記憶に残る一言(その65):ミッキーのセリフ(THE3名様)

どうもどうも、野暮用にてご無沙汰しました。5月だというのに結構暑い日が続いているので、水着のお姉ちゃんの画像を用意していたら、今日は雨でちょっと肌寒いくらいでした。でもせっかくだから使っちゃいます。この人達全員中国人ですが、水着の若い女性が嫌いなオノコがいるかしら?

本日は記憶に残る一言です。石原まこちんの「THE3名様」から紹介したいと思います。石原まこちんは本名石原誠。1976年生まれで大田区田園調布出身(んまー!)です。

高校卒業後、就職した会社を3日で辞め、漫画家になるまではほぼフリーター・ニート生活だったそうです。その自身の体験が作品に反映されており、若者や中年、カップルなどに漂う独特の緩い空気感を軽妙な間と台詞回しで描き出す作風が特色となっています。

代表作「THE3名様」は、2000年から2007年にかけて小学館の週刊漫画雑誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載されました。単行本は全10巻ですが、3巻以降は「和風おろしハンバーグの章」など、ファミレスのメニュー風の名称を採用しているので、何巻目か非常にわかりにくくなっています。

内容については作者自らこのように説明しておりますが、毎週4ページで1話完結式でフリーターの3人組がファミリーレストラン・サニーデイでダラダラと緩い会話を繰り広げている深夜の日常を描いただけの作品です。

メインキャラはタイトルどおり3人で、上から説明しますと、「まっつん」は本名松田謙介。マイペースで無口だが呟く言葉には重みがあるそうです。当初は大人しい性格でしたが、回を追う毎に傍若無人な振る舞いをするようになりました。

「ミッキー」は本名森原幹夫。グループの自称リーダー格で、社会情勢を斬ってみせたり、スケールの大きさを豪語していますが、要するに「口だけ」男です。

「ふとし」は本名木村卓也。なぜ仇名が「キムタク」にならないんだと思いますが、このルックスじゃあなあ(笑)。グループで誕生日が一番早いのですが、一番下の扱いを受けています。ファミレスではいつもフライドポテトを注文しています。

なお、3人の詳細な設定はかなりいい加減で、話によって誕生日が違っていたり、過去や生い立ちが矛盾している時が多々あるそうです。そーね、設定もゆーるいのねー。

2005年にはオリジナルDVDとして実写シリーズ化されています。「まっつん」は岡田義徳、「ミッキー」は塚本高史、そして「ふとし」は「ジャンボ」に改名され、佐藤隆太が演じました。この顔ぶれは「木更津キャッツアイ」とか「ROOKERS」と同じですね。

で、記憶に残る一言は、一番有名であろうこのミッキーのセリフです。合いの手を入れているのは「まっつん」です。この大物ぶっていながら何の内容もない大言壮語、これがいかにもフリーター・ニートですね。「THE3名様」は、石原まこちんが友人たちとファミリーレストランに集っていた実体験を基にしているということなので、きっと誰かが言ったのでしょうね。作者本人だったりして。

特にこのセリフが有名になったのは、2006年に、「他人を見下す若者たち」(速水敏彦著・講談社現代新書)の帯に使用されて話題になったことによります。実は未読なんですが、Amazonの内容紹介によれば、

「自分以外はバカ」の時代!
●自分に甘く、他人に厳しい
●すぐにいらつき、キレる
●「悪い」と思っても謝らない
●泣けるドラマや小説は大好き
●無気力、鬱になりやすい
若者の感情とやる気が変化している!

現代人は自分の体面を保つために、周囲の見知らぬ他者の能力や実力を、いとも簡単に否定する。世間の連中はつまらない奴らだ、とるに足らぬ奴らだという感覚を、いつのまにか自分の身に染み込ませているように思われる。……このように若者を中心として、現代人の多くが他者を否定したり軽視することで、無意識的に自分の価値や能力を保持したり、高めようとしている――

というような内容だそうです。著者の速水敏彦は1947年生まれで愛知県出身。名古屋大学大学院教育発達科学研究科教授で専門は教育心理学です。Amazonのレビューを見るとあまり評価は高くないようです。タイトルはいいのですが、主観を書き綴っているだけで、30年前の論評と全く変わっていないとか。

話を「THE3名様」に戻しますが、「ビッグコミックスピリッツ」誌に急遽穴があき、それを埋めるべく編集部から石原まこちんに声がかかったという制作秘話があります。意気揚々と「THE3名様」を編集会議に出したところ、一読した編集長に「で、結局これの何が面白いの?」と言われたのだとか。

「ま、いちかばちか載せてみるか」ということになって連載開始となりましたが、「ニート漫画の金字塔」とか「裏癒し系」といった評判を取り、結構な人気を博してしまったんですね。

このセリフ、やはり「しょうがねえなミッキー」と生暖かい目で見つめたくなりますが、最近の(といっても10年は昔の作品ですが)若者特有の言動というよりは、そういうことをほざいている若者はいつの世にもいるんじゃないかと思われます。私の若い頃にもいましたよ、確か。
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