SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ:ファミコン初のウォー・シミュレーションゲーム

立春を過ぎたせいか、日差しがだんだん強くなってきたような気がします。相変わらず寒いし、雪も降りますが、季節はゆっくりと、しかし確実に動いているのですね。

なつゲーの日曜日、本日はやたらタイトルが長い「SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ」(略称「スクランブルウォーズ」)を紹介します。この作品、なにげにファミコン初のウォー・シミュレーションゲームでした。ファミコンのウォー・シミュレーションゲームとしては「ファミコンウォーズ」が有名ですが、「ファミコンウォーズ」が1988年8月12日発売なのに対し、スクランブルウォーズは1987年11月20日発売です。媒体は「夢が広がる」ディスクシステムでした。

そもそもSDガンダムとは、ガンダムシリーズに登場したメカや人物などを、頭が大きく手足が短い低頭身で表現したキャラクターと、それを用いた作品群の総称で、SDはスーパー・ディフォルメの略です。1985年6月にバンダイのカプセルトイ「ガシャポン」で売られる塩化ビニール製の人形として登場したのが始まりです。

私が子供の頃は「ガチャガチャ」と言っていましたが、安かった分出てくるおもちゃもかなりしょぼいものでした。10円とか20円とかだったから仕方ないですが。金額が高いとそれなりのものが出てくるようですね。

「スクランブルウォーズ」は「SDガンダム」を題材としたコンピュータゲームとしては最古のシリーズに当たり、同時にファミコンのウォー・シミュレーションゲームとしても「ファミコンウォーズ」に先行する最初期の作品です。「ガシャポン」の商標登録以前であったため、ガチャポンという名前になっています。

「スクランブルウォーズ」を皮切りに、5作品がファミコン用ゲームソフトとして発売されましたが、例によって私がプレイしたのは本作のみです。SDガンダムのゲームシリーズは後に「SDガンダムジェネレーション」「SDガンダム GCENTURY」「SDガンダム GGENERATION」など続々と作られることになり、「スクランブルウォーズ」はそれらSDガンダムファミリー全体の原点ともいうべき存在でもあります。

「スクランブルウォーズ」は「機動戦士ガンダム」「機動戦士Ζガンダム」「機動戦士ガンダムΖΖ」までのモビルスーツと戦艦がユニットとして登場しています。青軍と赤軍に分けられた勢力をプレイヤー同士、またはCPUが操作し、拠点を確保してユニットを生産しながら敵軍本拠地の占領または敵の全滅を目指します。特に連邦対ジオンといった分け方は分されないので、いろんな勢力のMSをごちゃまぜで作ることができます。ただし予算と相談しなければならず、これが最優先になってしまいますが。

ゲームはユニットの移動や生産を行うシミュレーションパートと戦闘パートに分かれており、ユニット毎に異なる性能が設定されていました。生産拠点が本拠地の1ヶ所のみで、1ターンで移動出来るユニット数が3機のみという制限もありました。

基本高価なMSほど性能も高いのですが、戦闘パートは実はアクションで手動です。なのでアクションが得意なプレイヤーであれば、性能差を超えて勝利することも可能です。戦略ミスもアクションで克服しうるという点は面白かったですね。逆にアクションが苦手だと…


ユニットの数でハンデを付けられる他、CPUの場合は難易度を設定できました。マ・クベ<バスク<ハマーン<シャアの順で強くなっていきますが、これは戦闘パートの強さにも反映されます。シャアはやはり強い。ハマーンも本編では強いですが、本作にあってはキュベレイばかり操縦するというわけには行きませんから、色んなMSに搭乗したシャアの方が一枚上ではないかと。マ・クベはギャンに乗りましたが、バスクはそもそもMSを操縦できるのでしょうか?


地形は地上のほか、無重力で慣性が働く宇宙、浮力が働き上に浮かぶ海など特徴的かつ多彩で、宇宙では宇宙用MSが、海では水陸両用MSが有利ですが、他のMSが使えないわけではないので、海でグフを使ったり宇宙でドムを使ったりすることもできました。もっともマップによっては最初から作れないユニットもありますが。

本作の欠点としては、何と言っても非常に長いCPUの思考時間が挙げられます。思考時間の長さを何とかするべき、1ターンの移動ユニットは3つに制限したのだろうと思われますが、それでも長い。時代を考慮してもやはりその長さは異常でした。ユニット数が多いマップでは数十分間待たされてしまうこともあり、CPUの「カンガエテマース!」をじっと見つめることに。なお2010年にはWiiのバーチャコンソールで配信されていますが、WiiリモコンのAボタンを押すことで「加速モード」となり、全ての動作を早くすることで短縮が可能となっています。また続編ではCPUの思考時間は大幅に減少するなど、ちゃんと改善されているようです。

MSは一番安いザクが100に対し、一番高いダブルゼータとサイコガンダム(なぜかサイコロ型)は5500ともの凄い格差がありました。戦艦はホワイトベースのみでしたが、唯一マップからの間接攻撃が可能でした。私がわりと好きだったのはゲルググ。価格は1000と安めですが、ビームナギナタが一振りで2ヒットするというのがお得感がありました。正直ダブルゼータ世代のMSまで登場するので、ゲルググ以前のMS(ザク・グフ・ドムなど)はいくら安くても戦力にならない気が。まあズゴックやゾックは海中では浮力の影響を受けないので有利なんですが、陸上に上がるとビームサーベルがないのでカモになってしまいます。

あと好きなのはメッサーラ。メッサーラ自体が好きなMSということもありますが、ゲームにおいても拡散メガ粒子砲を持っていて三方向にビームを放ち、ビームサーベルで近接戦闘もこなして頼もしかった記憶があります。価格が4000もして、それだけ出せればヒーロメカのΖガンダム(4000)やファンネルがツインビームとなっているキュベレイ(4200)も生産可能なのですが。メッサーラは生産できるマップが少なくて…


なお1989年に「SDガンダムワールド ガチャポン戦士 スクランブルウォーズ マップコレクション」が発売され、書き換え専用ソフトでディスクライターでのみ購入することができましたが、マップを10個とも新作に差し替えたほか、1ターンで移動出来るユニット数が6機に倍増し、CPUの思考時間が短縮されるなど、前作の欠点を多少改善しています。

ゲーム自体は結構面白かったのですが、なにしろCPUの思考時間が長いという致命的欠点が目立つ作品でした。でもゲルググとかでサイコガンダムみたいな大物を倒した時の快感はなかなかに捨てがたいものがありましたね。しかも本作の遥か先には名作「ギレンの野望」があるのだと思うと、とても無碍には出来ません。


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