストは…艦これの日向ではありませんが「まあ、そうなるな」という。

まあ、そうなるな(日向) 

 昔の作品だから仕方ないのですが、いわゆるキ○ガ○ネタが結構あって(「兵隊」とか「海の中へ」)、「おいおい大丈夫かよ」とか思ってしまうのですが、まあ時代というやつなんでしょうね。賭博に熱中する連中もある意味キ○ガ○なので、キ○ガ○だらけの作品集とも言えますが。

 個人的には「首」に出てくる気の弱い貴族が好きです。押しかけ妻にいいようにされていますが、ラスト後は少しは関係が変わるといいのですが。この貴族とは友達になって広大な庭を一緒に散歩してみたいです

英国庭園 
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