8月の砂時計:夏になると聴きたくなる“終わらないバカンス”をあなたに

さあお盆です。「盆と正月」という言い回しがあるくらいで、正月と並ぶ日本の二大長期休暇……のはずなんですが、正月と違って休暇がしっかり制度化されていないため、帰省ラッシュとかはあるものの、休む人は休む、働く人は働くという期間になっていますね。企業によっては年末年始やゴールデンウィーク並みに長期休暇としているところもあるのでしょうが(うらやましい…)、そんなこともない私は空いた地下鉄で出勤するのでした。

そもそもこの時期のクソ暑い筑波嶺に帰っても、北海道の気候になじんだ身体に悪いばかりです。9月にシルバーウィークがあるからそこまで待ちますよ。といっても、来週あたり1日位休んでもいいですか?

8月にちなんだものはないかいな、と考えたら思い当たった曲がありました。今日はそれを紹介しましょう。野田幹子の「8月の砂時計」です。

野田幹子は1965年11月2日生で大阪府出身。1987年に「太陽・神様・少年」でデビューしました。柔らかい声質から「ベルベット・ヴォイス」とのキャッチフレーズがつけられ、同年齢・同年デビューである谷村有美の「クリスタル・ヴォイス」と対比されたりしました。

野田幹子の歌といえばミノルタのCMです。デビュー曲の「太陽・神様・少年」が、世界初のシステム一眼レフカメラであるミノルタの傑作機「α-7000」のCMに使用されたほか、1991年までにリリースした8枚のシングルのうち5曲までがミノルタのCMに使用されました。

余談ですが、ミノルタは1980年に宮崎美子を起用した「X-7」のCM(木陰で水着に着替えるやつです)が社会現象的大ヒットとなり、「X-7」はベストセラー機となり、宮崎美子も一役人気女優となりました。宮崎美子のCMは今見るとかなり太ましいのですが、当時は大評判でしたね。斉藤哲夫が歌ったCMソング「いまのキミはピカピカに光って」もヒットしました。

「α-7000」といい、「7」が付く製品がヒットするのがミノルタのジンクスなのかと思ったら……映画「ライトスタッフ」でも描かれた、NASAの「マーキュリー計画」において、米国初の有人地球周回飛行に成功した「フレンドシップ7」宇宙飛行用カメラとしてミノルタの35mmレンズシャッターカメラ「ハイマチック」が厳しい試験をクリアして採用されたのにちなんで、以後製品名称に「7」を多用するようになったのだそうです。

1997年9月にソムリエの資格を取得し、シンガーソングライターとの二足の草鞋を履きましたが、次第にソムリエ活動に重点を移し、現在はシニアソムリエおよびチーズプロフェッショナルの資格を持ち、六本木のワインバー「カノン(香音)」の店長を務め、田崎真也ワインスクールでワイン及びチーズの講師も務めているそうです。

私は1993年9月22日リリースのベスト盤「Smile」を持っているのですが、11枚リリースしたシングル中9枚までがこのベスト盤で聴けます。

「8月の砂時計」は1990年11月21日リリースの6thシングルで、ミノルタの「α-5700i」のCMで使われました。「α-5700i」はαシリーズの第二世代の中堅機で、初のフラッシュ内蔵型一眼レフカメラでした。内蔵フラッシュは現在はポップアップ式が主流ですが、当機は固定式で、ズーム機構により照射角が変化します。

「αショック」という表現があったほどにオートフォーカスで一世を風靡したミノルタですが、アメリカのハネウェル社との特許訴訟に破れて巨額の和解金を支払うことになったこと、デジタルカメラで大きく出遅れたことなどにより、ミノルタは2003年にコニカと合併して「コニカミノルタ」となりましたが、業績の悪化には抗せず、2006年には全ての写真関連分野から撤退を発表し、「α」ブランドを含むデジタル一眼レフカメラについてはソニーに譲渡し、長年続いたミノルタのカメラ事業は幕を閉じたのでした。

野田幹子もソムリエが主軸となってからの音楽活動はインディーズレーベルからのアルバム発表になりましたし、諸行無常ということでしょうかね。

「8月の砂時計」は作詞:野田幹子、作曲編曲杉真理(“まり”ではなく“まさみち”。♂)です。杉真理によると「フレンチポップスの90年代版を目指した」作品で、コーラスにも参加しています。4thアルバム「ヴァカンス・ヴァカンス」の先頭バッターも務めている曲ですが、夏だ!海だ!ヴァカンスだ!という明るさと爽やかさに満ちた曲です。

夏のドアいくつ開けたなら
追いつくのその背中に

8月の砂時計
まだこぼれないでね
恋にたどりつくまで

夏の日に現れたあの人は
太陽と腕をくみ笑いあうの
投げKiss紅い花ミ・アモーレ
風の中消えたけど本気よ

夏のドアいくつ開けたなら
追いつくのその背中に

8月の砂時計
まだこぼれないでね
恋にたどりつくまで

黄昏の桟橋へ連れてって
足跡をつけながらはしゃぐ渚
ひざこぞう白い砂ミ・アモーレ
私だけの少年でいてね

おかしいわあなたの辞書には
退屈も雨もないの

8月の砂時計
終わらないバカンス
2人に運んでね
脱ぎ捨てないでスニーカー
置き去りは嫌よ

虹のギター青い空ミ・アモーレ
心のままかきならすメロディー

秋が来て日焼けが消えても
そばにいて離さないで

8月の砂時計
永遠を刻んで
あなたにこぼれてく

8月の砂時計 With you
誰よりも好きなの I do

それでは聴いてみて下さい。「Smile」収録版で、冒頭の2小節の歌詞がありません。
画像に元SKE48の向田茉を使用したもの。良い感じなんですが、途中で終わってしまうのが残念。フルで作って!
う~ん、古い曲のせいかこれしか動画が見つかりませんでした。良い曲なんだけどなあ。ちなみにシングルのC/Wの「こぼれる水」の作詞はSF作家の大原まり子です。SF者を自称しつつ私、あまり読んだことがないのですが「一人で歩いていった猫」やとり・みきの漫画で「銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ」は知っています。

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