蒼き鋼のアルペジオ-ARS NOVA-:海の日にちなんで海洋SF戦記アニメ

今日は海の日と言うことで、ゴールデンウィーク以来久々の三連休。いやいや祝日のない期間は長かったですね。昔なら9月の敬老の日まで祝日がなかったのですが、まあ夏にはお盆休みとかで自主的に休みますからね。

海の日にちなんで、本日はこの前一気見した「蒼き鋼のアルペジオ-ARS NOVA-」を紹介したいと思います。2013年10月から12月まで放映されたやや古い作品なんですが、同年春から開始された育成シミュレーションゲーム「艦隊これくしょん -艦これ-」と似通った部分があり、かつてはコラボもやっていましたいた。私がプレイできたのが今年の6月からで、完全に出遅れている訳ですが、遅まきながらゲームを開始したのでアニメも見てみようかと。

原作は、Ark Performanceが2009年11月からヤングキングアワーズで連載中の同名の海洋SF戦記マンガです既刊12巻。アニメではストーリーや設定などに大幅な変更が加えられており、特にヒロインのイ401「イオナ」はほぼ別人になっているそうです。

21世紀の初頭、人類は温暖化の影響により地上の版図を大きく失っていました。そこへ突然、世界各地へ霧と共に謎の超兵器を搭載した第二次世界大戦時の軍艦を模した艦艇群が出現します。意思を持ち、「霧の艦隊」と呼ばれるその戦艦群の圧倒的な攻撃力・防御力に人類は大敗北を喫し、制海権を完全に失ってしまいます。海上に出られないことで各大陸に封じ込められた人類は衰退を余儀なくされますが、特に日本は息も絶え絶えになってしまいます。それから17年後、士官候補生の千早群像とその仲間達は、なぜか人類側についた「霧の艦隊」の潜水艦イ401に乗り込み、霧の艦隊と戦っていくことになります。

「霧の艦隊」は突如出現し、人類を海から駆逐した謎の存在で、日本周辺では旧帝国海軍の軍艦を模した艦艇が出現しています。独自の意思を持った各艦船は、旗艦に統率され、艦隊を構成しています。人類との戦闘では圧倒的勝利を収めました。その目的は「アドミラリティ・コード(失われた勅命)」と呼ばれる物の捜索らしいのですが、その正体は不明です。

「霧の艦隊」は第二次世界大戦期までの戦闘艦を模していますが、形を模しているだけで、その船体はナノマテリアルという構造を任意に組み替えられる万能素材で構成され、クラインフィールドと呼ばれるバリアや侵食魚雷、超重力砲といった超技術による武装を持っており、人類側の兵器では「霧」の艦を撃沈することはほぼ出来ません。各艦は「ユニオンコア」と呼ばれる中枢を持ち、この部分が無事であれば、ナノマテリアルの補充により何度でも再生が可能なようです。


人類に大勝利した「霧の艦隊」ですが、それは攻撃力と防御力に頼ったゴリ推しに過ぎす、戦術的には完敗だったという反省から、「メンタルモデル」と呼ばれる人間型の端末が出現しており、人間を研究しているようです。「メンタルモデル」はおそらく視聴者サービスで全員美少女型なのですが(笑)、女性型である理由については、「人類が艦船関係の公的表記を残す場合、全て女性形の定冠詞を用いるから、艦船は♀じゃないのか」(大戦艦ハルナ談)と言っています。一理あるなあ。


ちなみに「メンタルモデル」を作れるのは重巡洋艦以上の大型艦だけらしいですが、アニメ本編には大戦艦、重巡洋艦、軽巡洋艦、潜水艦の4種から登場しておらず、軽巡洋艦は長良型のみでした。潜水艦は軽巡洋艦よりさらに小型なはずですが、イ400型は全長122メートルもあって潜水空母と呼ばれるほどの大型艦だったせいか、メンタルモデルを持っています。

霧の艦隊に所属していたイ401のメンタルモデル「イオナ」は、主人公の士官候補生千早群像の前に突如出現し、彼の命に従うことを約束しました。イオナの行動は「霧」側からも不可解とみられており、突然変異的存在で、それが進化なのか癌細胞のような悪性変異であるのか未知数とされています。

しかしイオナや群像と接触したメンタルモデル達は一様に何らかの影響を受けており、イ401撃沈の命を受けて交戦した大戦艦ヒュウガ(アニメ放映前のエピソード)、重巡洋艦タカオ、大戦艦キリシマ、大戦艦ハルナなどは、群像とイオナを中心とする「蒼き鋼」に加入していきます。


アニメ版では、日本が開発に成功したものの、資源不足で量産化できない対「霧」兵器「振動魚雷」をアメリカに渡すという任務を受けた「蒼き鋼」の旅路が描かれています。常に無表情で機械的な少女といった風情のイオナが、次第に感情を表すようになり、第10話「その身を捧ぐ」で姉妹艦であるイ400とイ402に撃沈された際には、瀕死の群像の船体保全を最優先せよという命令に背き、メンタルモデルのナノマテリアルをも費やして彼の生命維持を優先し、ユニオンコアのみに成り果てます。



救出に来たタカオによって救われ、彼女の自己犠牲によって復活しますが、の際タカオと個性が混ざり合い、船体は401の本体にタカオの艤装を得たようなハイブリッドな「“アルス・ノヴァ”モード」に変貌を遂げました。タカオの武装を引き継いだため、潜水艦らしくない高火力を得ており、ヒュウガ、タカオ、キリシマ、ハルナのメンタルモデルも搭乗しているため、凄まじい演算処理能力を発揮します。

ちなみにアルス・ノヴァ(ARS NOVA)とは、「新技法」という意味で、14世紀に書かれた新しいリズムの分割法と記譜法を論じた音楽理論書「Ars nova」に由来します。これによって高度なリズム技法が発達し、それに伴い記譜法の改良が進みました。


本編では「霧の艦隊」東洋方面第1巡航艦隊旗艦の大戦艦コンゴウがラスボス的な位置づけになっていましたが、さらにその上には総旗艦艦隊というものが存在し、アニメには登場しませんでしたが、超戦艦ヤマトが総旗艦なのだそうです。

EDに登場する“-Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going?-”、つまり何処から来た何者なのか、そして何処へ向かうのかという疑問は、全ての「霧」が抱えている疑問のようです。残念ながらアニメ本編では一切解明されませんでしたが。

2015年には芸常磐アニメが2本作られており、第1作「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- DC(ディレクターズカット)」は、テレビシリーズの再構成分に、新規映像を加えた物で、第2作「劇場版 蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ- Cadenza」は、完全新作として公開され、アニメオリジナルのストーリーは、本作で一応の完結をみているそうです。いずれ見たいですね。

私が一番好きなキャラは、重巡洋艦タカオです。イ401の超重力砲に敗北を喫しましたが、直撃を敢えて避けた群像に強い興味を抱き、「霧」の指揮系統から独断で出奔し、“一宿一飯の恩”という名目で「蒼き鋼」に加わります。

ヒュウガ曰く「乙女プラグイン」なるものを実装済みだそうで、群像に対して抱いているのはほぼ恋心そのものです。イオナには「ツンデレ重巡」と言われています。撃沈されたイ401を一人で必死に探し続け、発見した後は自身のナノマテリアルをすべて使い、自身を犠牲にしてイ401を復活させました。ユニオンコアは無事だったので、戦いが終わった後にメンタルモデルは修復されていました。



タカオはしばしば群像を自身の艦長に迎える嬉し恥ずかしい妄想に浸っていますが、勝ち気な性格が災いし、群像の前では全く素直になれません。流石ツンデレ。でも心酔した相手に対する義理堅さと忠義心は本物で、コロコロ変えるファッションといい、もはや精神的には人間そのものに近いんじゃないかなと思います。タカオについてはいずれ好きなアニメキャラで取り上げましょう。


「艦これ」とは、どちらも過去の艦船をモデルとしていることや、メンタルモデルと艦娘が似ていることなどから親和性が高く、それ故に「艦これ」で「迎撃! 霧の艦隊」というゲームイベントが開催されました。「霧」が敵として登場しますが、イオナとタカオ、ハルナは味方になります。しかし「艦これ」の艦娘達は基本第二次大戦時の武装のみなのですが、バランスは大丈夫だったんでしょうかね。

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