ガリレオの苦悩:再び警察に協力するガリレオシリーズ第四弾

いやいや、前からそうじゃないかとは思っていましたが、やはり筋金入りのバカでしたね、石○純○。勝手に都知事選出場を表明したのはまだしも、何の根回しもなく「野党四党の藤一候補」なんて条件付けたりして。しかも出演番組やCMが激減する怖れというカネの問題で勝手に撤退。猪○、舛○と「政治とカネ」の問題で都知事を辞任しましたが、石○はある意味「カネ」オンリーで出馬を断念したという。いっそ選挙公約を「不倫を文化にする」とかにしてくれたら、イロモノの泡沫候補としては面白かったのに。

こういうバカは放置プレイにしておいて、本日は東野圭吾の「ガリレオの苦悩」を紹介します。ガリレオこと帝都大学准教授湯川学が探偵を務めるシリーズとしては、「探偵ガリレオ」「予知夢」「容疑者Xの献身」に続く第四弾です。

「ガリレオの苦悩」は2008年10月23日に文藝春秋社から単行本が刊行され、2011年10月7日に単行本が文春文庫から刊行されました。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。
“悪魔の手”と名のる人物から、警視庁に送りつけられた怪文書。そこには、連続殺人の犯行予告と、帝都大学准教授・湯川学を名指して挑発する文面が記されていた。湯川を標的とする犯人の狙いは何か?常識を超えた恐るべき殺人方法とは?邪悪な犯罪者と天才物理学者の対決を圧倒的スケールで描く、大人気シリーズ第四弾。

「容疑者Xの献身」で大学時代の友人と“対決”することになってしまった湯川は、警察に協力することを拒否していましたが、新顔の若き女刑事内海薫の登場により、再び犯罪捜査に協力することになります。この内海薫、2007年のテレビシリーズや2008年10月4日に公開された映画版「容疑者Xの献身」に登場しており、柴崎コウが演じていましたが、原作では「容疑者Xの献身」まで登場せず、本作で初登場します。

テレビドラマ化にあたって「湯川のパートナーに女性のオリジナルキャラクターを使いたい」という製作者側の要望に東野が「先に自分がその人物を小説に登場させ、その人物の名前を使用する」という条件で快諾し、続編である本書収録の「落下る(おちる)」(初出:「オール読物」2006年9月号)から登場するようになりました。美貌の女刑事は絵になるからなあ(美貌なら女教師でも看護婦でもスッチーでも絵になりますけどNE!!)。
「ガリレオの苦悩」には短編5編が収録されています。まずは「落下る(おちる)」。マンションから女性が転落死する事件が発生。自殺かと思われましたが、鍋で殴られた痕跡があったことから他殺の可能性が浮上します。事件直前に被害者宅を訪れた岡崎が容疑者に浮上しますが、しっかりしたアリバイがありました。女刑事内海薫は女性ならではの視点から、岡崎が被害者と恋愛関係にあったのでは疑念を向けますが、殺害方法が解りません。薫は以前捜査協力をしていた湯川に協力を仰ぐことにしますが、湯川は協力を頑なに拒みます。しかし薫がトリックに関する独自の仮説を述べたところ、湯川に「価値の無い実験は無い」と言われ、自説の検証に挑んでいくことになります。

なんだかんだ胃って実験とか実証とかいう言葉に目がない湯川でした。薫という女刑事も結構湯川の気を惹いたんじゃないかとも思いますが。探偵という奴は謎解きからは離れられない宿命なんでしょう。

次は「操縦る(あやつる)」。湯川の恩師・友永は脳梗塞で倒れて半身が不自由な身です。彼には若い頃に別居した妻子がいましたが、妻が死んでやってきた息子はクズ野郎に成り下がっており、借金を押しつけたり離れに住み込んだりやりたい放題。ある日湯川達教え子を呼んで(湯川は遅刻)自宅で酒宴を開いていると、離れ家から炎が上がり、焼け跡からはクズ息子の遺体が。警察は火事による焼死と見立てますが、遺体の状態から刺殺であることが判明します。離れ家は密室で凶器も見つかりません。事件発生後にやって来た湯川は、偶然事件に巻き込まれた形になりましたが、事件の真相を追うにつれ、意外な真実を知ることになります。

感想を一言で言えば「認めたくないものだな、自分自身の、若さ故の過ちというものを…」(Byシャア)。早くに結婚して後悔するのと、遅くまで結婚しないで後悔するのとではどちらが重いのか。ネタバレをすると犯人は友永なんですが、本筋は犯行のトリックではなく、彼の真意にありました。そこで「操縦る(あやつる)」が生きてくるのです。
「密室る(とじる)」。湯川は、ペンションを経営する友人の藤村からある、密室の謎の解明を依頼されます。藤村のペンションの客が崖から転落死するという事件があったのですが、事件の前、藤村が被害者の部屋を訪れると応答が無く、内側にドアチェーンが掛かり、窓からも鍵が掛かっていました。2度目に呼んだときには中に被害者がいる気配がしましたが、その後、他の客から窓が開いているという話を聞いたときには被害者は失踪し転落死していました。藤村は、最初に呼びかけた時には密室状態だった部屋の中にいなかったはずの被害者が、2度目の呼びかけた時に部屋にいたという謎が気に掛かっていたのでした。

湯川は謎を解明するため周囲への聞き込みを開始しますが、なぜか藤村は事件前の周囲の状況を詳しく知ろうとする湯川の詮索を嫌い、最終的に調査を断ってしまいます。しかし、その次の日には湯川は事件の裏にある一つの結論を発見し、藤村に告げることになります。
殺人は許されないという倫理観が立派と言えば立派です。私なんかだと、黙っていればばれないので、犯人には真実を知っていることだけを告げて一緒に黙ってようと提案しちゃいそうですが。もう一つの問題として、その人の「過去」もひっくるめて愛せるかどうかということがありますが。
「指標す(しめす)」。老女が何者かに殺され、その家から金の地金10㎏が盗まれる事件が発生します。また事件当時被害者が飼っていた番犬が行方不明になっていました。犯行当日に被害者宅を訪ねた保険外交員の真瀬貴美子に嫌疑が掛かりますが、証拠は見つからず捜査は難航します。真瀬家の張り込んでいた薫は貴美子の娘・葉月が一人で家を出るところを見かけ、後を付けると、洗濯機に捨てられていた被害者の犬の死骸を発見します。葉月は日常的に水晶の振り子でダウジングを行っており、その日もダウジングで犬の居場所を突き止めたと主張します。葉月の証言の対応に困った薫が湯川に相談を持ちかけると、真偽を確かめるため葉月と対面したいと言います。

ダウジング試験装置を用意していた湯川ですが、葉月を対話した後、装置を使用することもなくそのまま帰してしまいました。「神秘的なものを否定するのが科学の目的じゃない。彼女は振り子によって、自分の自身の心と対話をしている。迷いを振り切り、決断する手段として使っているにすぎない。振り子を動かしているのは彼女自身の良心だ。自分の良心が何を目指すのかを示す道具があるのなら、それは幸せなことだ。我々が口出しすべきことじゃない」という湯川の言葉が心を打ちます。あと葉月ちゃん、いい子や~。
最後の「攪乱す(みだす)」。これが内容紹介で語られている話です。「悪魔の手」を名乗り、自分の意思で自在に人を葬ることができるという犯罪者は、なぜか湯川に怨恨を抱いているようでした。罪のない人間を殺し、遊園地の閉園やコンサートの中止などを要求する「悪魔の手」。打つ手のない状況に困り果てる警察ですが、湯川の推理と薫の執念が犯人のトリックのわずかな綻びからその真実を暴いていきます。

「悪魔の手」の怨恨ですが、彼が論文を発表した際、湯川が行った質問が原因でした。実は湯川自身質問をしたこと自体を忘れていたほどの話でしたが、彼にとってはそれから自分の未来の扉は閉ざされ、何もかも上手くいかなくなったらしいです。何でもかんでも湯川のせいにするその精神的未熟者はまさに「理系バカ」というしかないのですが、“人は見たい現実だけを見る”といいますが、ここまで自己中心的な見方をしていてよく現実社会を生きてきたなあと思います。

実はどの作品もフジテレビ系テレビドラマ「ガリレオ」と特別編「ガリレオΦ」で映像化されているんですね。全部見ていないのですが。薫のキャラはテレビドラマと原作では全然違うそうです。確かに柴崎コウという雰囲気じゃないですね。私の趣味丸出しのイメージでは高梨臨あたり。可愛すぎますか?
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