AUTUMN:ニューエイジ・ミュージックの代表作

気持ちのいい秋の夜、いかがお過ごしでしょうか。私も「暑いですね」以外の言葉を連ねることができて本当に嬉しいです。
本格的な秋の到来を祝して、今夜はジョージ・ウィンストンの「オータム(AUTUMN)」をご紹介しましょう。
「オータム」は1980年にリリースされたジョージ・ウィンストンのピアノ・ソロのアルバムです。彼の育ったモンタナ州の春夏秋冬を表現した「四季四部作」の最初の作品でもあります。ちなみに四部作の他の作品は「WINTER INTO SPRING」(1982年)、「DECEMBER」(1982年)、「SUMMER」(1992年)ですが、この「オータム」が最大のヒットでしょう。
本作はニューエイジ・ミュージックの嚆矢とされています。ニューエイジ・ミュージックとは、聴く人をリラックスさせ、前向きな感情を与える、心地よく美しいメロディが特徴の音楽のことで、日本では喜多郎やYMOがその先駆けとされています。
クラシックやポップス、ジャズなど多様な要素をミックスしたような特徴を持ち、環境音楽やイージー・リスニングなどの音楽と多くの共通点を持っていますが、相違点としては、
① リラクゼーションや、瞑想を助けたり、音楽療法などの代替医療、ヨガ、チャクラなどに使用するための意図がこめられている。
② ジャンルの境界が意識的に排除されている。そのため、クラシックや民族音楽などのあらゆるジャンルの音楽性が曲に結びついている。
といったことが挙げられ、リラックスさせる効果を持つ1/fゆらぎのある楽曲が多く、癒し系音楽ジャンルの1つとして認知されています。そのため、日本ではヒーリング・ミュージックと呼ばれることもあります。
内容は、9月(SEPTEMBER)と10月(OCTOBER)に別れており、以下の構成となっています。
SEPTEMBER
1.Colors/Dance (カラーズ/ダンス)
※ モンタナ州ビリングスとマイルスシティの、秋の楓や箱柳にインスピレーションを受けた曲とされる。
2.Woods (森)
3.Longing/Love (あこがれ/愛)
※ フジテレビの天気予報 「関東ローカル版FNNニュース・明日の天気」(箱根 彫刻の森美術館の映像がバックに流れていた) のBGMや、トヨタ・クレスタのCMソングとして使用されたことで有名になりました。「秋の季節に感銘を受けた曲」だそうで、今でも「世界一有名なニューエイジピアノソロ」と言われているそうです。
OCTOBER
1.Road (道)
2.Moon (月)
※ 晩秋の曲。後半は琴をイメージしているといわれる。もともと3つの楽曲を一つにしたもので、あちこちで曲調が変化しています。
3.Sea (海)
4.Stars (星)

モンタナの秋ということですが、モンタナ州はアラスカを除くアメリカ本土ではカナダとの国境に接する最北端の州の一つで、日本では北海道北部から樺太あたりの緯度ということになります。このため、おそらく11月がもはや冬景色になるのでしょうが、日本的な感覚ではSEPTEMBERが10月の雰囲気、OCTOBERが11月の雰囲気という感じでしょうか。だからこれから聴くのにちょうどいい感じになると思います。
YouTubeで聴いてみたいという方のために
「あこがれ/愛」
http://www.youtube.com/watch?v=MnE6QyL_tF0
「月」(演奏は別の方ですが)
http://www.youtube.com/watch?v=aXybt1WfZZ4
「月」は和風というか日本情緒を感じます。途中に琴をつま弾いているかのような演奏があります。ジョージ・ウィンストンは日本で月を見たことがあるのでしょうか。
「オータム」は、当初ギターソロのアルバムとして計画されていたそうですが、ジョージ・ウィンストンがプロデューサーの自宅で演奏した際にピアノのアルバムを作るべきだと説得されたそうです。

ジョージ・ウィンストンは1949年生まれで、1972年にソロピアニストとしてデビューしました。年間のほとんどをツアー公演しており、ピアニストとしてだけでなく、ギターやブルース・ハーモニカの腕も相当なものであり、コンサートではよくピアノの合間に演奏しているそうです。
秋の夜長、良夜に冷や酒を傾けながら、または月を愛でつつ虫の声に耳を傾けながら、名盤「オータム」をぜひ聴いてみて下さい。
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