ユーモアセンス今昔

30年以上前に買った角川文庫の「ポケットジョーク⑤ブラックユーモア」が本棚にありました。
中を開いてみると、ジョークのタイトルに赤丸が付いているものがあります。おそらく、当時面白いと思ったものをチェックしていたのだと思います。今見てみると、確かに面白いと思うものもたくさんあるのですが、「なぜこれを面白いと思ったのだろう」といぶかしく思えるものもあります。時の流れの中で成長したというべきなのか、単にセンスが変わっただけなのかよくわかりませんが。
今でも面白いなと思ったものと、「ナゼコレヲ選ンダノダロウ?」と思ったものをいくつか紹介してみたいと思います。
今でも面白いもの
① ロシア的性格
ソビエトの学校で教師が生徒にアメリカについて質問した。生徒は起立して、アメリカでは失業者が充満し、労働者は常に飢えていること、アメリカ南部では黒人に対するリンチが毎日のように横行していること、犯罪が多発し、社会生活は危険がいっぱいで、酔っ払いや麻薬常習者やギャングが昼日中から街中をうろうろし、好戦主義者がのさばりかえって戦争だ、戦争だと吠えたてている、と答えた。
「よろしい」教師が言った。「それでは今度は我が国が唱え実行しているスローガンを言ってみたまえ。」
「ハイ」生徒が答えた。「アメリカに追いつき、追い越せ、であります」
※ ソビエト・ロシアは残念ながらなくなってしまいました。中国に差し替えれば今でもいける?
② レベル向上
ジョージア州知事がフロリダを訪問した。テレビがインタビューにやってきて、ここのところ何万人というジョージア州民がフロリダに移住しているが、どう思うかと聞かれた。
「そのことについては」知事はにこやかに答えた。「この多数のジョージア州民のフロリダ移住は、両州住民の知的レベルを高めるために大いに貢献していると思いますな」
※ 日本でも使えそうなジョークですが、都道府県知事とかが使うと問題発言とか言われてしまうんでしょうね。
③ 道
ある日雨が降ってワシントンの道路はひどいぬかるみに変わった。人々は板を渡し、その上を歩いている。
ランドルフ代議士が細い板の上を歩いて行くと、向こうから政敵のヘンリー・クレイがやって来るではないか。二人がすれ違うには板は狭すぎる。
顔を真っ赤にしたヘンリー・クレイが言った。
「君、私は悪党には道を譲らん男だ」
「私はその反対ですな。いつも悪党には道を譲っとりますよ」とランドルフは言って、ぬかるみに降りたのである。
※ ランドルフは実在したアメリカの政治家のようで、ほかにもいろいろな逸話が載っています。いつかやってみたいアクションですが、ただ中々ぬかるみがない…
④ 最古の職業
三人の男が議論していた。医者と建築家と政治家だった。議論のテーマは彼らの職業のうち、どれがもっとも古くから存在していたかということだった。
医者は、自分の職業こそもっとも古いと主張した。神はアダムの肋骨からイヴを作ったが、これこそは外科手術が神の時代に存在していた証拠だというのだ。
建築家が言った。
「建築の方がもっと古い。神はまずこの世界を構築された。混沌の中からね」
「ふむ、それで」と政治家が初めて口を開いた。「その混沌をつくったのはだれかね」
※ 政治家に対する印象はどこの国でもそう変わらないということでしょうかね。
なぜ面白いとおもったのだろう?
① おお、神様
医学生が夏休みの間アルバイトをした。昼は肉屋の助手として、牛、豚などの屠殺から解体を手伝い、夜間は近くの病院で働いた。両方とも長い白衣を着てする仕事で、若者はそれを好都合だと喜んでいた。
ある夜、彼は病院で患者を手術室に運んだ。患者は神経質な女性だったが、ふと運び手を見上げ、びっくりして金切り声をあげた。
「おお、神様。この人、肉屋だわ」
※ 医学生なんだからずっと病院でアルバイトしたらいいのにとか、肉屋で働いたら白衣は血まみれで着回せないだろうとか思ってします。理屈っぽくなったんでしょうかね。
② 本心
ランドルフは妻の命日に墓参りした。妻の母親も一緒にいたせいか、ランドルフは熱心に祈った。「ミランダ、なぜ俺一人を残していってしまったんだ。この一年間、俺は孤独だった。思うのはお前のことばかり……。ああ、せめて、もう一度お前を抱きしめられたらなあ」
そのとき、墓の掃除をしていた母親が墓石の後ろからぬっと顔を出した。
腰を抜かさんばかりに驚いたランドルフは慌てて叫んだ。
「ばかなことをそるなミランダ!冗談がわからんのか」
※ このランドルフは政治家ランドルフとは別人のようです。さすがに妻とその母親では年齢が違いすぎないだろうか。姉あたりなら……
③ 将来
給仕の少年が嘘をついたことを発見して社長が言った。
「ジョー、恥を知りなさい。そんな嘘つきは将来どうなるか、良く考えるんだ」
ジョーはすかさず答えた。
「わかっています。販売部に行ってセールスマンにさせられるんです」
※ ベタといえばベタですが、会社で少年給仕をやとっているなんて、今時ない話ですね。しかも社長が直々に説教とは中小企業?
④ 幸いなことに
いつもより早く帰った夫に、妻が理由をたずねた。
「実は、社長が台の上からスピーチをしていたら、突然台が倒れちゃったんだ」
「まあ、大変。ひどい怪我をしたでしょう」
「いや、幸い社長の首のまわりのロープが身体を支えてくれたからね。こんな日じゃないと早く帰れない」
※ なんなんだ首のまわりのロープって(笑)。余計早く帰れない気がする…
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