記憶に残る一言(その60):曽我笙子のセリフ(不良少女とよばれて)

今日はとっても暖かい札幌。コートなしで出勤しましたよ。最低気温は3℃で最高気温は8℃。「ゼロやマイナスじゃないのよ」と赤木リツコ博士のように言いたくなるところです(あ、これも記憶に残る一言だなあ)。朝はツルツル路面が超恐かったのですが、夕方にはだいぶ雪解けが進んできました。このまま雪がなくなってしまえばいいんですが。

本日は記憶に残る一言ですが、珍しくテレビドラマからのセリフを紹介したいと思います。名高き大映ドラマの一つ、「不良少女とよばれて」から主人公曽我笙子のセリフです。

「不良少女とよばれて」は、1984年4月17日から9月25日にかけて、TBS系列で放送されました。原作は舞楽者である原笙子の自伝的小説で、ある事情から非行を重ね不良のレッテルを貼られた少女が、一人の青年の愛によって立ち直り、舞楽への道を歩み出すまでを描いています。

主演はこれが連続ドラマ単独初主演(1983年の大映ドラマ「高校聖夫婦」は鶴見辰吾と共演でした)となる伊藤麻衣子(現:いとうまいこ)。伊藤麻衣子は1982年にミスマガジンコンテストの初代グランプリを受賞し、1983年に「微熱かナ」でアイドル歌手としてデビューしました。1982年組は小泉今日子、早見優、堀ちえみ、中森明菜、松本伊代など錚々たる顔ぶれが揃い、「花の82年組」と呼ばれましたが、83年組は突出したヒットを出したアイドルが存在せず、「不作の83年組」と呼ばれたものでした。

森尾由美、松本明子、武田久美子など、今でも芸能界で活躍するタレントもいることはいるんですが、なにしろ日本レコード大賞の最優秀新人賞が、「たのきんトリオ」で一番地味だった野村義男が率いるTHE GOOD-BYE(またの名を「ヨっちゃんBAND」)でしたからね。対抗馬だった横浜銀蠅のマスコット・岩井小百合は何処へ行ったんでしょう。


それはともかく、総じて不作だった83年組の伊藤麻衣子もレコードセールスはぱっとせず、早々に女優業への転進を図ります。それでも1987年までシングルをリリースしていたので、83年組の中では息の長いアイドルだったと言えるかも知れませんが。

「不良少女とよばれて」に主演するにあたり、伊藤麻衣子は「この役ができるなら、モヒカンでも坊主頭でもなんでもやります!」とプロデューサーに電話で直談判したそうですが、その時にはすでに別のアイドルの主演が決まっていたそうです。しかし、その氏名不詳のアイドルが急に「アイドル路線で行きたい」との理由でキャスティングを断ってきたということで、急遽ヒロイン役に決まったそうです。まさか裏で手を回して…ってそれじゃ大映ドラマのまんまですね。

「この物語は『不良少女とよばれて』の原作者で、現在民間舞楽界で活躍されている原笙子さんが、かつて青春時代に非行に走り、そして立ち直った貴重な体験をドラマ化したものである。」という芥川隆行のオープニングナレーションが流れ、共演は国広富之、伊藤かずえ、松村雄基ら。国広富之はともかく、伊藤かずえと松村雄基は当時の大映ドラマに欠かせない常連でしたね。

伊藤麻衣子演じる曽我笙子は、ママンの「あなたさえ生まれていなければ…」という一言からグレて非行に手を染め、「相模悪竜会」を結成し、様々な悪行を繰り返します。国広富之演じるエリート技官で舞楽師の久樹哲也は、不良姿の笙子と出逢ったのがきっかけで非行から立ち直らせようと懸命になりますが…

伊藤かずえ演じる長沢真琴は通称「モナリザ」で、後に相模愛育女子学園(女子少年院)内で笙子と争います。そして松村雄基演じる西村朝男は「東京流星会」の会長で、横浜進出を図って「相模悪竜会」と抗争を行っています。後に二人とも笙子の仲間になりますが…こうした設定だけでもうお腹いっぱいな気がしますね。

第一話「ヨコハマ・センセーション」では、ヒロイン笙子と哲也の出会いが描かれますが、ぶっ飛びシナリオの数々は大映ドラマだからまあいいとして、 笙子達「相模悪竜会」が暴力沙汰を起こしているところに出くわした哲也、思わず止めに入るのですが、その時の笙子のセリフが今回の記憶に残る一言です。

なんと「フクロにしな!」その後哲也は第一話だけで、時間にして24時間以内に3回もフクロにされてしまいます。1回目と2回目は不良少女達にフクロにされた哲也ですが、3回目は相模悪竜会の野郎共にフクロにされてしまいます。

2回目までは「我々の業界ではご褒美です!」だったかも知れませんが、3回目はマイッチングだったろうなあ、哲也。しかし、自分のために3回も自己犠牲を払った哲也に対し、笙子は唐突に不良から足を洗うことを決意します。フクロになった甲斐があったなあ、哲也。


ただし相模悪竜会には笙子自身が定めたルール、「足を洗う時はフクロ叩きの洗礼を受けねばならない」と言う掟がありました。自らが決めたルールに従い、ボコボコにされる笙子。1回で済むなら哲也よりはましという気もしますが、とにかくフクロが好きな相模悪竜会なのでした。

あ、ちなみに「フクロにしな!」「フクロにしてやんな!」のフクロとは袋叩きのことです。決してエコバッグ持って行けということではありませんから。今風に言えば「フルボッコ」でしょうかね。「フルボッコにしてやんな!」とか言う笙子はちょっと可愛いような気がしますが。「フルボッコ」は「フルパワーでボッコボコ」の略らしいです。

これは実にいいフルボッコ。キュゥべえ「僕と契約して魔法少女になってよ!」まどか「フクロにしてやんな!」だったら面白かったですね。

なお笙子と哲也は色々あった挙げ句に結ばれる…という展開だったら良かったのですが、哲也は最終回でダイナマイトを仕掛けた車に閉じ込められ、爆破され死亡してしまうのでした。なんだこれは…たまげたなあ。テレビドラマの内容はかなり脚色され、原作とはかなりの隔たりがあったそうですが、そりゃそうでしょうよ(笑)。

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