2023夏季アニメの感想(その1):SYNDUALITY Noir/自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う/わたしの幸せな結婚/悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。

9月も本日で終わりですね。しかし暑い9月でした。仙台では今日になって突如として気温がぐっと下がり、それまで半袖短パンでウォーキングしていた(盛夏にはそれに加えて水冷タオル巻いたりスポドリ持ったり)のですが、今日はいきなり長袖長ジャージ。ウォーキングって、実は大した運動じゃないなあと気温が下がると思います。暑い頃は地獄だと思っていましたけどNE!

色々あってブログをサボっている間に夏季アニメも続々と終わっていて、早くも秋季アニメが始まったりしているので押っ取り刀で夏季アニメの感想を。まずは「SYNDUALITY Noir」。「青春ブタ野郎」シリーズの作者である鴨志田一が原案の作品で、漫画やゲームとメディアミックス展開をしているようです。


2242年、大災害後の崩壊した世界で再建を図る人間達と、災害後にはびこる異形の敵「エンダーズ」。エンダーズに対抗するのはクレイドルと呼ばれるロボットで、これを操縦してエネルギー採掘などを行っているのがドリフター。そしてそれをサポートするのが“人類の隣人”と呼ばれるメイガス。どうも設定的に「ファイブスター物語(FSS)」を連想してしまいます。ドリフター=騎士、メイガス=ファティマ、クレイドル=MH(今はGTMか)。


メイガスがいないとクレイドルは操縦できず、ドリフターとして認められないといったあたりもかなり類似しているなと。ま、クレイドルはそれほど最終兵器的な強さはないんですが。強いて例えると、騎士とファティマが一緒になってATを操縦しているといった感じでしょうか。世界観とか絵の綺麗さとか、結構いいのですが、展開がありきたりというか、のめり込んで見るほどの面白さがないという感じで。


原因は、世界がどうしてこうなっているのかをアニメでほとんど語らないから。Asyou knowな進め方をしているんですね。ゲーム版もあるそうなので、ゲームをプレイしていればそれでもいいのでしょうが、実はまだゲームはリリースされていないという罠。ま、そんな複雑な話ではないので、荒廃した未来で色々やっている的に把握していれば済むのですが。


主人公カナタが遺跡で発見したメイガスがノワール。彼女を専属メイガスとしたことでドリフターとなったカナタですが、基本万能アンドロイドであるはずのメイガスなのに、ノワールはやたらへっぽこ。その裏には大きな秘密が…というところで終了しました。またFSSで例えると、カナタはヨーン・バインツェル、ノワールはバーシャといった感じ。バーシャはエストの別人格(シークモード)でしたが、ノワールもミステルという本来の人格のセーフモードのようです。最終盤、ノワールが消えてミステルが出現しましたが、これからどうなるのというところで一期は終了。



メイガスはファティマのように美少女型が主流のようですが、おっさん型も結構いるよう。女好きなドリフターのメイガスはおっさん型というのはなんなんだろう(笑)。最初カナタは、明らかに美少女型メイガスのノワールを見つけても、「あ、メイガスみっけ」的な反応しかしなかったので、この世界の人はメイガスを性的に見るとかはないのかと思いましたが、後になって結構意識したりしていて、正直どういう感情を持っているのかよくわかりません。ファティマみたいに思いっきり性の対象にしたりなんなら子供を作ったりもできるのでしょうか。2期は来年1月放映予定なので見たらわかるのか。

「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」。「なろう」系異世界転生ものですが、ついに自動販売機に転生するというところまで到ったという。これが極北的作品になるのでしょうか。

意識は前世の人間のままですが、自販機なので身体は動かず、音声も録音済みの限られた言葉しかしゃべれないという中でどうやって冒険を繰り広げていくのか。まず自販機なら電源なしじゃあかんやろうと思いますが、その辺はあっさりクリアされているのがさすが「なろう」系。


怪力少女のラッミスと出会って意思の疎通に成功し、ハッコンと名付けられてドリンクや軽食を販売することでコインを稼ぎ、貯まったコインでスキルなどを獲得していく主人公。自販機ならありとあらゆる形態に変形できるというチートスキルを手に入れたせいで、迷宮でも大活躍していくことに。

発想は面白いと思いました。自販機でよくぞここまで話を転がせたと。しかし、防御結界を張るとか、明らかに自販機と関係のないスキルを持っていたりと、やはり自販機縛りには限界がある模様。それなら会話スキルとかも獲得できそうなものですが、意思疎通がスムーズになると自販機というユニーク性がなくなってしまうのかも。

ストーリー展開はかなり緩いので、ゲームでもしながら片手間に見ることが出来るお手軽仕様です。というか本作を集中して真剣に見ている人がいるなら、ある意味凄い。

「わたしの幸せな結婚」。「なろう」系ですが恋愛要素が多分に入っていて、「なろう」+ハーレクインといった趣の作品です。序盤はまさにシンデレラで、主人公美世は継母や異母妹に虐げられ続け、すべてを諦めて笑うことを忘れていました。


そこへパパンから冷酷無慈悲な軍人と噂される久堂家の当主・清霞の下へ行けとの命令が。婚約者候補なんだそうですが、これまで何人もの女性が追い出されていると。しかし実際は、何かを勘違いして来ている気位ばかり高い無能なお嬢様が嫌いなだけだったのでした。清霞に気に入られ、正式に婚約することになる美世。しかし、清霞の美貌を知った異母妹がしゃしゃり出て…

こういう展開だけだとただのハーレクインになってしまうと作者が思ったのか、「なろう」系要素としては、鬼、妖などの人に害をなす異形の存在と、これに対抗する異能があります。異能を持つ家柄が高貴な家柄になる模様。これは魔法が王族貴族にほぼ独占されているという一部の「なろう」系に近いですね。


美世のパパンは思い人がいたにも関わらず、政略結婚という形で美世のママンと結婚させられたのも、異能の家系のつながり故。それで生まれた美世が異能を持たず、美世ママンの死後ようやく結婚できた思い人との間に出来た娘に異能があったということが、姉妹格差を決定づけてしまいました。実際には美世には希少な異能があるのですが、理由があって封印されていました。まあこれで美世が虐げられていた理由はわからんではないのですが、継母(CVの植田佳奈はライトハローさんなのに)と異母妹(CVはあやねる)の性格の悪さよ。この人達がいい人だろ美世が引き立たないから仕方ないのでしょうが、あまりにもシンデレラなんだよなあ。

登場人物の頭の悪さも「なろう」系らしく、例えば清霞に一目惚れした異母妹がどうしたかというと、美世をさらって自宅に閉じ込め、「清霞を諦めろ」と着物を切ったりしていじめるという。そんなアホな。案の定清霞にばれて奪還にやってきて、結果的に自宅大炎上(文字通り)。頭が悪いといえば美世パパンとかもそうで、基本悪役は全員頭が悪いです。

後半美世の従兄弟の鶴木新というキャラが登場し、対異能者戦に特化していてそれまでチート無双していた清霞に勝つほどでしたが、これで美世をNTRか…と思いきや、悪人になりきれず美世が清霞を救うのを手助けしてしまう有様。

美世のCV上田麗奈はもちろん普通のヒロインも演じられますが、ヤバイ役でひときわ輝く人なので、最終盤に登場した闇落ち美世とか最高でした。なので鶴木に抱かれて子を身籠もってしまい、それでも清霞との絆は生きるのかといった愛憎ドロドロ世界を期待したのですが…ま、「なろう」系にそんな期待する方が間違ってますな。

「悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。」。「なろう」系でも「乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…」以来増えた悪役令嬢もののバリエーションで、こちらは悪役令嬢どころじゃなく、将来亡国女王になるという第一王女が主人公になっています。


例によって突如として乙女ゲーム「君と一筋の光を」の世界に転生していることに気づいた主人公。転生したのはフリージア王国の第一王女プライドで、女系が王位を継承する王国にあってはバリバリの王位継承第一位。プライドはゲーム内にあってはラスボスという立ち位置のため、頭脳と戦闘力はチートと呼べる存在で、ゲーム内では数々の悪行を行う悪逆非道なド外道女王でした。

自分を救うというよりも、将来自分が引き起こすであろう悲劇を未然に防ぐために奔走していくプライド。そのため、「本来ならこうであった展開」が度々差し込まれ、変革した現世との落差を示すのですが、プライドのCVファイルーズあいは、明らかに外道女王モードの時のほうが生き生きしている(笑)。


というかプライド本人は本来の世界(ゲームの世界)と今の世界の違いを認識できるのですが、他の人々にとっては本来の世界なんて存在しないので、プライドがひたすら英明かつ慈悲深い理想の王女にしか見えません。なのでサブタイトルには毎回「外道王女」とか「最低王女」とか「残酷王女」とか入るのですが、展開は全くそんなことはないという。詐欺タイトル的作品でした。主要キャラは全員プライドが大好きですから。

プライドがひたすらいい人をやっていくので悲劇に見舞われるはずだった人々がみんなプライドの信奉者になっていくあたりは「はめふら」に近いですね。本来なら主人公としてプライドを倒すはずの第二王女のティアラとも仲睦まじく、それはいいのですが、姉がやたら自分だけは護らねば的言動を取るのを不思議がっているので、ラスボスがヒロインに成り代わったことで、ヒロインがヒールターンしてラスボス化したりしないのかちょっと不安。

というのも昔プレイした「Zill O'll」(ジルオール)というゲームに「光の王女」ティアナと「盲目の王女」アトレイア(二人は従姉妹関係)が登場し、普通にプレイしているとアトレイヤが闇落ちして「闇の王女」になるのですが、アトレイアを救うとティアナが闇落ちしてしまい、どちらも救うことは不可能という展開だったんですよね。どっちが闇落ちしてもいいことはないのですが、本来闇落ちしないティアナを運命をねじ曲げるような形で闇落ちさせてしまった時の彼女の怖さはちょっと驚くほどでした。本作の乙女ゲーム「君と一筋の光を」がそういう構造になっていなければいいのですが…。

ジルオールってまだ取り上げていなかったような。何度リメイクしても完成しないという作品で、グラフィックが荒かったりしましたが、独特の味があって結構好きでした。あらゆる強者を最終的には瞬殺できるようになる主人公が素敵。
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