オラリオン:宗教音楽のような「終わりのセラフ」ED

いや~寒いですね。流石寒中。東京でも初雪が降ったそうですが、札幌では最低気温-8度に最高気温-5度。まあ北海道では大したことのない方ですが、「しばれるね~」と言いたくなります。コートと手袋は手放せませんね。マフラーは…「いざとなったら頼むかも。でも今はやめとく。」(By美樹さやか)

さて本日は「終わりのセラフ」の第二期ED「オラリオン」を紹介しましょう。作詞・歌唱:やなぎなぎ、作曲・編曲:藤間仁です。

やなぎなぎについてはすでに紹介済みですが、supercellのアニメ史上に残る名曲「君の知らない物語」のボーカルを務めていこう、アニソンやゲーソンを数多く歌っています。「オラリオン」は彼女の11thシングルで、2015年12月9日発売。オリコン最高位は22位です。

前作である10thシングル「春擬き」(「やはり俺の青春ラブコメは間違っている。続」OP)がオリコン最高位過去最高の8位を記録しているのでやや物足りない感はありますが…そこはタイアップしたアニメ作品のパワーの差でしょうか。そういえば俺ガイルも中途半端に終わっているぞ。やなぎなぎのせいじゃないけど、「終わりのセラフ」ともども第三期をちゃっちゃと制作して欲しいですね。あくしろよ。

作編曲を手掛けた藤間仁は、主としてPCゲーム、テレビアニメの主題歌やBGM、バラエティ番組などに楽曲を提供している音楽制作ブランドElements Gardenの所属で、1981年10月16日生の東京都出身。POPSを中心にアコースティックな曲から民族色の強い曲まで柔軟な曲作りをしています。南米にギター留学したことがあるということで、その経験を生かした情熱的なギターアレンジを入れることがあるそうです。ポリシーは「追求し続けるのは『本物のサウンド』」ということで、実際今回は黙示録を取り上げる「終わりのセラフ」にふさわしい、宗教的ともいえる楽曲を提供しています。

オラリオンは先に曲が出来てきてたということで、デモ音源を聴いたやなぎなぎは「ものすごくものすごいことになっていた」と感じたそうです。コーラスがサビより目立っているというトリッキーなメロディラインは非常に印象的です。


オラリオンとはギリシャ語で「祈り」の意で、カトリック、プロテスタントと並ぶキリスト教の三大教会・東方正教会(オーソドックス)で使用される細いストールであるオラリ(聖帯)の語源ともなっています。旧約聖書(イザヤ書)にある天使セラフィム(セラフの複数形)の翼を模しているもので、正教会の聖職者が天使のように神の傍らで奉仕する者である事を示しており、オラリなしでは聖務(公祈祷)に携わることは出来ないとされています。

Αντίο, την προσευχή μας
Αντίο, ο κόσμος μας

黎明に月は転げ落ちて
強かな煌めきに隠される

環状に完結する想い
誰の心も繋げない

Αντιο , την προσευχημαs
Αντιο , ο κοσμοs μαs

悠遠の祈り

信じていた秩序が嘘ならば
自分の心根すら潤飾して
奮いたてる炎を纏う
生み出しては破壊する箱庭
たとえ握る剣が諸刃でも
全て失うまで 抗えトリックスター

降り注ぐ宇宙の塵ひとつ
願い事密やかに呟いた

星散と声は地を濡らして
虹を作ることも出来ない

Αντιο , την προσευχημαs
Αντιο , ο κοσμοs μαs

絶え間ない祈り

善と悪の狹間で揺れるなら
何もかもを守れる剣であれ
バイタリティを燃やし尽くして
愚かな選択だったとしても
たとえそれが罪人の証でも
それ以上の熾烈で 贖(あがな)えトリックスター

per asprera ad astra
希望を オラリオン
per asprera ad astra
運命ごと手を取り合う僕達は
見かけ上の今も超えているだろう

真昼の月が満ちていく空に
眩しい程紅炎は立ち昇り 盾の様に視界を覆う
交わるはずのなかった
想いの輪の鎖が 祈りを繋いでく
全て手にするまで 前(さき)へトリックスター

作品の内容が内容だけに、中二病全開的な歌詞となっていますね。冒頭のギリシャ語“Αντίο, την προσευχή μας Αντίο, ο κόσμος μας”は「さようなら、僕たちの祈り さようなら、僕たちの世界」という意味で、終盤のラテン語“per asprera ad astra”は「困難を克服して栄光を獲得する」という意味だそうです。


何度も出てくるトリックスター(trickster)は、神話や物語の中で、神や自然界の秩序を破り、物語を引っかき回すいたずら好きとして描かれるキャラクターのことで、善と悪、破壊と生産、賢者と愚者など、全く異なる二面性を併せ持つのが特徴です。北欧神話のロキ、日本神話のスサノオ、西遊記の孫悟空や封神演義の哪吒などが一例として上げられます。


その他、クトゥルフ神話だったら断然ナイアーラトテップ(ニャルラトホテプ)、水滸伝なら天殺星の名に違わない殺人マシーン・黒旋風の李逵あたりがそうじゃないかと思います。

「終わりのセラフ」ではやはり主人公たる百夜優一郎のことなんじゃないかと思いますが、日本帝鬼軍から離脱したシノアやミカエラ他の「愉快な仲間達」も加えた優一郎一行と解釈してもいいかと。

それでは聴いてみて下さい。まずはやなぎなぎ自身が出演するMV。ショートバージョンなのが残念。
こちらはフルバージョン。画像は一枚絵ですが、この曲の異色性を知るにはよろしいかと。
楽譜が表示される面白いフルバージョン。音がやや小さいですが、私のお気に入りの柊シノアの画像もあってなかなかいいですね。やっぱり正ヒロインはシノアちゃんですよね。ミカエラ、テメーはダメだ。
スポンサーサイト