佐渡旅行記①:宿根木のレインメーカーにおれはなる?

新型コロナウイルス禍、都内の感染者が空前の300人超ということで、全く収まる気配が見えませんね。この四連休も都内では極力ステイホームが呼びかけられていましたが、1ヶ月前に予約してしまったこともあって、5ヶ月ぶりの旅に出かけてしまいました。都民じゃないので勘弁してつかあさい。

とはいえ佐渡に行くためには一度東京に行かなければならない(筑波嶺からだと、どこに行くにも大抵東京に行かなければならないのですが)ということで、上野を気分的にダッシュで通過して上越新幹線で新潟へ。新幹線は旅情が感じられないとか情緒がないとか散々言っていますが、やはり早いので使わない訳にはいきません。

というか、新幹線に乗って弁当食べて酒を呷っているだけで十分旅の気分は出るんですよね。朝早く出たので朝食ということになりましたが、今回選んだのは塚田農場の「特製チキン南蛮弁当」。2015年に「唐揚げグランプリ」金賞受賞、2016年に「惣菜・べんとうグランプリ」金賞受賞という名品です。チキン南蛮はそのままでも十分美味しいのですが、付属のタルタルソースが意外にもとても美味しくて、もっとつけてくれればと思いました。調べたら、タルタルソースを2倍にした「タルだく若鶏のチキン南蛮弁当」もあるそうなので、そう思ったのは私だけではなかったんですね。

久しぶりの酒だぜということで、朝っぱらから檸檬堂の「定番レモン」とサントリーの「こだわり酒場のレモンサワー」を買ってしまいました。「こだわり酒場のレモンサワー」は、去年の夏に飲んだらとっても美味しかったので贔屓にしているのですが、今回は檸檬堂の方が美味しく感じました。レモンサワーがブームのせいか、各社様々な新製品を投入しているようです。正直レモンサワーなんて何飲んでもおんなじようなものだろうと思っていましたが、飲み比べると全然違いますね。

そして新潟港からは佐渡汽船のジェットフォイルに乗って佐渡・両津港へ。ジェットフォイル、初めて乗りました。ボーイング社が設計し。川崎重工業がライセンス生産した水上ジェット機で、いわゆる水中翼船です。昔のイメージでは、水中翼船は高速航行時に水中翼の一部が水面上に出るものと思っていましたが、そういう半没翼型水中翼船は既に過去の遺物となっており、現在は水中翼の全てが水面下にある全没翼型水中翼船が主流になっているそうです。

停止時や低速航行では通常の船と同様に船体の浮力で浮いて航行しますが、速度が上がると翼に揚力が発生し、しだいに船体が浮上し離水、最終的には翼だけで航行する、「翼走」という状態になり、「テイクオフ」と呼ばれています。ジェットホイルが高速航行しているのを見ると格好いいのですが、実際に乗っているとイマイチ高速感が感じられません。

最高速度は46ノット(時速約85キロ)。「艦これ」で最速駆逐艦として名を馳せ、“速きこと島風の如く”と威張っている島風の最高速度が過負荷全力公試で40.9ノット(時速約76キロ)なので、島風をもぶっちぎる速度ということになります。私が乗ったのは「すいせい」。艦爆みたいな名前ですが、陸攻みたいな名前の「ぎんが」もありました。乗船中はシートベルト装着など、ジェット機に乗るときと同じ感覚でした。飛行機嫌い、列車好きの私としてはあんまり好きな乗り物ではないかも知れません。

佐渡到着後、両津港のターミナル内にある「食事処よろこんで」で中生とユーリンチー定食。なんで佐渡まで来て油淋鶏なんだと自分でも思いましたが、メニューを見た瞬間ビビビッと来たので(松田聖子か)。油淋鶏も大皿でしたが、付け合わせにブリの中落ちとかアラ煮が付いていてボリューム満点でした。正直大して期待していなかったせいもあって大満足で、明日も来て別なメニューを頼もうと心に誓ったのですが…

今回佐渡に来たのは、特に大きな理由があった訳ではなく、単に来たことがなかったからです。一昨年あたりに47都道府県の全て足跡を残したいと思い始め、とりあえず一泊したら足跡を残したことにするというマイルールも密かに制定したのです。新潟はとっくに出張で泊まったことがあったので、律令国としては佐渡国として越後国とは別の国だった佐渡に行ってみようと。しかし律令国はうかつに持ち出せませんね。例えば千葉でも安房、下総、上総と三国もあったし、一昨年に鹿児島に行ったけど、薩摩国と大隅国があるぞとか。福島、宮城、岩手、青森が入る陸奥国というのもあるけど。


そういう訳で佐渡といえば金山くらいのイメージしか無かったのですが、金山は二日目に行くとして、初日はどうしようかと考えた結果、行くことにしたのが宿根木(しゅくねぎ)。JR東日本の「大人の休日倶楽部」のCMで吉永小百合が散策していたのです。

宿根木は佐渡金山繁栄期の江戸寛文期(1661~1678年)に廻船業の集落として発展した町で、入り江の限られた敷地に多くの民家が立ち並ぶ町並みは、独自の板壁の連続です。千石船の船板をはめ込んだ民家や石畳の露路など、当時の面影がそのまま残っていて、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。

地図でおわかりのように、両津港からはかなり遠くて、タクシーで1万5千円超。佐渡の経済を回したる、俺がレインメーカーだと妙なノリで行ってしまいました。改めて佐渡島って大きいなと実感できましたね(主に金額面で)。

そういえば佐渡といえばたらい舟という名物もあったなと思い出しましたが、あれは佐渡のどこでも見られるものではなく、宿根木とか小木といった佐渡南西部だけのものだそうです。

お目当ては宿根木の町並と佐渡国小木民俗博物館にある千石船だったんですが、私が佐渡を訪れた22日に島内初の新型コロナウイルス感染者を確認したということで、博物館は臨時休館となっていました。毎日200人だ300人だと行っている辺りとは反応が全然違って初心というか何というか。面白いと言えば面白いのですが、せめて通知してくれよと思いました。

せっかくなので宿根木の町並だけは見て回りました。そんなに広くないのですぐに見終わりますが。「世捨小路」という異様な名前の集落で一番古い石畳の道。「え?ここ通ってもいいの?」と確認したくなるほど狭い小路です。

狭い敷地で快適に暮らすため、総二階とすることで間取りを増やし、日本海から吹き付ける強風や塩害から建物を守るため、「サヤ」と呼ばれる杉板が縦板張りされている家が多いのも特徴です。使えなくなった船板を再利用している家も多く、舟には使えなくても建材としては十分に利用価値があったんですね。

吉永小百合のポスターの撮影場所として有名な「三角家」。その名の通り三角で、狭い土地に密集して住むために時価の高い東京の家屋のようになってしまったようです。「東海道四谷怪談」に深川三角屋敷というのが登場しますが、やはり江戸が人口密集地だったせいか三角形の敷地だったようです




他に船主の豪邸「清九郎」や宿泊施設になっている「伊三郎」などがあり、奥には白山神社や称光寺。規模なんかは全然違うのですが、モンテネグロのアドリア海沿いの町・コトルを思い出しました。石畳の道から小さな教会とかがにょきにょきと生えてきたかのような印象を持ちましたが、それが木造の家屋だと宿根木になる、なーんて。

すぐそばには宿根木海岸。こんな所に千石船が停泊したそうですが、本当に大丈夫なんかいなと言いたくなる岩礁が一杯です。


また1万円以上かけてタクシーで今宵のお宿へ。佐渡市千種にある「たびのホテル佐渡」。大浴場付きですが、部屋の風呂もビジネスホテルにしては広めでした。寝間着になるほか、ホテル内を徘徊可能な部屋着がゆったりしていて素敵でした。

そしてスーパーがすぐそばという好立地。通りの向かいにJA佐渡ジェイエイ・エーコープ佐渡金井店がありました。酒と惣菜、ポテチも買って気分はカイジ。大浴場で一風呂浴びて、冷蔵庫で冷やしたビール(ホテルのサービス)を持って「キンキンに冷えてやがる!」。久しぶりに「カイジ豪遊ごっこ」を楽しんだらすぐ眠くなって10時前にバタンキューでした。しかし普段飲んでないと効きますねえ。


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