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視聴予定の2019年冬季アニメ:来季は9本(+1本)をエントリー

クリスマスイブですな
 
 全国的にクリスマスイブということで、松田聖子の「Pearl-White Eve」のごとき美しい一夜を過ごす羨ましい人もいることでしょう。かと思えば「ユールの日」と称して旧き邪神を崇めるクトゥルフな人々もあり。個人的には限りなく後者の側に近いのですが、ユールってキリスト教以前の古代ヨーロッパのゲルマン民族、ヴァイキングの間で、冬至の頃に行われた祭りのことで、北欧諸国では現在でもクリスマスのことをユールと呼ぶそうなので、この言葉を使ったからといって、「いあ!いあ!」と言っている旧支配者の奉仕者とは限らない訳です。でもとりあえずメリーユール!

メリーユール 

 そんなことはさておき、2018年もあと一週間。そろそろ来年の事を語ったとて鬼も笑わないことでしょう。ということで秋季アニメの感想も終わらぬうちに(現時点で終わっていない作品があるもので)2019年冬季アニメから視聴するものをピックアップしてみました。いつもどおりアイウエオ順です。

エガオノダイカ 

 「エガオノダイカ」。タツノコプロ創立55周年企画のオリジナルアニメです。こういう「○○周年記念」作品って、一見気合いが入っているようでいて案外と…というケースもしばしばなんですが、どうなんでしょうか。とりあえずひさびさの「はやみん枠」としてエントリーです。

エガオノダイカその2 

 地球より遥かかなたの星にある、笑顔に溢れた王国。 王女のユウキは十二歳、そろそろ多感なお年頃。毎日泣き、笑い、時にはときめいたり…?しながら、王宮で楽しく暮らしている。日々を彩るのは、忠実な家臣たち。教育役のレイラ、政治を補佐するイザナ、騎士団長ハロルド、そして……幼馴染の側近、ヨシュア。「ユウキ!気合と根性さえあれば、何だってできる!」「……もうっ。またそれ~!?ヨシュア、もっと貴族らしくしてっ!」ステラは十七歳、有能かつクールな軍人。けれど微笑みはいつも絶やさない……笑顔は生きるためには、欠かせないから。これは、遠い星に生まれた、二人の少女の物語…という話のようです

賭ケグルイ×× 

 「賭ケグルイ××」。むしろこっちの方が「はやみん枠」という気がしないでもないですが、前作も見ているので見ないわけにもいきません。漫画を原作として、アニメの他テレビドラマや映画で実写化もされています。可愛い女の子の凄絶な顔芸を楽しむ作品か。

賭ケグルイ××その2 

 良家の子女が集う名門、私立百花王学園。ギャンブルで支配されたこの学園の頂点に君臨するのは、弱者の人生を支配し、政財界にすら影響力を持つ絶対的な支配者、生徒会だった。しかし、生徒会長の桃喰綺羅莉は突然、生徒会の解散・総選挙を宣言する。選挙のルールは一人一票。全生徒に学園の頂点を目指すチャンスが与えられる。カオスと悦楽を求める綺羅莉の思惑による選挙戦。さらに、その機に乗じ、新たな脅威が訪れる。百喰一族――綺羅莉と夢子に連なる者たちが。蛇喰夢子と友情を深めてきた鈴井涼太、早乙女芽亜里、皇 伊月の4名は、この仕組まれた総選挙の中、自らの信念をかけた闘いを迫られる。弱肉強食の学園で「餌」となるか、他を喰らい生態系の「長」となるか。ギリギリの選択が心を揺さぶる「究極の選挙バトルロイヤル」がいま始まる!…という展開です。

グリムノーツ 

 「グリムノーツ」。スクエアエニックスのスマホ用ゲームアプリが原作です。スクエニのスマホゲーはドラクエ、FFその他山ほど出ていますが、グリムノーツは本年1月配信開始の比較的新しい作品のようです。上田麗奈がヒロインで、種田梨沙も出演するので視聴決定。余談ですが2014年9月配信の「魔法科高校の劣等生 LOST ZERO」はいまだにゆるくプレイしていますが、5周年を迎えられるのでしょうか?

グリムノーツその2 

 童話をモチーフにしたこの世界で、人は“ストーリーテラー”に描かれた脚本通りの人生を歩む事を宿命付けられている。そんな中、空っぽの脚本をもって生まれたエクスは、同じように“空白の書”をもった仲間、レイナ、タオ、シェインと出会い、“カオステラー”を生み出し、人々の運命を捻じ曲げる悪の教団と、その自らの運命(人生)を取り返す戦いに立ち上がる…という話のようです。

ケムリクサ 

 「ケムリクサ」。原作なしのオリジナル作品ですが、こちらは声優じゃなくて珍しく監督で選びました。名作となった「けものフレンズ」のたつき監督の作品です。今でこそ名作と呼びますが、当時は声優があまりに棒なので一話で切ろうと思ったりしてたのは内緒です(笑)。

ケムリクサその2 

 赤い霧に包まれた世界を舞台に異形の敵(虫)と戦う少女たちの姿を描き、激しい戦闘や少しグロテスクな描写なども見られるSFアクション。タイトルの「ケムリクサ」はタバコのような外観をしたもので、傷を治癒する効果があるが、虫にとっては毒であるため虫の対抗手段の武器としても使われる…ということです。

けものフレンズ2 

 「けものフレンズ2」。ヒットの最大の功労者であるたつき監督を降板させて制作したいわくつきの2作目です。せっかくヒットしたんだからもっと早く制作すれば良かったのにと思いますが、きっといろいろあったんでしょうね。メインキャストは前作と一緒ですが、監督や制作会社が変わって作風がどうなることやら。

けものフレンズ2その2 

 この世界のどこかにつくられた超巨大総合動物園「ジャパリパーク」。そこでは動物たちがヒトの姿に変化する不思議な現象が。いつしかフレンズと呼ばれるようになったけものたちは、パークで平和に暮らしていました。ある日、フレンズのサーバルとカラカルは、森の中でヒトの子供と出会います。お腹を空かしたヒトの子供はなにやら困っているようで、サーバルたちは一緒に旅をすることになりました。旅の途中で出会う個性あふれるフレンズたちに、パークの秘密や美味しいもの!そして、大地を揺るがすような大ピンチ!?新たなるジャパリパークの物語が、今はじまる!!…ということです。前作のストーリーとは繋がらないのでしょうか。

荒野のコトブキ飛行隊 

 「荒野のコトブキ飛行隊」。女の子×戦車=「ガールズ&パンツァー」、女の子×軍艦=「艦隊これくしょん」「蒼き鋼のアルペジオ」と来て今度は女の子×飛行機か。監督が「ガルパン」「SHIROBAKO」の水島努ということで期待したいんですが、怪作「迷家-マヨイガ-」もやってるからなあ、この人。

荒野のコトブキ飛行隊その2 

 一面に広がる荒れ果てた大地で、人々は物流・交易を行い、助け合いながら生きていた。雇われ用心棒の“コトブキ飛行隊”は、厳しいが美しい女社長、頼りない現場の指揮官、職人気質の整備班長など個性的な仲間とともに、空賊相手に大立ち回り!今日も“コトブキ飛行隊”は隼のエンジン音を響かせて、大空へと翔けてゆく――という話だそうです。

盾の勇者の成り上がり 

 「盾の勇者の成り上がり」。ライトノベル原作で今回の「異世界転生」枠です。もう枠にしてしまうほど、毎回毎回異世界転生ものを見てますな。既刊19巻で累計発行部数は2018年12月の時点で330万部。売れてるといえば売れてますが、ラノベ界には1000万部を超える作品もゴロゴロありますから爆発的ヒットとまでは言えないかも。

盾の勇者の成り上がりその2 

 ごく平凡なオタク大学生・岩谷尚文は、図書館で出会った1冊の本に導かれ異世界へと召喚されてしまう。与えられた使命は、剣、槍、弓、盾をまとう四聖勇者の一人「盾の勇者」として、世界に混沌をもたらす災い「波」を振り払うこと。大冒険に胸を膨らませ、仲間とともに旅立った尚文。ところが、出発から数日目にして裏切りに遭い、金も立場もすべて失ってしまう。他人を信じられなくなった尚文は奴隷の少女・ラフタリアを使役し、波に、世界に、立ち向かおうとするが―。果たして、この絶望的状況を打破することはできるのか?すべてを失った男の成り上がりファンタジー、開幕…ということですが、なんか世知辛いですね。

ブギーポップは笑わない 

 「ブギーポップは笑わない」。これは私でも名前くらいは知っている上遠野浩平のラノベが原作ですね。ラノベ界全体や、西尾維新、時雨沢恵一、奈須きのこなどといった錚々たる顔ぶれの作家陣にも影響を与え、「ブギーポップ以降・ブギーポップ以前」という言葉を生み出したそうです。2000年にアニメ化・実写映画化されています。

ブギーポップは笑わないその2 

 ぼくは自動的なんだよ。名を不気味な泡(ブギーポップ)という――。エンタテインメントノベルでNo.1シェアを誇るレーベル・電撃文庫に多大な影響を与えた、今なお色褪せることのない名作として、絶大な支持を集める人気タイトル「ブギーポップは笑わない」シリーズが、刊行から20年の節目となる年に待望のTVアニメ化決定!TVアニメを手掛けるのは、2015年に放送され、大ヒットを記録したTVアニメ「ワンパンマン」で、世界中のアニメユーザーを唸らせた監督・夏目真悟。そして同作のシリーズ構成と脚本を務めた鈴木智尋に、圧倒的なクオリティを実現させた日本屈指のアニメーションスタジオ・マッドハウスが集結し、世界に危機が迫ったとき、自動的に浮かび上がるヒーロー、ブギーポップを中心に繰り広げられるアクションファンタジーを見事に描き切る!…ということです。期待できそうな煽りですね。

魔法少女特殊戦あすか 

 最後に「魔法少女特殊戦あすか」。「月刊ビッグガンガン」連載の深見真原作・刻夜セイゴ作画の漫画が原作です。「魔法少女まどか☆マギカ」以降、魔法少女ものも実にバリエーション豊かになりましたが、本作のタイトルが、今年亡くなった漫画家・黒岩よしひろの「変幻戦忍アスカ」に何となく似ているので思わずピックアップ。「変幻戦忍アスカ」…週刊少年ジャンプに連載されたとはいえ、30年前の作品だし打ち切りだし、覚えている人は少ないでしょうね(遠い目)。

変幻戦忍アスカ 

 これが単行本一巻。もっとも二巻までしかありませんが。黒岩よしひろは桂正和門下ということでキャラデザインはいい感じで、個人的にはもっと連載を続けて欲しかったんですが、「サスケ忍伝」も「魔神竜バリオン」も駄目だった…

魔法少女特殊戦あすかその2 

 21世紀。人類は遂に他の知的生命体との接触を果たす。しかし、その出会いは幸福なものではなかった。地冥界より侵攻する化け物は、現用兵器の多くを無効化し、人類の運命は風前の灯火と思われた。だが同じく地冥界に苦しめられていた、精霊環境条約機構の助けにより、人類は起死回生の一手を手にする。魔法少女である。強大な魔力を手にした少女たちは、心身に多くの傷を負いながらも、人類を勝利に導き、ついに大戦を終結させる。しかし、それさえも、新たな戦いの始まりに過ぎなかった。国際犯罪、無差別テロ、内戦、紛争……。魔法少女の戦いは終わらない――ということです。

ガーリーエアフォース 

 ということで9本。「風が強く吹いている」と「転生したらスライムだった件」は引き続き2クール目突入のようなので、合わせて11本を視聴と言うことに。なお、打ち切り連発という不幸な事態に陥った場合のリザーバーとしては、「ガーリーエアフォース」をエントリーしています。これも女の子×戦闘機で「荒野のコトブキ飛行隊」とどっちにしようか迷ったんですが…

ガーリーエアフォースその2 

 突如出現した謎の飛翔体、ザイ。それは、人類の航空戦力を圧倒した。彼らに対抗すべく開発されたのが、既存の機体に改造を施した「ドーター」と呼ばれる兵器。操るのは、「アニマ」という操縦機構。それは――少女の姿をしていた。鳴谷慧が出会ったのは真紅に輝く戦闘機、そしてそれを駆るアニマ・グリペンだった。人類の切り札の少女と、空に焦がれる少年の物語が始まる…ということで、もしかしたら面白いかも知れません。

良いお年を2018 

 ということで、2018年内の当ブログ更新はこれが最後となります。昨年後半以降の「週末ブロガー」が今年はすっかり板についてしまい、今となってはほぼ毎日更新していた時代が嘘のようにも思えます。来年もこの路線は堅持される予定で、人気のほうはすっかり低落してしまいました(更新頻度からして当然)が、やってる私の方はこれまでと何ら変わらないスタンスのままなので、もしよろしかったら来年も来てください。それでは皆さん、少々早いですが良いお年を!!
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奈良小旅行(その7):平城京界隈

大川夜景

 小春日和という以上に暖かい平成最後の天皇誕生日でした。祝日なのも今年限りとなるのでしょうか。年末の三連休というのもおつなものですが、誕生日だと月曜とか金曜にずらせないから必ず三連休になるというものでもありませんね。去年は土曜日にあたっていたのでまさしく。そうそう、昨日うっかり冬至かぼちゃを買い忘れてしまいました。代わりになぜか賞味期限切れの関係で割引販売となっていたシュークリームを買ってましたっけ。甘味という意味では当たらずとも遠からずなんですがね…

ドラクエの竜王 

 本日は雨模様と聞いていたのですが、朝になってみれば日が差していたのでやはり奈良に出撃してしまいました。先週の公約(?)どおり大和西大寺パート2です。まずは平城宮跡を横目で見ながら海龍王寺へ。龍王と聞くと世界の半分をやろうとか誘惑してきそうな感じがしますが、仏教においてはあんまり格が高いという感じでもないですよね。メガテンだと普通にフィールドに出てきて戦ったり仲間にしたり。龍神となると一段格上になるんですが。

海龍王寺門 

 海龍王寺は平城京内にあって、かつては藤原不比等の邸宅があったところのようです。伝承では天平3(731)年に光明皇后の発願で建立され、遣唐使に随行した僧・玄昉が初代住持となったとされています。海龍王寺という寺号は、海龍王経という経典にちなむもので、玄昉が唐から日本への帰途、暴風雨に遭った際に海龍王経を唱えて救われたという伝承があります。

玄昉 

 拝観料(500円)を払った際に貰ったパンフによると、藤原不比等は邸宅を建てるにあたって、この辺りを治めていた土師氏から土地を譲り受けたそうですが、邸宅北東隅にあった土師氏所縁の寺院をそのまま残しておいたということで、その寺院が海龍王寺の前身のようです。隅にあったということで、「隅寺」の別名も持っています。

叡尊図 

 先週訪れた西大寺と同じ真言律宗の寺ですが、西大寺中興の祖である叡尊が一時期海龍王寺に住して復興を行ったほか、五名の西大寺長老を輩出しており、かつては真言律宗でも筆頭格の寺院だったようです。明治時代の廃仏毀釈で大打撃を受けて境内が荒廃し、長らく無住の時期が続きましたが、1953(昭和28)年に住職が着任してからは堂宇の修理、境内の整備が行われました。

海龍王寺本堂 

 現在の海龍王寺は、京都の町中によくあるようなこじんまりとした寺院です。本堂はかつてあった中金堂の跡地に建っており、江戸時代の再建。鎌倉時代作の本尊の十一面観音(重文)が祀られています。このご本尊、長らく秘仏となっていたために保存の状態が大変良いことで知られています。

海龍王寺西金堂 

 西金堂(重文)。かつては東金堂、中金堂の三つの金堂がありましたが、今なお残っている唯一の金堂です。奈良時代の建立ですが、鎌倉時代に再建に近い大修理が行われており、主要な部材が鎌倉時代のものに置き換えられています。規模や様式的には変更が無いと考えられており、天平時代の建築様式を現代に伝える貴重な建物とされています。

五重小塔 

 そして西金堂に安置されている五重小塔(国宝)。高さ約4メートルの小塔ですが、工芸品ではなく建造物として国宝に指定されています。8世紀前半頃の作製で、細部様式が薬師寺の三重塔に類似しており、遺例の少ない奈良時代建築の様式を知るうえで重要なものです。当初から屋内に安置されていたようですが、敷地が狭くて大きな五重塔が作れなかったことから作られたのではないかとの説があります。海龍王寺が荒廃していた間は、奈良国立博物館に置かれていました。

海龍王寺経蔵 

 経蔵(重文)。鎌倉時代に叡尊が造立したと伝えられています。叡尊の年譜(『興正菩薩行実年譜』)に、正応元(1288)年、海龍王寺の堂宇を修造し、経蔵を新築したことが記されており、経蔵がこれにあたるものと推定されています。

法華寺門 

 続いてすぐそばにある法華寺に。日本史で聖武天皇が天平時代に日本各国で国分寺と国分尼寺を建立するよう命じたと習いましたね。東大寺は全国の総国分寺ですが、法華寺は全国の総国分尼寺です。海龍王寺同様、藤原不比等の邸宅跡にあり、不比等の没後、娘の光明子(光明皇后)がこれを相続して皇后宮としました。天平17(745)年に皇后宮を宮寺としたのが法華寺の始まりとなります。

萌絵風光明皇后 

 奈良時代は今よりも広大な境内を有し、光明皇后ゆかりの門跡尼寺として繁栄しましたが、平安京遷都以後は次第に衰微し、平安時代末期にはかなり荒廃していたようです。鎌倉時代に、東大寺大仏の再興を果たした僧・重源や西大寺や海龍王寺を復興させた叡尊が復興しましたが、戦国時代に二度の兵火に遭った上に大地震まであって、ほぼ全ての伽藍を失ってしまいました。現在の伽藍は慶長6(1601)年頃、豊臣秀頼と母の淀殿が片桐且元を奉行として復興したものです。叡尊以後、西大寺や海龍王寺とともに真言律宗寺院となっていましたが、1999(平成11)年に創建当時のように独立した寺に戻ることとなり、光明皇后にちなんで「光明宗」と名づけ離脱・独立しています。

法華寺本堂 

 本堂(重文)。慶長6(1601)年に豊臣秀頼と淀殿の寄進で再建されたものですが、地震で倒壊した鎌倉時代の金堂、室町時代の講堂の建材が再利用されています。本尊は十一面観音(国宝)で、天竺(インド)の仏師・問答師が光明皇后の姿を模してつくった」という伝承があります。他に木造維摩居士坐像(国宝)、胎内に納入品がぎっしり詰まっていることが判明した文殊菩薩像などが祀られています。

法華寺カラブロ 

 重要有形民俗文化財に指定されているカラブロ。光明皇后が病人等千人の人に沐浴の功徳を積み困窮者を救ったといわれる浴室です。蒸気導入方式の蒸風呂で、現在の建物は明和3(1766)年の再建です。近年まで使われていたそうですが、現在は外観のみの公開となっています。隣には清水が尽きないとされる井戸があります。

光月亭 

 奈良県文化財指定の光月亭。どう見ても茅葺きの民家なんですが、それもそのはず、月ヶ瀬村にあった18世紀建築の「東谷家住宅」を昭和期に移築して来たものだそうです。東谷家は庄屋の家柄だそうで、現在は法華寺の客間のような形で行事を行う際に活用されたりしています。

法華寺庭園 

 国指定の名勝となっている法華寺庭園は残念ながら非公開で、代わりに華楽園という庭園が公開されています。冬なので淋しいですが、名残の紅葉の他、椿が咲いていました。本堂だけだと拝観料400円ですが、700円払うと全部見ることが出来ます。

平城京と平城宮 

 法華寺のそばにあり平城宮跡。古都平城京の大内裏で、1998(平成10)年に「古都奈良の文化財」として東大寺などと共に世界遺産に登録されています。考古遺跡の世界遺産登録は日本初です。平安京遷都以後は放置され、水田化していきました。江戸末期や明治期に平城京の跡地が研究されて平城宮跡の保存運動が起こり、1921(大正10)年に平城宮跡の中心部分が民間の寄金によって買い取られ、国に寄付され、1922(大正11)年に国の史跡(後に特別史跡)に指定されました。

冬枯れの平城宮 

 ぱっと見は広大な緑地公園ですが、ほぼ本来の平城宮跡地が指定され保存されており、発掘調査が続けられています。平城宮は平城京の中でも政治・儀式の場である大極殿・朝堂院、天皇のすまいである内裏、役所の日常的業務を行う官衙や宴会を行う庭園など、都を治める官公庁が集まった部分ですが、平城京のごく一部に過ぎません。それでもこの広さ。東西・南北ともに1 kmの東側に、東西250m,南北750mの張り出し部を持っています。大半が農地だったとは言え、良く全域確保できたと思います。散歩とかランニングにもいいみたいですね。平城京全域となると現在の奈良市街と被りまくるのでどだい無理というもの。

東院庭園その2 

 一部遺跡は復元が行われており、平城宮東院庭園その一つ。国の特別名勝に指定されています。宴会や儀式が行われていたようで、今日の日本庭園の原型とされています。

大極殿 

 こちらは国家的儀礼が行われた大極殿。恭仁京遷都までのもので、第一次大極殿とも。奈良に都が戻ってからの大極殿は第二次大極殿と呼ばれ、場所も別の所に建造されました。奈良建都1300年に当たる2010年に合わせて、実物大で復元されました。

朱雀門 

 平城宮の正門とも言うべき南門「朱雀門」。疲れたので行きませんでしたが、「朱雀大路」と「二条大路」の復原整備により、平城宮いざない館や観光交流施設が整備され、往時の景観を彷彿とさせるにぎわいの拠点となっています。

佐紀盾列古墳群 

 大体これで大和西大寺界隈は見たかなと思いましたが、平城宮跡の北側には佐紀盾列古墳群というたくさんの古墳があったりします。こちらもいずれは見て回りたいところですが、早くても年明け以降になることでしょう。そもそも行って楽しいのかな?

2018年秋季アニメの感想(その1):あかねさす少女/俺が好きなのは妹だけど妹じゃない/ゾンビランドサガ

冬至冬中冬初め

 暖かい雨となった今年の冬至。楽といえば楽なんですが、「冬至冬中冬はじめ」なんてことわざもあります。本当の冬の厳しさは実は年明けからですよね。

冬至カボチャ 

 冬至といえば柚子湯に入ったり、カボチャや小豆を入れた冬至粥を食べたりするという美しい習慣がありますが、面倒くさいので全部オミット。でもスーパーで小豆とカボチャを煮た「冬至かぼちゃ」を売っていたらぜひ買ってきましょう。冬至に東寺にお参りするなんて風習は京都にないんでしょうかね。

出なかったブラダマンテ 

 最近ちょっと凹んでおりまして…。というのも、スマホで遊んでいる「Fate/Grand Order」(略称「FGO」)に、ブラダマンテという星5のランサーが登場したんです。普段は美少女キャラが登場しても「ほーん」で済ませているのですが、なぜかこのキャラがつぼってしまって、10連ガチャを回しまくったんですよ。なんと7回も。1回30個の聖晶石が必要なんで、計210個の聖晶石を投入。金額にして1万円以上を投入したのですが、その結果は…

何の成果も!!得られませんでした 

 いや~凹む凹む。一応お断りしておくと、1万円以上の浪費というのは聖晶石を購入した場合で、私は無料配布される聖晶石を温存していたものを一気に吐きだしただけなので、実際にはお金は全くかかっていません。むしろなぜこれまで200個以上もの聖晶石をキープしていたのか我ながら謎。それでも成果がないというのは何とも切ないものですね。

ルーラーのマルタ 

 本当のところを言うと成果ゼロというのは誇張表現で、一応星4ルーラーのマルタ(CVはやみん)はゲットしたんですが、失礼ながら星4キャラは10連ガチャを何度も回さなくてもだいたい手に入りそうなものなんで、なんの慰めにもなりません。無課金でも「一万円相当!」と思うとこれだけ凹むのだから、もし課金してこの結果だったらと思うと身震いしますな。今後もFGOは基本無課金で行きましょう。

あかねさす少女感想 

 さて本題なんですが、秋季アニメも終わり始めていますので感想などを。まずは「あかねさす少女」。アニメ専門チャンネル・アニマックスの開局20周年記念作品となるオリジナルアニメでした。

鉱石ラジオ研究会の面々 

 地方都市在住のJK達が、「ご神木にラジオのチューナーを合わせると並行世界へ移動できる」という都市伝説?を検証するために「4時44分の儀式」を行ったところ、本当に別の世界に移動してしまうことに。様々な平行世界を巡るうちに、平行世界全てを襲いつつある“黄昏”なる脅威と戦うことになっていきます。“黄昏”に飲み込まれると、時間が止まるらしいので、滅亡といっていいのかちょっと微妙ですが、普段通りの生活が送れなくなるという意味では日常の崩壊であることは間違いないでしょう。

4時44分の儀式2 

 主人公土宮明日架が率いる「鉱物ラジオ研究会」(基本喫茶店でだべっているだけ)の一行は、平行世界の自分自身の境遇を体験することで、自分が抱える問題と向き合って一皮向けることにより、いわゆる魔法少女化(イコライザーという名称)して“黄昏”の尖兵と戦う能力を手に入れていきます。明日架については、異世界の明日架(クールで真面目なので「シリアスカ」と命名される)が魔法少女化して登場します。シリ明日架によれば、彼女の世界は既に“黄昏”に浸食されて滅亡寸前のようです。

一見かわいいノイジー 
黄昏の尖兵クラッター

 明日架には、子供の頃にまるで神隠しのように失踪してしまった弟がおり、それがその後の明日架のトラウマになっているので、てっきり弟こそが“黄昏”の首魁である“黄昏の王”なのだと思っていましたら…なんと無数にあるらしい平行世界の一つの明日架こそが“黄昏の王”でした。ただ、本人は“黄昏の使者”と名乗っていたので更に黒幕が存在する可能性もあります。
異形の魔法少女その2 

 最近流行の魔法少女バトルものかと思いきや、ラストは異世界の自分自身との対話の中で問題を解決するという新機軸。ただしそれが面白かったかというと…。異世界の自分が引き起こした災厄を自分で解決したといえば格好がいいですが、土宮明日架という存在そのものがいなければ平行世界は平和なままだったという気もします。むしろ真相が世間に流布したら、あらゆる平行世界で「土宮明日架を殺せ!」という声が挙がってきそうな。特に“黄昏”に激しく浸食されていた世界では。

 百合百合シーン

 結局弟はなぜ失踪したのか、その後どうなっているのかは全くの謎ですが、あらゆる平行世界で弟が失踪するのは確定事項らしいので、何か大きな理由があるとしか思えません。そのあたり第二期があったら描こうと考えているのか、それとも同時展開をしたスマホゲーで描こうとしたのかはわかりませんが、平行世界ものとしても魔法少女ものとしても(そして百合ものとしても)中途半端になってしまったきらいがあります。多分円盤の売り上げは期待できそうに…

アプリ版あかねさす少女 

 なお、アニメ放映とシンクロしてスマホアプリも展開していましたが、なんと来年1月一杯で終了とか。栄枯盛衰激しいのがスマホゲーの倣いですが、3ヶ月半で終了はさすがに早いですね。よほど不人気だったんでしょうか?だとするの二期は絶望的ですね。一応明日架と仲間達の明るい未来を予感させる終わり方をしているので、謎を残しつつも物語としては完結した感はあります。

作画崩壊の嵐のいもいも 

 続いて今期最大の問題作「俺が好きなのは妹だけど妹じゃない」。タイトルが長すぎるので以後略称の「いもいも」で呼びます。なぜに問題作なのかと言えば、近年稀に見る作が崩壊っぷりがです。

いもいも作画崩壊1 

 1クールやって全10話。最初から10話だったのかはやや疑問で、放映延期とかあまりの作画崩壊っぷりに事実上打ち切りになったんではないかとも思います。

いもいも作画崩壊2 

 私は「いもいも」を見てから「青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない」(これもタイトルが長いので以後は略称の「青ブタ」で)を見ていたのですが、それはそれは青ブタの作画が神々しく見えました。これでもし作画レベルが逆だったとしたら…

ドヤ顔本部以蔵 

 いもいも「青ブタさん。技量では私のはるか上を行くあなたが、何故アニメでこれほど遅れを取るのか……。これでしょうな。まっとうなアニメ制作会社以外の何ものか(主に中国)に頼みを置く。そんな性根がアニメを曇らせる。」

本部以蔵の名言 

 といったバキの本部以蔵対柳龍光の名シーンのパロディが出来たのですが、内容でも作画でも青ブタにはるか上を行かれてしまった「いもいも」原作者の胸中やいかに。

いもいも作画崩壊3 

 原作者も凹んでるでしょうけど、声優さんも可哀想。特にメインヒロイン永見涼花役の近藤玲奈はまだ十代の新進声優なのに、当面これを代表作としなければならないのか。他のヒロインも大体可哀想なんですが、ことさら氷室舞役の小倉唯が不憫で。天使声優に何てことを。いや別に悪役とか嫌な女役とかをやらせるなという意味ではなく、存在意義がほぼないようなキャラをやらせるなという意味です。「ゴブリンスレイヤー」の女神官とかはとってもいいと思います。

いもいも作画崩壊4 

 毎回のようにぶちかましてくる作画崩壊ラッシュに笑い死にしそうになり、もうストーリーとかはどうでも良くなりました。もう今度はどんな凄いのを繰り出してくるのか、そればかりに集中してしまって。ただ、この領域までくるともはや一周回って楽しくなってくるから不思議です。野次馬的には別の意味で楽しみにしている作品になっていました。

いもいも作画崩壊5 

 冷静に考えると、「アヘ顔Wピース先生」という「エロマンガ先生」を超えるインパクトとか、比較するのも恐縮なんですがシチュエーション的に似ている「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」と比べると、妹が性格的にも(作画崩壊を差し引いて)容姿的にも可愛いとか、評価すべき点もないではないのですが、もう作画崩壊が全てを打ち消してしまっています。

いもいも作画崩壊6 

 かつて「クオリディア・コード」というアニメも作画崩壊で界隈をぶいぶい言わせていましたが、個人的にはさほど気にならなかったのは、ストーリーが面白かったからでした。でも「いもいも」のストーリーはあってなきが如しなので、むしろ作画崩壊したが故にネタアニメとして視聴継続したようなものの、普通の作画だったら視聴を打ち切っていたかも知れません。

正直困太の文字 
いもいも作画崩壊7

 その他キャラが横倒しになる、モブキャラが突如別人に変わる、スマホがガラケーに変わる、しゃべっているキャラ以外動きが全くなくなる、テロップに「正直困太」の文字など、まあ話題に事欠かなかった「いもいも」。下請けの制作会社に全ての作業を丸ごと任せて、過密スケジュールで時間がなく、さらには報酬も未払いで万策尽きた後は中国の会社にまる投げしたとか。円盤も発売延期になってますが、この絵では売れるはずもなく。大幅に手直してして発売したとして一体誰が買うというのか…。

それはひょっとしてギャグで言っているのか 

 ほぼ悪口になってしまいましたが、実は楽しく見ていました。作画崩壊もここまで来るともはやギャグ。ひょっとしてギャグで制作したのかも知れませんね。だとすればなかなかに見応えのあるギャグアニメだったと言わざるを得ません。

ゾンビランドサガ 

 最後に「ゾンビランドサガ」。女の子がゾンビに襲われて生き残るために必死にあがく作品であるかのように偽装していましたが、蓋を開けたらゾンビがアイドルをやるという作品でした。

ゾンビモードとアイドルモード 

 アイドルになることを夢見る源さくらが、オーディション申請書を持って家を出たところでいきなり軽トラックに跳ねられて死亡。10年後、なぜかゾンビとして覚醒し、時代も死因もバラバラな7人のゾンビによるアイドルユニット「フランシュシュ」の一員として芸能活動をすることになります。

レッスン中のゾンビ達 

 子役だったりアイドルだったりと芸能活動をした経験のあるメンバーもいますが、なにしろ特殊メイクをしないとあからさまに怪しいゾンビフェイスなので正体を隠しながら活動しなければならない弱点もあり、なかなか芽が出ませんでしたが、日頃の活動が徐々に実を結び、最後には大きなイベントに参加することになりますが…

源さくら役の本渡楓 

 注目の若手声優本渡楓がメインヒロインの源さくらを演じており、その芸達者ぶりを見せつけてくれます。ずっと周りを励ます役目を担ってきた彼女が、終盤落ち込みまくりますが、そういう落差の表現ぶりも上手だと思います。

水野愛と種田梨沙 

 個人的には、平成のアイドル水野愛を演じていた種田梨沙に注目していました。1年間の療養の後、昨年復帰したとはいえ、どうも本調子になっていない感じがして心配です。今回はアイドルユニットとして歌もかなり歌ったようですが、なお彼女の全盛期に比べるとまだなあ…という感じが抜けません。本当に大丈夫なんでしょうか。こんなところでぐだぐだ言っていても何の足しにもならないのですが。

闇堕ちさくら 

 本作、実は結構評判らしくてTwitterのトレンドワードランキング第1位を獲得したりしているようです。一応終わりましたが続編はいくらでも制作可能な終わり方なので、二期も十分あり得そうです。そうなると“中の人”が歌ったり踊ったりするイベントとかもあるかも知れません。

謎のプロデューサー巽幸太郎 

 なんで佐賀を救わなければならないのか、単に佐賀とSAGAをかけただけなのかとか、「ヴィンランドサガ」とかけてんのかとかいろいろ突っ込みどころもありますが、何よりも謎なのがグラサンプロデューサー巽幸太郎。最終回のカットから、かつてはさくらの高校時代の同級生だったようですが、恋心でも抱いていたのか。ゾンビとして復活させるなど、ネクロマンサーなのかも知れませんが、他のアイドルも墓を掘り返したのか?そもそも全員火葬されてなかったんかい。宮野真守がアドリブ全開で弾けまくってますが、謎の多いキャラです。今後解明されることはあるんでしょうかね。

何が伝説なんだ山田たえ 

 そしてフランシュシュメンバーの中で、最後まで覚醒しなかった山田たえ役はまさかの三石琴乃。セーラームーンに最後までセリフをしゃべらせず、終始叫んだりうめいたりだけさせるというのは凄まじいキャスティングですな。享年29歳ということでただ一人アイドルの年齢ではないんですが、正体は何者なんでしょうか。

ご当地ゾンビ 

 メンバーに江戸末期~明治時代の花魁がいたり、最年少メンバーの星川リリィが実は“男の娘”だったりと、結構いろいろ詰め込んだ編成になっているフランシュシュ。アイドルアニメは既にいろいろあって人気を博しているグループもありますが、そんなアイドル戦線に食い込むことが出来るでしょうか。個人的にはほとんど見ないジャンルなので、「偽装」にだまされなければ見なかったかも知れませんが、見てみればそれなりに楽しめました。しかし包帯を巻いているゾンビもいるというのに、それを普通のアイドルに見せてしまう特殊メイクってどんだけのオーバーテクノロジーだ(笑)。

フランシュシュの光へ 

奈良小旅行(その6):秋篠寺と西大寺

黄金のクリスマスツリー

 今日は雨模様という予報だったので、小旅行もお休みかと思っていたのですが、ふたを開けてみればいい天気。どうやら雨は夕方からという気配なので、近場を攻めてきました。

大和西大寺駅 

 近鉄の大和西大寺駅は近鉄奈良駅の手前で、大阪中心部から一時間もかからずに行けますが、かつては平城京の内側ということで古寺名刹や史跡の宝庫です。鉄道好きにはまた別の面から人気だったりします。

大和西大寺の平面交差 

 近鉄奈良線と近鉄京都線・橿原線が平面交差する形で乗り入れており、近鉄天理線から直通する急行・普通列車も当駅まで乗り入れているのです。カオス認定される過密ダイヤで、線路は山のような切り替えポイントでややこしく接続されています。駅を広げようにも、平城宮跡地の中であるため、掘り返せば地下から遺跡が出てくることは確実なため、工事もままならないようです。私は乗り鉄なのでこういうのにはあまり興味はないのですが、好きな人はわざわざ作られた展望デッキから思う存分見てください。

称徳天皇陵  

 まずは秋篠寺に向かいます。駅からの道のりはほぼ住宅地となっていて、最近はまっていた奈良盆地南部とは違って京都の寺社を訪ねるような雰囲気ですが、ちょっと遠くを見ればまるで里山のように古墳が見えたりして、さすが奈良だなと思ってしまいます。

秋篠寺東門 

 先日秋篠宮が宮内庁をお叱りということが話題になっていましたが、秋篠寺は直接「秋篠宮」の宮号とは関係ないようです。しかしご結婚直後、紀子妃殿下の横顔がこの寺の伎芸天(ぎげいてん)像に似ているという評判が起こり、多くの人が伎芸天を拝観すべく秋篠寺に観光バスなどで訪れたとか。今はすっかり静寂な境内ですが。

秋篠寺本堂 

 秋篠寺は寺伝によると宝亀7(776)年、光仁天皇の勅願により法相宗の僧・善珠が創建したとされます。保延元(1135)年に火災により講堂以外の主要伽藍を焼失しており、現存する本堂(国宝)は旧講堂の位置にありますが、鎌倉時代の再建です。が、様式的には奈良時代建築の伝統が生かされているそうです。堂内には本尊薬師三尊像(重文)を中心に、十二神将像、地蔵菩薩立像(重文)、帝釈天立像(重文)、伎芸天立像(重文)などが安置されています。

伎芸天像 

 本堂内は写真撮影禁止(たいていの寺ではそうですが)なので借り物の画像ですが、これが伎芸天像です。頭部が奈良時代のもので、体部は鎌倉時代のものですが、違和感なく調和しています。伎芸天は護法善神とされますが、他の○○天と違って、ヒンドゥー教などで相当する神を特定することができないそうです。現存する古像はこれのみとか。そもそも身体は鎌倉時代制なので、造立当時の姿がどのようなものだったのかもよくわかりません。

秋篠寺大元堂 

 こちらは大元堂(大元明王院)。秘仏とされる大元帥明王像が祀られています。「帥」の字は発音せず「たいげんみょうおう」と読むようです。古代インド神話に登場する鬼神アータヴァカに由来し、 毘沙門天の眷属である八大夜叉大将の一尊に数えられていますが、密教では明王の最高尊である不動明王に匹敵する霊験を有するとされており、一説には「全ての明王の総帥であることから大元帥の名を冠する」と言われているとか。四天王配下から大出世ですね。 

大元帥明王立像 

 こちらがご尊顔。秘仏なのでやはり借り物画像ですが、恐ろしげですね。軍組織における「大元帥」とか「元帥」の呼称は、この大元帥明王からきているという説もあるそうです。え!そっちが先だったの!?大元帥明王は絵巻や掛軸等が多く、仏像としてはあまり多くないようです。伎芸天といいマイナーなものが多いですね、秋篠寺は。

秋篠寺開山堂 

 開山堂。小さなお堂です。開祖である善珠僧正の図像が祀られているそうです。

秋篠寺東塔礎石 

 かつては大伽藍を有していたそうですが、大半が失われ、今ではひっそりした佇まいです。遺跡のようなものを発見しましたが、これはどうやら東塔の礎石のようです。

秋篠寺の苔庭その1 
秋篠寺の苔庭その2 

 苔庭。金堂跡、西塔跡があるようですが、入れません。しかし苔庭というだけでもなかなかの見物です。

八所御霊神社 

 秋篠寺の南門を出るとすぐそばにある八所御霊神社。秋篠寺の鎮守社で、宝亀11(780)年に創建されたと伝えられています。非業・不慮の死を遂げたことで「怨霊」が恐れられた崇道天皇(早良親王)・伊予親王・藤原夫人(伊予親王の母)・橘逸勢・文屋宮田麻呂・藤原広嗣・吉備大臣(吉備真備)、火雷神(菅原道真であるとも)を祀っています。典型的な御霊信仰に基づく神社ですね。京都には上御霊神社、下御霊神社があります。このうち吉備真備は地方豪族出身なのに右大臣にまで出世しており、特に怨霊になる理由がないような気がしますが、陰陽道の祖であるとか、九尾の狐を連れて唐から帰ってきたとかいう説もあり、特殊な力を持つ人物として扱われたのかもしれませんね。

歴史の道 

 秋篠寺と西大寺は「歴史の道」という小道でつながっていて、わりと迷うことなく行くことができます。この道、ぐるっと奈良市内を取り巻いており、秋篠寺-西大寺間は北西部のほんのちょっとだけです。奈良公園とか唐招提寺、薬師寺は行ったことがあるのでまあいいとして、秋篠寺から東にある古墳群が気になりますね。行く機会があるのでしょうか。

 西大寺看板

 はい、そして西大寺。東に東大寺あれば西に西大寺あり。でも北大寺とか南大寺はない不思議。京都では羅生門をはさんで東寺(教王護国寺)と西寺が存在しましたが、東寺は現存するものの、西寺は廃寺になって跡だけになってしまっています。一方奈良では現存しているものの、世界級にメジャーとなった東大寺の知名度とは比べるべくもありません。しかし「大和西大寺駅」とか「西大寺町」といった地名にはしっかり刻まれています。

西大寺境内図

 西大寺は奈良時代に孝謙上皇(重祚して称徳天皇)が恵美押勝(藤原仲麻呂)の乱平定を祈願して金銅四天王像の造立を発願したことを経緯に僧・常騰を開山(初代住職)として建立されました。南都七大寺の1つとしてかつれは壮大な伽藍を誇りました。南都七大寺は平城京及びその周辺に存在して朝廷の保護を受けた七つの大寺を指しますが、なんか南斗六聖拳みたいで格好いいですね。ちなみに東大寺、西大寺の他、興福寺、元興寺、大安寺、薬師寺、法隆寺(或いは唐招提寺)だそうです。

南斗六聖拳像 

 いや、南都六宗の方が六聖拳に近いかな。

現在の地図と重ねた平城京 

 「西大寺」の寺名は言うまでもなく、大仏で有名な「東大寺」に対するもので、平城京の外にあった東大寺に対して西大寺は平城京内にあり、かつては薬師金堂、弥勒金堂、四王堂、十一面堂、東西の五重塔などが立ち並ぶ壮大な伽藍を持った大寺院でした。しかし寺は平安時代に入って衰退し、火災や台風で多くの堂塔が失われていき、興福寺の支配下に入っていたそうです。そもそも平安京遷都の主要な理由は仏教界の政治介入を排除するためとされており、旧都に残されて国家の庇護がなくなれば弱体化は必至かも知れませんね。興福寺は藤原氏の氏寺だったので平安時代も引き続き隆盛したと。

道鏡のイメージ 

 じゃあ東大寺とかだって駄目だろうという気がしますが、西大寺の場合、おそらく称徳天皇の発願というのが良くないのではないかと。だって称徳天皇といえば道鏡でしょ?西大寺建立に当たっては道鏡の思想的影響が大きかったと思われますが、その道鏡の失脚後は藤原氏からの風当たりが一段と強かったのでは。

叡尊像 

 しかし鎌倉時代に叡尊という人が出現し、荒廃していた西大寺の復興に尽くしたそうです。叡尊は、当時の日本仏教の腐敗・堕落した状況を憂いて戒律の復興に努め、その一方で貧者、病者などの救済に奔走した偉い坊さんだったそうで、鎌倉幕府、公家、皇族に至るまで貴賤を問わず帰依を受け、死語には興正菩薩の尊号が贈られています。

西大寺の文殊菩薩 

 西大寺に現存する仏像、工芸品などは叡尊の時代に制作されたものが多く、まさに中興の祖な訳ですが、戦国時代になると兵火に遭って大被害を受け、現存する伽藍は全て江戸時代以降の再建となっています。現在の境内には本堂、愛染堂、四王堂、聚宝館(宝物館)などが建っているほか、本堂前には東塔跡の礎石が残っています。なぜに塔は再建しなかったし。

西大寺四王堂 

 東門から入るとまず現れる四王堂(重文)。孝謙上皇発願の四天王像を祀っていますが、現在は足下の邪鬼のみ奈良時代のもので、四天王像本体は鎌倉・室町時代の作と推定されています。それから四王堂という名前なのに平安後期作とされる十一面観音立像が本尊として据えられています。

西大寺本堂 

 本堂(重文)。江戸後期と比較的新しい造営ですが、この時代の大規模仏堂建築の代表作として重文に指定されています。鎌倉時代に作られた本尊の釈迦如来立像も重文。やはり鎌倉時代作の文殊菩薩及び脇侍像5体も重文となっています。

西大寺愛染堂 

 愛染堂。京都御所の近衛公政所御殿を宝暦12(1762)年に移築したもので、元々寺院ではないせいか、人に配慮した明るさや居住性があります。本尊は愛染明王座像(重文)ですが、秘仏なので通常はレプリカが置かれています。それと叡尊の座像があり、こちらは国宝。叡尊80歳の時の肖像で、長い眉毛、団子鼻の風貌は像主の面影を伝えていると思われます。ちなみに叡尊は90歳まで生きたそうで、この時代の人としては極めて長寿でした。

西大寺の東塔跡 

 東塔跡(後ろは本堂)。五重塔でしたが、戦国時代に焼失し、その後は再建されないまま塔跡のみが残っています。

謎の平和観音 

 平和観音像。西塔跡近くの野外に立っています。緑色で最近の作のようですが、由来など一切不明なんですが、なぜにこんな目立つ仏像を建てながら寺側は何の説明もしないのか謎ですな。

秋篠寺の紅葉 

 紅葉はほぼ終わってしまいましたが、我が旅心はなお消えず。大和西大寺周辺には他にもいろいろな寺社仏閣や史跡があり、まだまだ見所が一杯。可能であれば来週も訪れたいと思います。特に強そうな名前の海龍王寺と平城宮跡はぜひ行きたいです。

記憶に残る一言(その99):クレタ王ミノスのセリフ(クレタの牝牛)

冬のツリー

 暖冬と聞いていましたが、結構寒いですね。今週は後半寒波が通り過ぎると暖かいとか予報士が言ってたような気がしましたが、そういうことはなかったぜ!「着る毛布」使いまくりです。来週こそは寒さが緩むといいのですが。夏がクソ暑い大阪、その分冬はさほどでもないかと思いきや、それなりに寒いのでした。

ミノス王 

 本日は先週に続いて「記憶に残る一言」。正直前回は自分でもあんまり面白くなかったので今回は面白く出来るといいな。今回は田亀源五郎のゲイ漫画「クレタの牝牛」からミノス王のセリフです。

田亀源五郎 

 水棲昆虫の名前が重なったようなペンネームの田亀源五郎は1964年2月3日生まれの漫画家で、自らを「ゲイ・エロティック・アーティスト」と名乗っています。アートディレクター、グラフィックデザイナーを経て、1986年から「さぶ」にてゲイ漫画・小説の連載を始め、その後「Badi」「薔薇族」「G-men」などでも作品を発表しています。優れた画力で表現される男性の肉体描写、SMシーンの芸術性は国内外で高く評価されており、フランス語版の単行本が出ているほどです。

弟の夫

 ゲイ漫画といえば「ウホッ!いい男」で有名なヤマジュンこと山川純一の「くそみそテクニック」が真っ先に思い浮かぶのですが、ヤマジュン作品をノンケでも安心して読めるイージーモードとするならば、田亀作品は超高難度のエキスパートモードということです。なので私も「クレタの牝牛」しか見ていません。

ドラマ化された弟の夫 

 ノンケでも読める作品としては「弟の夫」(「夫の弟」にあらず)という非18禁漫画があり、2018年にNHKでドラマ化され、そして翻訳作品が同じく2018年にアメリカの権威あるアイズナー賞において、アジア作品最優秀賞を受賞しています。

筋肉奇譚 

 「クレタの牝牛」は単行本「筋肉奇譚」に収録されています。テセウス、ミノタウロス、ミノス王などが登場するギリシャ神話世界の物語です。この後ちょっとギリシャ神話について語りますが、キャラとしては漫画やゲームのものを流用させて貰います。

聖闘士星矢に登場したミノース 

 「弟の夫」が「夫の弟」の間違いのように思えるように、「クレタの牝牛」も「クレタの牡牛」じゃないのかと思ってしまうタイトルです。ギリシャ神話によると、ミノスはゼウスとテュロスの王女エウロペの間に生まれます。

グラブルのエウロペ 

 エウロペは何しろゼウスが一目で恋に落ちるほどの美貌だったので、その後クレタ王の妻となり、ミノスも義理の息子としてクレタで育ちます。

海皇ポセイドン 

 その後クレタ王が亡くなったので、ミノスが後継者となりますが、この時ミノスは海神ポセイドンに、王位継承の証として牡牛を海から送ってくれるよう祈り、その牡牛を生贄として捧げることを誓いました。ポセイドンはこれに応えて牡牛を送りますが、その牡牛があまりに美しかったため、ミノスは欲を出して別の牛を生贄としてしまいました。

雌牛の模型に入るパーシパエー 

 これに怒ったポセイドン、仕返しにミノスの妃であるパシパエに呪いをかけ、横領された牡牛に恋情を抱くようにしてしまいます。人の道に外れた恋に悩んだパシパエは、名高い工匠ダイダロスに相談し、木製の雌牛の張りぼてを製作してもらい、これを使って牡牛への思いを遂げます。

ミノタウロスのイメージ 

 これでパシパエは妊娠して子供を産みますが、その子供は人間の体に牛の頭が乗った怪物だったのでした。ミノタウロスという名前で有名ですが、これは「ミノス王の牛」を意味する異名で、本当の名前は星・雷光を意味するアステリオスです。ミノタウロスは成長するに従って凶暴になり、手に負えなくなったミノスはダイダロスに命じて迷宮・ラビュリントスを作らせて、そこにミノタウロスを閉じこめました。そして食料として当時クレタが支配下に置いていたアテナイから9年毎に7人の少年、7人の少女を送らせることとしたのでした。

ミノス王とテセウス王子 

 アテナイの王子テセウスは、これに強い憤りを感じ、自ら進んで生贄の一人となってクレタに乗り込み、ミノスの娘である王女アリアドネの助けを得て見事にミノタウロスを退治します。

落とし穴 

 ……これが神話のあらすじなんですが、「クレタの牝牛」は、クレタに乗り込んだテセウスがミノスを殺そうとするところから始まります。用心深いミノスが杖で隠しボタンを押すとテセウスは落とし穴に落ち、下ではミノタウロスが待ち構えていました。

ミノタウロス登場 

 不意を突かれたテセウスは怪物に捕らえられ、なすすべもなく食い殺されるかと思われましたが…なんとミノタウロス、ヒゲマッチョのテセウスを「花嫁」にしてしまいます。これにはミノスもびっくり。

喰らうのかと思いきや 

 そして繰り返し(ウホッ!アッー!)されるうちにテセウスはミノタウロスの子を身ごもってしまいます。だんだんと腹が膨らみ乳首からは白い液体が噴き出すように。どこで子供が育っているのかといえば、腸の中としか言えないのですが、仮にそこで育つとして、“大”と一緒に出てきやしないかと思うのですが…

尻から出た何物かを 

 ミノタウロスは肛門から管を伸ばしてなにやら分泌物をテセウスに無理矢理食べさせており、これによってテセウスは栄養が十分な状態になっています。おそらくそれだけではなく“大”を出なくて済むような作用もあるのではないかと。それにしてもテセウスが食わされているものこそミノタウロスの“大”のような…

ミノタウロス宇宙人説 

 テセウスは、ミノタウロスとはアテナイの若者を生け贄に捧げさせるための口実にすぎない架空の存在だと思っていました。ミノスによれば、巷ではミノスの后パシパエが牛と交わって産んだ怪物と噂されていますが、実際には“天駆ける神盾(アイギス)”に乗って雷のように空からやってきた存在だということで、ミノタウロスとテセウスの間の子はクレタの守護神になるだろうとのことです。

恐怖に震えるテセウスさん 
産め!神の子を!

 そして王宮前の広場に引き出され、国民がこぞって見つめる中で“出産”を強いられるテセウス。恐怖に半狂乱になっています。そこにミノスが得意な杖とともに放ったのが今回のセリフ。

 ぎゃああああ

 そしてテセウスの肛門から生まれたのは小さなミノタウロス。……たまげたなあ。なお作者によれば、「ミノタウロスはクローンを宿主に植え付け宿主の遺伝情報を取り込みながら増殖するタイプの生物である」とのことです。基本ミノタウロスなんだけど宿主の特徴とか長所は取り入れていくということなんですね。だから普通の生贄は喰らっていたミノタウロスは、人間の中でも屈指の勇士であるテセウスは別の意味で喰ったという。クレタの守護神となってくれるのかどうかは判りませんが、ミノタウロスジュニアはミノタウロスより強力になっているのではないかと。

FGOのヘラクレス 

 なお余談ですが、ミノタウロスのパパンとなったミノスの牡牛は、ヘラクレスがミケーネ王エウリュステウスに命じられた「12の功業」の一つとして、素手で捕らえてエウリュステウスのところに連れて行って見せた後、放逐したそうです。その後この牡牛はギリシャ周辺を彷徨ってマラトンで暴れていたところをテセウスに退治されたそうです。親子共々テセウスに殺されるとは、なにやら因縁を感じさせますね。

牛飼いパシパエ 

 それからミノタウロスのママンであるパシパエですが、もし恋のお相手が雄馬ならオシラサマを産んだのだろうかとかしょうもないことを考えてしまいますな。それにしても絵が牛飼い娘って…。それはさておき、パシパエは太陽神ヘリオスと女神ペルセーイスの娘で、姉に高名な魔女キルケー、姪にやはり高名なメディアがいます。

キルケー FGOのメディア

 それならパシパエ本人も魔女なんじゃなかろうかと思ったら、やはり魔術に優れていたそうで、ミノスに魔法をかけて、彼が別の女を抱こうとすると体から毒蛇やムカデ、サソリを放って相手の女を殺してしまうようにしたそうです。ヘラクレスのように神と人間の間の子が半神になるのはわかりますが、パシパエやキルケーはそもそも神と女神の間の娘なので、それなら本人も神じゃないかと思いますが。

 冥界三巨頭

 さらにミノスですが、ギリシャ神話では、同母弟のラダマンティス、異母兄弟のアイアコスと共に死後に冥界の審判者となったとされています。「聖闘士星矢」では冥闘士(スペクター)を統べる冥界三巨頭として登場しますが、ちゃんと由来があったんですね。冥界三巨頭は三兄弟でもあったとは。まあギリシャ神話ではゼウスはとにかくいろんな女とやりまくって子供を作りまくっているので、異母兄弟はやたらいるようですけどね。

BOKETEの産め神の子を 

 「産め!神の子を!」は有名なセリフで、ネットではいろんな場面で使われていますが、画像付きのものとなるとあんまりありませんでした。見つけたのはこれ。女子のみなさん、キュンとしますかね?

クリスチャンの皆さんすいません 

 あと勝手に作ってみたのはこれ。クリスチャンの皆さんすいません。怒らないでください。有名な「受胎告知」の絵の一つなんですが、マリアのリアクションがいかにもこういうセリフを言ってそうな感じだったもので。
 

奈良小旅行(その5):女人高野 室生寺

初寒波襲来です

 今日は寒かったですね。大阪でも最高気温が一桁でした。真冬の寒さだというのに、性懲りもなく秋の流れで古寺名刹探方を続けてしまいました。そろそろ終わりにした方がいいのかも知れませんねと言いつつ、今回は「女人高野」の別名を持つ室生寺です。個人的には「階段地獄」の異名を進呈したいですが。

室生口大野駅 

 鶴橋から近鉄特急と急行を乗り継いでやって来たのは室生口大野駅。それにしても淋しいところです。無人駅化は仕方ないとして、駅前の寂れ具合たるや。

室生寺行きのバス 

 室生寺行きのバスが停まっている他は、客待ちのタクシーが一台いるっきり。秋の観光シーズンは過ぎたとはいえ、
五木寛之が「古寺巡礼」第一巻の冒頭で取り上げた名刹を擁するというのに何という静けさ。だがそれがいい。外人どころか日本人観光客すら少ないという状況が孤独な旅人(私のことです)の旅情と哀愁をひときわ刺激します。……ま、日帰りなんですけどね。

室生寺入り口 

 バスで15分ほどで室生寺に到着。最近は田舎のバスも電子マネー対応になっていることが多く、乗り降りに手間取らなくて便利ですね。バス停から2~300メートル歩くと室生川に朱塗りの太鼓橋が掛かっていてここが入り口です。拝観料は600円。醍醐寺とか當麻寺に比べるとお安くなっています。

室生寺境内図 

 室生寺は室生山の山麓から中腹にかけてが境内になっていて、典型的な山岳寺院とされています。とにかく階段が多い。奥の院までで700段あるとか。寺が出来る前から、この辺りは奇岩や洞穴が多く、霊地とされていたようです。いわゆるパワースポットというやつでしょうか。社寺があるからパワースポットなのか、パワースポットだから社寺が建てられるのかは、卵が先か鶏が先かといった感じでよくわかりませんが、少なくとも室生寺はパワースポットだったのが先だった模様です。

桓武天皇 

 奈良時代末期の宝亀年間(770-781年)、時の皇太子山部親王(後の桓武天皇)が病を得た際、5名の名僧が室生山に派遣されて修法を行ったところ効験があったということで、その後興福寺の僧・賢璟(けんきょう/けんけい)が、山部親王の命で室生山に寺を建立したということです。おそらく賢璟も5名の名僧の中に含まれていたのでしょう。

 修円僧都の廟

 賢璟は当時すでにかなりの高齢だったとされ、在世中にどこまで寺が整えられたか不明で、実質的な創建者は次代の興福寺別当・修円であろうと言われています。二代に渡って興福寺の僧が関わったことで、室生寺は中世を通じて興福寺の末寺でしたが、江戸時代前期に真言宗豊山派(総本山は長谷寺)の本山となり、さらに戦後、独立して真言宗室生寺派の大本山となっています。

室生寺本堂と五重塔 

 先ほど書いたとおり、室生寺の別名は女人高野です。今では真言宗も多数の分派にわかれていますが、二大拠点といえば弘法大師空海自らが創建した東寺(教王護国寺)と高野山金剛峯寺となろうかと思います。このうち高野山がかつては女人禁制でしたが、室生寺は女人の参詣が許されていたことから付いた別名とされますが、そもそも室生寺が真言宗に加わったのは江戸時代なので、「女人高野」と言われ始めたのもの江戸時代以降ということになります。ということは、結構最近のことなんですね。

女人高野という歌も 

 それにしても女性も参詣するんだから楽だろうと考えたら大間違いで、全山山の中にあるのでとにかく階段だらけです。一番高い奥の院に行くには400段の階段を登らなければなりませんが、そこに至るまでに300段位は登っているという。しかも階段が高さや形が一定化されていない石段なもので、これは健脚でないとかなりキツいです。私もどうしようかと思いましたが、これでも談山と御破裂山を踏破した男、ここは一発根性見せねばとトライしました。

室生寺仁王門 

 ま、それはおいおい書くとして、まずは仁王門を通って、鎧坂という急な石段を登ります。石段の両脇には石楠花や木々の枝が迫っているので、あんまり端を通ると枝が頭にぶつかります。

室生寺金堂 

 石段を登り切ると平安時代前期の建立で国宝の金堂。建物前面が斜面に張り出して懸造りとなっていますが、ごく控えめです。中は撮影禁止ですが、向かって左から十一面観音立像(国宝)、文殊菩薩立像(重文)、本尊釈迦如来立像(国宝)、薬師如来立像(重文)、地蔵菩薩立像(重文)の5体が横一列に並んでいて、その手前には十二神将立像(重文)が立っています。

室生寺本堂 

 金堂の左手には重文の弥勒堂がありますが、残念ながら現在は修理中。なので石段を登って先に進みます。今度はやはり国宝の本堂が現れます。別名灌頂堂で鎌倉時代後期の建立。灌頂という密教儀式を行うための堂で、如意輪観音坐像(重文)を安置しています。日本三如意輪の一つと称されているそうですが、しかし好きですね日本(世界)三大○○というやつが。

室生寺五重塔 

 さらに石段を登ると平安時代初期の800年頃建立の五重塔があります。屋外にある木造五重塔としては、法隆寺塔に次ぎわが国で2番目に古いそうで、もちろん国宝。高さは16メートル強ということで、国宝・重要文化財指定の木造五重塔で屋外にあるものとしては日本最小だそうです。談山神社の十三重塔よりも小さいですね。

階段から見た五重塔 

 1200年以上前の建築物にしてはやけに新しく見えますが、1998年に台風7号によってそばの杉の大木が倒れて塔の屋根に直撃するという大被害を受け、1999年から2000年にかけ復旧工事を行ったからのようです。「女人高野」という名前のせいか、なんとはなしに女性的な優美な塔のように思えます。

奥の院に向かう階段その1 

 さあ、五重塔の脇から400段の石段が奥の院まで伸びています。こちらも段差や石の形状がまちまちで、かなり登り辛いです。もう上を見ずにひたすら目前の石段に集中して登っていきます。

奥の院に向かう階段その2 

 周囲は完全に山中の雰囲気。室生山の山中には違いないから当然といえば当然なんですが、奥山の雰囲気があります。途中天然記念物の暖地性シダ群落があります。イヨクジャク、イワヤシダ、ハカタシダ、オオバハチジョウシダなど、四国や九州以南の暖地に生育する種類のシダのなんだそうです。

 常燈堂の懸造り

 へとへとになりながらふと見上げると金堂よりずっと豪快な懸造りの建物が。これが常燈堂。国宝とか重文とかに指定されているのかと思えばなにもなし。それもそのはず、建立は昭和10年なんだそうで。ほぼ現代の建築やんけ。

奥の院から下界を見る 

 でもぐるっと周囲を回ることができ、山の下を見ることも出来ました。結構な高さに思えますね。この石段を朝夕上り下りしたら、運動部の学生なんかはいいトレーニングになりそうですが…

奥の院御影堂 

 大きさは常燈堂よりずっと小さいですが、こちらが奥の院のメインである重文の御影堂。弘法大師を祀っていて、板葺き二段屋根の宝形造りで、建立は室町時代前期。日本各地にある大師堂の中でも最古級の堂だとされています。正直、これを見るためだとすると400段の石段はちょっとハード過ぎる気もしますが、まあ踏破すること意義があると考えましょう。山岳寺院どんと来い! 

弘法大師の歌 

 御影堂のそばにあったご詠歌。?なんとなく東寺にあるご詠歌「身は高野(たかの)、心は東寺に納めおく、大師の誓いあらたなりけり」に似ているような。まあ弘法大師謹製でないことは確かでしょう。

杉の大木の中のお堂 

 降りは汗はかきませんが、膝にはむしろ登りより負担が。でも気持ちに余裕が出てくるのでいろいろ道草する気になってきます。杉の大木の中に小さなお堂が。何の説明もないので正体不明です。賽銭箱はありましたが、説明がないと入れにくいのでは。

伝北畠親房の墓 

 「神皇正統記」を著したことで有名な北畠親房のものと伝えられる墓。親房は南朝方の総司令官として南朝方の勢力拡大を図って奮闘しましたが、その死後は南朝に指導的人物がいなくなり、衰退への道をたどっていくことになります。南朝の行宮があった奈良県五條市賀名生が終焉の地で墓もあるのですが、分骨でもしたんでしょうか。

室生寺弁天堂 

 どんどん石段を降っていって弁財天社。弁天様といえば水の神様ですが、そばに変わった形の池があるせいでしょうか。梵字の「バン」の形をしているというこで「バン字池」と言います。

室生寺護摩堂 

 さらに入り口近くに戻って護摩堂。ひっそりと目立たないお堂ですが、桜の季節は背後と正面の桜がそれは美しいそうです。

室生寺本坊 

 本坊。坊さん達が居住したり食事をする庫裏といった感じです。

室生寺慶雲殿 

 そして慶雲殿。時期によっては特別秘宝展とかを開催するようです。

紅葉も終わり 

 室生寺紅葉コレクションをやりたいんですが、既に紅葉の盛りは過ぎてしまったようで、冬の気配が濃厚となっていました。

 冬の気配の室生寺

 一番秋っぽいのとしてこれはどうでしょうか。散り敷き紅葉の色がちょっと褪せてしまっているのが惜しいですが。

名残の紅葉

 奈良というと奈良市とかせいぜい奈良盆地というイメージが強いですが、「京に田舎あり」のことわざがあるように、奈良も奈良盆地以南はほぼ大山岳地帯です。「奈良に秘境あり」ということわざを作りたいぐらいのものですが、室生寺周辺だったかなり秘境っぽい感じがあります。「山と渓谷」って感じがしませんか?

室生寺周辺の山
室生寺周辺の渓谷
 
 まだまだ京都奈良の古刹は山ほどあるんでしょうが、行ってみたいなと思っていたところは大体訪れたような気がします。もう寒いからこの辺りで打ち止めにしようか、いやいや週末あたりからまた暖かくなるという予報もあるしと、ちょっと思い悩んでいます。とりあえず雨が降ったらやめときましょう。

記憶に残る一言(その98):王貞治のセリフ(ホークス監督時代)

神戸ルミナリエ2018

 12月とは思えない暖かい日が続いていましたが、本日一気に冬らしい寒さがやって来ました。暖かい冬は楽といえば楽なんですが、やはり少しは冬らしさもないといけませんね。


ニトリの着る毛布 

 寒波が来ると予報が出ていたので、ヤマトの真田さんのように「こんなこともあろうかと!」と、着る毛布をニトリで買ってきましたよ。札幌の企業と知って以来ご贔屓にしているニトリですが、安くて品質がしっかりしているのがよいですね。

世界のホームラン王 

 本日は本当に久しぶりに記憶に残る一言です。何と半年ぶりぐらい。本日はネットで多用されているけど語源は実在の人のセリフです。何と世界のホームラン王、王貞治のセリフを紹介しましょう。

ソフトバンクの王監督 

 王さんの経歴をここで記すのは野暮の極みなんで現役時代は全省略。1980(昭和55)年の選手引退後、巨人の助監督・監督を務めますが1988(昭和63)年に辞任し、その後は解説者を務めていましたが、1994(平成6)年のシーズン後ににソフトバンクホークスの前身であるダイエーホークスの監督に就任します。ちなみにダイエーの前は南海だったんですが、もはや歴史でしょうかね。昭和の頃、南海のほか、阪神・阪急・近鉄と、近畿の鉄道会社はこぞって球団を経営していましたが…もはや残っているのは阪神だけという。

ホークス生卵事件 

 ホークスの監督は2008(平成20)年まで1続けます。今年はパリーグ2位から下克上で日本一に輝いたホークス、2010年以降は9年間でリーグ優勝5回、クライマックスシリーズ優勝5回、日本一5回という強力なチームとなっていますが、王監督就任の頃は弱小チームでした。1980年代から90年代前半はほぼ万年Bリーグ状態。王さんが就任しても当初は低迷し、選手の乗ったバスにファンが生卵をぶつける事件もありました。この時王監督は「我々が卵を投げ返すのは簡単だが、これをファンの意見と取るならば、勝つ事しかないんだよ」とコメントしたそうです。

ヤメテくれ王 

 こんな横断幕まで掲げられたりと、「世界の王」が屈辱に耐え続けてチーム整備に努めた結果、1999(平成11)年についにリーグ優勝、そして日本一に輝き、ホークスの台頭が始まります。しかし2008年には12年ぶりの最下位となり、体力的な問題を主な理由にシーズン終了で監督職を退くことを表明しました。監督退任後もソフト番地の球団最高顧問、GMを歴任し、現在はソフト版との取締役会長、日本プロ野球名球会顧問を務めています。今年の6月に結婚するなど、80歳近いというのに老いてなおお盛んなご様子です。

優勝凱旋 

 その王さんのホークス監督時代の口癖が「しゃーない」でした。意味はもちろん「しょうがない」ですが、特に敗戦時のコメントで多く見られたそうです。これに加え「強い気持ちが足りない」、「切り替えていく」、「緊急ミーティングを開く」などが定型句となっていました。

生卵事件で奮起 

 野球好き、スポーツ全般好き、ネタスレ好きが集うという2ちゃんねる(現在は5ちゃんねる)のまとめサイトですある「なんでも実況J板」(通称「なんJ」)で多く使われますが、特に「切り替えていく」と合わせて、自分の事について「しゃーない、切り替えていく」とか、他者の愚痴やぼやきに「しゃーない、切り替えていけ」と返したりすることが良く見られます。

原監督 

 なお「切り替えていく」の方は、今年巨人の監督に返り咲いた原辰徳の口癖でもあり、やはり敗戦後のインタビューでよく使っていたそうです。

失敗した! 

 振られたとき、受験に失敗したとき、就活に失敗したとき…人生には様々な失敗がつきものです。失敗は人生の常、しかしいつまでも後悔を引きずっていると、その後の人生にも悪影響を及ぼしかねません。もちろん敗因の分析や対策は必要ですが、まずは「しゃーない」と現実を受け入れ、気持ちを切り替えて未来への準備を行って行くことが大切でしょう。

しゃーないの使われ方

 しかし、「しゃーない」はいささかブロークン。自分自身はネットで使用する際には別に構わないのですが、TPOをわきまえないで使用するとこういうことも……

しゃーないで暴力事件が 

奈良小旅行(その4):中将姫伝説の古刹・當麻寺

12月の長谷寺

 12月というのも暖かいですね。月が変わって秋から冬になったとはいえ、そうあっさりと気候までは変わらず、紅葉もまだまだ見頃の場所がたくさんあります。

奥院から見た伽藍 

 先週に引き続き奈良小旅行です。なんか最近は京都より奈良の方がお気に入りになってきました。奈良も東大寺や奈良公園のある奈良市はともかく、南部(奈良県の、ではなく奈良盆地の)は外人が少ないし、そもそも観光客の数が段違いに少なくて、静かに観覧できるんですよ。いや、インバウンドやら多くの観光客が名所名跡を潤してくれ、ひいては日本の経済に必要だということは判るんですが、個人的にはやはり周囲に人が多くて騒がしいのは苦手です。

わたしは奈良派 

 あと、千年の都・京都の偉大さと素晴らしさは世界的に有名なんですが、奈良にはそれより更に古い寺社がごろごろしているという。まあ平城京はもとより、それ以前の飛鳥時代とかは奈良盆地に都がありましたから当然なんですが、近鉄の宣伝文句じゃありませんが、私も奈良派になりそうです。

二上山 

 ということで、本日は近鉄も乗って當麻寺に行ってきました。「當麻」は「たいま」と読みます。沖縄在住の元女優がピクッと反応しそうな名前ですが、マリファナとは関係ないようです。大阪平野と奈良盆地は生駒山地と金剛山地が隔てているわけですが、金剛山地北部の二上山の麓、奈良盆地の西南端にあって、古代においては交通・軍事上の要衝だったようです。

當麻寺境内略図  

 當麻寺創建の伝承によると、別の地に聖徳太子の異母弟である麻呂子王(当麻皇子)が天武天皇14(685)年に弥勒仏を本尊として草創した禅林寺が、天武天皇9(680)年にこの地に移されたものだとされています。寺に残る仏像、梵鐘等の文化財や、出土品などの様式年代は7世紀末までは遡れるので、當麻寺は壬申の乱に功績のあった当麻国見(葛城氏の一族で麻呂子王の孫)によって、7世紀末頃に当麻氏の氏寺として建立された氏寺であるとみられています。創建の正確な時期や事情については正史に記録がなく、奈良時代から平安時代にかけての寺史も史料が乏しいため、詳しいことがわからないようです。

近鉄当麻寺駅 

 宗派は高野山真言宗と浄土宗の並立となっています。平安初期、弘法大師・空海が當麻寺を訪れて曼荼羅を拝し、それ以降、當麻寺は真言宗寺院となったという伝承があり、また平安末期に末法思想が広まった際、當麻寺には阿弥陀如来の浄土を描いた「当麻曼荼羅」があったために信仰を集めるようになったということで、浄土宗の塔頭も多く擁しています。

當麻寺参道
當麻寺仁王門 

 近鉄南大阪線当麻駅(駅名は「當麻」ではなく「当麻」)を降りて一本道の参道をまっすぐ西に向かうと見えてくるのが仁王門。この参道、両側に並ぶ家並みとかもなかなか雰囲気があって良いのですが、車両の交通がかなり激しいのが玉に瑕。車両が行き交うには幅員が狭いので、歩行者専用だと最高なんですが。

日本最古の梵鐘 

 仁王門をくぐるとあるのが鐘楼の梵鐘。日本最古の梵鐘と言われ、當麻寺創建当時の遺物と推定されています。無銘ですが国宝に指定されています。

當麻寺本堂 

 さらに進んでいくとぶつかるのが国宝の曼荼羅堂(本堂)。平安時代末期の建築ですが、一部には奈良時代の建物の部材が転用されています。ここで拝観料500円を払うと、本堂の他に講堂と金堂に入れます。本堂の本尊は仏像ではなく、縦横4メートルはある巨大な当麻曼荼羅(国宝)。中将姫と呼ばれる尼僧が蓮の糸を用い、一夜で織り上げたという伝説があります。

中将姫像 

 ということで中将姫に触れなければならない訳ですが、先週訪ねた談山神社に祀られている藤原の鎌足の曾孫である右大臣藤原豊成の娘ということになっています。夫婦の間に長い間子供が出来ず、桜井の長谷寺(ここも訪ねました)の観音に祈願したところ、授かったのが中将姫でした。しかしママンは中将姫が5歳の時に亡くなり、その後豊成は後妻を迎えることになります。

絵本の中将姫 

 中将姫は幼少から美貌と才能に恵まれますが、継母に憎まれてしまいます。継母は様々ないじめを行った挙げ句、夫の不在時に家臣に殺害を命じますが、命乞いをせずに極楽浄土へ召されることをのみを祈って読経を続ける中将姫を家臣は殺める事が出来ませんでした。13歳で三位中将の位を持つ内侍となり、16歳の頃、天皇に後宮入りを望まれますが、これを断って当麻寺へ入り、尼となりました。

歌川国芳による中将姫 

 26歳で長谷観音のお告げにより、「当麻曼荼羅」を織り上げますが、仏行に励んだ徳によって仏の助力を得て、一夜で蓮糸でを織ったとされています。宝亀6(775)年春、29歳で入滅しますが、その際には阿弥陀如来を始めとする二十五菩薩が来迎し、生きたまま西方極楽浄土へ向かったとされます。

中将餅 
中将湯 
 付近では当麻に昔らか伝わるという餡をつけたよもぎ餅を中将姫にちなんで「中将餅」として販売しています。また婦人病の家庭薬として知られる中将湯も、中将姫が伝えたものだとされています。

当麻曼荼羅 

 実際の当麻曼荼羅は調査の結果、錦の綴織りであることが判明しており、高度な技術を要するので中国製なのではないかと推定されていますが、ま、それはそれ。学術的調査自体は重要ですが、伝説にツッコむのは野暮というものでしょう。

當麻寺金堂 

 重要文化財の金堂は平重衡の南都焼き討ちの際に焼失してしまい、鎌倉時代の再建です。中には本来の本尊である弥勒仏坐像や四天王立像などが安置されています。

當麻寺講堂 

 同じく重文の講堂。こちらも鎌倉時代の再建で、本尊の阿弥陀如来坐像、もう1体の阿弥陀如来坐像(小さい)、妙幢菩薩立像、地蔵菩薩立像(以上重文)のほか、多くの仏像を安置しています。

當麻寺中之坊 

 そして子院の中之坊。参観料500円。真言宗で、中将姫剃髪の地と伝承されています。中将姫の仏法の師である実雅の開基とされています。

中将姫剃髪堂 

 中将姫が剃髪したという剃髪堂には中将姫の守り本尊の「導き観音」が祀られています。

中之坊庭園から三重塔を望む 
庭園「香藕園」の紅葉 

 庭園は「香藕園」という名で、史跡・名勝です。大和三庭園のひとつに数えられています。東塔を借景とし、心字池を中心とした桃山期の名庭で、江戸時代初期に、4代将軍家綱の茶道指南役であった片桐石州(石見守貞昌)が現在の姿に改修しました。

丸窓席 

 庭園に臨む茶室「丸窓席」。江戸時代初期建立の書院(重文)にあります。円窓の直径は1.8メートルもあるそうです。

千仏院の庭園の門 
千仏院庭園 

 庭園は中之坊向かいの千仏院にもありました。こちらは人がおらず、100円を賽銭箱に入れるシステムでした。誰もいませんでしたが、当然真っ正直に100円を入れました。「香藕園」に比べるとかなり小さいですが、心字の池を中心に、回遊式の庭園となっていました。

當麻寺東塔 

 こんなものかなと帰ろうとしたのですが、「そういえば庭園から見えた塔も當麻寺のものだろう」と思い返して見に行きました。東塔です。西塔は修理中で見えませんでした。国宝の三重塔で、奈良時代末期の建築と推定されています。高さは24.4メートル。そりゃあ法隆寺の五重塔とか、奈良にはもっと古い伽藍もありますが、奈良時代の建築が残っているというのは改めて驚きますね。

西南院庭園案内図 

 思い返したついでに訪れた西南院。當麻寺の裏鬼門を守る寺院として創建されたそうです。拝観料は300円。庭園は江戸初期に造られ、中期頃に池泉廻遊式庭園に改修されました。借景として西塔(国宝)を組み入れていますが、現在修理中のため残園ながら、その優姿を見ることは出来ませんでした。

 西南院庭園の紅葉その3西南院庭園の紅葉その4西南院庭園の紅葉その1

 しかし紅葉はなお残っていましたので、西南院紅葉コレクション。

奥院境内図 

 さらに奥院。入山料500円。こちらは浄土宗の子院で、室町時代の応安3(1370)年、知恩院12世の誓阿普観が創建したもので、当初は往生院と称しました。知恩院の奥の院とされ、近世以降は「当麻奥院」と呼ばれています。

奥院楼門 

 重文の奥院鐘楼門。正保4(1647)年の建立。

奥院本堂 

 右はやはり重文の奥院本堂。慶長9(1604)年建立。左は阿弥陀堂。

浄土庭園の紅葉その1 

 なんと言っても浄土庭園が広いです。阿弥陀仏の姿を写す極楽の池「宝池」の回りを巡る池泉回遊式庭園で、二上山を背景にしています。

浄土庭園ロックガーデン 

 阿弥陀如来像を中心に数多くの仏をあらわした石が並んでいます。ロックガーデンですね。納骨も受け付けているそうで、浄土庭園の阿弥陀仏石像の地下に納められ、毎年回向を受けられるとか。興味のある方はどうぞ。

浄土庭園の十三重石塔 

 石造りの十三重塔もありました。石造りだと結構あるんですが、木製であれだけ巨大なものというと、やはり談山神社の十三重塔は珍しいし貴重ですね。

浄土庭園の紅葉その2 
浄土庭園の紅葉その3 
浄土庭園の紅葉その4 

 奥院は独自の霊宝館を持っており(中之坊にもありました)、二十五菩薩来迎像なんかが展示されていました。そしてここでも紅葉が。奥院コレクションです。

弘法大師堂 

 最後に大師堂。江戸時代創建の弘法大師を祀っており、高野山から移された等身大の弘法大師像を本尊としています。周囲には歴代當麻寺別当、中之坊法印、西南院住職などの供養塔があります。

日本最古の石灯籠 

 このほか、入ろうと思ったけどなぜかやめた護念院、宗胤院などもあります。そうそう、日本最古と記された石灯籠もありましたっけ。

散り敷き紅葉 

 見所満載ですが、全部入ろうとするとそれなりに拝観料などがかかってしまう當麻寺。醍醐寺のように一括払いにするか當麻寺のように分割払いにするか。見たいところだけ見られるという意味では分割払いの方がいいような気もしますが、ちまちま払うのが面倒だという人もいるでしょう。私のように一期一会だ、二度と来られるかどうかはわからんという場合、高く感じても一括払いの方が楽なような気もします。

大和七宝八福めぐりの御朱印帳 

 当麻寺も大和七福八宝めぐりの一つに数えられており、中之坊に布袋像が祀られているそうですが、全然気付きませんでした。やはり目がリハクだから(笑)。

この素晴らしい世界に祝福を!:クズばかりの抱腹絶倒の異世界

12月になりました

 一年で一番好きな11月があっという間に過ぎ去ってしまい、今日から12月です。師走、極月といった異名もありますが、もう一年のどん詰まりなんですね。実に早いものですが、振り返って思い起こせば大雪に寒い冬、転勤、大地震、台風と実にいろいろあったことですよ。……なんかしみじみと思い返すとやたら疲れそうなので、「あっという間だったな-」と流しておくのが吉のような。

このすばタイトル 

 一日経ったらいきなり秋から冬になるというのは唐突の感を拭えませんが、さすがに12月は冬と呼ばざるを得ませんね。まだまだ紅葉も残っているんで、もうちょっとだけ京都奈良を攻めたいですが。それはともあれ、本日の話題は先日見た爆笑アニメ「この素晴らしい世界に祝福を!」です。

このすば原作1巻 

 原作は暁なつめの同名ライトノベルで、元はウェブサイト「小説家になろう」で連載されていたオンライン小説でした。いわゆる「なろう系」というヤツですね。略称は「このすば」。角川スニーカー文庫から刊行される書籍版は、Web小説のリメイクという位置付けで、2018年3月の時点でシリーズ累計発行部数は650万部と大ヒットしています。

アクア初登場 

 アニメは2016年1月から3月まで全10話+OVAで放映されました。2年以上前の作品を今更見て、おもしろ~いおもしろ~いと言いまくるのが筑波嶺クオリティなのですが、今ではありふれまくっている異世界もので、しかも玉石混淆甚だしい「なろう系」の作品としてはこれは当たりでした。クズとか変人ばかり登場してきてとにかく笑えるので。

JKを助けたと思ったら 

 高校生、しかしその実態はひきニートの佐藤和真は、珍しく外出した際にトラックに轢かれそうになったJKを助けようとして命を落とし、天界で女神アクアに出会い、異世界への転移を持ちかけられます。天国行きもありなんですが、アクアによれば「そんなにいいもんじゃない」と。

失禁してショック死の和真 

 しかし和真の死の実態は、JKに迫っていたのはトラックではなく低速走行のトラクターで轢かれる恐れは全くなく、ただJKを突き飛ばして無用の怪我を追わせただけ。自分も当然トラックに轢かれた訳ではなく、トラックに轢かれたと勘違いして恐怖のあまり失禁しながらショック死をしたという極めて情けないものでした。病院でも葬儀でも失笑と嘲笑に満ちていたという。

態度が悪いアクア 

 その当たりをアクアにディスられまくった和真は、異世界転移にあたって望むものを1つだけ持っていけるという特典を、「アクアを持って行く」ことに行使。これが認められてアクアと共に魔王が世界征服を企む異世界に降り立ちます。目的は魔王を倒すことですが、和真にとっては安楽に暮らせるならどうでもいいことである反面、アクアは天界に帰るためには必須条件となっています。

死んだ和真 

 何のスキルもなく、際だったステータスもない和真は基本職の「冒険者」に。これは剣士とか盗賊とか魔法使いとか僧侶といったクラスを含む、一般に言うところの冒険者の中の一ジャンルとしての冒険者で、「初期職業」とか「最弱職」とか言われています。ファイナルファンタジーでいうところのたまねぎ剣士か。

異世界に同行させられるアクア 

 一方ぱっと見は麗しい女神のアクアは、不遜且つ高圧的な性格で、女神であることを鼻にかけたり他人を見下したりしまくるわりに、ちょっとしたことですぐに泣きだす豆腐メンタルで、馬小屋で同衾する日々を送った割になにも起こらないというヒロインから思いっきり外されたキャラです。

同衾していたのに 

 OVAでは、実は和真もアクアをヒロインとして見ようとして、髪の匂いをかいだりしていたことが判明しますが、和真曰く「ヒロインとして見ようと頑張ってみたが無理だった」そうです。そんな駄女神アクアですが、さすがに本物の神だけあって、多数のパラメータが平均を大幅に上回っていました。但し知力は平均以下で、運の良さは最低レベル、さらに神だけにレベルアップしてもステータスはカントス状態。つまり伸びしろは全くありませんでした。

魔法を使うアクア 
花鳥風月 

 アクアはいきなりプリースト(僧侶)の上級職のアークプリーストとなり、全てのスキルと魔法と聖属性の近接攻撃(ゴッドブロー、ゴッドレクイエム)を取得、さらには意味不明の宴会スキルまで習得します。アークプリーストはなり手の少ないレア職とされ、あらゆる回復魔法と支援魔法を使いこなし、前衛に出ても問題ない程の強さを誇る万能職ということで、一見頼りがいがあるのですが、ゴッドブローとかゴッドレクイエムはクラスのスキルではなく女神としてのスキルのような。

バイトする冒険者 
この一杯のために生きてる 
飲み過ぎてゲロを吐くアクア 

 当初は金がなくて装備を買えず、肉体労働にいそしんだ二人ですが、当初は働いて飲んで食って歌って寝てというサイクルが板につきまくっていて笑いました(アクアだけ「吐いて」を追加)。さすがに和真がある日気付いて「違うだろ!」と叫び、クエストを開始することに。

犬神家のアクア 

 しかし二人が降り立ったアクセルの街は、魔王軍の脅威から最も離れた場所に位置し、周囲の魔物は討伐済みのせいでお使いや素材収集といった初心者に適当なクエストがあまりなく、請け負ったジャイアントトード討伐で犬神家状態になって死にかける有様でした(しかも収入は肉体労働時と変わらず)。そこで仲間を募集しますが、アクアが見栄を張って上級職限定としてしまいます。

アークウィザードめぐみん 
エクスプロージョン 

 それでもやってきたのがアークウィザードのめぐみん。人類最強の攻撃魔法「爆裂魔法(エクスプロージョン)」を駆使する恐るべき魔法使いですが、その実態は爆裂魔法しか使えず、しかも一日一回使うと体力も失って倒れ伏すありさま。そのせいで他のパーティーからは追い出されてすがるようにやってきたのでした。爆裂魔法はドラクエでいえばイオナズン…いや、全魔力を消費するのでマダンテといったところですかね。ドラクエならMPがゼロになってもHPは変わらないので物理攻撃は可能ですが、それもできなくなるのはかなり痛い。爆発系魔法だけでもイオ、イオラと使い分けられれば魔法使いとして悪くはないのですが、一日一発最大火力は使い勝手が悪すぎます。

一日一発のみ 
倒れためぐみん 

 なおめぐみんは人間ですが紅魔族という生まれつき高い知力と魔力を持った一族の出身で、紅い目が特徴。ばんばんアークウィザードを輩出していますが、言動が中二病的で、へんてこな名前が多いようです。めぐみんもアレですが、友達(?)は「ゆんゆん」、ママンは「ゆいゆい」、パパンは「ひょいざぶろー」というそうです。ひょいざぶろーって…

りりしいダクネス 

 強引に加入してしまっためぐみんい続いてやってきたのがクルセイダーのダクネス。クルセイダーはナイトの上級職で、聖騎士になるそうです。ドラクエでいうところのパラディンですね。重装備ができ、全職業中最高の防御力を誇り、プリーストほどではないが神聖な力も使えるということで、前衛で盾役をして貰うには最適なんですが…。

とんでもないドMだった 
ドM魂爆発 

 実はいつも酷い目に遭ってばかりの和真達を見て志願してきたというだけあって真性のドMで、自ら痛みを受けてその快感を得ることを何よりも好み、魔物などに蹂躙されて辱められるとかいう妄想でも興奮し、口汚く罵られる事をも歓んでしまうというとんでもないキャラでした。CVは声も見た目も癒やし系の茅野愛衣なんですが、なんてことをするんだ!もっとやれ!

マリーネ・クライシュ 
衝撃のNTRだったが 

 前に見た「グランクレスト戦記」では、かやのんは凜々しく男勝りなマリーネ・クライシェという役を演じており、この人、結婚式開催まで行った婚約者がいるのに他の男に処女を奪われるというとんでもないNTR展開になって、我々視聴者を驚かせたわけですが、その驚きの中には「CVかやのんなのに!?」というものがあったはずなんですよ。

読めなかったこのリハクの目をもってしても 

 しかし、それ以前にこんなとんでもない役を演じていたとは…。読めなかったry)。というか、もしマリーネがダクネスな性格だったらこんなシリアスな展開にならなかったのに。「見られている。むくつけき男が私の肌を見て興奮している。なんという辱め、けがらわしい。たまらん!」とか「ハア、こいつはきっと将軍の地位を利用して私を手篭めにする気だろう。私も抵抗はするが、おそらく力及ばず辱められ…ハァハァ」とか眼前で言われては萎えまくる。というか、そもそもアレクセイと恋仲になれないか(笑)。結婚したいタイプは「見た目冴えない甲斐性なしで自身の借金を妻の体で稼がせようとする男」だそうだし。スーパーダメンズウォーカー・ダクネス。

一応ハーレムパーティーだが 

 とりあえずこの4人でパーティーになっています。男は一人だけのいわゆるハーレムパーティーだし、上級職が3人もいるというのは外見上手練れなパーティーな訳ですが、どいつもこいつもすっとこどっこいな。しかしじゃあ主人公の和真がまともかといえば、腹黒い上にスケベで、勝つ為には平然と卑怯な方法を使うし、相手に対する嫌がらせや戦いで優位に立った際は下卑た笑いを浮かべるし、アクセルに住む女性たちにセクハラをしまくるしで、こいつもこいつでゲスの極みなんですよね。

盗賊クリス 

 そんな和真を助けてくれた人その1:クリス。ダクネスの友人で、サバサバとした明るい性格の盗賊です。和真に「スティール」のスキルを教えてくれましたが、和真は主に女の子の下着を剥ぐのに使っています。

女神エリス 

 その正体は、なんと女神エリス。アクアは日本担当でしたが、エリスは異世界担当のようで、異世界で死んだ者を導く役割を担っています。仕事ぶりはアクアより遙かにまともですが、アクアの方が先輩格のため、いろいろ横やりをいれられて苦労しています。なお、異世界ではエリスは非常に衰廃されており、貨幣単位が「エリス」になっているほどです。アクアの信徒(アクシズ教徒)もいるようですが、とんでもない連中ばかりだと恐れられています。まあ崇める対象が対象だけに。

リッチのウィズ 

 和真を助けてくれた人その2:ウィズ。アクセルの街でマジックアイテム屋を営んでいますが、その正体は魔王軍幹部でアンデッドのリッチ。魔力や生命力を吸い取ったり与えたりできる「ドレインタッチ」を教えてくれました。

エルダーリッチ 

 リッチというとこういうのを連想するんですが、ウィズはやたら巨乳の美女の姿です。人間の頃は元は高名な魔法使いで、凄腕のアークウィザードとして名を馳せていたそうで、魔王軍の幹部になったのも魔王城に張っている結界の維持を頼まれたからだそうで、人間には危害を加えません。リッチであることは知られていませんが、凄腕の魔法使いとしては冒険者ギルドからも信頼されています。

ウィズを目の敵にするアクア 
ウィズには圧倒的に強いアクア 

 アクアは、アンデッドであるというだけでウィズを目の敵にしていて、機会がある度に浄化してしまおうとします。リッチはアンデッドの王とも呼ばれ、普通の武器では傷つけることもできず、見ただけ近寄っただけで弱い人間は命を落とすなど、本来はかなり強いのですが、聖属性の女神とは相性が最悪のようでウィズはアクアには全く対抗できません。

魔王の幹部のデュラハン 

 和真一行が戦ったのは、ジャイアントトードの他にはデュラハンのベルディア。おそらくアクアが降臨したことを異変とみて調査に来ましたが、拠点としたアクセルの街近くの廃城を、毎日のようにめぐみんが爆裂魔法の標的としたことでぶち切れて襲撃してきました。魔王軍幹部で懸賞金3億エリスと本来とんでもなく強いのですが、アクセルの街にアクアがいたのが大誤算で、和真達とのバトルの末にアクアの浄化魔法で倒されました。

ウィズにセクハラするベルディア 

 一般人には危害を加えない誇り高い騎士的な性格…のはずですが、ウィズが魔王城にいた頃は、よく彼女の足元に自身の首を転がし、スカートの中を覗こうとしていたそうです。そうか、お前もクズか。懸賞金は3億エリス(=3億円)で、これを聞いた和真は即座に引きこもり宣言をしますが、アクアが勢いで壊したアクセルの街の城壁の修理代が3億4千万エリスだったということで、億り人どころか借金持ちに転落したのでした。

冬将軍 

 そして冬将軍。冬になると現れる雪精という精霊がいて、一匹倒す毎に春が一日近づくそうですが、この雪精が危機に陥ると出現する鎧武者のようなモンスターです。異世界に転生した日本人の「冬といえば冬将軍」というイメージから具現化したそうですが、戦闘能力が非常に高く、和真は首ちょんぱされて二度目の死を迎えました(が、アクアの蘇生魔法とエリスへの恫喝で生き返ります)。

機動要塞デストロイヤー 

 機動要塞デストロイヤー。た、多脚砲台…。とある国で開発された蜘蛛型の超大型兵器で、稼働直後に暴走し、母国を滅亡させた後、各国に甚大な被害を与え続けています。「デストロイヤーが通った後はアクシズ教徒以外草も残らない」とされています。すごいやアクシズ教徒!対空兵器や強力な魔法抵抗障壁を持っているのでこれまで有効な攻撃手段がなく、終盤アクセルの街目指して出現しますが、アクアの超強力浄化魔法で障壁を破られ、ウィズとめぐみんが放った爆裂魔法によって破壊されました。

やる気を出すおっさん達 

 この際はアクセルの街の全冒険者がデストロイヤーに立ち向かおうとしましたし、かなりの高レベルの冒険者もいましたが、こんな辺境の駆け出し冒険者の街になぜ高レベルの冒険者がいつまでもいるのかといえば…実はアクセルには「サキュバスの店」があるのです。

素晴らしいサキュバスの館 

 路地裏で秘密裏に営業しているサキュバスたちの店は、一見小さな飲食店にしか見えませんが、男性冒険者の欲求不満を解消する事を目的に、魅惑的な夢を見せる代わりに精気を日常生活の支障にならない程度に徴収するという共存共栄のシステムを取っており、客の様々なリクエストにも安価で答えています。どんな要望でも夢なので一切法には触れず、好きな夢を見ている間に、サキュバスが適度に精気を吸ってくれるので、溜まった性欲もスッキリ発散され、それでいて料金は3時間5千エリス(=5千円)と良心的なので、普段女性の仲間が居る事で禁欲生活を余儀なくされている男性冒険者にとっては夢のような店で、いつも大盛況です。

この素晴らしいサキュバスの館 

 アクアや女性冒険者達には秘匿されているようですが、デストロイヤー襲来の際に男性冒険者達が異様にやる気を見せたのは、アクセルの街ではなくサキュバスの店を守るためだったようです。いいなあ、そういう店。低額かつ夢で済むなら現実世界にもぜひ欲しいですね。VRが進歩したらなんとかなるんでしょうか。

アクセルの町 

 第一期はデストロイヤー戦で終了していますが、第二期も既に制作されているのでこれから見るつもりです。笑いを追究しまくった作品は楽しくていいですね。

いつも一緒に寝ていたが 
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