ファイナルファンタジー:超大作シリーズの第一作

1月も今日で終わり。毎年のように言っていますが、1月は行く、2月は逃げる、3月は去るといいまして、年の初めの3か月=年度末の3か月は時間の進み方が異様に早く感じます。

なつゲーの日曜日、昨日は大作シリーズの「テイルズ」シリーズを取り上げましたが、本日はもう一つの大作シリーズの記念すべき第一作、「ファイナルファンタジー」を取り上げましょう。

直訳すれば「最後の幻想」。最後といいながらその終わる気配もなく何作も出てくる不思議ですが、当時経営不振だったスクウェアが「これが最後の夢」という意味を込めて売り出したという説があります。しかし実際には略称が「FF」となることを前提としていたということで、当初は「ファイティング・ファンタジー」というタイトル案もあったそうです。

これほどのシリーズになることは想定されていなかったこともあり、タイトルにナンバリングはされておらず、当初の正式タイトルは単に「ファイナルファンタジー」ですが、続編と区別するためにリメイク作品では「ファイナルファンタジーI」と呼称されています。略称は「FFⅠ」。

発売は1987年12月18日。この年、ドラクエは既に1月にDQⅡがリリースされており、DQⅢの発売が今か今かと熱望されていました。DQⅢよりおよそ2か月先行したFFⅠは、敵味方を同時に見られるサイドビューでビジュアルを重視した戦闘を繰り広げ、さらにバッテリーバックアップ方式を採用しており、いわゆる「復活の呪文」をパージするという画期的な要素を持っていました。バッテリーバックアップの採用は同年10月9日発売の「ウルティマ 恐怖のエクソダス」のほうが先でしたが、私にとって初めてのバッテリーバックアップ式のゲームはFFⅠでした。

ただしセーブデータを1本のカセットにつき1つしか記録できず、宿屋に泊まる際には必ずセーブに同意しなくてはならないため、前回のプレイデータを温存してゲームを進める事は事実上不可能でした。

ドラクエはⅡでパーティ制(3人)、Ⅲでジョブシステムと徐々にRPG要素を追加していったのに対し、FFⅠはいきなり4人パーティ制で、しかもジョブシステムとクラスチェンジシステムを搭載していました。先を越されたDQ陣営は当時かなり焦ったのではないでしょうか。

ジョブは戦士、シーフ、モンク、白魔術師、黒魔術師、赤魔術師の6種で、プレイヤーは4人のキャラに任意の名前とジョブを与えることが可能でした。それぞれクラスチェンジすると、ナイト、忍者、スーパーモンク、白魔導士、黒魔導士、赤魔導士になります。

とはいえ、FFⅠの頃はまだ荒削りなところもあり、ジョブによる使える使えないが結構極端でした。例えば戦士はほとんどの武器・防具を装備でき、力が伸びやすく、攻撃回数も全ジョブナンバー1という最強の前衛で、戦士を入れないと難易度が跳ね上がり、2人以上入れると簡単になると言われました。しかもナイトになると、一部を除いたレベル3までの白魔法を覚えられるという使い勝手の良さ。

一方シーフは幸運が高く、敵から逃げやすいことしか利点がなく、装備は赤魔術師より弱く、魔法も使えませんでした。ただし忍者にクラスチェンジすると、レベル4までの黒魔法を覚えられ、装備も赤魔導士より強いものが持てるようになり、使えるようになりました。

モンク(本来修道士のことですが、RPGでは要するに僧兵)は、武器はごく一部のみ、防具も魔法使い系と同じで弱い反面、素手での攻撃力がレベルに対応しており、高レベルのモンクの素手の攻撃力は最強装備のナイトをも上回るようになります。武器や装備にお金がかからないという手軽さはありますが、レベルが低いと装備が貧弱なためシーフ以上の足手まといとなることも。しかもクラスチェンジしてスーパーモンクになると、魔法防御の成長値が低下してパワーダウンするという罠が。

白魔術士、黒魔術士はドラクエの僧侶、魔法使いとコンパチで、白魔導士、黒魔導士にクラスチェンジすると高レベルの魔法が使えるようになります。

赤魔術士は戦士ほどではありませんがかなり強力な武器、防具を装備でき、多くの有用な白・黒魔法を覚えられる万能ジョブで、ドラクエの賢者に近い存在でした。そのオールマイティーさに惹かれ、ファーストプレイでは4人とも赤魔術士にしてみたのですが、魔法は低レベルのものしか使えず、序盤では活躍するものの、終盤になるにつれて他の魔道士系と差が開き使いづらくなりました。それで途中で断念して最初からやり直したりして。ザ・器用貧乏なジョブと言えましょう。




シリーズの定番である「シドの飛空艇」とその高速スクロール処理など、他のRPG作品がスーパーファミコン世代になってようやく実装し始めるような洗練されたインターフェースが採用されていたり、幻想的なダンジョン設定やアニメーションで表現された戦闘シーン、要所要所で挿入される四天王的ボスとの対決、外来語の多用で異国的な雰囲気を盛り上げる演出手法など、ドラクエには見られない魅力がたくさんありました。

ストーリーは……土、火、水、風の4つの力がさえぎられ、暗黒に包まれた世界に、光の戦士の証である4つのクリスタルを手にした4人の若者が現れます。4人が辿り着いたコーネリア王国では、ナイトのガーランドがセーラ姫を掠うという事件が発生していました。戦士たちはガーランドを倒し、セーラ姫を取り戻します。

その後戦士たちは、クリスタルの輝きをさえぎる存在である土・火・水・風の「4匹のカオス」を倒し、クリスタルの輝きを甦らせていきますが、すべての輝きを取り戻してもなお、世界に平和は訪れませんでした。すべての元凶は2000年前に存在するということで、戦士たちは4つのクリスタルと黒水晶の力によって2000年前の「カオスの神殿」へと向かいます。そこにいたラスボス、カオスの正体は、なんとガーランド。「4匹のカオス」によって歪められた力で2000年前に飛び、そこで甦ったガーランドは、「4匹のカオス」を2000年後の未来へと送り込んでおり、2000年の閉じた時間の円環の中に永久に生き続ける存在になっていたのでした。


戦士たちはカオスとなったガーランドに勝利し、時の鎖を断ち切り、世界は元の姿を取り戻しますが、人々は戦士たちの活躍も、歪められた世界のことも覚えてはいませんでした。しかし、心のどこかに残ったその記憶を「架空の物語」として語り続けていくのでしたるの。物語の冒頭で倒した敵が実はラスボスだったというのは意表を突いていて面白かったですね。

音楽は植松伸夫が担当。大学卒業後、CM音楽制作や日活ロマンポルノ作品の音楽などを担当した後、1986年に株式会社スクウェア(現スクウェア・エニックス)に入社しました。ゲーム以外のさらなる活動の場を求めて、2004年10月末にスクウェア・エニックスを退社し、新会社「SMILEPLEASE」を設立しましたが、スクウェア・エニックスとの関係は今もって変わっていません。

「ドラクエにならないように」との注文を受けて作曲されたFFⅠの曲はクオリティが高く、特にメインテーマ(FINAL FANTASY)、プレリュード、「勝利のファンファーレ」、「戦闘シーンの曲」は、後続作品でもアレンジを変えつつ引き続き使用されていますま。とりあえず芸術的な美しさを持つに至ったオーケストラバージョンのプレリュードをどうぞ。
FFⅠはシリーズ中で最も多くのリメイク・移植がなされており、その過程でファミコン版の問題点を改善したりグラフィックを向上させたりしているようです。今回の画像も多くリメイク版のものを使っております。やはり後発は美しい…

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