北海道名物!(その20):北の銘酒群+α

今日は春分の日。もはや冬将軍の退勢は覆うべくもないのですが、激しく雪を降りしきらせたりして、最後の抵抗を試みているようです。「アルデンヌ攻勢」は止めて欲しいものです。春のお彼岸といえばぼたもちですが、なぜかマツキヨで安かったアルフォートを買ってしまいました。

20年以上前から発売されているのでさすがに存在は知っていたのですが、実は食べたのは初めて。いい年になっても「初めて」の体験ってのは色んな所に転がっているものですね。にしても美味しいですねこれは。「きのこたけのこ戦争」なんていって、きのこの山陣営とたけのこの里陣営との間で日本国最大級の内戦が繰り広げられていますが、みんなアルフォートを食べればいいじゃない。

さて前回の「北海道名物!」では至高のビール、サッポロクラシックを紹介しましたが、北海道の酒はもちろんそれだけではありません。とはいえ全部を紹介するわけにもいかないので、私が飲んだ北海道の銘酒をご紹介したいと思います。
① 男山(男山株式会社)

旭川の酒造メーカーで知名度は抜群に高いです。全国各地「男山」を名乗る酒は数多いですが、旭川の「男山」が本家という事実。酒造には大雪山の伏流水を使用しています。元は江戸時代前期に京都の石清水八幡宮がある男山から名をとった伊丹の酒造家で、赤穂浪士が討ち入りの後に酌み交わしたとされ、江戸幕府からは徳川将軍家御膳酒に指定されていました。

その後灘・伏見の酒に人気が移り、明治の初めに元祖である伊丹の男山は廃業することになりましたが、その際に「男山」のブランドを切り売りすることになり、全国に「男山」を名乗る蔵元ができました。男山株式会社が製造しているのは「北海男山」ですが、数多くの男山の中でも北海男山が正当な男山の末裔とされています。早くから輸出に力を入れており、「男山」は海外で最も有名な日本酒の銘柄となっています。
② 國稀(國稀酒造)

旭川の西にある増毛町の酒蔵で、現在、造り酒屋としては日本で最北に位置しています。創業は1882年で南部杜氏の流れを汲み、昔ながらの製法を守る蔵です。暑寒別岳山麓からの良質な天然水に拘った酒造りをしています。

主力商標は「國稀」と「北海鬼ころし」。「鬼ころし」ないし「鬼ごろし」は商標登録されていないために全国各地で使用されていますが、辛口な日本酒の代名詞で「鬼をも殺す程辛い」というたとえから生まれた名前だそうです。甘口全盛の時代には「辛口で雑味が多く良くない酒」というニュアンスがあったそうですが、今ではむしろ辛口の方が主流になっていますね。
③ 北の誉(北の誉酒造)

小樽の酒造メーカーで、1901年創業。焼酎で知られる合同酒精に、創立時から発起人として参加しており、資本関係を有していましたが、2007年に合同酒精をを母体とするオエノンホールディングスの子会社となりました。

創業以来小樽市で醸造を行っていましたが、2015年をもって醸造工場を廃止し、合同酒精旭川工場に一本化されています。なお本社は札幌市所在。
④ 千歳鶴(日本清酒)

遂に登場、札幌の地酒。1872年創業。札幌南部の緑豊かな山々を水源とする豊平川の伏流水を使用しています。郊外に広い工場を構えた方が生産効率やコスト面でメリットはあるにも関わらず、200万人都市・札幌の都心でが酒づくりを続けている理由は、豊平川の伏流水が北海道屈指の水質を誇るからだそうです。

当初は創成川のほとりで開拓使の役人ににごり酒を売って評判を得たそうです。売れ行き好調につき、数年後には清酒を作りはじめたということで、北海道の酒造業の先駆者と称されています。豊平川とか創成川とか、私の住まいのすぐそばの名称が出てくるとイマイチありがたみがなかったりしますが(笑)。
⑤ 金滴(金滴酒造)

キンテキと聞いて金的と変換してはいけません。札幌の東北にある新十津川町の酒造メーカーです。1906年創業。金滴はピンネシリ山から流れる砂金川の流れから命名されました。清酒の売れ行き不振により、2008年に札幌地裁に民事再生法の適用申請をしており、最盛期には約5億円あった売上が、07年には1億9800万円まで落込んでいました。

ちなみに新十津川町、名前は奈良県の十津川村に由来しており、1889年に起きた十津川大水害の被災民が入植して新十津川村と称したのが始まりです。この関係で十津川村とは同じ町(村)章を用いています。
⑥ 北の勝(碓氷勝三郎商店)

日本最東端(北方領土の話はさておき)の根室市の酒造メーカーです。創業は1887年で、法人格を持たない個人商店です。

根室市とその周辺の酒店では必ずといっていいほど「北の勝」が置かれており、地元に定着しています。全生産量の8割は、釧路・根室地区で消費されています。もちろん札幌でも飲めますが、道東で飲んだ方が気分が出ること請け合いです。毎年1月に限定発売される「搾りたて」は出荷本数が少なく入手困難な酒として全国の日本酒通に有名です。
⑦ 福司(福司酒造)

こちらも道東・釧路の地酒です。創業は1919年。太平洋戦争中には各酒造会社が国策による統廃合や原料不足による休業を余儀なくされる中、一度も休造することなく製造し続けた稀有な酒造メーカーです。

釧路唯一の酒蔵で、もちろん札幌でも飲めますが、やはり道東に行くと良く登場してくる酒です。
⑧ 長次郎

いきなり甲類焼酎に変わって恐縮ですが、個人的に一番お世話になっており、毎週愛飲しているセイコーマートのプライベートブランドの焼酎で、紙パックもありますが、4Lペットボトルで買うのが私のお約束。セイコーマートは「キレのよい長次郎は飲み飽きしない焼酎。すっきりした味わいが決め手。」とのたまっています。

正直甲類焼酎なんてどんな銘柄を選んでも大差ないのですが、長次郎を選ぶのはその安さから。セイコーマートでは当然他の甲類焼酎も売っていますが、200円くらい安いんですよね。もちろんそのまま飲んでは全然おいしくないので、ハイサワーのような割り用飲料は必須です。

以下は北海道とは無関係な余談ですが、4Lペットボトル入り焼酎&ウイスキーは貧乏な大酒飲み(私だよ!)が飲むものというイメージがあるらしく「手を出したら終わり」みたいに言われたりしますが、飲み過ぎに気をつければ経済的でお得だと思うのですがね。

そんな中見つけた色物焼酎。まずは「がぶがぶ君」。宮崎県の都城酒造が製造しています。酒を呷っている浪人のイラストが特徴ですが、“浪人の目がキマッている”“名前が凄すぎる”と日本全国で大人気。1.8リットル紙パックと5リットルペットボトルで販売されていますが、なんとこの製品、トホホなネーミングにも関わらず、実は麦麹が入っていて乙類焼酎なんです。すなわち長次郎のようなバリバリ甲類焼酎より高級品。

続いて「ガンバリマン」。これも都城酒造なんですが、何と言ってもラベルの能書きが凄いです。「後悔なんて時間の無駄だ 飲んで忘れろ!どんなに嫌でも明日はくるんだ!」……ブラック企業の社畜共への支給用なんでしょうかね。「明日の元気!」とも書いてありますが、切羽詰まったようなリーマンのイラストからは、“人生オワタ\(^o^)/”感が漂ってくるような。これも実は麦麹が入っていて乙類焼酎。

圧倒的ネーミングで焼酎無双をしている都城酒造ですが、なんと萌系にも手をだしています。萌系芋焼酎「萌酎あなたにひとめぼれ」と萌系梅酒「梅酒にひとめぼれ」。「あなたにひとめぼれ」は都城酒造の主力ブランドなんですが、ここのネーミングはとにかくスゲーですね。

「萌酎あなたにひとめぼれ」は「いっしょに飲んであげよっか!飲まなくてもいいのよ買ってくれたら…」とちょっとツンデレ風味。「梅酒にひとめぼれ」は「ドキドキしちゃうけど…こうめと一緒に遊んでくれますか?」とロリ指向でしょうか。米袋にも萌イラストがある昨今、登場するべくして登場しているとも言えるのでしょうが…。ま、「がぶがぶ君」や「ガンバリマン」よりはこっちの方がいいですね。

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