北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ:グラフィックが大幅向上した堀井ミステリー第二弾は正統派

昨夕から雨が降り続いた札幌。強い南風が吹いたせいか気温は高めだったのですが、そのせいで今日は濃霧となりました。ノームよりシルフがいいなあなんて、そんな精霊駄洒落は受けませんか。

「なつゲー」の日曜日、本日は「ドラクエ」シリーズで知られる堀井雄二の推理アドベンチャー・ゲーム「北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ」です。

「オホーツクに消ゆ」は、1987年6月27日にファミコン版が発売されましたが、それ以前に1984年にPC-6001版とPC-8801版が、翌1985年にはPC-9801版とFM-7版・MSX版が発売されていました。このPCの機種だけでもう懐かしいですねえ。PC版では実在の風物が登場していましたが、ファミコン版では漫画家の荒井清和の手による漫画的表現に変わりました。


荒井清和は当時数あるファミコン攻略本の中でももっともユニークだった「ファミコン通信」(後に「ファミ通)」で「べーしっ君」を連載したほか、クロスレビューのレビュアーのイラストを手掛けていたので絵柄には馴染みがありました。

堀井ミステリー第一弾「ポートピア連続殺人事件」は、堀井雄二自らグラフィックを手掛けていたということで、その「画伯」ぶりを遺憾なく発揮していました(笑)が、「オホーツクに消ゆ」は本職の漫画家を登用したということで大幅にグラフィックが向上しました。

東京湾、晴海埠頭にて男の死体が発見される。主人公であるボスは部下の黒木五郞と共に被害者の身元を調査し、事件に北海道が関与している事を掴みます。北海道に渡った主人公は、釧路署の刑事である猿渡俊介(通称「シュン」)と共に捜査を始めますが、第二、第三の殺人事件が次々に起こってしまいます。犯人の目的は一体何なのか?被害者たちの関連性を調べていくうちに、ある重大な過去が浮かび上がってきます…

「オホーツクに消ゆ」はPC版からコマンド選択方式を採用していました。「ポートピア」など従来のアドベンチャーゲームは、プレイヤーが行動コマンドを考えてキーボードからコマンドを直接入力する必要がありましたが、あらかじめ登録されているコマンド以外は反応しないため、ゲームの進行が妨げられる場合が多かったのですが、本作ではプログラムされている単語が全て画面に表示されているため、そのような問題は解消されました。まあこれはこれで「コマンド総当たり」という、何も考えなくてもストーリーが進行してしまうという問題が生まれる訳ですが。


とりあえずファミコンをはじめ、家庭用ゲーム機にはキーボードがなかったので、コマンド選択方式は適した方式でした。そのため、以降のアドベンチャーゲームではコマンド選択方式が主流となりました。

え?ファミリーベーシックがあったじゃないか?確かにそういう周辺機器もありましたねえ。でもあれは誰もが買うというものではなくてですね…。少なくとも私の周辺にはファミリーベーシックを買ったという話は聞きませんでした。あと通常のパソコンでは、キーボードをゲーム用コントローラーとして使用できるのですが、ファミリーベーシックのキーボードはゲーム用コントローラーの代わりに使用することが出来ず、ドラクエシリーズなどの「ふっかつのじゅもん」入力にも対応してないかったのでした。そりゃあ売れない訳です。

しかし総当たりでのクリアを防ぐため、各所に特殊なフラグ立て(トランプに勝つ、捜査を中断するなど)を要求されることがあり、それに気づかないと延々と同じ場所を回るハメになったりします。捜査に行き詰まった場合、シュンとトランプのブラックジャックをして勝つと、シュンが物語進行の為のヒントをくれるのですが、私の記憶ではもっぱらブラックジャックで勝利して状況を打開していたような気がします。ブラックジャックをやりまくって事件を解決する「トランプ刑事」なんて新たなジャンルでどうですかね?


今回、シュンはヤスのようになることはなく、またメインヒロイン格の野村真紀子も沢木文江のようなることはなく、比較的正統派の推理ものとなっています。摩周湖や網走刑務所などの実在する観光地を舞台に繰り広げられるドラマティックなストーリーは高く評価されており、そのまま刑事ドラマなどにしても違和感は無いだろうと思います。


なお真紀子には中山めぐみという女子大生の幼馴染みがいて、浴場でバスタオル1枚の姿で登場したりするのですが、彼女がバスタオルを取ってオールヌードを披露する裏技が存在していたりします。徹夜続きでハイになっていたスタッフ間で、乳首の色をピンクにするかどうかで激論になったとか。睡眠不足は人間をバカにしてしまいますね。

物語のカギを握るアイテムとして涙のような掘り跡のついたニポポ人形が登場します。ニポポはアイヌの郷土玩具で、アイヌ語で「小さな木の子供」「人形」という意味があります。アイヌには、狩猟の際、ニポポに祈念すると必ず狩猟が成就するという信仰があり、狩猟で捕らえた動物を料理する際は、まずニポポの口に供えるという風習がありました。また、ニポポに願い事をして、それが成就された時は、ニポポの首に装身具を飾るそうです。

網走刑務所の受刑者が製作していることでも有名で、かつて網走駅前にはニポポ人形の形を模した電話ボックスが設置されていました。


2005年には携帯アプリ版も出ており、グラフィックの飛躍的向上には驚くばかりですが、20年前に登場したファミコンと比較しては酷というものでしょう。

前にも書いた気がしますが、堀井ミステリー三部作の掉尾を飾る「軽井沢誘拐案内」は、アダルト風味が加えられたシーンや大麻がらみの要素があったためか、唯一ファミコンに移植されることはありませんでした。21世紀に入ってからは携帯アプリになっていますが、今さらプレイする気にもなれず…。

本作の舞台が北海道となった理由について、堀井雄二は「当時、ゲーム創るのにロケハンして取材するってことはなかったんですよ。それをやってみたかったんですよね」「当時、ファミ通の編集が担当だったんですけど、彼が蟹が好きだったんですよ。で、ボクも蟹が好きだった」「編集的には会社のお金で蟹食いたかったみたい」などと語っています。まあ北海道は食の宝庫ですからねえ。でもカニなら北陸でも良かったんじゃ。その場合、「東尋坊に消ゆ」になってたりして。

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