働く女性の24時 女と仕事のステキな関係:10年以上前の話ですが、状況は今も変わっていないような

東日本大震災から6年…。あっという間のような気もするし、ずいぶん経ったような気もします。当時の小学1年生が中学1年生になるだけの時間です。親とか親戚からするとあっという間だけど、本人的には永遠に続くかと思われた小学生時代が終わったなあとことで、その間はずいぶん長かったと感じることでしょう。ホント、時間の経過って年齢と共に加速度的に早くなっていきますね。

本日は野村浩子の「働く女性の24時 女と仕事のステキな関係」を紹介しましょう。日経ビジネス人文庫から2005年10月1日に刊行されています。野村浩子の著書は初めて読みました。日経ビジネス人文庫には裏表紙に内容紹介がないので、代わりにAmazonの内容紹介です。

稼ぎはソコソコでも、仕事と私生活のバランスを優先。彼や夫がいても、自分を癒す「ひとり時間」は譲れない――。「日経ウーマン」編集長が、働く女性の等身大の姿や本音を軽やかに描いた、初の書き下ろしエッセイ。

野村浩子は1962年生まれ。お茶の水女子大学文教育学部卒業後、就職情報会社ユー・ピー・ユーを経て、日経ホーム出版社発行のビジネスマン向け月刊誌「日経アントロポス」の創刊チームに加わります。「日経WOMAN」編集部に移って、副編集長を経て編集長に。その後、日本初の女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長、日本経済新聞社編集委員、「日経マネー」副編集長を歴任しています。その他、淑徳大学人文学部表現学科長・教授、財政制度等審議会委員、日本ユネスコ国内委員会委員など各種委員も務めており、著書に本書のほか「女性に伝えたい 未来が変わる働き方」、「定年が見えてきた女性たちへ」などがあります。

「日経WOMANリアル白書」と銘打っているとおり、外国人を含む様々な働く女性達に取材して、著者の感想を交えずに客観的に取り扱っています。元は「日経MJ」に2003年10月から2005年9月まで連載されたコラム「日経ウーマン編集長野村浩子の女性真理学」で、大幅な加筆をして文庫版描き下ろしとしています。

ビジネスマンとサラリーマンという似て非なるカテゴリーの中、私はどうみてもしがないリーマンなんで、「日経ビジネス人文庫」という名前だけで、十字架を突きつけられたドラキュラのごとく、はたまた聖水をかけられた悪魔というか、それはまあ大袈裟だけど太陽をまともに見てしまったような眩しさを感じてしまうのですが、気の迷いで手にとってしまいました。特に女性問題とかに関心が高いわけでもないのに。

内容は実例集みたいなものなので、読みやすいです。むしろ驚くべきことは、十年一昔といって、10年経ったら当時の常識は非常識に化すると思われるところ、ほぼ状況が変わっていないように感じることです。

年収300万円で収入は低いかわりに残業や休日出勤は逃れて“そこそこの幸せ”堪能する女性。一人の時間を大切にして様々な“お一人様”を楽しむ女性。結婚相手としての男に対する条件が高く、妥協してまで結婚したいと思わない女性や子供の産まない選択をした女性。様々な女性に取材してその本音を聞き出す作者。男女の役割の平等性という点で先進的な北欧スウェーデンでも取材していて、男も産休育休を取って当然だったり、女性が一生仕事を続けるのも当然な社会では、家事育児も等分に負担している様子が示されていますが、そんなスウェーデンでも男は隙あらば家事を避けようとする傾向があるという(そしてそれは離婚の大きな原因となっているという)。男ってヤツは…と嘆くのは容易いですが、完全に男女平等を追及するというのも無理があるんではないかとも考えてしまいます。

注目すべきは第4章。本書の主たるテーマではないかも知れませんが、実年齢より若く見られると主張する女性は多いけど、実際に会ってみると「年齢相応」だったというケースが多いというエピソードに笑いました。すっぴんだと大学生に間違われるという女性、10歳年下の男が恋い焦がれてくるという女性…どちらも36歳なんです。作者は「外見に関する自己申告は、少々あてにならない」とごく控えめに突っ込んでいますが……

個人的にはこの人達に「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ」第三話「分隊」の予告における名優銀河万丈さんの名セリフを贈りたい。すなわち「嘘を言うなっ!」(これはいずれ「記憶に残る一言」で詳しく紹介したいと思っています)

あるいは「ひぐらしのなく頃に 鬼隠し編」における竜宮レナ(中原麻衣大熱演)の名セリフをプレゼントします。すなわち「嘘だッ!!!」

あと「日経ウーマン」でのアンケート調査によると、年収300万円でそこそこやりがいのある仕事をして、土日やアフターファイブはしっかり休むというのが、女性に一番支持された働き方だそうですが、これってシングルでもそれでいいってことですか?夫がいて同等以上に稼いでいるということが前提なような気がしますが。駆け出しの青二才の頃はまあ年収300万円も仕方ないと思いますが、いい年になっても300万円のままだとキッツいなあ。食べていけるかどうかといえばそりゃあ食べていけるとは思いますが、何をするにしても人生を楽しむにはおあしが足りないような。ソシャゲの課金もできやしない(してませんが)。

もちろんお金のかからない趣味もあるでしょうし、それで楽しければ他人がとやかく言うことではないのですが、お金がないがためにそういう趣味しか選択できないということだとしたら、それは本当に幸せなんでしょうかね。幸せなんだと自分に言い聞かせて偽っているような気も。

2016年の世代別平均年収はこのようになっています。できれば平均を上回りたいと思うのは人の性ではないでしょうかね。貧乏家庭出身の私はことさらにそう思ってしまうのですが。

人によっては専業主婦志望という人もいるでしょうし、人の生き方はひとそれぞれなんですが…“一億総括役社会”ってのは、きっと「専業主婦がんばってね」という意味ではなく、生産年齢人口(年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層)は男も女も全員働け、出来れば65歳超えても働けやというニュアンスを多分に含んでいるような気がします。少子化進行のせいで失業率は減少し、求人倍率はアップ傾向ですからね、我が日本では。
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