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最貧困シングルマザー:「生き辛い」女性たちを待ち受ける最底辺の世界

痛勤列車(笑)

 長距離通勤で読書が捗って仕方がない今日この頃。本日も本の紹介なんですが、今回はノンフィクションの鈴木大介の「最貧困シングルマザー」です。

最貧困シングルマザー

 鈴木大介は1973年生れの千葉県出身のルポライターで、「犯罪する側の論理」「犯罪現場の貧困問題」をテーマに、裏社会・触法少年少女らの生きる現場を中心とした取材活動を続けています。2014年に刊行した「最貧困女子」は第14回新潮ドキュメント賞候補になりました。

最貧困女子

 「最貧困シングルマザー」は「出会い系のシングルマザーたち 欲望と貧困のはざまで」というタイトルで2010年に新書版が刊行されました。タイトルを変えて加筆修正のうえ2015年に私の読んだ文庫版が刊行されているのですが、おそらく前年に話題になった「最貧困女子」にタイトルを合わせてみたのでしょう。例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

出会い系のシングルマザーたち

 日本の母子家庭の約半数が、年収125万円に満たない「貧困層」――。虐待、DV、うつの末、貧困の蟻地獄に堕ち、出会い系サイトで売春するシングルマザーの実態に迫った、衝撃のルポルタージュ。途方もない孤独感と絶望感の中で、彼女たちは何に「救い」を求めたのか?

シングルマザー略してシンママ

 売春の意識もなく、すがる思いで「出会い系サイト」に入り浸り、男と出会い、騙されたり踏み倒されたりを繰り返しつつも依存状態から抜け出せないシングルマザー達を取材し、その極端な物質的・精神的な貧困状態をあぶり出しています。

ロブ・ロビンソン

 外国にあるような極端な貧困は日本には存在しない……高度成長期からバブル期頃まではそういう認識があったように思いますが、「今は違うって知ってるよね?」とロブ・ロビンソン(byグラップラー刃牙)から言われてしまうのが現状でしょう。

鈴木大介
 
 クズな男は確かにいます。それも少なくないようです。壮絶なDVをしたり、ヒモになって働かないばかりか借金を押しつけて蒸発したり。そういうダメンズに子供と一緒に置き去りにされたシングルマザーがどうやって暮らしているのか。本書に登場するのはその極端な例かもしれませんが、まあ実に悲惨です。

出会い系依存症

 そして取材に応じたシングルマザーの多くが、筆者が提案する生活保護の請求や、シングルマザー支援NGOへの相談を拒否するという不思議。よく「女の敵は女」といいますが、女性の方が男性より群れるというか、グループ作りが上手いようにも思えるのですが、それだけにグループになじめない女性への風当たりは男性の比ではないのでしょうか。

鈴木大介の説く日本の階層社会

 シングルマザーの多くはもちろん売春などしていないでしょう。だからここで取り上げられているケースは極端かつ少数派なのでとは思いますが、現実に存在しているというのもまた事実。読んだ上で思うのは、かなり共通の特徴を持った人達なんだなあということです。例えば

出会い系の罠と警察は言うけど

① 愛し、愛されることに極端に飢えている:本人の生い立ちにも原因があるのかも知れません。そういう意味では貧困の再生産とも言えますが、とくかく愛に飢えている気がします。「愛する」ことについては、我が子がいるので対象に困らないのでうが、それだけに無理心中になろうとも離れようとしないという意識を持っています。そして「愛される」ことについては、ひどい男にぶつかった挙げ句の現在の境遇だというのに、なおも刹那であっても男に「愛される」ことを求めてしまいます。「男なんてー!」で吹っ切れたらどれだけ楽かと思いますが。

マイルドヤンキー

② 同性(女性)とのコミュニケーションが下手:コミュニケーションが上手な女性の場合、シングルマザーになっても友人達と助け合えますし、いわゆる「マイルドヤンキー」となって、低所得であってもそれなりに満足度の高い暮らしが可能ですが、恐らく彼女達はコミュ障で孤立せざるをえないようです。おそらく同じ境遇のシングルマザーを集めても、団結したり助け合ったりはできないのではないかと思えます。

メンヘラさん

③ イジメへの極端な恐れ:彼女らが生活保護を拒否する大きな理由が、「生活保護を受けていることが周囲にばれると子供がいじめられる」という恐怖のようです。本書ではスティグマ(烙印)だと称していますが、その一方で親子二代に亘って堂々と生活保護の不正受給をしている女性もいたりして、これはもうメンタルの問題なのかという気がします。きっと人生そのものが生き辛いタイプなんではないでしょうか。

ヤンデレ由乃さん

④ 精神科への通院ないし通院歴:精神科に通院すること自体をどうこう言う気はないのですが、出会い系依存症のシングルマザーに鬱病や自傷行為などが多く見られるという点からも、やはり生来の「生き辛さ」を抱えている人達なんだろうなと思われます。ダメンズとの間に子供を作ってしまうというところも、「早まるな」とか「相手をもっと見極めてからにしろ」とか思ってしまうのですが、安易に幸せの蜃気楼に走らせてしまう何かを持っているのでしょう。ちなみに不妊で悩む人々も多くいると聞きますが、こういう人達については不妊という悩みはないんでしょうかね?まあ不妊ならそもそもシングルマザーになりませんけど。

年収の右肩下がり

 筆者は生活保護を不正受給するシングルマザーに日本の社会は極めて厳しいと言いますが、おそらくその理由の一端は、日本の社会全体が昔に比べて貧しくなっているせいなのかと。一億総活躍ならぬ一億総貧困のような悪夢の未来が待ってたりして。

愛などいらぬのサウザーさん

 「北斗の拳 イチゴ味」ではないですが、サウザー教という宗教を立ち上げてはどうでしょうか。教義は「愛などいらぬ!」。愛がなければDV男やヒモ男に苦しめられることもなく、出会い系にはまることもなく、シングルマザーという苦しい生活もなくなるのですが…やっぱりダメですか?とりあえず本書で語られるダメンズは同性として非常に情けないので、この世から消えて欲しいですね。

虐待される加代

 「僕だけがいない街」では母親からDVを受ける雛月加代という女の子が登場し、母親から逃げられるなら施設に行くことも厭わないという姿勢を見せていました。しかし、本書を読むと、最貧困シングルマザーの子供達はDVを受けるケースもあるものの、それでも母親から離れたがらないと。それは直接子供から取材はしていないので、親側の勝手な思い込みなのかも知れませんが、本当のところはどっちなんでしょうね。
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