2019年秋季アニメの感想(その3):本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んではいられません~/放課後さいころ倶楽部/ハイスコアガールⅡ

仕事始めの一週間は実に長く感じましたね。その疲れを癒やすかのようなまさに恵みの雨の三連休なわけですが、なんで休みなんだっけ?とかなりボケたことを思ってしまいました。成人の日なんですね。どうしても15日というイメージがあって、年だなあと改めて感じます。成人式は誰にでもあるものですが、私にとっては遙か昔の物語ですよ。

1月も中旬に入ったので、昨年の宿題を完結させてしまおうということで、一昨日、昨日に続いて秋季アニメの感想です。まずは「本好きの下剋上 司書になるためには手段を選んでいられません」。異世界転生ものですが、昨日の「私、能力は平均値でって言ったよね?」同様女の子が主人公です。

念願だった図書館への就職が決まった日に亡くなってしまった本須麗乃(もとすうらの)は、気が付くと異世界の幼女マインとしての体を持っていました。魔法の力を持つ貴族に支配される中世然とした異世界には、厳格な身分制度がありました。もっと多くの本を読みたかったという未練を抱えたままの彼女は、本自体が稀少なこの世界で、なんとか本を手に入れようと奮闘していきます。

本作が異世界ものとして異質なのは、転生したのが女の子というだけでなく、特に何の能力も持っていない点です。一応生前の知識は一通り持っていて、それを活用して金儲けとかは行っているのですが、強大な魔力とかチート的能力は何もなし。

実は魔力は備わっているのですが、それはマインの体質的な問題であり、さらに病弱で同年代の他の女の子が出来ることもなかなか出来ないでいます。実はマイン本体は既に死んでしまっており、そこに本須麗乃の魂が入り込んだという形のようです。マインが死んだ理由は「身食い」という病気のせいでした。これは本来貴族だけが持つ魔力を平民が持ってしまうと起きる病で、体内に溜まった魔力がキャパを超えると高熱となり、死亡率はほぼ百パーセント。生き延びるためには高価な魔術具が必要なので、美少女ならば貴族の妾になるとか、才能があれば僕になるとかいった手段を取らざるを得ません。


病気の真相を知る前のマインは、とにかく本を読みたい一心で、なければ作ればいいんだとばかりにパピルス、粘土板、木簡作りにトライしては失敗した挙げ句、協力者を得て漸く紙作りに成功します。そこで「身食い」の真相を知ったマインは、すったもんだの挙げ句に魔力を放出できる神殿の巫女となることが許可される…というところで終了しました。原作の第一部にあたるようで、順調にいけばいずれ第二部に取りかかれるのでしょうが、原作は第5部まで刊行されていてしかもまだ完結していないので、先は長そうです。


異世界というとほぼ必ず中世欧州的世界というのはいい加減なんとかならんのかとは思いますが、近代以降だと主人公が前世の記憶を発揮する余地がなくなり、古代以前だと文明レベル的にそれどころじゃないので仕方ないんですかね。私も本好きなのでマインの本への渇望はわからんではないのですが、大阪に来てほとんど本を読まなくなった現状からすると、なきゃないでなんとかならんかなとか思ってしまったり。まあネットやらスマホやらの本の代替物が全くない世界なので、仕方ないのでしょうが。


マインの家族や周囲の人達は基本みんないい人達ばかりなので、当初はマインの自己中心ぶりが結構鼻について、転生前は大人だったんだからもうちょっとしっかりせいやと思いましたが、徐々に世界に適応していきました。この辺りも男だったらかなり嫌なヤツという印象になったんでしょうが、女の子だったのでまあ許せるかなという感じだったので、主役を女の子にするメリットはこういうところにあるのかとか思ったり。ま、女性視聴者がどう思うかは知りませんが。


前世の知識によりリンスインシャンプーもどき、髪飾り、お菓子レシピなどを使ってお金を稼いでいたマインですが、異世界の方が現代日本よりメシマズなのはお約束なんでしょうか。異世界にない調味料を使うとかならともかく、入手できる素材だけで料理するならその世界なりの料理体系がちゃんとあってもおかしくないと思うのですが。

続いて「放課後さいころ倶楽部」。どうしても昔セガサターンでプレイした「放課後恋愛クラブ」を思い出してしまうタイトルですが、恋愛要素はほとんどなし。一応主要登場人物に恋心を持っているサブキャラもいますが、本筋とはあまり関係ないので特に進展しませんでした。

舞台は京都で、引っ込み思案で人見知りの主人公武笠美姫が、転校生の高屋敷綾と知り合ったことで「楽しいこと」を探すようになり、融通の利かない真面目な委員長だと思っていた大野翠が大のボードゲーム好きでボードゲームショップ「さいころ倶楽部」でアルバイトをしていることを知ってから、3人で様々なボードゲームをプレイして、その世界に魅了されていきます。


途中からはボードゲームの本場ドイツからやってきたエミーリアも加わり、4人で様々なボードゲームをプレイする他、ゲームデザイナー志望の翠が作ったゲームをテストプレイするなどします。4人が2年生への進級を目前にして高校でアナログゲーム同好会「放課後さいころ倶楽部」を結成するというところで終了しましたが、原作では新入生の参加もあるようです。

ファミコンの登場以来、私も日本もテレビゲーム一辺倒という感じになってしまっていますが、世界には様々なアナログゲームがあるんですね。昔遊んだ「人生ゲーム」や「億万長者ゲーム」もアナログゲームの一種なんでしょうが、そうしたゲームをテレビゲームでNPCとプレイするより、友人達とわいわい騒ぎながらプレイするほうが断然面白いですよね。ただ、大人になった今となっては友人達が集まること自体が難しいという。

そういう意味でアニメ内でJK達が楽しくゲームしている様を見るのは微笑ましいというか羨ましいというか。登場したゲームの多くはテレビゲーム化が可能だと思いますが、NPCと画面上でプレイするのと、友人達と騒ぎながらプレイするのとどっちが楽しいかといえば…

最後に「ハイスコアガールⅡ」。第二期ですが、一年以上間隔が空いたものの事実上分割2クールもので、完結まで描かれました。主人公の無類のゲーム好き矢口春雄(ハルオ)とお嬢様なのに滅法凄まじいゲームテクを持つ大野晶の小学6年生から高校2年生まで、時代にして1991年から96年までが折々のゲーム事情と共に描かれます。

懐かしいですね、90年代。ゲームセンターは70年末からインベーダーゲームが登場しており、家庭でも80年代中盤頃からファミコンが急速に普及していましたが、性能が大幅に上がってバリエーションが豊富になったのはやはり90年代でしょうかね。一時期UFOキャッチャーにはまった以外はゲーセンにはほとんど行きませんでしたが、登場する格闘ゲームの一部はテレビゲームでプレイしました。

当初は自分より強い晶に敵愾心剥き出しだったハルオが、思春期になって徐々に関係を変え、しかし根っからのゲーム野郎なので色恋を全く意識しないままに高校生になって、ようやく晶に対する自分の気持ちに気づいていくという。ゲームを通して成長していくという、PTA的には目を剥きそうな展開ですが、そういう青春もありでしょう。

ハルオが好きな対戦格闘ゲームが中心ですが、登場流行していた他のゲームも話題になっており、ハルオは女心を知るためとして「ときめきメモリアル」をプレイさせられたりしていました。あれをオールクリアーしたところで女心はわかりませんけどNE!(体験者談)。

キャラの会話中だけでですが、「きゃんきゃんバニープルミエール」の話題が出た時は吹きました。「きゃる〜ん☆」「スワティラーラ!」…うう、懐かしい。下手すりゃクローゼットにCDソフトがまだ残ってるZE。サターンも残っているけど…20年近く触っていないので動くかどうか不明です。「こいつ…動くぞ!」なら嬉しいですけどね。

原作どおりなんでしょうが、すっきり完結しており、後味は悪くないのですが、それはハルオと晶に限っての話です。本作は日高小春というもう一人の女の子が登場しており、中学時代にクラスメイトになったハルオに恋心を抱くことになるのですが、これが噛ませ犬状態で本当に可哀想で。

事実上相思相愛状態のハルオと晶に関わるのが間違いといえばその通りなのですが、好きになっちゃったのなら仕方がありません。第三者視点だと小春の方が可愛いし一途さが健気なので絶対こっちを選びたくなるんですけどね。ハルオ好きが高じて一時期はハルオ以上のゲーマーになったりしていましたが、もしやヤンデレ体質?

晶の実家は財閥らしく大金持ちなのですが、バブル崩壊とかその後のITバブル崩壊とかリーマンショックを乗り越えているんでしょうかね。両親は登場しませんが、子供に時代錯誤な方針を押しつける妙な家系なので、ハルオとの仲を考えればいっそ破産でもしていた方がいいような気もしますが。

実は「ハイスコアガールDASH」というまるで「ストリートファイターⅡ」もどきの続編があり、そちらでは日高小春が主人公になっているそうです。本編から10年以上経過して、アラサーとなった小春は母校(中学校)の教師になっていますが、ハルオに振られて以降、年齢=彼氏ナシ状態だとか。ハルオの友人だった宮尾光太郎あたりとくっついたらどうですかね。ナイスガイだし。その後、「ハイスコアガールDASHターボ」「スーパーハイスコアガール」「スーパーハイスコアガールX」「ハイパーハイスコアガール」と続いていくんですね、わかります。もう生涯を描いちゃったりして。
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