北海道名物!(その16):道南の星・ラッキーピエロ

久しぶりに青空を見た気がする本日、立冬は過ぎたけど晩秋の穏やかな一日という感じでした。私は11月が一年で一番好きな月なんですが、それはずばり「何もない」月だから。そりゃあ全然ない訳じゃないですよ。七五三とかボジョレーヌーボー解禁とか、探せばそれなりにあるんですが、比較的静かに過ごせる月だなあと。我が誕生月である6月もやはり何もない月なんですが、あっちは雨が降ったり梅雨寒だったり、晴れれば暑かったりと面倒臭い月なんで、それほど寒くなくて静かな11月が好きです。

民俗学なんかで「ハレとケ」という世界観がありますが、ケの日があってこそハレの日が輝くわけで、年中お祭り騒ぎをしていてはいかんと思うわけですよ。ま、ボジョレーヌーボーは飲みますけど(笑)。あんなんは別にハレではありませんから。

本日は本当に久々に北海道名物を紹介しましょう。およそ3か月ぶり…もうネタが尽きたかと私も思っていましたよ。本日は北海道名物というよりは函館とか道南名物と言った方がふさわしいハンバーガーレストラン「ラッキーピエロ」を紹介したいと思います。

ラッキーピエロは通称「ラッピ」。創業は1987(昭和62)年6月で28年が経過しており、すっかり函館の名所となっています。ハンバーガーが名物ですが、ファストフードではなく、作り置きせずに注文を受けてから調理して提供する方式を採用しています。また店舗によって差違はありますが、カレー、オムライス、カツ丼、ピザなど他の料理も充実しており、確かにレストランという方が適切でしょう。

創業者は華僑の王一郎さん。日本人向けのハンバーガーショップを作ろうと、世界中を食べ歩いたということです。また かつては千葉で中華料理店をやっていたということで、中華の美味しさを取り入れたメニューを商品にしょうと思いたち、中華の技法を取り入れた中華味のハンバーガー「チャイニーズチキンバーガー」を開発しました。これは現在もラッピのナンバーワンメニューとなっています。

名前の由来は、王社長が子供の頃にサーカスが大好きだったので、ワクワクドキドキするサーカスのようなお店を作りたいと考えていたところ、最初は主役ではないが重要なキャラクターである「ピエロ」と付けたのだそうです。でもピエロには哀愁のイメージもあるので、「ラッキー」を付け足したのだそうです。

最初はライダー達の口コミで人気に火が付き、それからマスコミに取り上げられるようになったそうです。またロックバンドのGLAYのメンバーが函館にいたインディーズ時代に通いつめていたことが音楽番組で紹介され、一躍店舗が有名になりました。そして観光客に人気があるだけではいかんということで、地元の人に拍手喝采してもらうことを念頭に店作りをおこなったそうです。店舗は函館を中心に17店舗ありますが、フランチャイズではなく、一店舗一店舗が個性的で、メニューや値段設定が変わっているそうです。

またアルバイト従業員も“18歳から60歳位まで”と幅広い年齢層から募集しており、実際年配層の従業員が多いようです。おばちゃん達が多いと料理に信頼性が増すような気がしますし、地域に密着するという社長のコンセプトが実際に実行されていることがわかります。

個人的にはぜひ札幌でも味わいたいのですが、「地産地食」という言葉を使って地産地消を進めており、肉や米は北海道産を用い、野菜類は店舗のある函館近隣で栽培されたものを極力採用するなど、地元の食材を使用するようにしている関係で、道南地区以外への出店依頼を断っています(短期的に札幌に出店したことはあるそうですが)。

ラッピのもう一つの特徴は、安くてボリュームが多いことでしょう。ハンバーガーは二個食べると絶対胃にもたれます。いや、私は大食漢なので二個食べられましたけど、普通の人だと二個はかなり辛いでしょう。そして他のメニューも基本大ボリューム。しかも1000円を超えるメニューはめったくなく、胃袋と懐に優しいお店となっています。

主力のハンバーガーでは、甘辛いタレを絡めた鶏から揚げとレタス・マヨネーズなどを挟んだ「チャイニーズチキンバーガー」が一番人気となっています。王社長のママンが来客にチキン料理でもてなしていたそうで、ママンの得意料理とバーガーが結婚して素晴らしい子供が誕生しました。紀宮(現在の黒田清子氏)が野鳥観察の際に来店し、食されたこともあるとか。

二番人気はラッキーエッグバーガー。王社長は子供の頃目玉焼きが載ったハンバーグだ大好きだったということで
、社長お気に入りの一品です。ずっしり330グラム。

三番人気はトンカツバーガー。王社長が子供の頃、パパンに連れて行ってもらった喫茶店で注文していたカツサンドをイメージした「おやじの味」。

四番人気はテリヤキバーガー。照り焼きは日本が世界に誇る調理法だと思うのですよ。アメリカでは“teriyaki”が辞書に載っているほど定着しています。テリヤキバーガーはテリヤキソースで味付けしたハンバーグを挟んだ日本生まれのハンバーガーですが、マックなんかでは普通のハンバーガーより絶対テリヤキバーガーですよね。

そしてベスト4に入っていませんが、私が食べたことがあるのがベーコンエッグバーガー。ベーコン好きなんですよ。二番人気のラッキーエッグバーガーにベーコンとレタスが追加された発展強化型なんで、美味しくないわけが内。もちろんお値段も+αなんですが、とってもボリューミーです。

ラッピのハンバーガーはどれも基本的にでかくて分厚いので、袋から完全に出して食べると崩落の危機に見舞われます。そのため袋から出さずに袋に顔を突っ込んで食べることになるのですが、口元はソースなんかで汚れまくります。まあ後で拭けばなんとでもなるのですが、初々しいカップルとかの場合、相手の前ハンバーガーを貪ることができるかどうか。遠慮無く貪り食えるようになったら二人の仲も本物だったりして。

で、去年私はよく知らないままに「ハンバーガーなんて二個くらい食べないと腹がくちくならないZEベイビー!」と粋がってチャイニーズチキンバーガーとベーコンエッグバーガーをオーダーしたんですが……もう胃がもたれてもたれて。昼に食べたんですが、夜になってももたれ続けていましたよ。ラッピに失礼のないよう当然完食はしましたが。ハンバーガー美味しいです。でも一人二個は厳しいかも知れません。連れがいる場合、二人で3個をシェアとかなら無難かも知れません。フライドポテトとかスプリングロール(春巻き)、ラッキーボール(ごま風味揚げ団子)といったサイドメニューもありますが、これらをオーダーするならハンバーガーは絶対一個で。

THEフトッチョバーガーという一日限定20個の名物バーガーもあります。「元祖でぶや」(テレビ東京)の番組ロケで来店したパパイヤ鈴木と石塚英彦が原型を考案し、製品化されたそうです。フードファイター以外は一人で挑まない方が無難ではないかと思います。

さらに函館山ハンバーガーという三階建てのハンバーガーも。どうやって食べるのか?“ご当地ハンバーガーのチャンピオン。絶対元気になる最強で最高のハンバーガー。”とのことですが、元気になる前に完食できないと思います。

ハンバーガーばかりではありません。その他の料理も充実しているのですが、とりあえず私が食べたことのあるものだけ紹介しておきましょう。まずはカレー。各種ありますが、私がオーダーしたのは「函館焼きカレー」。大きなグラタン皿にカレーライス。その上にチーズと卵が乗ってオーブンで焼かれています。お皿も熱いので食べ方注意ですが、一皿に大満足の一品でした。

そしてオムライス。こちらも各種ありますが、私がオーダーしたのは「チャイニーズチキンオムライス」。オムライスにラッピ名物のチャイチキが添えられたボリューム満点な一品です。チキンもでかいのですが…なにはともあれオムライスがデカァァァァァいッ!オムライスなんて軽食みたいなもんだろうと思っていましたが、ラッピのオムライスはボリューム満点。それにチャイチキだもんで、やはり胃は夜までもたれまくりました。もちろん完食したけどNE!

このようにカレーやオムライスにも様々な種類がある上、店舗によっては焼きそばやスパゲッティ、ピザ、ラーメンなどまである充実ぶりで、毎月函館に行かないとなかなかメニュー制覇ができませんな。なお、作り置きはしてませんのでオーダーしてから出てくるまで、普通のレストラン並みにやや時間がかかりますが、テレフォンオーダーシステムがあり、電話で注文すれば指定の時間に合わせて調理され、待つことなく商品を手に入れることができるそうで、地元民はこれを多用している様子。

観光地として名高い函館ですが、北島三郎の「函館の女」で“灯りさざめく松風町”と謳われた夜の賑わいは今や昔。タクシーの運転手も「観光客が外に出てこない」と嘆いていました。ラッピは函館を中心とする道南地区の人々の「故郷の味」となることを目指しているということで、来春新幹線が開通したら、内地の人もぜひ函館を訪れ、味わって貰いたいものです。そしてついでに夜遊びもして、函館経済の活性化に一役買ってね。それで足りなきゃすすきのがあるSA!

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