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封印作品の謎(その1):公開を禁じられた理由に迫るルポ

封印作品の謎

 今日は朝のにわか雨を皮切りに断続的に大雨となり、比較的暑さは控えめでした。もう30度超えは十分なんで、本格的な秋の到来を待ち望んでいるところなんですが、きっとまだまだ夏の組織的抵抗は続くのでしょうね。せめて熱帯夜は終わりにして欲しいものです。

 さて今日は、先日図書館から借りた「封印作品の謎」を紹介します。

 「封印作品の謎」の作者安藤健二は元新聞記者のジャーナリストで、この本を執筆したくて記者を辞めた人です。取り上げられているのは、再放送されない、あるいは単行本に収録されない「幻の作品」で、インターネットの世界では結構有名なものがそろっています。本書では、それらがなぜ「封印」されるに至ったのかを追及していきます。

 まずウルトラセブン第12話「遊星から愛をこめて」。

第12話タイトル

 この作品の存在自体はかなり有名です。ウルトラセブンの敵として登場するスペル星人を「被爆星人」と表現し、体にケロイド状の傷をつけたデザインをしていれば、そりゃ抗議が来て放送できないだろうと単純に考えていたのですが、本書を読むと、スペル星人は本編において「被爆星人」と呼称された訳ではなく、本放送後に第12話自体にクレームがあったわけでもなく、放送後何年も経ってから、小学館の学習雑誌の付録となった「かいじゅうけっせんカード」においてスペル星人が「ひばくせいじん」と紹介されていたことに端を発して抗議運動が起きたということです。すなわち、二次作品の問題が本家に波及してしまった形で、抗議した団体も実は本編を見ていなかったという事実が明らかになっています。

スペル星人

 脚本家や監督は反戦・反核の観点から作品を作ったといっており、怪獣・宇宙人をデザインした成田亨も当初は甲虫型の宇宙人を想定していたということで、関係者の小さな思惑の相違の積み重ねや、赤字解消のための二次作品の積極展開という会社の方針などが相まって「封印」という事態を招いてしまったということは残念です。

 封印されたということで見られないものは見てみたくなるのが人情、インターネット界では結構流出映像もあるそうですが、作品自体は必ずしも傑作ではないということですし、そもそも内容が問題だったわけでもないので、わくわくして見てみると肩すかしをくうことになるかも知れません。

 次は怪奇大作戦第24話「狂鬼人間」

第24話タイトル

 ウルトラセブンは説明不要かと思いますが、怪奇大作戦については少々解説を。ウルトラセブンの後番組として円谷プロが制作した特撮テレビドラマで、TBS系で1968年(昭和43年)9月15日から1969年(昭和44年)3月9日まで毎週日曜日19:00 - 19:30に全26話が放送されました。現代社会に発生する謎の科学犯罪に挑戦するSRI(科学捜査研究所)のメンバーたちの苦闘と活躍を描いていますが、怪獣ブームは去ったとの認識から、毎回登場する怪奇現象は、実は人間の手によって引き起こされた科学犯罪であり、これに立ち向かう正義の捜査チームという図式で構成されています。

 で、この第24話ですが、こちらは内容自体が問題作です。刑法第39条「心神喪失者の行為は、罰しない」がテーマになっていて、人為的に発狂状態になって殺人を犯して罪を免れようとする話です。心神喪失者に夫を殺された女性が、犯人が罪に問われないことを不条理と考え、復讐の意味を込めて人工的に発狂状態を作れる「脳波変調機」を使って、怨恨などから人を殺したいと考えている人を勧誘して発狂状態で殺人を行わせ、罪を逃れさせるという、かなり重いテーマを取り上げています。

狂鬼人間

 刑法第39条自体が議論のある条文なので、問題提起としては悪くないのですが、発狂状態になると必ず人を殺すのか、仮に殺すとしても対象の人を選びうるのかとかツッコミどころは色々あります。この辺、精神障害者関連の団体から抗議が来たらそれは封印しなければならないだろうとは思うのですが、本書を読んで、実は抗議らしい抗議はなかったのに封印されていることや、ウルトラセブンと違って関係者が完全に沈黙していること、背後に巨大な影がちらつく(あるいは影があるような示唆がなされる)ことなどから、封印に至った原因究明はなされていません。円谷プロの姿勢にも問題を感じますが、作品の赤字を版権とか二次作品で補填しなければならないという業界の構造が改善されないと問題は解決しないのかも知れませんね。

 続いては映画「ノストラダムスの大予言」

ノストラダムスの大予言パンフ

 五島勉の「ノストラダムスの大予言」は1973年に大ベストセラーとなり、当時の子供達は(大人もですが)1999年7月に世界は滅亡する者だと思っていました。それはそれとして、日常生活は大差なく過ごしていましたけど、「地下鉄サリン事件」を引き起こしたオウム真理教など、後世に計り知れない影響を与えた作品であると言えるでしょう。

ノストラダムスの大予言・本の表紙

 どうも70年代という時期は、バラ色の未来というものに懐疑的になり、公害や冷戦などでむしろ未来は灰色なんではないかという論調が主流になり始めた時期だったのではないかと思います。ゴジラ映画でもヘドラなんていう公害そのもののイメージの怪獣が出てきて、ゴジラ怪獣中最強ではないかという活躍をしていましたし。ノストラダムスの大予言以外にも、小学生の我々を恐怖のどん底に突き落とすような児童書がたくさんありました。学研のジュニアチャンピオンシリーズの「もしもの世界」とかは、ひたすら子供を怖がらせようとしているとしか思えませんでした。

ゴジラ対ヘドラ
もしも魚が一匹もいなくなったら
もしも酸素がなくなったら

もっともこちらとしても楳図かずおとか日野日出志の漫画と同レベルで怖がっていたので、本気で人類滅亡を恐れて夜も眠れないなんてことにはなりませんでした。それでも、漠然とした将来の不安の中の一部をノストラダムスの大予言が占めていた時期があったことは間違いありません。

児童向けの本の絵

 何があった!?生首が飛び交っています。怖がらせる以外に何を目的としているのか全くの謎。

 私自身は、中学生になった頃に高木彬光の「ノストラダムス大予言の秘密」を読んだことで「脱ノストラダムス」を果たすことができました。高木彬光は占いとか予言を肯定的に捉えながらも、ノストラダムスについては古いフランス語を丹念に翻訳することで、内容が「五島版」の訳とは全然異なっていることを明らかにしたり、海外の研究者の研究や解釈なども紹介して、「五島版」の解釈の矛盾などを突いています。とどめは、そもそもノストラダムスが自身の予言を西暦3797年までのものだと書簡で言っている事実から、1999年7月に人類が滅亡することはありえないという結論でした。確かに有名な例の予言でも「恐怖の大王が降ってくる」とは言っていても、それで人類が滅亡するとは言っていないのだから、人類滅亡は「五島版」の極端な解釈に過ぎないということが判って、それ以降はノストラダムスが云々という話を聞いても冷笑するだけになりました。

大予言の秘密

 私は子供の頃からオカルト大好きで霊とかUFOとか超能力を始めとするオカルト全般を信じていた(ビリーバーというヤツですか)のですが、この頃から急速に懐疑的になった気がします。もちろんテレビ番組は好きだったので矢追純一UFOスペシャルとかは真っ先に見てましたが、川口浩探検隊と同レベルの視聴になってました。おかげさまで今では極めてスケプティックです。
 脱線してしまいましたが、映画「ノストラダムスの大予言」は1974年に公開され、同年の邦画興業成績は第二位(第一位は前年からヒットしていた「日本沈没」)を記録したと言うことで大ヒットといえそうですが、私自身は全然記憶にありません。昔は映画を見ていなくても、テレビで番宣を徹底してやっていたので、エクソシストとかオーメンとかは映画を見ていなくてもCMは覚えているのですが、この映画の番宣はあったんでしょうかね。

 映画の内容自体かなり荒唐無稽で丹波哲郎が説教しまくるので面白くもないということですが、問題になったのは、被爆により発狂して人間を食べるニューギニアの原住民や、核戦争後の世界に登場する奇怪な人類の末裔の姿で、ウルトラセブンの第12話同様被爆者団体から抗議を受けています。抗議は公開直後から行われ、当該部分はカットした上で上映されたそうですが、公開自体は問題なく継続したそうです。なぜ後になって「封印」されるに至ったのか、そして98年突如ゲリラ的に発売されたのはなぜなのかについては読んで頂いたほうがいいと思いますが、良かれと思って作ったものが思惑に反して抗議を受けるのは、当事者にとって大きなトラウマになるのかも知れませんね。

 脱線で長くなったので、続きはまた明日ということにさせて下さい。
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懐かしいです

五島勉のノストラダムスの大予言!
どうしてあんなに流行ったんでしょう。
みんな信じていたから、私も信じてしまっていました。
「まあでも35年も生きれば悔いもあるまい」
などと、変な納得の仕方をしていたりして。。。^ ^;
(悔い有りまくり。。。)
当時の大人たちは、どう思っていたんですかね?

後は、もしもの世界!
あの本も強烈でした。(さすがに信じていなかったけど。。。)

「も・しも(君)の世界」とか言っていたのは内緒(苦笑)


Re: 懐かしいです

こんばんは、いらっしゃい。久しぶりですね。

ノストラダムスの大予言はシリーズで相当刊行したみたいですが、一番インパクトがあったのはやはり第一作でしょう。大人にもそれなりの影響はあったんじゃないでしょうか。高木彬光は若い女性がインタビューで「子供は作らない」と言っているのに心を痛めたことが「大予言の秘密」執筆の動機だったと言っていました。

学研ジュニアチャンピオンシリーズとかジャガーバックスとか懐かしいですね。子供にはああいうのが必要なんでしょうか?今時の子達はどういう本読んでるんでしょうかね。

No title

>学研ジュニアチャンピオンシリーズとかジャガーバックス

私も手持ち蔵書の処分をするため、ヤフオクに出品したことがあるのですが・・・。
あれよあれよという間に5000円以上の値がつき驚いたおぼえが。(古本屋で100円で買ってきた『日本の特攻兵器』だったと思う。)

ああいう、子供向きかつ濃い内容の書籍って今はないですよね。
「コロタン文庫」とか子供の数が多かった時代だからこそ成立したものだったのかも。

大伴昌司のイラストはトラウマだなあ・・・。

Re: No title

こんばんは、いらっしゃい。

「日本の特攻兵器」って(笑)。しかし子供はオカルトとか兵器とか大好きですよね。そして松本零士の戦場まんがシリーズを読み耽り、その後日本軍の兵器体系の現実を知ってがっかりすると(私だけ?)。

子供をびびらせようという、そればっかり考えて描いたイラストという感じでしたね。でもトラウマだなんだといいながら、記憶に残ってるんですよねえ。ジャガーバックスの「悪魔全書」は本気で欲しくて昔結構マジに探しました。今は…プランシーの「地獄の辞典」を持ってるからもういりませんけど。

ウルトラセブンは・・・

公害問題とか当時の社会を風刺した大人向けの作品だって以前テレビでやってました。
自分的には小難しい敵よりもお金が好きすぎてカネゴンになっちゃった金田少年の方がインパクトありましたが・・・(笑)

ノストラダムスに関しては、生に関して深く(?)考えさせる機会にはなったかも知れませんが、どうせ地球が滅ぶんだからって居直って好きなことをやるんだみたいな輩には辟易しました。

現在はおどろおどろしいものはマーケット的にウケないのか妖怪ウオッチもユルキャラですな(笑)

Re: ウルトラセブンは・・・

 junkyさんこんばんは、いらっしゃい。いつもありがとうございます。

> 公害問題とか当時の社会を風刺した大人向けの作品だって以前テレビでやってました。

 ウルトラマンに比べると陰険な宇宙人が多くて、ストーリーが暗いものが多かったかも知れません。ウルトラホークとかメカはずっと格好良くなり、アンヌはエロ可愛いのでそういう意味でも大きなお友達向けだったかも(笑)。

> 自分的には小難しい敵よりもお金が好きすぎてカネゴンになっちゃった金田少年の方がインパクトありましたが・・・(笑)

 カネゴンはウルトラマンの前作である「ウルトラQ」に登場した怪獣(?)です。見かけも走り方もキモいケムール人もそうですね。

> ノストラダムスに関しては、生に関して深く(?)考えさせる機会にはなったかも知れませんが、どうせ地球が滅ぶんだからって居直って好きなことをやるんだみたいな輩には辟易しました。

 「ちびまる子ちゃん」でもこのエピソードはありましたが、当時の子供はそれほど深刻には捉えていませんでした。多分子供にとって1999年というのは遥かに未来過ぎたのでしょう。なんだかんだと一日一日を過ごすので精一杯だったような。

> 現在はおどろおどろしいものはマーケット的にウケないのか妖怪ウオッチもユルキャラですな(笑)

 いろんな規制が強まってしまったような気がします。野放しが良いとも言えないのでしょうが、昔は2時間ドラマの中盤では当たり前のように脱いでいましたよね。あれはあれで楽しかったのですが…
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