記憶に残る一言(その38):柳龍光のセリフ(バキ)

今日の札幌は昨日より8℃上がって28℃。10℃下がったり8℃あがったりと目まぐるしい限りです。来週は最高気温26-27℃あたりで推移するみたいですが、正直これ以上上がらないで欲しいです。札幌の家屋や施設は冬をむねとしているので、夏の暑さへの対応がなっていないのですよ。
徒然草第55段の話は昨年同時期にやったからもういいとして、最近ブログ拍手を良くいただいています。大変励みになるのでありがたいことです。本日までに、1057件の記事に1496件もの拍手をいただいています。よろしければこれからもよろしくお願いします。
本日もサブジャンルで3位なんですが、3位で「↓」というのもなかなかに凄い景色です。でもでもまあ順位の話はもういいですね。次は「てっぺん」獲った時にでもしたいです。
さて今日はこれもお久しぶりな「記憶に残る一言」です。常々当ブログで多用しているものなので“今さら”感もありますが、オリジナルは違うんだという説明をしたいと思いまして。
そのセリフとはずばりこれ。もう見慣れているかも知れません。ただしこの刃牙のセリフ、これだけではわかりにくいのですが、皮肉を言っているのです。
ええパパン、嫌味といってもあながち間違いではないでしょうね。でも刃牙がこのセリフを言うに当たってはそれなりの経緯というものがあるのですよ。隣のおじいちゃんも愉快そうに笑っているでしょう?
バキシリーズは超大河格闘漫画でして、親子ケンカで終了したのかと思いきや、今なおも続いています。今回のは、「グラップラー刃牙」「バキ」「範馬刃牙」「刃牙道」と続くシリーズ(他にスピンオフ作品もあります)の第二部「バキ」における「最凶死刑囚編」のエピソードでのセリフなのです。
第一部「グラップラー刃牙」の中盤以降は「最大トーナメント編」となっており、東京ドーム地下にある地下闘技場で世界中から集まった様々な格闘技の戦士達が戦ったのですが、第二部「バキ」前半の「最凶死刑囚編」は、最大トーナメント戦を戦った強力な地下闘技場戦士と、世界各地から脱獄して集結してきた5名の死刑囚たちとの戦いを描きます。
「最大トーナメント編」は「武器の使用以外すべてを認める」ルールで闘われましたが、こちらは何でもあり、すなわち武器の使用、戦う場所、人数、戦い方など全てを限定しない完全ノールールの戦いが描かれました。
5分間の無呼吸連打ができる巨漢スペックと花山薫の壮絶なる激闘とか、中国拳法を極め、「海王」の称号を持っているくせにあらゆる凶器や催眠術まで繰り出して戦うドリアン対愚地独歩など、キャラの立ちまくった死刑囚の中で、ひときわ地味に見えたのが日本人死刑囚柳龍光。
身長160センチに満たない小柄なおっさんなのですが、実はこの人、死刑囚最強ではないかと目されている人物です。暗殺術「空道」の最強の使い手で、修業で食いしばる事で奥歯が擦り減って無くなっており、腕前は師匠のマスター国松をも凌いでいます。さらにこのおっさん、作中最強レベルの渋川剛気とかつて戦って勝利しており、渋川先生の右目を奪った張本人でもあります。
龍光は様々な戦法を駆使します。まずは掌に真空を作り出す「空掌」。酸素濃度6%以下の空気を作り出す技と言っていましたが、これは空気の薄さと酸素濃度を混同していて、ゆでたまご以外は許されないレベルの空想科学なのでなかったことにしておきましょう。掌に強力な吸引力が生まれ、人の口に当て肺の中の空気を全て吸い出し酸欠に追い込み意識を飛ばす技で、防弾ガラスや壁を破ったり、相手の体の一部を吸い付けたりと意外に使い勝手のいい技です。
続いて様々な毒素を沈着させた「毒手」。適切な量で且つ適切な種類の毒草・毒虫・毒薬をすり潰した物を混ぜた砂に手を突っ込み消毒することを五日間繰り返す事で手に毒素を沈着させます。これにより触れるだけで相手を毒に犯す事が出来、その毒によって殺す事が出来るそうですが、修行には想像を絶する激痛が伴い、中には激痛を逃れるべく腕を自ら切り落とす者がいる程だそうです。
毒手といえば、「魁!!男塾」の男塾死天王最強の将・影慶や「闘将!!拉麺男」に登場した毒狼拳蛾蛇虫(ドクロ拳ガンダム)も使ってましたな。習得過程も似通っているようです。少林拳に存在する秘伝とかいう話もありますが…本当かいな。うかつに自分を掻いたり引っ掻いたりするとヤバイことになるので、日常生活は不便になりそうです。手袋必携。
鞭打。ぶっちゃけビンタなんですが、腕を液体化するイメージで打つ事により相手の皮膚を剥ぎ取る威力を発揮します。狙いが皮膚な為、いくら鍛えた肉体でもガード不可能で、とてつもない激痛が走ります。パパンの勇次郎には「女子供の護身術」とディスられていましたが、防御不能の攻撃力を持つ優秀な技で、勇次郎や刃牙も後に作中で使用しています。
刃牙の鞭打を受けた時の激痛をやせ我慢するパパンの顔がこれ。ものすごいことになっています。よっぽど痛かったんでしょうね。
暗器。中国武術における身体に隠し持つ事が出来る小さな武器の総称ですが、柳が使ったのは二つの巨大な鎌に糸を付けて高速で振り回す風神鎌や、手に装着する事で拳を握った時のみ指の間から歯を覗かせる"虎の爪"という名のインドの武器バグ・ナクなどでした。他に沸騰したお湯が入っているやかんをパスするという「やかんパス」(渋川先生に使用)というのもありますが、これは技というかなんというか。
刃牙の通う高校に用務員の振りをして潜入した柳さん、イギリス出身の死刑囚ドイルに教室を襲撃されて逃走してきた刃牙と遭遇します。逃げてこなかったらどうする気だったんでしょうか?草刈りの振りをして持っていた風神鎌を操って襲撃する際に柳が言ったのがオリジナルの「卑怯とは言うまいね」なのです。画像がないので代用で失礼します。
つまり素手の刃牙に武器を使うことに対し、これは格闘場での試合じゃなくて殺し合いなんだかんなー、そのあたりよーくわかってんだろーなーオイという主張ですね。
そこへ乱入してきたのが渋川先生。いきなりやかんパス返しです。中には熱湯!…ということで慌てる柳ですが、実はただの水。見事に渋川先生にリベンジされた訳です。これに対して柳はバグ・ナクを使用して渋川先生を流血させ、「もう少し遊ぶか」と余裕のセリフ。
これに対して渋川先生、殺し合いなんだから一対一なんてことはないんだぜと二人掛かりを宣言します。これに一瞬は唖然とした刃牙ですが…
すぐに事情を察知して余裕の表情となり、「卑怯とは言うまいね」返しをする訳です。「最強タッグ結成じゃ」は熱い展開だったんですが…
2対1の戦いとなり一方的に攻撃を受ける柳ですが、実は柳は本気ではなく、遊び半分の刃牙の力試しだったのです。本気を出した後は空掌で刃牙をあっさり倒し、一人残された渋川に敗北を宣告をし、パトカーの到着を察知して逃走していきます。
そういう訳で刃牙に完全勝利した数少ない登場キャラの一人なのですが、バキシリーズのキャラにありがちな「終盤のパワーダウン」のせいか、はたまた刃牙が梢江との「初体験」(これで単行本一巻描いているのが凄い)により超パワーアップしたせいか、終盤再登場して刃牙に挑んだ際は様相が異なります。毒手の鞭打を撃ち込む事に成功し、一気に戦いが有利になる…はずがなぜか効果が表れず(後に深刻なダメージをもたらしますが)、もっと強力な鞭打の反撃で追い込まれてしまいます。柳の言動は必ずブーメランのように帰ってくるので、某民○党のようなキャラですな。
柳の危機にロシアの死刑囚シコルスキーが颯爽と現れてニ対一で刃牙を追い込みますが、刃牙の策略で同士討ちさせられてしまいノックアウトされてしまいます。ここも前回の闘いのブーメランですね。
最後は渋川先生と決着を付けようと夜の公園に呼び出したところ、なぜか本部以蔵が乱入。本部といえば最大トーナメントで一回戦負けを喫するなど弱さに定評のあるキャラで、職業は解説と揶揄されていた男。一度は刃牙に完勝した柳相手ではどうにもうこうにも…と誰もが思いましたが、ここに奇跡が起こります。
日本刀、鎖分銅で圧倒され、「技量では私のはるか上を行くあなたが、何故これほど遅れを取るのか……。磨いた五体以外の何ものかに頼みを置く、そんな性根が技を曇らせる」と言われてしまいます。さっきから武器使いまくりのお前が言うなとツッコミたくなりますが(笑)。
ならばと丸腰で身構えますが、それでも「お忘れか…あなたはその…卑劣に仕込んだ右手に頼っている」となおも毒手を批判されてしまいます。そして毒手の右手を切り落とされ、あの本部以蔵から敗北宣告を受けるという史上最大の屈辱を受けます。さらにそこに範馬勇次郎がまさかの乱入!勇次郎からも敗北宣告をされてしまいます。あんた何もやってないやんと思ったら、柳もそう思ったらしく、「自他共に最強の称号を持つあんただが、この勝負の勝ち負けを決めるのはあんたではない」とツッコミます。
勇次郎パパン、その意見は正しいが反論するなら倒す!という思想の下、強烈な一撃を叩き込んで柳を完全ノックアウトします。その後の生死は一切不明です。
なお余談ですが、柳が刃牙や渋川先生に勝利していながら本部に負けたということにより(勇次郎に負けるのは当たり前なので別にいい)、本部以蔵>柳龍光>刃牙>アントニオ猪狩>金竜山>本部以蔵と言う妙なパワーバランスの輪が生じてしまいました。
また一方では本部以蔵>柳龍光>渋川剛気という構図も。しかし本編の描写からみて、渋川剛気>本部以蔵と言う事実は動かしがたい(というか動かしたくない。だって上みたいなこと言っているし)ので、この「刃牙世界」のパワーバランス崩壊はファンを大いに悩ませることになります。
“公園武装本部以蔵”というポジションを新たに作る事でジレンマを解消する事は可能になるそうです。これはあれです、「魁!!男塾」の鎮守直廊三人衆でも最弱だった男爵ディーノが「地獄の魔術師」モードでは結構強くなったというのと一緒ですよ。
“最強は誰か?バキキャラクター強さランキング40【完全版】”では本部以蔵は37位。死刑囚はスペックが22位、シコルスキーが21位、ドイルが20位、ドリアンが19位、柳龍光が18位となっています。渋川先生は11位。1位は勇次郎、2位は刃牙、3位はピクルですが、宮本武蔵はどこに入るんでしょうね。本部以蔵は第四部「刃牙道」でも烈海王に迫る強さを見せていますから、今では37位なんて低位ではないかも知れません。
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