桃太郎伝説:ドラクエタイプのコミカルRPG

新カテゴリー「好きなアニメキャラ」を作りました。そしていきなり70件もあって、6番目のカテとなっております。カテゴリー再編成は面倒でしたが、こればかりは自分でやるしかないですからね。

さて、「トップをねらえ!」レビューも終了したので久々に私のプレイした昔のゲームの話に戻しましょう。本日は「桃太郎伝説」です。

「桃太郎伝説」は1987年10月26日にハドソンから発売されたファミコン用RPGソフトです。シナリオはさくまあきら、イラストは土居孝幸という、当時週刊少年ジャンプで人気のあった読者投稿コーナー「ジャンプ放送局」のメインスタッフですね。音楽をサザンオールスターズの関口和之が担当しました。

ジャンプ放送局というのは大抵の少年誌にある読者投稿ページでありながら人気が高く、ジャンプ黄金期を支えた連載の一つと言っていいのではないかと思います。なんと単行本になっているという。駆け出し時代の横山智佐がアシスタントとして参加し、「ちさタロー」とか呼ばれてましたっけ。

「桃太郎シリーズ」というと今では「桃太郎電鉄」の方が有名ですが、先に出たのは「桃太郎伝説」です。略称は「桃伝」。「桃太郎電鉄」もそのまま略すと「桃電」になって紛らわしいので、「桃鉄」と略されるようになりました。


物語の導入部はおとぎ話の桃太郎とほぼ同じですが、途中では日本の昔話のキャラ総登場状態となっています。内容は普通のRPGですが、レベルを「段」、ダメージを「打撃」、経験値が「心」、MPが「技」、HPが「体」、通貨単位は「両」と純和風な仕立てになっています。またパスワードは「天の声」で、敵モンスターも鬼や妖怪が多く登場しました。

敵を倒すことを「こらしめた!」と呼び、殺していないことを示唆しています。桃太郎のK.O.も死亡ではなく「ちから つきはてた!」と表現しており、極力「死」のイメージを回避していました。またギャグてんこ盛りなこともあって、全体的にほのぼのとした民話調のふん浮きがありました。

桃太郎だけあってお供はイヌサルキジでした。直接操作することができませんでしたが、たまに戦闘参加したり、色々な能力を発揮しました。

ネタ要素が多く、当時のファミコンソフトは容量が不足しており、余計なデータは極力入れたくないはずなのですが、「攻略に関係ない遊び」が実に多い作品でした。特に有名なのが銭湯の女湯で、プレイ時代に応じて加算される桃太郎の年齢が一定値を下回っている状態だと正面から堂々と入浴可能で、サービス画像が拝めました。

年齢は「桃太郎の外見が変化する」というだけのパラメータであり、実質「女湯に入れるか否か」を判定するための数値でした。さくまあきらは「女湯のイベントを入れると普通のRPGの場合、村を4~5個増やせる」「女湯のためにシナリオが減ってるのはうちくらい」とコメントしていました。そういうところが実にユーモラスです。

ちなみに年齢的に女湯に入れなくなった場合でも、「かくれみの」を使えばこっそりと覗けるというサービスぶりでした。そこまでして入りたいか(笑)。 女湯は桃鉄シリーズにも継承され、名物イベントとなっています。


またデータ節約のため、アイテム名などの長さは8文字までというプログラム上の制約があったのに、「きんぎんパールプレゼントのオニ」というギャグ(ライオンの洗剤「ブルーダイヤ」のCM「金銀パールプレゼント」のパロディ)のためにわざわざ特別プログラムを組んだそうです。ギャグへの取り組みの熱意がとにかく凄いですね。

敵はユニークかつユーモラスなものが多く登場しましたが、特に有名なのは「貧乏神」です。モデルは「ジャンプ放送局」でレイアウトを担当していた「えのん」こと榎本一夫で、「桃鉄」シリーズでもでもお邪魔キャラとして主役の桃太郎とタメを張る程の人気キャラになりました。会社社長で本当は貧乏とは縁の無い生活をしていますが、「貧乏神」でついた貧乏キャラは気に入っていたようです。


また「天の邪鬼」はジャンプの編集者だったDr.マシリトこと鳥嶋和彦がモデルとなっており、「ボツ!ボツ!」と言いながら攻撃してきて、毎ターン拒否不能の命乞いをしてきて、受け入れると「甘い!甘いぞ桃太郎!」と騙し打ちで攻撃してくるという、面白いけど非常に鬱陶しい敵でした。


次の村へ行くのに適した段を教えてくれたり、段が上がると体力・技が最大値まで回復するなど、RPG初心者にもサクサクと進められる親切設計となっていましたが、反面お供がいるとはいえ桃太郎はずっと一人のため、敵の特殊攻撃でハメ殺されてしまう状況もあって、戦闘バランスの調整は上手くいっていない部分もありました。といっても「ドラクエⅡ」ほどじゃないですけどね。


さくまあきらは「ジャンプ放送局」で本作の特集コーナーを設け、読者から多くのアイデアを募りました。採用されるとエンディングクレジットに名前が表示されるなど、投稿者もゲーム参加感を持て、宣伝として十分な成果を上げ、セールスにも繋がったそうです。ただ、発売前はあまり売れるとは思っておらず「売れなかったら『ジャンプ放送局』でギャグにしよう」と思っていたんだとか。その心配は杞憂に終わり、100万本を超える大ヒット作となりました。


全編ギャグてんこ盛りで楽しいRPGで、PCエンジンで「桃太郎伝説ターボ」「桃太郎伝説Ⅱ」、ゲームボーイなどで「桃太郎伝説外伝」、スーファミで「新桃太郎伝説」などの続編が出ているものの、なぜか私はこれっきりでした。なぜだったんでしょうか…

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