2019年春季アニメの感想(その2):賢者の孫/文豪ストレイドッグス3/ぼくたちは勉強ができない

今年もあっという間に折り返し点を過ぎてしまいました。昨年は地震だの豪雨だのが続いた近畿、今年は比較的おとなしめですが、このまま猛暑にもならず超強力な台風も来ずに平穏に過ぎていって欲しいものです(南九州の方々はお気の毒です)。京都では夏越祓(なごしのはらえ)が行われる6月30日に水無月という和菓子(ういろうの上に小豆をのせて三角に切ったもの)を食べるそうで、そういう雅でおいしそうな風習はぜひ真似したかったのですが、例によって逃してしまいました。明日は七夕なんですが、何か食べるってありましたっけか?

さてもう夏季アニメも始まってしまっているので、春季アニメの感想をさくさく終わらせて行きたいと思います。まずは「なろう系」の典型とも言われる「賢者の孫」。私は未見なんですが「異世界はスマートフォンとともに」というなろう系アニメが、あまりに素晴らしい内容によりネット上で敬意を表して「スマホ太郎」と呼ばれたそうです。っしてその影響により,類似のなろう系作品も「〇〇〇〇郎」と名付けられているとか。「デスマーチからはじまる異世界狂想曲」が「デスマ次郎」、「盾の勇者の成り上がり」が「盾三郎」、そして「賢者の孫」が「孫四郎」だとか。

似たような傾向なので兄弟呼び、ということなら特に異論はないのですが、「スマホ太郎」は極めて批判的に言われることが多いようで、じゃあ兄弟作品もみんな出来が悪いのかといえば、必ずしもそうではないような。個人的には「デスマ次郎」はかなり好きでしたし、「盾三郎」は世間一般的に結構評価が高いのではないかと(感想は明日書きます)。では「孫四郎」こと本作はどうだという話ですが、まあ主人公のチートぶりが猛威を振るい、周囲の人物(敵さえも)賞賛を惜しまない有様は「スマホ太郎」の兄弟と言われても仕方がないかなと。

主人公シン=ウォルフォードは日本のリーマンでしたが交通事故で死んで異世界に転生しました。といっても他作品のようにいきなり青年とかで転生したのではなく「幼女戦記」のように新生児として転生しています。当初は他の嬰児と何ら変わりありませんでしたが、1歳の時に魔物に襲われて家族が全滅した際に前世の記憶が甦り、この世界では知らないものがいない偉大な賢者マーリンに拾われます。彼の前世の記憶というのは学校で習ったような知識ばかりで、自分の素性とかは思い出していないようですが、なぜかそうした知識が魔法の行使に極めて有利なようで、規格外の魔法や魔道具を日々生み出していきます。

有名な「またオレ何かやっちゃました?」が示すとおり、本人は大したことない、あるいはしょぼいと思っていることがこの世界では驚天動地な現象であるということの連続でちょっと食傷気味になるのですが、現世に疲れて主人公と自分を重ねるような見方をする人達にとっては極めて気持ちいいのかもしれません。シンの周囲には女の子が多数集まっており、一見ハーレムアニメにも見えますが、シン本人は相思相愛のヒロイン・シシリー一筋なのでそこはわりと好感が持てました。


「賢者の孫」といっても血は繋がっていませんが、幼少期から賢者やその周辺の凄い人々に知らず知らずのうちに鍛えられた+本人の持つこの世界にはない知識により天下無双の魔法使いになったシンは、同級生らにも魔法のコツを伝授することで圧倒的な戦力を持つ魔法戦闘部隊「アルティメット・マジシャンズ」を結成し、人類の脅威・魔人を討伐していきます。


シン役の小林祐介は「リゼロ」のスバルなどを演じているベテランですが、アルティメット・マジシャンズの大半のメンバーはまだ駆け出しの声優ばかりのようです。敵である魔人陣営の方が森川智之、大原さやか、津田健次郎、杉山紀彰と大物が揃っていて、むしろこちらの陣営に惹かれます。特に首魁のオリバー=シュトロームは魔人になった経緯が悲惨すぎるので、彼の方に共感してしまいます。大原さやか演じるミリアと、魔人が子を成せるかという実験を行っているようですが、果たしてどうなるやら。「寄生獣」でもパラサイト同士の子供はどうなるかという実験が行われていましたが、こちらでは普通の人間が生まれていましたね。


二期制作ありありの終わり方をしていましたが、果たして円盤の売り上げはどうなるんでしょうか。主人公がとにかくやたらに強いのでどんな敵が出てきても全く緊迫感がないのですが、そこを安心して見てられると思うかつまらないと思うか。

「文豪ストレイドッグス3」。早いもので三期目で、四期も絶対作る勢いです。文豪達がキャラクター化され、それぞれの執筆作品の名を冠した異能力を用いて戦うアクションアニメですが、女性受けしてるような気がします。一期では日本の文豪同士が二派に分かれて戦い、二期では北米の文豪との戦いとなり、三期ではロシアの文豪が登場してきました。次は欧州の文豪が登場してくるのかと思われますが、対ロシア戦が終わっていないのでそれはまだまだ先のようです。


本編よりも二期の「黒の時代」編とか今期の「十五歳」編といった過去編がやたら面白いのが本作の特徴。もう過去編だけやってくれといいたくなります。これがなんでなのかと言うと、本編の登場人物があまり魅力的ではないからなんじゃないかと。主人公の中島敦がどうにもこうにも。太宰治も過去編の方が魅力的。というか、武装探偵社があんまり魅力的じゃないんですよね。悪そのもののポートマフィアの方が存在理由とか行動理由がはっきりしていてわかりやすくていいです。


武装探偵社社長である福沢諭吉とポートマフィアの首領である森鴎外。その両者から「先生」と敬われる夏目漱石が
現在のヨコハマの「昼を軍警と特務課が、夜をポートマフィアが、そして夕刻を探偵社が取り仕切り町の均衡を保つ」という三刻構想を実現した(諸葛孔明かお前は)そうですが、千円札が一万円札の上に立つとはこれいかに。そもそも福沢諭吉は文豪というべき存在なのか。確かに著作はあるけど小説じゃないだろう、あれらは。慶應義塾大学の創設者として有名なので教育者というべきなんでは。


ストーリーは面白いんですよ。面白いんですが、なぜか語るべきことがあまりないというのはどういうことなんでしょうか。迷わず見ろよ。見ればわかるさ…といったところでしょうか。おのおののキャラが文豪の名前と代表作にちなんだ異能力を持つと言うことを、各キャラはどう思っているんでしょうか。彼らとは別にそれら文豪達がちゃんと過去に存在していた世界なのか、文豪達の代わりに彼らが存在している世界なのか。もし文豪の代わりに彼らが存在しているのなら、「オレの異能力は○○!」とか見得を切っても、「ああなるほど!」と思うのは視聴者たる我々だけで、向こうの世界の人達は何で××というキャラが○○という異能を使うのか理由がさっぱりわけわかめ(多分本人にも)ということになりますね。

最後に「ぼくたちは勉強ができない」。タイトルだけ見ると劣等生の話かと思いますが、基本みんなそれなりに勉強はできます。才能の方向性と希望する進路がミスマッチしているだけで。努力で人並み以上の成績を収めているものの突出した才能はない凡才の唯我成幸が、大学進学にかかる全ての費用を学校側が負担する特別VIP推薦をエサにされ、理系の天才なのに文系を目指す緒方理珠と文系の天才なのに理系を志望する古橋文乃の教育係になり、2人が志望する大学に合格させることになります。ついでにスポーツ特待生で勉強全般が苦手な武元うるかの面倒まで押しつけられたり。

本気で打ち込みたいことが上手くいかない理珠と文乃の抱える苦しみに共感した成幸は、才能がなくても努力で成績を伸ばしてきたこれまでの自分の経験を生かして二人に勉強の仕方を教えていきます。もう全員高三なので今から間に合うのかよとも思いますが、勉強そのものよりもハーレム状態の成幸のお色気の混じったてんやわんやの日々が描かれていきます。ま、大学受験の勉強を本気で描いたらただの大学受験講座になってしまうし。

理珠とは図らずも成幸とキス、文乃とは図らずも成幸とホテルの一室に泊まり、うるかは中学時代から成幸に明確な恋愛感情を描いているというリア充爆発しろ的展開も、お約束で成幸がものすごく朴念仁なので完全に誰かをことを好きになるということには至っていません。

このほか、先輩の浪人生でメイド喫茶でアルバイトしている小美浪あすみ、冷徹な姿から「氷の女王」と呼ばれる教師の桐須真冬とも様々なカラミが。もう「なろう系」もびっくりのハーレム展開。


連載誌でのキャラクター人気投票では意外にも第一位は桐須先生でした。初期は完全に悪役的な立ち回りだったのでなぜにと思いましたが、人となりが徐々に明らかになるとその人気もわかるようになりました。ギャップ萌えという奴ですね。私もギャルゲーに美人教師が登場すると落とさずにはいられないという性癖(?)の持ち主なので桐須先生推しは判ります。オノコたち全員の憧れ、しかして現実にはほとんど存在しない、それが美人教師!(キリッ)美しいものが嫌いな人がいるかしら?



次に好きなのはやはり人気投票2位の文乃ですかね。成幸どころかうるかからまですごく良い匂いがすると言われているのでラクトンの分泌量が多いのかも知れません。ルックスもモデル並ですが胸が小さいのが玉に瑕。私は一向に構わんッッ!ただ文系女王だけに他人の心の機微を読むことに長けており、理に理珠やうるかの成幸への気持ちにいち早く気づいてしまったので自身は引き気味です。一番お似合いカップルのような気がするのですが。


見た目ではあまり好きなタイプではないのですが、一途さなら中学生時代から成幸ラブのうるかでしょうか。成幸に本気で告白した唯一のキャラでもありますし。しかしそれまでの経緯で告白の練習だと思われてしまうという痛恨のミス。間違えて「使用済み水着」(言い方)を成幸に渡すなどラッキースケベに事欠かないキャラでもあります。


こうして見ると理珠は巨乳という事以外にインパクトに欠けますね。受験生なのに家業のうどん屋を手伝う良い子なんですが。やはり相手の感情が読めないとか他人への興味が薄いというのはヒロインとしては致命的か。

連載が終わっていないこともあり、夏休み中で終わってしまいましたが、恋も勉強も勝負は二学期。だが二兎を追う者一兎も得ずは世の理(笑)。大穴で妹の水希というのはどうでしょう。ラブコメ界隈では妹は大人気だし。二期を作るならとりあえず登場シーンはもっと増やして他の女性キャラとの絡み(小姑モード)を見せて欲しいですね。お兄ちゃん大好き妹というのは現実にはほぼ存在しないらしいですが、まあそこは創作なんだし。

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