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茉莉の結婚:仲良し四人組女子の「その後」を描く鬼才・松本隆の実験作

雪解け札幌20160219

 今日は最高気温6℃でコートを着る必要がない暖かさの札幌です。昨日今日で雪解けが一気に進んでいます。この夕方なんか小雨模様でしたが、気分は「春雨じゃ。濡れていこう」でした。カゼヒクゾ。

天気予報20160219

 このまま河川敷が歩けるくらいになればいいのにと思いますが…週間天気予報は、ずっと雪マーク。なんじゃこりゃあ!

ジーパン刑事のなんじゃこりゃあ!

 でも気温高めなのでそんなに積もらないんじゃないかなあと希望的観測。雪はもういいんじゃあ。さて本日は「妄想秒速」にしたかったけど出来なかった太田裕美の楽曲をご紹介しましょう。「茉莉の結婚」です。

昔の太田裕美20160219

 実はこの歌を聴いたのは比較的最近なんですよね。三十数年来のヒロミストなんで、にわかではなく浅薄と言って欲しい(誰に)。「茉莉の結婚」は、1978年12月5日リリースの9thアルバム「海が泣いている」に収録されています。

海が泣いている 20160219

 「海が泣いている」はロサンゼルスでレコーディングを行ったアルバムで、太田裕美の全アルバム中海外レコーディングは本作のみです。当時はロスでのレコーディングが流行していたようです。13rdシングル「振り向けばイエスタディ」も収録されています。私はこの歌が大好きでシングルも買いましたが、オリコン51位と振るいませんでした。この後は1980年にキリンオレンジエードのCMで使用された「南風 -SOUTH WIND-」で若干盛り返しますが、ヒット曲には恵まれないままに一時休業に入っていきます。

仲良し四人組

 「茉莉の結婚」は仲良し4人組の中でトップを切って結婚した「茉莉」の結婚式と、これに参加した残り3人がスピーチする模様を、名前不詳の「私」の視点で描いた作品です。何とか妄想の翼を広げて「秒速」に当てはめたかったのですが、明里、花苗、理紗では一人足りず…。 

結婚式その120160219

 4人目としては「コスモナウト」にちらっと登場する佐々木さん(貴樹と1、2位を争う優等生で、親しそうに話しているので花苗がちょっと気にしていたけど、塾の先生と付き合っていて眼中にはないそうな)、貴樹の大学時代の「過去の女性」2人、貴樹の東京の私立中学校時代の「先輩」くらいしかいないのですが、どれもこれもお互いに接点なさ過ぎるんですよね。そもそも明里、花苗、理紗の3人でも仲良しトリオの絵が頭の中で描けないです。

結婚式その220160219

 話を戻して、この仲良し4人組、一体どこで一緒だったのか。中学高校時代…というのが順当なんでしょうが、歌詞を見ると小夜子さんの部分に“グッチのバッグを粋に抱いてた”“男は毎日変えるのよって”といったフレーズがあり、JKではさすがに早すぎる気がします。

結婚式その320160219

 1978年はすなわち昭和53年。当時は短大でも出て丸の内OLを数年やって将来性のある男を捕まえて寿退職という流れにあまり疑問がない時代でした。そういう意味では短大生仲間ということでもいいのですが、やはり短大生には繭子さんの部分の“原書を斜めに読み飛ばしていた”“哀しいくらいに秀才だった”というフレーズに違和感が。

結婚式その420160219

 やはりここは四年生大学の仲良し4人組というのが順当なところかなと思います。あ、エスカレーター式で中高時代から仲が良かったということでももちろんいいのですが。

結婚式その520160219

 最初のスピーチは小夜子
 ちょっぴり翳のある小夜子
 あの頃名うてのおしゃれぐるいで
 グッチのバッグを粋に抱いていた
 男は毎日変えるのよって
 眩暈(めまい)がする程美しかった
 それなのに小夜子 笑わなくなったね
 逢えない二年に何があったの
 オルガンに導かれ 花嫁がやって来る
 おめでとう 茉莉
 羨やむ程今夜綺麗ね

結婚式その620160219

 二番目のスピーチは繭子
 眼鏡がよく似合う繭子
 哀しいくらいに秀才だった
 原書を斜めに読み飛ばしていた
 雑誌のページを抜け出たように
 女の生き方リブの走りね
 変わらずね繭子 今でも独身(ひとり)?
 心の裏では淋しいはずよ
 ケーキへとナイフ入れ 花嫁が微笑むの
 おめでとう 茉莉
 羨やむ程素敵な彼ね

結婚式その720160219

 最後のスピーチは私
 ちょっぴり皮肉言う私
 「どちらが最初に結婚するか
 競争しよう」って指切りしたのに
 人は流されて光と影に……
 私は今でも失恋上手
 仲良しの四人 あの頃の友情
 こんなに遠くに離れるなんて
 拍手へと囲まれて 花嫁が花を抱く
 おめでとう 茉莉
 羨やむほど倖せそうね

結婚式その820160219

 なにしろ40年近く前の歌なので、バリキャリで独身を通しているらしい繭子さんに対して“心の裏では淋しいはずよ”と言っている部分がちょっと古くさいなあとも思えますが、現代でも通じるように読み解くとするならば、これは“失恋上手”で同じく独身の「私」の個人的見解なんであって、繭子さんが自分自身の生き方をどう思っているかとは全く別な話であろるとも言えるでしょう。個人的見解ということならば、現代にあっても女性の幸せは絶対結婚!とか思っている人がいてもおかしくないですし、思っているのは故人の自由です。

結婚式その920160219

 笑わなくなったという小夜子さんにしても、その理由が彼女の生き方のせいなのか、別の要因があるのかは本当のところは判らずじまいです。「私」は色恋沙汰の末に色々あったんじゃないかと思っている気配がありますが、何しろ“失恋上手”が思っていることなので、実際はどうだかな、と「私」以上に皮肉っぽく思っちゃったりします。

結婚式その1020160219

 まあ「私」の見解では、結婚レース(レースしているという認識を四人とも持っていたかどうかは別にして)でトップ争いは茉莉か「私」で、小夜子は「男喰い」で、繭子は男と互して世の中を渡っていくことを志向していたので、二人とも結婚とは縁が薄いということだったのに、まんまと茉莉にしてやられたというところなんでしょうか。

結婚式その1120160219

 それにしても、そんなにたくさんの結婚式に出たわけではありませんが、新婦側で友人代表のスピーチが3人も連続で行われるもんでしょうかね?まあ寿退職している場合は職場の上司とか先輩を呼ばない可能性があるので、新郎側のスピーチが上司、先輩、友人ときた場合にバランスを取る必要上仲良し四人組の彼女達に頼む必要があったのかも知れませんが。

結婚式その1220160219

 歌詞が時間の流れに素直に沿っているとすると、小夜子のスピーチの後に花嫁登場なので、なんだよ茉莉は小夜子のスピーチを聞いてないのかよと思ってしまいますが、花嫁茉莉の行動の描写は、3人のスピーチと時間的にシンクロしている訳ではなく、スピーチ(小夜子→繭子→私)と花嫁の行動(入場→ケーキ入刀→花束贈呈)を順番的にシンクロさせているのだろうと思います。これも鬼才・松本隆の実験なんでしょうね。

結婚式その1320160219

 「私」は小夜子と2年逢えなかったと言っているので、大学卒業後少なくとも2年経過している訳で全員24歳位かな。かつて女性の婚期をクリスマスケーキに例えていた失礼な時代があり、すなわち24歳が旬で、25歳になると値打ちが下がるなんて言われたんですが(もちろんそんなことはありません!)、昭和50年代というのもまだそういう価値観を引き摺っている人が結構居たかもしれません。もちろん友人なんだから社会に出てからも会うことはあるわけで、そうだとするともっと年齢を重ねている可能性もあります。

結婚式その1420160219

 そうつらつら考えると、“おめでとう”と何度も言っているにも関わらず、「私」は本当に祝福しているのかな?なんて心配しちゃったりして。もちろん表面上は全面的に祝福しているに違いないでしょうが、やはり何度も出てくる“羨やむほど”のフレーズが気になります。ウラヤマシイ…これこそが本音ではなかろうか。そして、茉莉を羨やんでいるのは小夜子と繭子も一緒と「私」は思っているかも知れませんが、実は「私」だけであって、小夜子と繭子はひたすら純粋に、素直に祝福していたりして……。闇堕ちするぞ「私」(笑)。

麻生祐未

 独断と偏見に基づく個人的イメージですが、小夜子には薄幸そうな美人ということで麻生祐未をキャスティングしたいと思います。古いな私も…。でも基本古い人ばかりチョイスしています。

唐橋ユミ

 才女繭子は眼鏡がよく似合う唐橋ユミ。この人は男と縁がないという風情ではありませんけどね。

有森也実

 で、マイちゃんと呼びたくなる「私」ですが、結婚志向なのになぜ結婚できんのかと思われるタイプがいいので、有森也実あたりでどうでしょう。或いは池脇千鶴とかも。

池脇千鶴

 最後に幸せの絶頂にある茉莉ですが、やはり今幸せそうな人がいいですね。ここは吹石一恵でどうでしょうか。北川景子もありだと思いますが、“羨やむ程素敵な彼”にはDAIGOより福山雅治かな、なんて。

吹石一恵

 それでは聴いて見て下さい。イメージ画像付きで、私があれこれ言わなくてもよかったかも知れませんな。

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