2021年秋季アニメの感想(その3):takt op.Destiny/古見さんは、コミュ症です。/世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する

クリスマスに引き続き寒波到来で、全国的に無茶苦茶寒いですね。温暖なはずの瀬戸内でも風花が舞っております。最低気温が0度未満じゃないと冬日にならないそうなので、最低気温2度の高松は冬日じゃないとおっしゃいますが、最高気温6度は充分冬日でいいんじゃないかと思います。

秋季アニメの感想を続けましょう。年内に終わらせたかったのですが、年をまたいだ作品やまだ見終わっていない作品があるので年を越してしまいますね。ま、単に気分の問題なんで大したことはないのですが。それではまずは「takt op.Destiny」。

開始早々、戦闘シーンの美しさで評判となった作品です。MAPPAとMADHOUSEという評価の高いアニメ制作会社の合作ということもあり、最後まで作画崩壊もなく終了しましたが…戦闘シーンを除くと?が多い作品でした。

黒い隕石から出現した謎の敵D2はあらゆる音楽を忌み嫌い、それを奏でる人間を蹂躙し尽くすという怪物です。D2には通常の武器は全く効かず、これに対抗する防衛組織シンフォニカは、対D2兵器・ムジカートを投入します。少女をベースに、名だたる作曲家の作品を身に宿すムジカートは、華麗に戦ってD2を倒しますが、最前線でムジカートを指揮する人間がコンダクターと呼ばれ、ムジカートの能力を最大まで引き出せるそうです。


シンフォニカにより安全が宣せられ、再び音楽を取り戻せたということで、10年前に死去した名指揮者・朝雛ケンジの息子で、卓越したピアノの腕を持つ朝雛タクトは公衆の前でピアノ演奏を披露しますが、なぜか襲来したD2の攻撃により幼馴染のコゼットが瀕死の重傷を負います。しかしその時、コゼットの身体にベートーヴェンの交響曲第5番「運命」が宿り、ムジカートとして転生することに。タクトはコンダクターとなって運命と共にD2を撃破します。

「運命」は姿はコゼットのままでも人格や記憶は全く留めておらず、また異常な形での覚醒だったらしく、コンダクターであるタクトの生命力を吸い上げて力を発揮するので、戦えば戦うほどタクトは消耗することに。この状況を打開するためにコゼットの姉アンナの引率でシンフォニカの本部があるニューヨークへ向かうことになった3人。途中までは3人の旅を描いたロードムービー風の展開です。

何となく「エヴァンゲリオン」に近い感じがある作品でした。全く訳の分からない敵・D2は使徒。対抗組織シンフォニカはネルフ、ムジカートはエヴァでコンダクターはパイロットという感じでしょうか。しかし、同じく謎多い状況から始まった「エヴァンゲリオン」が、話数が進むごとに小出しながらも様々な秘密を明らかにしていったのに対し、本作は謎が全く解明されていません。

D2と戦うはずのシンフォニカがD2を操っていたという衝撃的状況は、実は最高責任者が精神異常になっていたからというとんでもないオチになっていましたが、結局謎は全部投げっぱなしになっていました。なぜなら全ては2022年開始予定のスマホゲームの前日譚だったから。


「ね?ミステリアスでしょ?面白いでしょ?じゃあゲームやってね」という感じでしょうか。ゲーム版のムジカート「運命」のCVは本渡楓で、アニメ版の「運命」のCVはコゼット役だった若山詩音。なんで?と思ったらラストで一応謎は明かされました。コゼット版「運命」はタクトを救うためにその身を捧げてUSBメモリーのようなもの(ムジカートの本体?)に変わってしまい、コゼットの姉アンナがその意思を引き継いで「運命」に変身していました。

タクトと「運命」、レニーと「巨人」のように、コンダクターとムジカートはペアで存在しているのか思いきや、コンダクターのいないムジカートもおり、一対一対応というわけではないようです。多分ゲームだとマイキャラのコンダクターであるらしいタクトが複数のムジカートを操るんでしょう。ま、私はゲームはやらないと思いますが。

個人的には「巨人(タイタンと読む)」が好きでした。ふわふわした感じで社交性が高く、レニーとの仲も非常に良くて。CVは伊藤美来で、はっきり言えば「白い砂のアクアトープ」の主人公海咲野くくるよりもタイタンを演じている方が良かったと思います。

またドSかつドMという訳の判らないムジカート「地獄」はCVが上田麗奈でしたが、彼女も性格異常者とかやると妙にどハマりするんですよね。役柄に入り込む憑依系らしいですが、個人的には後出のディアのような美少女役を演じている時が好きです。でも演技の幅が広いことは実に素晴らしい。

次は「古見さんは、コミュ症です。」。少年サンデー連載中の人気漫画が原作です。コミュ症のJKと普通の男子高校生(DKと言うのでしょうか)の交流を描いたコメディですが、登場キャラの大半が妙な性癖を持っているので、癖が強い面々の中ではコミュ症程度は全然目立ちません。

とはいえ古見さんのコミュ症の程度は、ほぼ会話が不能で筆談でなんとかコミュニケーションが取れるというほど重症なので、日常生活にも多々不便な面があるのですが、ここまでいじめに遭ったりしてないのは作中屈指の美少女だからでしょうか。無口な美少女は神秘的に見えるせいか、周囲からはあがめ奉られているので、リアルにコミュ症の人にとってはむしろ羨ましかったりして。


しかしせっかくアニメの主人公役をゲットしても、ろくにセリフがないというのはどんなもんでしょうかね。相方の只野君が、古見さんの言わんとしていることを把握して代わってセリフにするので、こっちは通常の二倍しゃべるという。


この人達の通う伊旦(異端?)高校は、県内有数の進学校ながら筆記試験は体面上実施しているだけで、事実上試験方法は面接のみ。合格基準は個性で、「奇人・変人・はぐれ者・異端者」といった癖の強い者だけが集まる学校!なんだそうです。だとしたら全てにおいて普通の只野君はどうして合格したのでしょうか。あらゆる面において普通というのもちょっとおかしいという判断だったのか。


最終回でやってた女装がやたら可愛かったのも「普通に」似合っていたということなんでしょうか。自称“みんなの幼なじみ”長名なじみという性別不明なキャラもいるので、今後は女装で登場した方がいいような。



ヤンデレ、中二病、ヤンデレと個性豊かな面々を相手に「友達を百人作る」ことを目標にする古見さんと只野君。日高里菜演じるヤンデレ・山井恋は特にインパクトのあるエピソードを炸裂させてましたが、日高さんは「ネトゲの嫁」の亜子以来、ヤンデレ演技に定評あるから。小倉唯の真似をしているかのような演技に聞こえたのは気のせいでしょうか。

普通にコミュニケーションしたいと願いつつ、結局最後までコミュ症は治らなかった古見さんですが、はぶられている訳でも虐められている訳でもない学校生活は普通に楽しそうなので、このままではコミュ症はとても治らない気が。個性的なキャラばかりの中、私のお気に入りは普通にいい人の尾根峰ねね。なぜこんないい人がこんな妙な学校に入ったんだろう。原作の人気投票では古見さん、只野君に続く3位らしいので、みんなわかってるなあ(笑)。

最後に「世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する」。実は私、本作を今季のNo.1だと思っています。異論は認めますが、毎週見るのを楽しみにしていました。

タイトルの長さからお察しのとおりバリバリの「なろう」系で、しかも原作者は月夜涙。本年冬季アニメでいろんな意味で話題となった、かの「回復術士のやり直し」の作者でもあります。一言で言えばとにかく癖が強い作品でしたね。

「なろう」系だし、そういう作者の作品ということで、最初は特に期待していなかったのですが、期待値が低かったせいか、予想を超えて良作でした。聞くところによると、原作既刊6巻のところ、1巻分だけでアニメの12話を作っているとか。とすると、アニメ制作陣が超有能だったのかも知れません。

「世界最高の暗殺者」の呼び声の高い男が、最後の仕事の後に口封じのために所属組織から暗殺されてしまいますが、死後に女神から異世界で勇者の暗殺を依頼されることに。これを承諾した彼は、知識や経験を有したまま、有用なスキルを選んで転生しますが、転生先は王国で暗殺を請け負う任務を持つ貴族の家でした。

ということで、最初から使命を持ち、前世から極めて有効な知識と経験を引き継ぎ、幼少期から使命感を持って暗殺貴族の秘術を継承し、魔法まで修めるということで、同じ異世界転生にしても、前世がろくでもなかった「無職転生」とは大違いです。もちろん「なろう」系の大河ドラマである「無職転生」がダメな訳はないですが、ベクトルが全く異なる本作もそれはそれで良かったと。

当初から卓越した暗殺技術を持っていた主人公(ルーグ)ですが、異世界の魔法については不案内だったので、「無職転生」のロキシーのごとく師匠が付きます。それが親戚の美少女ディアで、彼女との交流により既存の魔法のみならず、これまでなかった新たな魔法を編み出すようになります。



「なろう」系らしい異世界ハーレム展開もちゃんとあって、正妻格のディアの他、野獣の餌食になりそうなところを助けたタルトが専属メイド、ストリートチルドレンながら少女達を集めて自活していたマーハがルーグの仮装身分・イルグ(商人)の妹となります。3人とも美人で、ディアは魔法、タルトは暗殺術、マーハは商売と諜報活動と役割分担をしていますが、3人ともルーグが大好き。ルーグは見かけは美少年ショタですが、なにしろ前世は渋いおっさんだったので、精神年齢の高さとか知識と経験が生み出す“大人の余裕”も持ち合わせているので、そりゃあもてるでしょうね。

異世界のパパンもママンも素敵で、パパンは歴代最強と言われながら性格は穏やかで、ママンは若くておっとりしていて可愛らしい。CVたかはし智秋なのに(笑)。

1話で12話より後のエピソード(ルーグが三人を従えて暗殺作戦を実施)を描いていたほか、前世の渋いおっさん時代の最後の日々を描いており、この1話の出来が非常に良くて期待を持たせてくれたのですが、最後まで期待を裏切らない出来でとても良かったです。


なお勇者の暗殺を依頼した女神(CV田村ゆかり)は相当胡散臭く、さらなる上位存在に仕えているらしいほか、他にも様々な「世界最高」に声を掛けていました。「世界最高の特殊部隊員」とか「世界最高の侍」とか。これらはルーグ以前に依頼して転生させたのですが、ことごとく失敗しており、毎回のお約束ギャグみたいになっていました。「世界最高のMC」とか「世界最高のパパラッチ」とかは完全に遊んでただろ(笑)。でも最後の「世界最高の教師」だけは…

神器「魔槍ゲイボルグ」を持つ狂戦士セタンタを、勇者かも知れないと思いつつ、決闘のふりをしつつ暗殺してしまうルーグ。女神との契約では「勇者が魔王を倒すまでは暗殺してはならない」という条件があったので、プロとは思えないやり方じゃないかと思いましたが、もちろん勇者は別にいました。バーサーカーが勇者ではやはりヤバいか(笑)。

最後にちらっと出てきたのが勇者らしいので、これから本当の物語が始まるというところで終わったので、2期をはよはよといった感じです。これくらい丁寧に作ってくれるならとても良いシリーズになりそうですが。

私としては珍しく、ハーレム要員の三人娘は全員好きです。ディアはCV上田麗奈で、これこそ彼女の魅力の真骨頂という感じのキャラです。おっさんの心を持つルーグが結婚を考えていると公言したほどなので、単にルックスだけでなく、性格や能力も魅力的だったのでしょう。

タルトはCV高田憂希。「メイドラゴン」のエルマの印象が強かったですが、ロリキャラも上手いですね。ルーグの道具であることを自覚していて、それでなおルーグを慕うという子犬系とでもいうキャラですね。


マーハはCV下地紫野。「シャドーハウス」のお披露目に落ちた生き人形・ラムを演じていましたね。昔はお嬢様だったのに辛酸を舐める生活に落ち、それでも仲間を集めて自活の道を作ろうとしていた、顔に似合わぬバイタリティ溢れる少女です。仲間の少女達が悲惨な目に遭い、次は自分というところでルーグに救われたことで、密かに夢見ていた「いつか、王子様が」が叶ったくだりは非常に良かった。

仲間の少女達はアニメオリジナルのようですが、酷い目にあったものの全員ルーグによって解放され、以前のようにマーハの下で以前よりずっと良い環境で働けるようになったので、間接的ながらルーグの良き部下になりそうです。

今年も一年お世話になりました。来年はいよいよ当ブログも10周年です。途中からは完全に週末ブロガーでしたが、我ながらよくここまで続いたものです。来年もよろしくお願いします。良いお年を!
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