好きな声優さん第四期(その13):水谷優子~早すぎる逝去にただ合掌

五月といえばマイバウム。これはドイツ語で「五月の木」という意味です。その名の通り5月に立てられ、綺麗に飾られて春の到来を喜ぶ祭り(五月祭)に使われます。冬の厳しい国や地域では春を迎える喜びもひとしおなんですよね。札幌の大通公園にも姉妹都市であるミュンヘンから贈られたマイバウムが一年中立っています。実はこれ、ミュンヘンから贈られた初代は老朽化により撤去されていて、現在のは二代目にして国産です。

さて、本当に久しぶりに「好きな声優さん」です。昨年10月8日の水瀬いのり以来なので、7か月ぶり。そして第四期も13人が揃って終了な訳ですが……こういう形になるとは思いもしませんでした。本日は5月17日に亡くなったことが今日報じられた水谷優子です。

水谷優子は1964年11月4日生れで愛知県海部郡出身。本名は西久保優子で、夫はアニメ監督の西久保瑞穂です。「みゆき」「デジタル・デビル物語 女神転生」「電影少女」、さらにヤルドラシリーズの監督などで知られます。

1985年に声優デビューして、30年以上のキャリアを誇るベテラン声優です。代表作としては…

① 25年以上演じた「ちびまる子ちゃん」のお姉ちゃんこと、さくらさきこ

② 初主演作となった「エースをねらえ!2」のヒロイン・岡ひろみ

③ 手塚治虫の名作「ブラックジャック」の名脇役・ピノコ

③ ミニーマウスの日本語吹き替え
……などが挙げられるでしょう。デビュー作は1985年の「機動戦士Zガンダム」。演技に入り込む性格で、アフレコの際に台詞と同時に体を動かしてNGを出したり、挙句の果てには隣の声優を殴ってしまうこともあったそうです。そのため、「アクション声優」という仇名もついたりして。

なにしろ芸歴30年以上なので出演作はあまりにも多いのですが、ここは一つ私の個人的独断と偏見で、水谷優子の演じたキャラを紹介したいと思います。
サラ・ザビアロフ(機動戦士Ζガンダム:1985年)

水谷優子がのデビュー作である「機動戦士Zガンダム」で初めて演じた名前付きのキャラです。敵役である「ティターンズ」のモビルスーツパイロットで、階級は曹長。まだ十代の幼い少女で、途中で出会ったカツ・コバヤシ(カツ・レツ・キッカのあのカツ)から好意を寄せられますが、本人はパプテマス・シロッコに心酔しており、恋愛感情にも似た思いを持っていました。ハマーン・カーンと戦闘中のシロッコを狙って乱入してきたカツの攻撃からシロッコを庇って絶命するという悲劇的な死を遂げました。

モビルスーツは何種類か乗りましたが、事実上サラ専用機となったのは、PMX-002 ボリノーク・サマーン。シロッコお手製で、高濃度ミノフスキー粒子領域内での偵察・索敵に特化された機体でした。名前が「森のくまさん」に似ていますが、何のことはない、ズングリした熊のような機体とパイロットが女の子であることから、童謡「森のくまさん」からもじって「ボリノーク・サマーン」と命名したのだそうです。
レイナ・ストール(マシンロボ クロノスの大逆襲:1986年)

実はこの作品は見ておらず、スーパーロボット大戦シリーズで知りました。レイナは主人公ロムの妹で、話数が進むにつれスタッフに愛されて魅力が増大していった結果、「アニメディア」誌の年間グランプリ部門別で3年連続読者投票で首位に選出されたり、「ニュータイプ」誌にレイナが登場する連載コーナーが設けられるなど強い支持を集めました。

さらにはレイナを主役とした続編OVA「レイナ剣狼伝説」など、レイナを主役とした作品群が作られるようになりました。レイナ役の熱演により、水谷優子は声優として注目されるようになりました。
田町ひろみ(同級生:1995年)

PCエンジン用恋愛SLG「同級生」の攻略ヒロインの一人です。主人公の先輩で、近所にある「藤田製作所」のOLです。明朗快活な性格ですが、かつてはコスプレイヤーかつオタクであり、やはりオタクの冬彦と付き合っていたことにコンプレックスを感じています。一般的なカップルのように白昼堂々とデートすることに憧れています。20歳にしては幼い言葉遣いが特徴。
プリンセス・ミラージュ(銀河お嬢様伝説ユナ2 永遠のプリンセス)

藤島康介デザイン。全長12kmの巨大戦艦「永遠のプリンセス」号のメインコンピュータで、同艦の艦長でもあります。古い銀河文明によって、戦争抑止のために生み出されましたが、当の文明自身が戦争によって滅亡してしまったため、銀河をさまよいながら「悪」を見つけては惑星ごと破壊して回っていました。地球破壊のためにやってきましたが、ユナ達の活躍によって阻止され、ユナの心に触れたことで友達となりました。
ソフィア(ラングリッサーⅢ:1996年)

光の大神殿の大司教の娘で、16歳ながらルシリス・ゲートの南門を守護しています。田町ひろみとは対象的に、年齢にしては大人びてます。混乱に乗じた原住民シカ族の襲撃で捕らえられ、儀式の生贄にされかかったところを主人公ディハルトに救われました。聖剣ラングリッサーと魔剣アルハザードを封印・解放できる唯一の存在です。固有エンドのあるヒロインの一人。

この世界では、敵となる混沌の神カオスは、そのルックスといい、魔族に信仰されていることといい、邪悪な神と考えられがちですが、進化が停滞した時にそれを変化させようとする存在で、本質的には善でも悪でもありません。ということは、対になる存在である秩序を司る光の女神ルシリスも本質的には善でも悪でもないはずなんですが…作中はどうみても善なる存在ですね。光の巫女はなぜか歴代へそ出しで露出高めの衣装なんですが、その創始者がソフィアなのかも知れません。
プリン/プリシラ(EVE burst error:1997年)

左目が青、右目が金であるオッドアイを持つ敬虔なイスラム教徒の少女です。家事を得意としますが、明るく振舞いすぎて空回りしたり、時おり奇抜な行動をするなど、周囲を困惑させるも多かったのですが、その正体は、中東の小国エルディア共和国の前国王の姪で女王候補の王女でした。

王位を巡って暗殺の危険があったことから、あえて暗示をかけてもらい、プリシア王女の側近プリンいう人格で行動していました。晴れて女王即位後は責務と自覚をはっきりと持ち、国内外で政治的手腕を評価されています。
スー・グラフトン(みつめてナイト:1998年)

アメリカの女流推理作家と同姓同名のパン屋の一人娘で、22歳→24歳。ルックスは悪くないのですが、とにかく強い結婚願望を持っています。相思相愛な両親を見て育ったためなんですが、年齢もヒロイン中では比較的高めのせいか、やたら結婚結婚言うので相手をドン引かせてしまう模様。性格はお天気屋でワガママで、主人公のような年下はあまり好きではないそうですが、好感度が上がってくると「年下の癖に」と言いつつも惚れ込んできます。

この人の告白シーンは鬼気迫るものがあり、恋愛SLGでは珍しいほど女性としての「欲」の部分を強く打ち出し、製作者をして「殺したくなる」と言わしめたほどですが、その存在感は水谷優子の演技の賜物でしょう。

いやあ、水谷さんには90年代のゲームシーンで大変お世話になっていましたね。声優業と並行してナレーションも務めるほか、女優として舞台やドラマに顔出したり、個人名義での楽曲を複数リリースするなど、声優ブームの牽引する一人でもありました。「ちびまる子」ちゃんの最終アフレコは4月22日に行っており、5月29日の放送回分まで収録されているのだそうです。死の間際まであなたは声優だったんですね。

第四期の13人衆は、種田梨沙・佐倉綾音・坂本真綾・内田真礼・田中敦子・伊藤かな恵・福原香織・銀河万丈・戸田恵子・赤﨑千夏・上坂すみれ・水瀬いのり・水谷優子という顔ぶれになりました。男性もおりーの、若手もおりーの、ベテランもおりーのと、実にバラエティに富んだ布陣ですね。次回からは第五期ですが、相変わらず不定期連載となるでしょう。まあ一人目は決めているんですけど。

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