記憶に残る一言(その56):ラサ曹長のセリフ(機動戦士ガンダム)

大荒れの北海道からこんばんは。といっても実は札幌は大したことはないんですよ。道東、特にオホーツク海側が大変みたいです。道東方面の列車・飛行機は終日ほぼ全てストップしたので出張者なんかは帰れなくなっているかと思いますが。行く予定の人も行けなくなっているのでホテルは何とかなるんじゃないかと思いますが、余計な出費ですね。
本日は温故知新でまたまた「機動戦士ガンダム」から「記憶に残る一言」です。今回は一話限り登場のモブキャラのセリフなんで趣旨に沿っていていいかな、なんて。とりあえずはこの懐かしCMをご覧下さい。ガンプラのCMです。
3本目のCMで「ガンダムの思わぬ抵抗により、劣勢を強いられたジオン軍は、新型モビルスーツの開発を急いだ。ゴッグ、グフ、ズゴック、そして開発ナンバーMS09、局地戦用重モビルスーツ・ドム。ジェットストリーム・アタック、トリプル・ドム。窮地に立たされたガンダムの運命は?」という名ナレーションが聴けます。ガンプラが売れたおかげで今のガンダムシリーズもある訳で、ガンプラCM様様なんですが、ガンダム登場によって新型MSを開発したというのはいかがなものでしょうか。
何年も戦争しているというのならそれでもいいんですが、ガンダム世界では一年戦争、つまり宇宙世紀0079年1月3日に始まって0080年1月1日に終わった戦争を描いているのです。第一話でのガンダム登場が9月で、オデッサ作戦からホワイトベースのジャブロー到着が11月の話です。この2か月強の期間でそんなに新型が(しかも対ガンダム用として)開発できる訳もなし。既に開発済みだったMSを次々とガンダムにぶつけただけというのが真相でしょう。
で、このCMで真っ先に言及された新型MSのゴッグですが、本編での登場はグフやドムの後塵を拝し、第26話「復活のシャア」でした。水陸両用MSの一つです。
重モビルスーツといえばCMのナレーションのとおり真っ先にドムが思い浮べられるのですが、ガンプラとなったゴッグのパケ絵を見ていただけば判るとおり、ゴッグにも「重モビルスーツ」の文字が。実際ずんぐりむっくりな巨体といい、ドムの重量が62.6トンであるのに対し、ゴッグの重量が82.4トンもあるという設定といい、堂々と重モビルスーツを名乗っていいと思います。
このゴッグ、水を冷却剤として使用することにより、ジオン軍の量産型MSとしては初めてメガ粒子砲を装備しました。ビームライフルとは違って収束率が低いために威力が低く射程距離も短く、腹部の固定装備なので取り回しも容易ではありませんが、背泳ぎ状態で水中から対空射撃を行うことも可能でした。
また巨大な爪(アイアン・ネイル)はガンダムの装甲に穴を開けるほど鋭利かつ強固で、ガンダムのハイパーハンマーを受け止めるほどのパワーを持っていました。このシーンはゴッグの強さを強調していましたが、そもそもハイパーハンマーもその前身であるガンダムハンマーも、スポンサーがホビー的な側面から登場させるよう要望した武器で、作品のリアリティが考慮されていないので、リアルロボット呼ぶことをためらわせるものがあるため、それぞれ一回しか登場していません。
水中は高速移動でき、水圧に耐えるために厚い装甲を持ち、機体構造自体も頑強であることから、ガンダムの60mmバルカンなどは全く受け付けません。パワーがあって重装甲でビーム兵器もあって水中戦に強くて…と並べると無敵のMSのようですが、さすがにビーム兵器に耐えるほどのものではなく(ファーストガンダムでビーム兵器に耐えられたのはビグ・ザムだけです)、また冷却用に大量の水を積載するために地上での動きが鈍く、冷却システムの構造上陸上での作戦時間も短いという弱点がありました。
このため、同じ水陸両用MSでも機動性の高いズゴックの方が評価が高く、シャアもズゴックを使用しているほか、マッドアングラー隊におけるシャアの副官だったフラナガン・ブーン大尉もゴッグよりズゴックの方があてになると言っていました。颯爽たるシャアにずんぐりむっくりのゴッグは全く似つかわしくないので、見た目だけでもう選ばれないような気もしますが。
第26話では二機のゴッグが出撃し、ホワイトベースのいた連邦のベルファスト基地を襲撃します。そのうちの一機を操縦していたコーカ・ラサ曹長は、途中で連邦軍の機雷原に突っ込んでしまい、触雷してしまいます。
しかし重装甲のゴッグには全くダメージがなく、ゴッグの頑丈さにあたらめて感嘆したラサ曹長の称賛の「さすがゴッグだ、なんともないぜ!」が今回の記憶に残るセリフです。
なお、相棒のマーシー(田代まさしにあらず)はガンダムのハイパーハンマーを受け止めるなど見せ場は作ったものの、Gブルのビームキャノンに貫通されて戦死しました。そしてラサ曹長はガンダムを水中に引きずり込んで得意の水中戦を挑みましたが、ガンダムの二刀流ビームサーベルでモノアイを潰され、機体を切り裂かれて戦死しました。
ガンダムにビームサーベルを二本使わせたのはギャンに乗ったマ・クベ大佐とラサ曹長だけではあるまいか。
現在ではインターネット上では何かトラブルが起きた時などに「さすが○○だ、なんともないぜ!」という書き込みがされる様になってます。このほか、前提をくっつけて、「三十路で鬱で無職でも」「見知らぬ女子中学生にクサイキモイ言われても」「メル友に写メ送ったら返事返ってこないけど」などに続けて「さすがニート(キモオタ)だ、なんともないぜ!」なんてするネタもありますが……いや、やはり辛いんじゃないですかね。
なお、傑作MSザクを生み出した大河原邦男のデザインにしてはあまりにずんぐりむっくりで格好悪いのですが、水陸両用MSについてはイメージラフスケッチをトミノ監督が起こしており、準備稿は大河原邦男の手によるものの、決定稿は安彦良和により描かれているためだろうと思われます。
水陸両用MSは基本あんまり格好良くないですが、特にゴッグはあまりにも格好悪かったせいか、OVA「機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争」において、統合整備計画で再設計されたという設定で改良型のハイゴッグが登場しています。確かに格好良くはなったけど…もはや別人です。
最後におまけでガンダム×エヴァのMAD「ゴッグ最強伝説」をどうぞ。エヴァ弐号機、零号機の攻撃をものともしない第14使徒チックなゴッグの活躍をご覧下さい。ラサ曹長の「さすがゴッグだ、なんともないぜ!」が冴え渡るというものです。
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