松田聖子の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その2):水野理紗、秋の別離

こんばんは。昨日も滑って転びそうになって、なんとか踏みとどまったのですが、妙な力の入り具合になって首から肩にかけて筋を違えたみたいになったんですよ。そして夜、ベッドに入ったらこれがもう痛くて痛くて。寝て起きたら寝違えていたいというのは良くある話ですが、自覚しながら寝違えるというのは珍しい体験でした。

ほとんど眠れずに出勤して、片側ではなく両側が寝違えているという厳しい状態でろくに声も出せなかったんですが、藁をも縋るつもりでスマホで解消法を探したら、“寝違えた時に!「首の痛み」を速攻で治す方法”というサイトを発見しました。 そこには…

☆ 寝違えたときの対処法として、患部を直接マッサージするのはNG
☆ 肩こりが原因だと思い込み、首~肩のマッサージを自分で行うのは専門家以外は危険
☆ 寝違えは、脇の内側を通る「腋窩(えきか)神経」が圧迫されて起こる現象で、腋窩神経は首を支える筋肉に繋がっているので、血行不良でしびれると首に痛みがでてきてしまう

ということが書かれていました。そして直す方法としては週刊少年マガジンで連載されていた「ゴッドハンド輝」のストレッチが効くということでした。その方法は

1.寝違えで首が痛む側の腕を少しずつ後ろに引き上げる
2.腕を引き上げて、自然に止まったところで20秒キープ
3.20秒経ったら腕を下ろして、同じことを2セット
4.痛む側の手のひらで真後ろのベルトの真ん中を軽くおさえる
5.そのまま肘を後ろに引いて20秒キープ。これを2セット
6.痛む側の手を肘角120°でバンザイする
7.その角度のまま腕を軽く後ろに引いて20秒キープ。これを2セット
8.最後にバランスを取るために逆側の腕で、各運動を1セットずつ
で、寝違え以外にも、普段からの肩こりや首の痛みにも効果が期待できるそうです。

さっそくやってみましたが、マンガほど劇的には治らなかったけど(そもそも寝違えではなく起きている時の筋違えだし)、何度かやってたら午後からはだいぶましになりました。ありがたい!「ゴッドハンド輝」はサムネイル表示なので、興味のある方はぜひクリックして読んで下さい。寝違えた人は必見です。

もう今日の記事はこれで終わりにしたいところですが、そうもいかないので妄想秒速行ってみましょう。本日の素材は松田聖子の「白い貝のブローチ」です。

「白い貝のブローチ」はシングルカットされていないのでマイナーな曲だろうと思います。1981年5月21日リリースの3rdアルバム「Silhouette~シルエット~」に収録されています。2曲目ですね。

「Silhouette~シルエット~」というアルバムは、80年代最大のアイドルにして日本屈指のポップスシンガーとなった松田聖子の、成功への重要なステップといっていい作品であろうと思います。なぜなら、それまで松田聖子の全楽曲の作詞を担当していた三浦徳子に加えて、松本隆と財津和夫が参加してきたからです(財津和夫は作曲も担当)。

特に松本隆は、1988年5月11日リリースの15thアルバム「Citron」までの間、松田聖子の楽曲の多くを担当し、「聖子ワールド」の確立に大きな役割を担いました。シングルでは1981年7月21日リリースの6thシングル「白いパラソル」から1984年11月1日リリースの19thシングル「ハートのイヤリング」まで、ずっと松本隆が作詞を担当しています。また1987年4月23日リリースの23rdシングル「Strawberry Time」、24th「Peal-White Eve」、25th「Marrakech~マラケッシュ~」も担当しています。


実は松本隆を離れ、26thシングル「旅立ちはフリージア」以降、松田聖子は自作詞で楽曲を制作していくのですが、私が夢中になって聴いていた松代聖子から心が離れていったのもその頃でした。なお売れてはいたんです。いたんですが、オリコン連続1位の記録は途絶えるし、個人的にはなによりも松田聖子の歌の歌詞に魅力を感じなくなってしまったんですね。それは松本隆のプロデュースを離れて自作詞及びセルフプロデュースへと突き進んでいった松田聖子の方向性は、私が求めていたものとは全然違っていたということなんでしょうね。

閑話休題、「白い貝のブローチ」は「白いパラソル」に先行して、初めて松田聖子と松本隆が組んだ作品です。しかも作曲は財津和夫。なぜそれがわかるかといえば、「Silhouette~シルエット~」には松本隆作品はこれ一曲しかありませんから。そのたった一曲がアルバム全体に大きな影響を与えていることは、アルバム名と同名の楽曲は収録されておらず、「白い貝のブローチ」の歌詞中に「シルエット」という語があることからも窺われます。そして次作4thアルバム「風立ちぬ」では全曲松本隆の作詞となっており、以降長期にわたってほとんどの楽曲の作詞を担当することとなるのです。

話づらい言葉なら
背中向けて話して
無口すぎる夏が過ぎ
心変わり知らせた
少しだけサンセット
離れるシルエット
暮れなずむ愛は
さよなら
白い貝のブローチは
似合わないわ秋風

目立たなくて地味な娘を
変えた人はあなたよ
ハイビスカス髪にさし
今日は逢いに来たのに
泣き顔はサンセット
突然シルエット
何もかもこれで
終わりね
海の見える国道で
逃げるように別れた

少しだけサンセット
離れるシルエット
銀色の時が
哀しい
白い貝のブローチを
海に捨てて泣いたの……

もう出だしの「話づらい言葉なら 背中向けて話して」からして違うな~、流石松本隆だな~と唸ってしまいます。彼のような詞が書けたなら。「少しだけサンセット 離れるシルエット」の節も、夕陽を浴びる二人の影がいつもより離れている情景から心変わりを悟るという場面なんですが、この順番で言葉を並べられるところが才能なんだろうなあと思います。私だったら「夕陽を浴びる二人 シルエットは少し離れて」なんて書いちゃうんでしょうなあ、きっと。

この楽曲を秒速と絡めるとすると、これはもう貴樹×水野さんしかないでしょう。交際する二人ですが、ちょっと倦怠期的なアンニュイな夏を過ぎて秋になったら、はっきりと貴樹の心変わりが分かってきたのですね。

本編では果てしなく地味子だった水野さんですが、清家雪子のコミック版では地味ながらもそれなりに女性らしさを出していました。もしかすると水野理紗を女性としていろんな意味で開花させたのが貴樹だったのかも知れません。ハイビスカスを髪にさすなんて、地味子にしては冒険したんでしょうね。しかし……貴樹にとってはもしかしたらと思った水野理紗も「明里のかけら」ではなかったのでした。


「海の見える国道で 逃げるように別れた」……切ない。実に切ないですね。もうすがりついても無駄だということをはっきり理解してしまったんでしょうね。水野さんは馬鹿な娘じゃないから。海に捨てた「白い貝のブローチ」はきっと貴樹からの贈り物だったんでしょうね。

それでは聴いてみて下さい。実はあまりいいのがなくてですね…。“れもんえみ”という人がベースを当てているものです。ベースの音が大きいですが、ベースだけにさほど邪魔ではないかと。松田聖子の歌声ははっきり聞けます。
中国の動画サイト「youku」なのであまり紹介したくはないのですが…。一枚絵ですがフルバージョン。

www.zhuatieba.com/video/XNTEzMjkyMzA4
スポンサーサイト