記憶に残る一言(その41):伊藤開司のセリフ(賭博破戒録カイジ)

本日は私のご贔屓声優・早見沙織のデビューシングル「やさしい希望」の発売日です。Amazonでは“数多くの主演作を(「赤髪の白雪姫」でも主役を担当)持ち、声優として、確固たる人気とポジションを得ている、早見沙織。「歌がうますぎる声優」として業界内外に広く認知されており、アーティストとしてデビューが待望されていた中、遂に本作で待望のアーティストデビュー!その透き通るような歌声は勿論のこと、自ら作詞も担当した本作は彼女の才能を余すところなく感じることの出来る渾身の作品となっている。”と宣伝されています。

個人的には歌が上手いのはずいぶん前から判っていたので、どうして今なんだろうかとも思いますが、最近はやみんはビジュアルが大幅に向上(本人比)しているので、ビジュアルの向上によりアーティストとしてのメディア露出に耐えると判断されてデビューに至ったのか、それともデビューが決まってからビジュアルを強化したものか。ググればおわかりのとおり、高校生の頃の彼女の画像には正直かなりブサイクなものがあります。これはすっぴんだからということもあるのでしょうが、女性って年ごとになると化けるものですね。

私は彼女の声と演技とラジオなどでで窺われる性格が好きなので、そもそもルックスは問題にしていなかったのですが、他が変わらなければ綺麗な方がいいに決まってます。ただ…高校生の頃の彼女の声の方が今よりも高くて声質としては好きだったかな、なんて。

さて、暑い日々が続いているので、本日の記憶に残る一言は、「賭博破戒録カイジ」から主人公カイジのセリフを。なるべく脇役とかのセリフを紹介したいのですが、季節的にこれは外せないでしょう。

「賭博破戒録カイジ」は福本伸行のギャンブル漫画で、2000年から2004年まで週刊ヤングマガジンで連載されました。「賭博破戒録カイジ」はカイジシリーズの二作目で第一作「賭博黙示録カイジ」に続くもので、その後も続編「賭博堕天録カイジ」「賭博堕天録カイジ 和也編」「賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編」が発表されて現在も連載中です。

自堕落な日々を過ごす主人公・伊藤開司(カイジ)が、友人の保証人となって多額の負債を抱えたことをきっかけに、危険なギャンブルの世界に足を踏み入れていきます。カイジは平穏な環境では怠惰で自堕落なダメ人間なの
ですが、命が懸かった極限の状態に置かれると並外れた度胸と博才を発揮し、「土壇場で奮い立つことが出来る人間」などと評されています。でも耳を削いだり指を切断されたりと壮絶な怪我を負った(後で接合したましたが)挙げ句、なんとか勝利しても平穏な生活に戻るとまた自堕落になってしまうという、もはや命がけのギャンブルの中でしか生きられない人間になってしまっている模様です。

「賭博破戒録カイジ」でのカイジは、背負った借金により逃亡生活を送っていたカイジが拉致され、「地下王国」という名の強制労働施設に送られてしまいます。ここは消費者金融を主体とする日本最大規模のコンツェルンでカイジの宿敵ともいうべき「帝愛グループ」幹部のための核シェルターで、多額の債務を背負った者たちを拉致して拡張工事が行われているのです。一応給与は支払われるのですが、「地下王国」でしか通用しない貨幣「ペリカ」でです。

日当は激安の35000ペリカ(=3500円)なのですが、そこから借金返済分及び食費・施設利用料の名目で9割も天引きされてしまい、手取りは3500ペリカ(=350円)、月給は91000ペリカ(=9100円)となります。その反面、ペリカで買える嗜好品の缶ビール一は本5000ペリカ(=500円)、ポテトチップ一袋3000ペリカ(=300円)、焼き鳥1パック7000ペリカ(=700円)というぼったくり価格になっています。

カイジは50万ペリカ(=5万円)で買える「一日外出券」を目指して全額使わずに貯めようとしますが…。初給料の日にグループの班長である大槻から「初給料のお祝い」として一本の缶ビールをおごられます。といっても135mlしか入っていないのですが、こんな小さい缶売っているんですね。だがこれは大槻班長の巧妙な罠だった…(やはりクリムゾン展開)

大槻班長のハイパードライ(笑)を前に、呻きながら思わず缶を握ってしまうカイジ。その冷たさに驚愕し、歓喜するカイジのセリフが今回の「記憶に残る一言」です。

真夏に思いっきり運動して汗をかきまくって、へとへとになって家に帰って熱いシャワーを浴びてから冷蔵庫から取り出したビールをキュッと、という時などに非常に使いたくなるセリフです。あ、下戸の人はコーラとかソフトドリンクでやってもそれなりに気分出ると思いますよ。

そして禁断のプルトップを引き、滲み出す泡。たまらずぐいっと行くカイジ。

このシーン、実に名シーンですね。これほどビールを美味しそうに飲む漫画キャラがかつていたでしょうか。たった135mlなのに。

そしてビールの感想を述べるカイジ。かつてこれほど褒め称えられたビールがあったでしょうか。ちょっとだけ残ったビールも一気に飲み干します。

やはり全然足りなくてみみっちく掌に滴を出して舐めるカイジ。強盗だってやりかねないほどのうまさだそうです。溜息をついて放心状態となったカイジ。スーパー賢者タイムか。

が、それは一瞬。すぐにその後、もっと飲みたくなって、「一日外出券」のために使うわけにはいかないという自分自身と葛藤すうカイジですが、基本自堕落なダメ人間なので、大槻班長の口車に乗ってビールのみならずぼったくり価格の焼き鳥やポテチに手を出し、「豪遊」してしまうカイジでした。
このシーンのアニメ版がありましたのでご覧下さい。カイジの声は俳優の萩原聖人が演じていますが、実に上手いです。そして転落ぶりもまた素晴らしい。それを煽る大槻班長の誘惑の上手さっぷりもいいです。シャカやキリストも堕ちるんじゃないかという感じです。41000ペリカと、給料の半分近くを使ってしまうカイジですが、これは実は4100円。それもボッタクリ価格なので、我々はコンビニに行けば2000円以下でカイジの「豪遊」を再現することが可能です。でも刹那とはいえ、カイジほどの満足を得ることはできないでしょうね。
「カイジ」は実写映画にもなっており、その出来には賛否両論があるらしいですが、カイジ役の藤原竜也の熱演により「このシーンは評価する」という人は多いようです。アニメ版との比較動画がありましたのでどうぞ。実写だとキリンの一番搾りみたいですが、350ml。5000ペリカもおごるとは大槻班長太っ腹ですね。500円と思うと大したことないけど。

なお、カイジが漫画で絶賛しているビールはアサヒのスーパードライですが、転落させるきっかけとなった135ml缶はあまりに小さいので、墓前とか仏壇に供える程度の需要しかないんじゃないかと思ったら、アサヒがアンケート調査したところ、“ビールは最初の一口が美味い”“350mlは多すぎる”“飲んでる内にぬるくなる”“おなかいっぱいになる”などの意見があって、それを踏まえ超ミニ缶と呼ばれる135ml缶の販売が開始されたのだそうです。あんまりコンビニとかではお目にかかれませんけどね。

なお、「東京カジノプロジェクト」というスマホのゲームのCMで元フィギュアスケーターの織田信成がカイジを演じています。鼻とか作ってますけど意外に似ていて驚きです。シチュは違いますが、この名セリフを叫んでいます。実写映画はこの人でも良かったのかも知れません。
いくらビールが美味しくなるとは言っても、さすがに地下労働所入りは勘弁ですが、この週末、暑いのを我慢して運動して、シャワーを浴びて冷蔵庫から出したドリンクを呷って「キンキンに冷えてやがるっ……!」とやってみたくなりますね。焼き鳥、肉じゃが、ポテチ、チーズちくわも揃えて「豪遊セット」も楽しそうです。これほどチープな「豪遊」はなかなかありません。



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