ハイドライド・スペシャル:PCの名作を移植したのだけど…

昨日は雨が降るという予報を信じて傘を持ってウォーキングに行ったら降らず、今日は雨は降らないという予報を信じて傘を持っていかなかったら、大雨に降られてしまいました。水もしたたるいい男……道下くんは「ウホッ」と言ってくれるかな?(言われたくないけど)ま、運動する格好なので多少降られても平気といえば平気なんですが、帰って来てからYahoo!の天気予報を見たらさりげなく「晴時々曇」が「雨後曇」変更されていて笑いました。なんだこれは…たまげたなあ。

なつゲーを語る日曜日、一応ファミコン時代の初期から順にと思っているのですが、先週紹介した名作「ドラゴンクエスト」の前に買っていたゲームがあったことを思い出したので、正直スマンカッタと思いつつ本日紹介します。その名は「ハイドライド・スペシャル」。

昔の私はとってもパソコンが欲しかったのでした。インターネット?なにそれおいしいの?的時代に何がしたかったのかと言えば、兎にも角にもゲームです。「I/O」とか「ASCII」のようなパソコン雑誌を見るとですね、それはそれは面白そうなゲームの広告が満載でした。

エロゲーももちろん興味はあったのですが、それよりもRPGとかSLGとかADVいった分野がやりたかったんですね。しかしゲーム機にするには、当時のパソコンはあまりにも高価でした。飢えることこそありませんでしたが、鬼の哭く街A立区でもかなりの貧乏家庭に育った私にとって、当時のパソコンはまさに藤崎詩織のごときラスボスでした。

そこに降臨したのがゲーム専用機ファミコン。これの登場により私のパソコン熱は一気に低下することになり、実際に購入に及んだのは1998年とずいぶんと後になったのでした。とはいえ、初期のファミコンソフトは私が求めるRPGとかSLGが全くありませんでした。本格的RPGの登場はドラクエまで待つしかなかったのですが、私が求めるRPGに近いものはそれ以前に登場していたのでした。

まずディクスシステム第一弾として登場した「ゼルダの伝説」。1986年2月21日発売で、ファミコンと同じくらいの値段のディスクシステムを買わなければならなかったので、一週間ほど友だちの家に入り浸ってクリアさせてもらいました(超迷惑!)。ゼルダはアクションアドベンチャーゲームでしたが、剣と魔法のファンタジー世界は魅力的でした。ディクスシステムもこのクオリティを保っていればもっと売れたんでしょうがねえ…

当時のカセットの3倍の容量(シャア専用か)、PWM音源を駆使した美麗な音楽(ファミコン比)、データのセーブなど、数々のアドバンテージのあったディクスシステムですが、すぐに大容量カセットが登場したこと、バッテリーバックアップ機能が登場したこと、時代は磁気ディスクからCDに移りつつあったことなどから、90年代序盤には姿を消すことになってしまいました。とはいえ後に私も購入しましてゲームも遊びましたので、いずれ紹介していきましょう。

そして「ゼルダの伝説」の面白さにカセットで似たようなゲームはないかいなと思っていた私の元にやってきたのが本日紹介する「ハイドライド・スペシャル」だったのです。

オリジナルの「ハイドライドは」1984年12月13日にPC-8800シリーズ用が発売され、他の機種にも移植されていきました。当時のパソコンゲーム雑誌のランキングに発売以来2年間載り続け、「ハイドライド・シンドローム」と呼ばれました。ジャンルは「アクティブ・ロール・プレイング・ゲーム」でした。

「ハイドライド・スペシャル」は1986年3月18日に発売されました。何が「スペシャル」なのかというと、パソコン版で発売されていた「ハイドライド2」から魔法などの要素を取り入れたことによります。基本的にはパソコン版「ハイドライド」と大差はありませんでした。

人と妖精が共存する異世界の王国フェアリーランドでは、3つの宝石の力によって平和が保たれていました。しかし、悪い心を持ってしまった1人の人間により宝石の1つが奪われ、力の均衡を失ったことで、封印されていた悪魔バラリスが覚醒してしまいます。フェアリーランドはバラリスの魔力により崩壊し、国中には怪物がはびこりはじめ、アン王女は呪いにより妖精の姿にされ、いずこかへ連れ去られてしまいました。絶望的な状況の中、ジムと名乗る勇敢な若者が立ち上がります。

こうして「アクティブ」という名称付きではありますが、遂にファミコンにもRPGが登場したのでした。一応それ以前に「ドルアーガの塔」(1985年8月6日発売)というゲームがあり、アクションRPGと分類される場合もありますが、当時はアクションゲームと認識されていた記憶があります。

なお「頭脳戦艦ガル」(1985年12月14日)という、パッケージに思い切り「RPG」と銘打っていた「怪作」ゲームもありましたが、実態は完全に縦スクロールのシューティングゲームでしたので、自称はともかく公的には絶対認められないと思います。しかも「ハイドライド・スペシャル」のような「クソゲー」疑惑ではなく、完全に「クソゲー」認定されていますし。

「ハイドライド・スペシャル」を、名作ドラクエの至れり尽くせりとも言うべき親切なシステムと比較するのも酷な話なのかも知れませんが「クソゲー」と言われる要素はたくさんありました。まず攻撃は基本体当たりのみ。攻撃と防御の切り替えが可能なのですが、この使い分けがなかなかに難しくて。魔法もあるのですが、魔法で敵を倒しても、経験値は得られないという謎設計でした。BGMは単調なメロディの繰り返しでした。やはりすぎやまこういち先生は偉大です。

ゲームの最終目的はアン王女の救出と明言されてはいるのですが、当面何をすればいいのかが特に提示されず、何から手を付けていいかがわからない状態でした。パソコンゲームの、自ら目標を探し出すというスタイルをそのままファミコンに持ってきたので、より若年層が主体のファミコンユーザー(要するに子供達)を困惑させたのでした。必勝本を買えというこのなのでしょうか?

パスワードで電源を切っても保存できますが、実はレベル途中の経験値が保存できませんでした。故にレベルが上がった直後にパスワードを記録しないともったいないという。画面に表示されう文字が英語ばかりというのも子供達には取っつきが悪かったでしょうね。

そういう訳で、「RPGに初めて触れる子供達」をターゲットにして発売しながら、基本青年層が主体だったパソコン版をそのまま移植してしまい、子供達への対する配慮が足りないという部分が、「クソゲー」呼ばわりされる理由なのではないかと思います。

パソコンでは一世を風靡しただけに、アクションRPGとしての出来は悪くないのですが、RPGとしてはドラクエに、アクション物としてはゼルダに圧倒的に劣っていた本作は、パソコンでは名作と言われたゲームも、それなりの配慮をしないと失敗してしまうという「教訓」を残したのでした。「ハイドライド」シリーズは3作出ていますが、本作以後私が触れることはありませんでした。

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