人類は衰退しました 4:アニメ1~2話と9話の原作収録という豪華回

関東甲信越は昨日梅雨入りしたそうです。そんな訳で天気予報によると10日(金曜日)以外は今週どんよりないしシトシトらしいです。まあ雨も降ってくれないと困りますからね。北海道は梅雨がないといいますが、ぐずついた肌寒い天気が2週間程度、本州の梅雨と同じ時期に続くことがあり、「蝦夷梅雨」と呼ばれ
たりします。

本日は読了したばかりの「人類は衰退しました 4」を紹介しましょう。内容は「妖精さんの、ひみつのこうじょう」と「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」です。2012年にアニメ化された際は、「妖精さんの、ひみつのこうじょう」が第1話と第2話、「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」が第9話としてサブタイトルそのままに放映されました。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

わたしたち人類がゆるやかな衰退を迎えて、はや数世紀。すでに地球は“妖精さん”のものだったりします。そんな妖精さんと人間との間を取り持つのが、国際公務員の“調停官”であるわたしのお仕事。里の娘さんがたからは、先生と呼ばれたりもしてます(恥ずい)。「妖精社」製の妙な品々が里に出回るのと前後して、走るチキンを目撃してしまったわたしは、祖父と助手さんとともに「妖精社」の工場視察に向かったのですが…。数か月でクスノキの里を、世界一の妖精人口過密地帯にしてしまったわたしの出張報告とともに、クニクニどうぞ。

いい年をこいてしまうと、ラノベは読むのがこっぱずかしいです。ブックカバーで隠しても、自分で自分が恥ずかしいことばかりはどうにもなりません。特に中二病系とハーレム系は、ラノベらしい性質であるとはいえ、往々にして両方具備していることもあって、とても原作には手を出せません。不思議にアニメなら平気で見られるんですがね。

「人類は衰退しました」もガガガ文庫だし、口絵や本編にもイラスト満載だしで、どこに出しても恥ずかしくないラノベなんですが、本作は不思議に恥ずかしくなく読めますね。アニメが面白かったし好きだったということもあるんですが、ラノベでありながら中二病系とハーレム系でもなく、ファンタジックなSFテイストというのがいいのでしょうか。読んでいると脳内で中原麻衣演じるマイちゃんボイスが再生されるところも素敵ですしね。

まずは「妖精さんの、ひみつのこうじょう」。前回、パイオニアとボイジャーを助けるためとはいえ、図らずも旧人類のあらゆる方面の全情報を集積し、大容量記憶装置内蔵モニュメントに保管するという“ヒト・モニュメント計画”を妨害してしまったマイちゃんは、身体の一部欠損という過酷な刑を受けたのでした。まあ断髪なんで肉体的には痛くもかゆくもないのですが、心は大いに傷付いたマイちゃん。顔は同じなんですが、完全に「見ないでモード」です。

折しもクスノキの里は食糧難に。野郎共はいそいそと鉄砲を持って猪狩りに出かけ、女性陣には鶏を絞めることを要求します。しかし、よりにもよって集まったのは妙齢のお嬢さん達ばかり。絞めるどころか、全部逃がしてしまったりして。

ま、野郎共も収穫ゼロだったので責任問題は上手く相殺しましたが、なにしろ食糧難なので妖精さんにお菓子も作って上げられないマイちゃん。食料はいらないけどお菓子は大好き、しかも自分達でもどうしても作れないという妖精さん達には、クスノキの里の食糧難を解決する理由ができた訳ですな。

翌日、なぜかお店の棚になぞの食品が置かれているという事態に。これは絶対妖精さんの仕業に違いないということで、マイちゃんの出番と相成りました。持って帰って調査(という名の試食)を行うマイちゃんですが、中に毛色の違う一品が。


「頭髪カンブリア爆発」というコピーが凄いですね。妖精社の育毛剤、ベリーショートの髪をやたら気にしているマイちゃんがトライしないではいられないでしょう。

このマイちゃんのいつにない真剣な目を見よ。そして一晩明けたら…

まあ、なんということでしょう。あれほど短く切られてしまったマイちゃんの髪が、匠の手によって完全に元通りです。長さまで再現するなんてどういう仕組みなんでしょうか。

鶏捕獲作戦は再開されましたが、なんと首なしの加工済みキチンが徘徊するという怪奇現象に遭遇します。ここまで世間を騒がせると、妖精社の査察をしないわけにはいきません。

妖精社は妖精さんがわらわらいる…と思いきや、普通のおっさんが受付をやっていました。あとは自動機械ばかりです。

パン工場では謎のゆるキャラ「一斤さん」登場。トンチが効くのかなと思いきや…


ぜひ試食してくれとまさかのスーサイド!食パンなのになぜ血が!?実はキャロットミックス果汁入りだったそうですが、喰えるか!!

そうこうしている内に祖父とも助手さんともはぐれてしまったマイちゃん。工場の奥で出会ったのは“ヒト・モニュメント計画”推進役のユネスコ文化局長でした。妖精社の工場長をやっているらしいですが、局長の仕事はどーしたッ

局長はあっさり落とし穴に落ちてしまったので、一人禁断の会議室に辿り着くマイちゃん。中にいたものは…

き、キモイ!!加工済みチキンがソファにふんぞり返っていました。

知性を持った加工済みチキン達。地球の支配者たらんとしています。マイちゃんを檻に閉じ込めて、「どこか知らない地方にでも出荷してくれる!」とのたまう加工済みチキン。なおマイちゃんの眼鏡は妖精さん謹製の通訳眼鏡。加工済みチキンはぶるぶる震えているばかりでコミュニケーションできないので、それを字幕に翻訳してくれ、さらにはこちらの言葉も翻訳してくれるという。

そこへやってきた助手さん、撮影すると銃声のような音を出すカメラで加工済みチキンを追い回します。知性はあっても所詮チキン野郎(笑)なので、ひたすら逃げる加工済みチキン達。

崖に追い詰められてガクブル状態の加工済みチキン。こいつらに食われるよりはと、全員でバンザイクリフしちゃいました。

ここで話は戻りますが、鶏を絞めようとする騒ぎの際に、一人だけ見窄らしい姿の女の子がいました。彼女の名はツギハギさん。クスノキの里のはずれの救貧院で育てられてきましたが、養い親だった牧師と家畜を相次いで亡くしてしまい、食料入手のためにそれまでほぼ没交渉だったクスノキの里に働きに出てきたのでした。得意なのは“良くなかった探し”。ね、ネガティブじゃのう。

鶏も捕まえられず、今夜も雑草スープの救貧院。そこらへんの草でも食わせておけ!ってことですか?それじゃあこの子達は埼玉県民…


そこへ降ってきたのは加工済みチキン。棚からぼた餅といいますが、崖からチキン。もういきなりゆでても焼いてもオッケーという便利さ。

“良くなかった探し”も忘れて満面の笑みのツギハギさんでした。この日以来、ツギハギさん達が飢えると、時折加工済みチキンが現れるようななったとか。奇跡も魔法もあるんだよ!

続いて「妖精さんの、ひょうりゅうせいかつ」。マイちゃんが妖精さんと仲良くなってお菓子をあげまくるせいか、クスノキの里周辺の妖精密度は異常なほどになってしまいました。過密によるストレスが妖精さんにもあるのか、陰湿なイジメ事件まで発生。「おめーの席ねーです!」…「ライフ」かよ。多分妖精さんたち的にはこれも「ごっこ遊び」なんでしょうが、旧人類が既に覚えていないネタをどっから拾ってくるのか。

そしていじめられた妖精さんが「ちょくそ(直訴)」をマイちゃんに。亡命したいのだそうです。クスノキの里の妖精過密もなんとかしなければならないので、妖精過疎地に「出張」を命じられるマイちゃん。期間不明の出張は、放逐と変わらない気がしますな。

湖のほとりの妖精過疎地は人間過疎地でもありましたが、桟橋が壊れて小島に流されてしまったマイちゃん。またまたサバイバルか。でも今回は妖精さんが8体もいるから前回ほどシビアにはならないはず…

ということで、妖精さんと国作り。「じょおーさま」に祭り上げられるマイちゃんですが、楽しいせいか妖精さんも増えてきました。


ということで、ノリノリになった妖精さんのおかげで孤島のロビンソンクルーソー生活は一気にゴージャスに。家は建つ、ベッドはできる、寝間着やドレスも献上される。

そればかりか、水洗トイレや電力供給によりお風呂もあったりして。妖精さん大量増員により、マイちゃん側近の妖精さんもたくさん登場。朝食もやたら豪華です。素材がなんだかよく分からないところがちょっと怖いですが、味はそのものなんだそうです。

女王様としてのマイちゃんの仕事は、午後のティータイムにお菓子を供給すること。なにしろ8000人にまでふくれあがった妖精人公なので、大変な作業になってます。

支持率100パーセントの女王様。さらに快適な生活を。立てよ国民!ジークマイちゃん!!

しかーし。マイちゃん女王国の全盛期は長くは続きませんでした。妖精さんの暇つぶしで巨大モニュメントが次々と作られた結果、島の木が固結してしまったのです。さらには肥料なしでの作物の連作により地力も低下し、食料も電力も賄えなくなってしまいます。

かろうじて島から脱出したマイちゃん。女王国の栄華ははかないものでした。8000人いた妖精さんたちは1000人弱になってしまいましたが、死んだわけではなく消えてしまったらしいです。楽しいと増えるし楽しくないと減るという奇々怪々な妖精さんたちの生態は、ほぼ不明のままのようです。ま、彼らといれば何があっても死なないという安心感はありますが。

実はアニメで一番好きな回だったんですよね。藤子不二雄F的なノリもあって、テンポも良かったです。4巻はお得ですよ。アニメ3話分、つまり1/4を1巻で網羅できるんですから。

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