北海道名物!(その17):札幌市営地下鉄~謎多き?最北の地下鉄

今日も朝から盛大に雪の札幌でしたが、なんと午前99時時点で44センチもの積雪となりました。11月に札幌で積雪40センチを超えたのは、1953(昭和28)年以来、なんと62年ぶりだそうです。我々転勤族のみならず、多くの道産子達にも初めての経験という訳ですね。

札幌管区気象台によると、明日夕方にはまた別の低気圧が接近するということで、28日にかけて再び各地で雪になる見込みなんだそうです。これはもう根雪確定ですかね?やだなあ、11月から根雪なんて。♪さだめとあれば 心をきめる♪……いや、決められません。キリコにはなれないなあ。

本日は北海道名物です。今日は北海道唯一の地下鉄でもある札幌市営地下鉄を紹介しましょう。その名のとおり札幌市が経営する地下鉄で、市内で3路線が展開されています。

一番最初に開業したのが1971(昭和46)年の南北線。その名のとおり北区麻生(あさぶ)駅から南区の真駒内駅を結んでいます。車体および路線図や乗換案内で使用されるラインカラーはグリーンで、駅ナンバリングにおける路線記号はNです。路線距離は14.3㎞で駅数は16。札幌冬季オリンピック開催決定を契機に、選手や観客の輸送に対応可能な大量輸送交通機関の建設気運が高まったことが計画の端緒となりました。

南北線のみ第三軌条方式という、走行用のレールと並行して第三の給電用レール(第三軌条)を敷設し、それを車両に取り付けた集電靴(コレクターシュー)が擦って集電する方式を取っています。

パンタグラフを使用する架空電車線方式に比べ建設コストが安く、景観を損ねないという利点である反面、地上に高圧線を敷設するため、人が侵入すると感電の危険を伴います。地下鉄だから景観は関係ないですが、多分コストダウンを優先したんでしょう。一日の平均乗車人員は223,780人(2012年)です。

続いて開業したのが1976(昭和51)年の東西線。西区の宮の沢駅から厚別区の新さっぽろまでを結んでいます。東区だったら東西線で良かったんですけどね。厚西線にすべきだった?車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーはオレンジで、駅ナンバリングにおける路線記号はTです。路線距離は最長の20.1㎞で駅数は19駅。日本ではおなじみの架空電車線方式を採用しており、一日の平均乗車人員は211,050人(2012年)です。

一番新しい路線が1988(昭和63)年の東豊線。東区の栄町駅から豊平区の福住駅を結んでおり、路線名が一致していますね。車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーはスカイブルーで、駅ナンバリングにおける路線記号はHです。路線距離は最短の13.6㎞で駅数は14駅。東西線同様架空電車線方式を採用しており、一日の平均乗車人員は136,136人(2012年)。利用客数は増加傾向にありますが、3路線では最も少なくなっています。

南北線の輸送力が限界に近づいたということで、建設された路線ですが、ルート選定に議論があった結果、原稿ルートとなったところ、開業当初の利用者数は当初見込みを大きく下回り、「政治路線」と揶揄されたりしたとか。福住駅は札幌ドーム最寄り駅ということもあり、札幌ドームが開場した2001年度からは利用状況は増大傾向が続いています。

では札幌地下鉄の謎について語ってきましょう。
その1:ゴムタイヤの使用

3路線ともに走行路面上を新交通システムのように主輪のゴムタイヤで駆動して、走行路面中央にある1本のレールを案内軌条としています。南北線はダブルタイヤ、東西線・東豊線はシングルタイヤという差違はありますが。ゴムタイヤ式の地下鉄はパリ地下鉄等、世界では他にも例がありますが、日本では唯一のゴムタイヤ式地下鉄です。

ゴムタイヤ採用の理由は
① 急勾配があるため、鉄のレールでは登坂できない
② 一部民有地の建物の下を通過するため、振動の防止
③ 寒冷地では辛い作業である鉄路研磨の必要がなく、作業を軽減できる
④ 高い加速力でスムーズに走行できる
などだそうです。

なおゴムタイヤの特徴としては
メリット① 加速・減速性能に優れる
メリット② 粘着性が比較的高いため、急勾配における登攀性に優れる
メリット③ 乗り心地が良く、保線の必要が少ない
メリット④ 騒音が少ない

デメリット① タイヤの磨耗が激しくタイヤ保守費用が嵩む
デメリット② 車両が完全に独自規格のため、他社との基本設計の共通化によるコスト削減が困難
デメリット③ トンネル断面積が大きく、建設費用が必然的に割高となる
などがあります。なおメリット④については、全車非冷房車なので、夏場は窓を開けることになり、車内に走行音が大きく響くので夏季以外のメリットといえましょう。
その2:車内に網棚がない

立っているとき、荷物を網棚に載せるというのは、列車内のごく日常的な光景ですが、なんと札幌の地下鉄には網棚がついていないというとんだ孔明の罠が。うっかりいつもの調子で荷物を載せようとすると、下の座席の乗客にブリティッシュ作戦発動となってしまいます。

札幌の地下鉄では開業当初から網棚がありません。その理由は
① 忘れ物をなくす
② 平均の乗車が4~5駅で10分足らずなので必要性が少ない
ということだそうです。私が思うに、車内が混んでいることが少なく、荷物を網棚に載せて少しでもスペースに余裕をつくるという必要がないから、というのもあるのではないかと思っています。

その3:優先席では無い……専用席だ…

鉄道の車両の端には、優先席やシルバーシートをよく見かけますが、札幌の地下鉄には優先席がありません。弱者に冷たい都市?安心してください、

対象者は他の鉄道と変わりありません。ただ、「優先」で座れる席ではなく「専用」の席なのです。優先席なら対象となる方がいなければ一般の方が座ることもできますが、札幌の地下鉄は専用席なので一般の方は座れません。そのため、朝夕の混み合うラッシュ時でも、ここの空間だけぽっかり空いていたりします。まあこれも網棚同様、乗車時間が少ないから守られている気がしないでもないですが。

かつては札幌の地下鉄でも優先席を設けていましたが、うまく浸透しなかったため、いっそ専用席にしようと変更したのだそうです。そして、立ったままの乗車が困難な方にも安心して地下鉄を利用できるようにと、混雑時でも一定数の座席を確保するために現在も専用席としているそうです。これも比較的混んでいないからできることなんでしょうね。
その4:乗車料金

札幌の地下鉄の運賃は高いです。初乗りなんと200円でしかも3㎞まで。駅間が比較的短いところ、一駅分でも乗車すれば200円です。東京メトロは初乗り165円で6㎞まで、都営地下鉄でも初乗り174円で4㎞までなのに対し、正直言ってかなり割高です。

まあ札幌の地下鉄の弁護をすると、比較対象が良くなかったのかも知れません。上図の地下鉄料金一覧表(クリックして大きくして見て下さい)によれば、札幌の地下鉄が距離15㎞を310円で行くのに、仙台の地下鉄は350円もかかっています。他の都市の地下鉄と比べても、神戸や福岡の地下越はやや割高のようです。それにしても地下鉄ではありませんが、一番下の埼玉高速鉄道の料金には驚きますね。

しかし上には上がいて、千葉県の北総鉄道なんて初乗りこそ199円と札幌地下鉄とどっこいどっこいですが、距離15㎞ではなんと631円です。建設コストが高くついたことと利用者の少なさが原因のようですが、やはり大勢が利用すると安くなるんでしょうね。でも東京の地下鉄の混雑具合を考えると、どうしても「安かろう悪かろう」という言葉が浮かんできてしまいます。おっといつものことですが話が脱線してきたので今日はこの辺で。

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