記憶に残る一言(その163):カルロス・ゴーンの声明文(道の駅での書き初め)

台風13号は仙台に到る前に温帯低気圧になりましたが、千葉や茨城では記録的な大雨で被害が出ている様子。我が筑波嶺の自宅もちょっと心配なんですが、まあ周囲は災害が起きそうにない感じの所なので“便りがないのは良い便り”と思うことにしましょう。本日は「菊の節句」重陽ですが、この残暑はまだまだヒマワリという感じで菊という感じがしないですね。それでも日暮れは大分早くなってきましたが…

本日は3ヶ月ぶりに「記憶に残る一言」です。今回は日産自動車元会長カルロス・ゴーンの声明を紹介したいと思います。

カルロス・ゴーンはブラジル出身の実業家で、レバノンとフランスで学び、ミシュランやルノーで辣腕を振るい、ルノーと日産が資本提携した1999年に日産の最高執行責任者(COO)に就任し、家族とともに来日しました。しかし2018年11月に金融商品取引法違反で東京地検特捜部に逮捕されて会長職を解任されることに。


彼は無罪を主張していたので、てっきり以後は法廷闘争かと思われましたが、なんと保釈中の2019年12月に音響機材搬送用の箱に隠れて自分のビジネスジェットで密出国し、レバノンへ逃亡したのは皆さんご存じのところでしょう。

レバノンで公表した彼の声明はこれ。翻訳すると「私は今、レバノンにいる。もはや、有罪が予想される日本の偏った司法制度の下でのとらわれの身ではなくなった。そこでは差別がまん延し人権が侵害され、日本が順守すべき国際法や条約が全くもって軽んじられていた。私は裁判から逃れたのではなく、不公平さと政治的な迫害から解き放たれた。ようやくメディアと自由にやりとりできる身となり、来週から始めるつもりだ」ということです。冒頭の「私は今、レバノンにいる。」が記憶に残る一言。

なぜにレバノン?と思いますが、ゴーンの祖父がレバノン人でブラジルに移住したそうで、父はレバノン系ブラジル人、母はナイジェリア生まれのレバノン人だったということです。ブラジル生れといってもゴーンがブラジルで暮らしていたのは6才までで、その後レバノンに転居し、18才からパリで学んでいたということで、従前からこれら三つの国の国籍を持っていたんですね。

ゴーンの事件については、被告が保釈中に密出国して逃亡してしまったため、公判を開くことができず裁判が止まった状態ですが、共犯者には有罪判決が出て控訴中、日産は罰金刑が確定しています。

一緒にしていいのかわかりませんが、UAEに逃げて活動していた某ガーシーは結局インターポールから国際手配されたこともあって事実上の強制送還となってあえなく逮捕されましたが、ゴーンの場合はレバノン国籍を持っているので、強制送還というのはなかなか難しそうですね。

しかし2020年8月のベイルート港爆発事故において、ベイルートの住居は破壊されてしまったそうです。200人以上が死亡し、7,000人以上が負傷するという大きな爆発だったので、テロか?と思ってしまいますが、本当に事故だったようです。ゴーン夫妻は外出していて無事だったそうですが、家がなくなっては大変ですね…と思いきや、彼の住宅は東京、パリ、ベイルート、リオデジャネイロ、アムステルダム、ニューヨークにあるそうですよ。金持ちってヤツはまったく…。


ゴーンの海外逃亡は当然大きく報じられ、ネタにもなりました。Tシャツやエコバッグが販売されたりして。

中でも私が一番笑ったのは2020年正月の岩手県遠野市の「遠野風の丘」という道の駅での書き初め展示に登場したゴーンの書き初め。遠野にいたのかゴーン(笑)。「今」が抜けているのが非常に残念ですが、外国人の書き初めなら仕方がない(爆)。それにしても、書いた人のセンスには脱帽せざるを得ませんね。オリジナルの声明ではなく、の書き初めのせいで私の記憶に残ったと言っても過言ではありません。

隣の「打倒実習」という書き初めもよくわからない。実習生を打倒するのか実習授業を乗り越えるということなのか。ちゃんと書き初めしているものもありますが、ギャグに走っているものもあって、ほぼ大喜利状態のようです。

スポンサーサイト