ナースを彼女にする方法:エロだけど主人公に好感が持てる青年コミック

今日も暑いですね。今日明日が暑さの峠とかいうことですが、これが本当に夏のアルデンヌ攻勢になるといいのですが。
さて、本日取り上げるのは、性描写の多い青年コミックの「ナースを彼女にする方法」です。かなりの描写だと思うのですが、18禁じゃないんですね。もちろんこの記事自体も18禁にはなりませんよ。

「ナースを彼女にする方法」は、お色気満点のエロ漫画です。こういうものを取り扱っても良いものか若干悩みましたが、読後感は意外に爽やかというか…。「私の奴隷になりなさい」がSM小説ながら読後感の良い青春SM小説だとされていますが、似たようなものでしょうか。作者は藤坂空樹。「月刊ビタマン」(竹書房)という青年雑誌(R18)に連載された、作者初の長編シリーズだそうです。竹書房の四コマ誌はいつも買っているのですが、青年雑誌はとんと…青年じゃないし(笑)。

紆余曲折があって25才で新人看護師となった太嶋海斗が務めることになったのは、男女比30:1というハーレム病院の外科部だった…というところから物語は始まり、高校時代の「元カノ」瀬崎夏夜子が教育係の先輩として登場。さらに高校時代に海斗が片思いしていた羽鳥友柚も同じ病院の内科部に勤務していることが判明します。

こうして海斗は様々な失敗をしながら看護師として一人前の道を進んでいく…なら平穏でいいのですが、実際にはエロ漫画なので、様々な看護婦(看護師と表記するのが正確なのですが、オノコの妄想的にはやはり看護婦と書きたいです。ここでは男は看護師、女は看護婦とします)に誘惑されまくります。比較的真面目な正確な海斗はたじたじとなりますが、教育係の夏夜子は守ってやるからと体の関係を要求してきて、流されるまま男女の関係に。

2巻までは、海斗は羽鳥友柚だけが好きなので何とか彼女と接触しようとするものの上手くいかず、夏夜子の他、女医の岡島先生や他の看護婦・女性患者らと心ならずも関係してしまうというエピソードが続きます。途中、友柚が医者と関係しているのかというシーンがあって、おおNTRと思ったのですが、実は海斗の勘違いで違う看護婦と医者の情事でした(ちッ)。

3巻にしてついに海斗は友柚に急接近。友柚も海斗が好きであることが判明してめでたく結ばれます。これ以降、海斗は完全に友柚一筋となり、他の女性には目もくれなくなります。この辺りのぶれない姿勢は賞賛に値しますね。それまでは相手が強引に来ているので流されてしまうという優柔不断な面もありましたが、はっきり恋人関係となったら一切誘惑を絶っています。

4巻では友柚の出生の秘密(病院の理事長の孫娘)とか、病院経営に参画したいがために友柚を狙う医者と嫌がらせや海斗を諦めきれない夏夜子の逡巡などが描かれる中、ハッピーエンドを迎えることになります。3巻以降は友柚とのエッチばかりだとご不満の向きもあるようですが、私はいいと思います。愛があるので。

全4巻なら上手くまとめたということになるでしょうか。延長するとすると、1~2巻の流される日々を延々続けるしかないでしょうし。ただ、海斗と友柚の障害はもっと強固だったほうが良かったかも知れません。友柚を手に入れたい美馬先生(「友柚NTRか?」のエピソードで看護婦と遊んでいた医者。また電車で友柚が痴漢に遭うエピソードがありますが、この人が犯人なのでは?)は最初から友柚に一顧だにされていないのですが、せっかく卑劣な性格をしていらっしゃるのだから、もっと友柚とあわやなところまで行って欲しかったですね。睡眠薬を使ってホテルに連れ込むとか。これじゃただのお局OLだ。

それから夏夜子。なぜ海斗と別れたのかの理由が描かれていない(海斗が振ったらしいですが)のと、友柚と同じ学校の同窓生でありながらあまり親しくなかったようなので、海斗が友柚を好きだとしってからはもっとドロドロとした嫉妬とか火花散る友柚との対決なども描いて欲しかったです。これらを描いて全5巻ならもっといい作品になったかな、なんて。
友柚は海斗の心象風景の中では理想的ないい子で、それは構わないのですが、実際にも本当にいい子として描かれたので、修羅場とか危機一髪なシーンは似つかわしくなくなってしまったのかも知れませんね。25才で処女だったし。←いや、全然構わないのですが、これだけのルックスなら誘いも多かったろうにと。高校時代からずっと海斗が好きだったとかだと、現代のバルスの呪文(リア充爆発しろ!)を唱えたくなりますね。
まあ、そんなモテモテの海斗が、それでも好感の持てる主人公であるのは、一つには友柚一筋であることと、看護師として成長したいという強い意欲が描かれているところでしょうかね。友柚ほどの子に愛されて、なお浮気を繰り返すようなら人としてどうなのかと思います。また、職業人としての姿勢が立派なら多少の前科には目をつぶりましょう。
作者の絵はとにかく美麗です。特に表紙とかカラーページ。友柚には若干カラーとモノクロの落差があったような気もしますけど(笑)、まあいいでしょう。

同傾向の作品として「絶対☆は~れむ」(既刊4巻、作者:久遠ミチヨシ)という作品があります。女の子の絵は上手いのですが、こちらは主人公の男がどうしようもないので好感が持てません。ヒロインがどうしてこんな男を好きでいられるのかがさっぱりわからないし。海斗と友柚なら互いが好きなのも理解できるのですが。ということで、終わってない作品と比較するのもどうかと思いますが、読後感の良さから私はこちらの作品の方が好きです。お暇があったらご一読を(ただし18才以上に限ります)。

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