芳本美代子の歌で妄想する「秒速5センチメートル」:明里の“セカンド・ラブ”

昨日から一転して曇って肌寒い札幌です。見渡せば春以降土手で咲きまくっていたアカツメクサも枯れてきて。まあこう寒いと無視も飛んでいませんから花咲かせても仕方ないような気がしますが、死に絶えたかと思ってもちょっと暖かい日があると出てきますからね、あいつらは。明日明後日はもっと寒いぜベイビー!

さて本日は「妄想秒速」です。今回は芳本美代子の「雨のハイスクール」で高校時代の明里の恋愛模様を妄想してみたいと思います。

現在の芳本美代子というと女優の印象が強いですが、芸能界入り当時はアイドルでした。俳優の金山一彦と1996年に結婚し、夫の女性問題で一時別居状態になるも復縁したりした挙げ句、やっぱり2013年に離婚となかなかに波瀾万丈な人生を送っているようですが、高岡早紀と同様、現在の彼女にはあまり関心がありません。

芳本美代子は1969年3月18日生れで山口県出身。1985年3月21日に「白いバスケットシューズ」でデビューしました。アイドル時代の相性はみっちょんでした。石川秀美の妹分とされ、愛くるしいルックスに反して体育会系的テイストがありました。

みっちょんデビューの85年には中山美穂・南野陽子・浅香唯・斉藤由貴・本田美奈子と、今も芸能界で活躍する有力新人アイドルがずらりとデビューしていました。中山美穂・南野陽子・浅香唯は工藤静香と共に80年代末に「アイドル四天王」と呼ばれましたし、南野陽子・浅香唯・斉藤由貴はそれぞれスケバン刑事の二代目、三代目、初代です。本田美奈子は惜しくも2005年に早逝してしまいましたが、むしろ亡くなってから評価が高まったような。

その他松本典子、後のバラドル森口博子、石野真子の妹の石野陽子(現いしのようこ)、アーティストに転進する森川美穂、武豊夫人の佐野量子などもいました。まさに多士済々。そうした強力ライバルに囲まれた芳本美代子は、さらに所属事務所から前年にデビューした菊池桃子の後継者的位置づけの志村香がほぼ同時にデビューした上、同年に始まった「夕やけニャンニャン」でおニャン子クラブが急速に台頭してきており、従来のアイドル像が変質していった時期でもありました。

ちなみに当時最も権威があった日本レコード大賞の1985年最優秀新人賞は中山美穂でしたが、候補者である新人賞受賞者は本田美奈子、小林明子、中山美穂、芳本美代子、松本典子でした。当時最も人気が高かった斉藤由貴は女優志向が強くて新人賞レースには全く参加せず、南野陽子や浅香唯はアイドルとして出遅れていた状態でした。同じ事務所の志村香はデビュー曲(尾崎亜美作品の「曇り、のち晴れ」)以降はすっかり伸び悩み、事務所としては芳本美代子推ししかない状況でわありましたが、よくぞトップ5に入ったみっちょんと褒めてやりたいところです。

音楽セールス的にはやや苦戦を強いられましたが、1990年までに19枚のシングルと10枚のアルバムを発表し、シングルは5枚がオリコンチャートでベスト10入りしました。アルバムも1枚がベスト10入りしているので、この時代に健闘したといえるでしょう。

「雨のハイスクール」は1985年9月11日リリースの3rdシングルで、レコード大賞ノミネート作品でもあります。作詞:松本隆、作曲:財津和夫、編曲:大村雅朗は当時のヒットメーカーを結集したと言ってよく、みっちょんに賭ける事務所の意気込みを感じます。

1st「白いバスケットシューズ」、2nd「プライベートレッスン」が明るき元気な曲調だったのに対し、本作は秋らしくしっとり落ち着いたイメージでしたが、そのイメージチェンジが新鮮だったのと、きら星のごとき同期のアイドル達の中にあって、そこそこ聴かせる歌唱力を持っていることを示せたのではないかと思います。オリコン最高位は15位、売り上げ枚数は4.5万枚と、興行成績的には凡庸でしたが、みっちょんはむしろ翌86年になってからの方が売れたという珍しいタイプのアイドルだったのです。

実は私、1986年12月16日リリースのベストアルバム「Pisces」を持っていますが、これには7thシングル「Auroraの少女」までは収録されています。86年中にリリースされた8thシングル「横顔のフィナーレ」も含め、初期みっちょん作品は非常に出来が良いと思います。一番良い曲でございますか。「アプリコット・キッス」…「青い靴」…いろいろございますなァ…ただ――たった一つだけというのならやはり…

この曲で妄想するのは、やはり本編でほとんど描かれていない明里のJK時代でしょう。明里の初恋&ファーストキスの相手はご承知のとおり貴樹なわけですが、結婚相手(祐一さん)は何度目の恋の相手なのでしょうか。

可能性としては二番目ということも有り得るわけですが、個人的には高校大学時代にも相手はいたんではないかと思うわけです。その根拠としては、本編第三話にちらっと映るJK明里の隣にいる男の姿があります。

さらに偽典扱いしておいて恐縮ですが、本編での突っ伏す明里の姿に関し、清家雪子のコミック版では男子生徒に告られて、貴樹に相談しようと手紙を書こうとしたものの、そんなこと書けないと突っ伏したシーンであるとされていました。

明里は器量よしなので、学生時代からもてたとしても不思議はありません。貴樹との文通が続いている間は、もっぱら一方的にアプローチされるばかりだったかも知れませんが、貴樹との連絡が途絶えて以降は必ずしも振ってばかりとは限らないでしょう。

余談ですが、貴樹と明里の連絡が途絶えたのは高校二年生の秋~冬頃ではないかと思っています。ポストに手紙が入っていないことでがっかりする貴樹が冬服を着ていることと、手紙が書けなくて突っ伏す明里の机の傍らにあるのが数Ⅱ・Aの教科書であることが根拠です。

なお明里がポスト前でがっかりしているシーンでは、明里のセーラー服は半袖です。ということは貴樹からの手紙が来なくなった方が早いのかも知れません。手紙を出さずに手紙が来るのを待っていたのか貴樹……

ということになると、「雨のハイスクール」のシチュは高三の秋ということになるのでが、いかがでしょう。高二の秋も有り得るのですが、それだと貴樹と連絡がなくなって直後すぎるので、ちょっとビッチな感じがしましてね。状況はやはり恋愛的に押されている明里なんですが、実は明里も憎からず思い始めていた…というところでしょうか。

Rainy day 見つめてたの
Rainy day あなたのこと
青くにじむ雨のハイスクール

静かすぎる図書館で
口説くなんて馬鹿ね
ほらみんなジロッと見る
どうするつもりよ
傘にかくれながら
急に秘密のkiss
腕を振りはらって
逃げた私

Rainy day 水のように
Rainy day 流れる愛
白く煙る雨のハイスクール

振られたよと 友だちに
言いふらした あなた
不意打ちにびっくりした
それだけなのにね
クラス中の人が
見てる前でいいわ
頬にkissをしよう
でもね 無理ね

Rainy day 見つめてたの
Rainy day あなたのこと
青くにじむ雨のハイスクール

横切る傘の波
赤い傘がポツン
揺れる瞳見たら
声をかけて

Rainy day 水のように
Rainy day 流れる愛
白く煙る雨のハイスクール

ということで、明里のセカンドラブは高三の秋ということにしたいと思います。ちょっと遅いですか?高二の秋にしたいのですが、種子島は本州より暑いので、その貴樹が冬服を着るというのは10月以降しかありえず、貴樹と切れた(言い方良くないですが)直後にクラスの男子生徒とこういう仲というのはちょっと性急すぎるような気がして。

……いや、やっぱり高二の秋かな。実は高二に進級した頃から彼に押しまくられていて、その彼を憎からず思うようになったことが貴樹との文通途絶の一因となったのかも知れません。とすると、貴樹と切れた秋にそのまま彼と…というシチュもさほどおかしくはないでしょう。

いずれにしても、明里は東京の大学に合格して上京するので、高校時代の彼とはそこで切れたのではないかと思います。受験勉強を考えると、高三の秋にわざわざ彼氏を作るとも思えないので、高二の秋に出来た彼だったけど、受験勉強にかまけて少しずつ疎遠になり、大学進学を機に完全に切れたということで。その間の進展状況ですが、いわゆる「恋のABC」ではBまでだったんではないかなと思います。明里の処女喪失は大学時代ということで。JKの間は処女でいて欲しい。別に処女厨ではないんですが、なんとなくリアル明里パパの祈りにも似た希望の波動を感じまして。

ところで「恋のABC」のBってなんですかね?私は“A=キス、B=ペッティング、C=セックス”だと思っていたのですが、巷ではB=ディープキス説やB=ベッドイン説もあるらしいです。B=ベッドインだとCはどうなるのだ。ちなみにDは横から見たお腹の形で、妊娠を意味すると聞いています。「がきデカ」のギャグでやっていた“ゼットォ~禁じられたゼ、ゼットォ~”のZは何になるんだろう。

それでは聴いてみてください。日本歌謡大賞新人賞受賞時と思われます。冒頭徳光さんらしいMCが。この時は本田美奈子と共に優秀放送音楽新人賞を受賞しています。
こちらはレコードからのフルバージョン。一枚絵ですが、安心して聴けます。
オールスター水泳大会で赤い水着姿で歌うみっちょん。生歌とは思えないので口パクではなかろうか。
レコード大賞の最優秀新人賞ノミネート時の歌唱。パンツスーツですな。MCは生島ヒロシ?
ちなみにデビュー当時は八重歯がチャームポイントでしたが、その後抜いて差し歯にしたそうです。日本では笑顔のアクセントとして魅力の一種とされる八重歯ですが、欧米では吸血鬼の牙を連想させるため歓迎されないようですよ。日本でも近年は歯列矯正が主流だから八重歯は肩身が狭いかもですね。

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