2021年秋季アニメ序盤の感想(その4):異世界食堂2/ブルーピリオド/最果てのパラディン

ハロウィンですね。渋谷は毎年ヒャッハーな輩による世紀末的状況でになっていましたが、コロナ禍以降はどうなんでしょうか。今は妙に感染状況が落ち着いているので、今年は♪YouはShock 愛で空が落ちてくる♪になってしまうのか。

2021年秋季アニメ序盤の感想も最終回です。私が視聴していない作品にも傑作の呼び声のあるものがたくさんあるようで、やはり今季は豊作のようです。しかしこれ以上はちょっとキャパオーバーなので、定評が確立した作品は後日(来年とか)見ることにしましょう。ではまず「異世界食堂2」。5話まで視聴しました。第1期は2017年夏アニメで、4年ぶりの第2期となります。制作会社やキャラデザは変わっていますが、第1期とほぼ変わらないクオリティのように思えます。

毎週土曜日に様々な異世界とつながる不思議なレストラン「洋食のねこや」。訪れる異世界の客たちと絶品の料理を通じての交流を描いています。いわゆる深夜の飯テロアニメですね。原作は「なろう」系ですが、そうとは思えないほど短いタイトルがいいですね。類似の作品として「異世界居酒屋『のぶ』」という作品があって、原作は「のぶ」の方が早く登場しているのですが、アニメ化は本作の方が先だったせいで、「のぶ」が本作のパチモンのように思われてしまったという。本作はいろんな異世界に扉が出現するので多種多様な客が来るのに対し、「のぶ」は一つの異世界の一つの街にだけ繋がっています。個人的には本作の方が好きです。


店主・ウェイトレスや主要な客は既に第1期に登場しており、なぜ「ねこや」が異世界食堂になったかなどについても説明されています。一見一般人のような店主も実は異世界人の血を引いている(父方の祖母が異世界の勇者だった)のですが、本人は知りません。馴染み客同士はなぜかお気に入りのメニュー名で呼び合うという不思議なルールがあり、メンチカツとかエビフライとか言い合っていますが、美味い料理はたくさんあるのだから違うモノを食べればいいのに。


客は人間以外の亜人も多く、名だたる武人や魔法使いもいますが、強大な力を持つ「赤の女王」が守っているほか、知り合いで同等の力を持つ「黒」をウェイトレスにしているので、店に危害を加えることは
ほぼ不可能です。もっとも店がなくなったら料理を食べられなくなるので馴染み客はほぼ全員店を守ろうとするでしょうが。

何らかの形で「ねこや」に繋がる「異世界の扉」を発見した異世界人と、彼らが食する料理が毎回の主役となっています。異世界は大体メシマズ世界で、マヨネーズだけでひれ伏せることすらあるのが「なろう」系異世界のデフォルトのようになっていますが、この世界より料理が美味しい世界があったとして、そういった世界の料理を想像することは極めて困難だし、こちらの世界側に取り柄がなくなってしまうので、こうなってしまうのも仕方が無いのでしょう。精々登場する料理を美味しそうに描いてくれれば。

続いて「ブルーピリオド」。5話まで視聴しました。本作は漫画が原作ですが、ファンタジー色は一切なく、現実世界を舞台としています。描かれるのは文系でも理系でもない「第三の道」芸術系を進もうとする若者なので、知らない世界を見せてくれるという効果はあります。


DQNっぽい友人と酒や煙草を嗜みつつ、成績は優秀という金髪にピアスの主人公矢口八虎。傍から見たらリア充(DQN系だけど)そのもののようですが、彼自身には本当に生きているという実感がなく、空虚な気持ちで生きていました。しかし、ある日美術室で見た一枚の絵に惹かれ、次第に絵を描くことにのめり込んでいきます。

家計の事情で国立大学しか選択できないということで、必然的に東京芸大合格を目指すことになる八虎。高校の美術部に入った他、美術系の予備校にも通います。素人同然からテクニックは急速に上達していきましたが、芸術というのは上手いにこしたことはなくてもそれだけではダメ。普通の学科でもいくら勉強してもなかなか成績が上がらないということはありますが、芸術だと見る人の感性への訴求という要素があるので、さらに難しそうですね。



当初は美術部員からもDQNだとドン引かれていた八虎ですが、実際には愛嬌があって分け隔て無く人と接するのですぐ打ち解けました。それにしても芸術系の人というのは個性的というか妙な人が多いですね。身体は男で心は乙女とか(これは芸術系と関係ないか)、腐女子系オタとか、才能はあるけどコミュ障とか。先生も個性的で、美術部の顧問なんか元ラムちゃんだし(笑)。「ダーリン」とか「だっちゃ」とか言ってくれれば私のようなおっさんは喜びますが。


高校時代にこれという自分の道が見つかるというのはある意味幸運だと思いますが、そもそも「天職」なんてものが見つかる人はそうそういるんでしょうかね。私のように取りあえず食っていくために何らかの仕事に就くというケースも多いかと思いますが、そういう私からすると芸術系の才能って憧れの対象ですね。しかし、余計なお世話かも知れませんが、芸大を卒業したらみんな芸術家になれるんでしょうかね?全員芸術で食っていけるなら問題ないのですが…

最後に「最果てのパラディン」。4話まで視聴しました。「終末のハーレム」が放送延期となったので、リザーバーから昇格です。本作を選んだ理由は、“終末”と“最果て”はちょっとニュアンスが近いかな、なんてコンセプトです。本作もタイトルは短いですが「なろう」系です。原作は作者の精神状態悪化により数年間休止しているので、途中までしか描かれないでしょう。

廃墟の街で、三人のアンデッドに育てられたウィリアム。アンデッド達は世界を滅ぼしかけた悪魔の王
を封印した英雄で、ウィリアムは悪魔が封印を解くための生贄にしようと、どこからか攫ってきた赤ん坊でした。実はウィリアムにも秘密があり、異世界転生前の記憶を持っていましたが、それは引きこもりとして無為な人生を過ごし、後悔して亡くなったというもので、ほぼ「無職転生」の主人公ルーデウスに近いですね。CVもルーデウス同様女性声優が務めていますが、転生前の「心の声」はなし。

現状まだ生きている人間とは接触しておらず、成人して旅立ちの時期を迎え、試練として育ての親である三人のアンデッドを不死化した不死神スタグネイトの分体と戦っているところです。この世界にはいろいろな神がいて、どの神を信仰するかを自由に選べるようですが、ウィリアムが信仰したのは魂と輪廻を司る灯火の神グレイスフィール。どうやら異世界転生もこの神が行ったもののようです。CV悠木碧なのでその正体はアルティメットまどかだったりして。


ここまでは異世界転生の必然性が全く感じられないハイファンタジーといった感じでしたが、今後転生者であったことが生きる設定が出てくるんでしょうか。実は封印された悪魔王の魂を宿しているとかの方が面白い感じもするのですが。育ての親はアンデッドといっても生前はそれぞれの道で一流だった英雄なので、その薫陶を受ければ転生者じゃなくても一流になるというもの。今後普通に生きている人々と交流して、“俺ツエー”とか“俺またなんかやっちゃいました?”になれば、いかにも「なろう」系という感じにはなりますが、ここまでの作風からするとそういうのは止めて欲しいものですね。
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