2015年夏季アニメの感想(その6):それが声優!

九月つごもりにこんばんは。漸く天気が安定した今日の札幌ですが、一昨日昨日の雨のせいで木々の色づきが大分変わりました。一気に秋めいてきました。今年も残すところたった3か月なんですねぇ。時の移ろいが早すぎますよ。

ということで、夏季アニメももう決着をつけなければなりますまい。トリを飾るのは、私の視聴作品としては今回唯一13話まで放映した「それが声優!」です。

アニメ好きなら一度は憧れる「声優」という職業。まあ養成所入ったり独学に励んだりと、本格的に志向する前に多くは別の道を行くことを決める訳ですが、声優の実態を駆け出し声優達の目を通して描いたこの作品、なにしろ原作者が現役声優なので裏事情とかがリアルで大変面白かったです。

原作者の浅野真澄がラジオで言っていたところによれば、アニメ化の話が来た時に「どうせクソアニメにするんでしょう!?」とか思って警戒していたそうですが、上手い具合に「ポンコツスタッフ」を排除出来たのだそうです。どんな世界にも一流がいれば三流がいるもの。アニメ業界にもいるんですね、ポンコツ。某「赤○の白○姫」なんかそうなんじゃないの?なんて思ってしまいますぞ。
それ以前にはドラマCD化の話もあったそうですが、テレビアニメ化にあたって声優陣が変更されることは避けたいとの思いからオファーは断ったのだそうです。この件については第6話で、一ノ瀬双葉がよりにもよってユニットを組んでいる小花鈴にドラマCDで演じた役をアニメ化の際に奪われるというエピソードが語られており、業界では日常茶飯事らしいのですが、やはり実際当事者となればかなり凹むのでしょうね。

個人的には、「織田信奈の野望」という作品がドラマCD化された際に、宣伝のラジオを聴いたのですが、ヒロインの信奈役は皆口裕子でした。それがアニメ化された際には伊藤かな恵に変更されていたのです。他のキャストも結構変更されてましたが、「皆口信奈」を楽しみにしていたので、なによりもこのヒロイン交代がとってもショックで。

後に「花咲くいろは」を見てヒロインの緒花を好演した伊藤かな恵も好きになりましたが、当時は「知らん声優に皆口ボイスを奪われた」と思ったものです。

またアニメ化に際して当然オーディションが行われたのですが、浅野真澄は「声優が声優に対して評価を与える事に耐えられなかった」ということで、作画の畑健二郎とアニメスタッフに一任したそうです。ベテランでもいろいろ抱えている想いがあるんですね。

他にも吹き替えやナレーション、ライブなどの仕事のあれこれ、声優のマネージャの仕事ぶり(芸人さんと同じでマンツーマンではないけど、色々大変みたいですね。吉本の芸人はマネージャーに文句ばかり言っていましたが、きっと見えないところで仕事しているんですよ)など、知られざる声優業界のあれこれを覗き見ることができて面白かったです。

で、最終回の第13話は「査定」。これは全ての声優事務所にあるものではないらしいですが。年末のライブを成功裏に終わらせたイヤホンズ。それはいいけどもう年も変わって一ヶ月。男塾なら全員の傷が癒えて新シリーズに突入するとこですよ。

ローソンでバイトにいそしむ双葉。「それが声優!」はローソンとタイアップしているので制服とかそのまんまです。店長が「双葉ちゃん最近忙しかったでしょ?このまま辞めちゃうんじゃないかと心配してたんだ」なんて言ってくれます。

うれしいこと言ってくれるじゃないの。それじゃあとことん働いてやるからな(By阿部さん)。優しいことを言ってくれるのもタイアップのせいなのか、それとも双葉の働きぶりのせいなのか。いちごなんかお弁当製造工場クビになってましたけどね。まああっちも商売なのできちんとシフトに入れないと厳しいですよね。売れなきゃバイト三昧。多少売れてもギャラは安く、拘束多くてバイトクビ。バイトしなくていいくらい仕事取らないと厳しいですね。

燃え尽き症候群の双葉とそれに迎合する鈴にいちごが教育的指導。いちごが一番キャラ作ってますが一番苦労している気がしますね。香川県から出てきているし、父子家庭で貧乏な少女時代を過ごしていたらしいし。

そして双葉の所属する青空プロダクション(青二プロがモデル)では、近々「査定」があるそうです。デビューしたての新人声優は2年会「預かり」という扱いになり、期間中の実績や可能性等でそのまま事務所に残すかどうかを決めるのだそうです。レギュラーを持っていたにもかかわらず契約解除になった人もいるということで、イヤホンズのユニット活動程度ではうかうかしていられません。

今さら動揺する双葉ですが、もう査定期間はほぼ満了。今さら対策を練ってももう遅いです。浅野真澄によれば、「アフレコ中、青二所属の声優たちが『査定の悪夢がフラッシュバックする…』と白目をむいていましたよ」とのことですが、本人も青二だからやれる話ですね。

いちごに不安を吐露する双葉。いちごや鈴の事務所にはそういうシステムはないそうですが、愚痴るならやはりいちごか。さすがに大人のくせにJCの鈴に愚痴るわけにもいかないでしょうね。歩道橋から身投げしそうに見えますが、それほど切羽詰まってはいません。身投げは契約解除が決まってから、ね♡

いちごに言わせれば「それって優しいシステムなのかな」と。「2年間全てを見るってなかなかできないことだよ。双葉が仕事ない時もずっと見てたってことじゃん。事務所の中には所属させたはいいけど仕事がないまま飼い殺しにする所もあるっていうしね。だから引導を渡してくれるのってある意味優しいのかもって」それって某少年ジャンプの漫画家みたいですね。ま、あっちは契約中は最低限の報酬はくれるらしいけど、製油は事務所に所属しているだけでは何の所得もないですからね。

自宅に帰って改めて2年間を振り返る双葉。昔の手帳のスケジュールは真っ白です。でも私の手帳もそんなもんだ(涙)。

そんなときに養成所時代の同期との集まりが。ちょっとした女子会ですな。楽しそう。

でも実態はかなり世知辛い…。ポニテの子はバイトが本業化。ドリルの子は婚約ということで、二人とも声優の道は諦めたようです。

双葉が一番仲良さそうなすーちゃんは声優活動継続中ですが、青空プロダクションでは「預かり」にもなれなかったようです。事務所を移籍したんですね。

自称「落ちこぼれ声優」で、見てるこっちもそうかなあと思ってしまう双葉ですが、彼女達同期に言わせれば「養成所に入れて、預かりになれて、双葉エリートよ。超エリート」「おまけにレギュラーあってWEBラジオもできてこの時点で何万分の一の確率だと思ってんのよ」とのことです。

そして原作者の厳しいコメント。そうか、そんなに声優の世界は難関だったのか。ベテラン人気声優汐留ヒカリ(CV生天目仁美)に相談する双葉。台本読み込みしているのを邪魔していいのか。

でも親切な汐留さん。軸足が定まっていないと的確な指摘。「例えば5年後、10年後、30年後自分がどうなっていたいのか。それが軸足」だそうです。キャリアプランという奴ですね。いや~駆け出しリーマンの頃、そんなビジョン全くなかったですよ、汐留さん(ポリポリ)。今もないけどSA!

これからどうなりたいか、しっかりした展望を持っていないと査定で聞かれちゃうと厳しいご指摘。「『そんなことも分からないんじゃ仕事続ける意味ないね!』って言われるかもね」

「そんなに厳しく…?」「こんなの優しい方だって。毎年泣いちゃう子やショックで茫然としちゃう子もいるからね」青ざめる双葉。額に縦線が入って、お前はちびまる子ちゃんか。

そこへ突如浅野真澄登場。これまでも様々なモブ役として声の出演をしていましたが、ついに本人役で登場。

「ますみんって将来どうなりたいの?」との汐留さんの問いかけに「うーん…お金持ち!」と即答するますみん。ぶれないなあこの人の軸足(笑)。声優を職業に選んだ時点でそれはかなり茨の道だと思うのですが……この人は声優のほか、歌手活動(まあこれはやる人多いですね)、執筆・創作活動と色々やっているので、その野望は夢ではないかも知れません。

そして仲間にも聞いてみました。いちごも「歌って踊れる声優アイドル姫」と即答。この人、ルックス的にはアイドルもいけるんじゃなかろうか。実年齢知らないけど。

鈴ちゃんは高校受験にいっぱいいっぱい。中学生じゃしょうがないでしょう。この人は実家が東京だし和菓子屋として繁盛しているみたいだから将来的にもアルバイトの心配しなくて良さそうだし、15歳なのに子役としてのキャリアは10年もあって業界に知己もコネ多いし、何気に恵まれていますね。花澤香菜とか悠木碧の路線でしょうか。

そして少し時間が流れ、鈴は高校入試に。中高一貫校に通っていたのにわざわざ外部の高校を受けるのは、仕事が忙しくてあまり授業に出られないなら、そっち方面に理解のある学校に行った方がいいというアドバイスを受けたからです。

いちごはばりばりのイチゴ姫モードでオーディション会場へ。「静岡いちご ふるさとキャラ 『いちごん』」のオーディションのようです。ゆるキャラなんでしょうが…まさに天職!

双葉はいよいよ査定。待っている時が一番緊張して辛いですよね…。それにしても右端の人、やたら余裕ぶっこいた服ですね。

室内に入るとこんなに人が。圧迫面接かこれは。一番奥にベテランマネージャーの集さんがいるところを見ると、ジャーマネさん達が査定するんですかね。

これ、なんとなく見覚えがあるシーンだなと思ったら…

ゼーレの査問を受けるゲンドウじゃないですか。背もたれがまるでモノリスに見えますね。

査定の前にリストが配られ、各マネージャーがこれという人に○を付けるのだそうですが、双葉に○を付けたのは二人だけだそうです。その二人って集さんと新人真マネージャーの紺野あおいだったりして。

ガンガン威圧的な質問を飛ばされて闇堕ち寸前の双葉。やはり圧迫面接じゃないか。最近はパワハラ認定されてるんですが、声優業界は体質が古いのかな?魔女の結界みたいですね。


ハコの魔女に捕まったまどかのような。これが査定か。恐怖に押しつぶされそうになる双葉ですが、いちごや汐留さんの言葉がフラッシュバックしてなんとか立ち直ります。

「自分は地味ですし容姿がいいわけではありません。私の考える一ノ瀬双葉の売りは図太いちょっとどんくさい所だと思います」イヤーハハハと双葉。図太さを演じてみせます。

「いきなりヒロインに抜擢されていくつもの大役をこなした若手でも、三十路手前でどんどん仕事が減る」と現実を突きつけられますが、へこたれずに「もちろん主人公やヒロインをやれたら嬉しいですが、例えほんの少しの台詞でも記憶に残る声優になってずっとこの仕事を続けたいです」と返す双葉。

そんなこんなでとりあえず査定は終わり、新人マネージャーの紺野あおいに挨拶して帰る双葉。まるで別れのセリフに聞こえて紺野さんがウルウルしちゃいます。

また少し時が流れ、オープンカフェで待ち合わせのイヤホンズ。オッシャレー。いちごが先に来ています。

「いちごん」のオーディションに合格したいちご、このゆるキャラの声を当てるそうです。天職だ、天職に違いない。でも「いちごん」、イマイチ可愛くないなあ。

最後にやって来た鈴。ブイサインで高校合格をお知らせ。まあ高校は、ね。大学生声優もいるから高校でも勉強がんばってね。

そして二人の前で査定結果を聞く双葉。そういうのは結果が出てから集まった方がよくないですか?いちごも鈴もリアクションに困るだろうに。

結果、もう一年様子を見るという「保留」になりました。とりあえず事務所には残れますが、ちゃんと精進しないとまたすぐ査定だぞ。

創作なんだから合格してめでたしめでたしでも良かったと思いますが、あえてリアル感重視を選択したみたいですね。ということで、本作も「オレ達の戦いはこれからだ!」エンドになりました。ま、声優という道を進み始めたばかりの3人なので、当然といえば当然ですね。

そしてエンディング。イヤホンズ新シングル「光の先へ」が流れる中、とりあえず残留した双葉はあおいに抱きつきます。やっぱ○つけたのはこの二人ですよね。

「いちごん」のイベントで声当てをしているいちご。「いちごん」、子供の悪夢に出てきそうなキャラなんですが、一体どういう声なんでしょうか。

そして鈴ちゃん卒業。ずっと一緒だったサヨちゃんとも学校は別々になります。サヨちゃん、CVはあやねるなのにとにかく良い子です。鈴が良い子だからなあ。子役あがりなんて、大人の世界を見すぎてすれっからしになるのかと思っていましたが、こういう子もいるんでしょうか。

そしてまた一緒に仕事をする3人。JKになった鈴ちゃん、制服も髪型も変わりました。前のも良かったんですが、大人の階段を一つ昇ったんですね。

これで終わりかと思ったら、3人を呼び止める声が。またもプロデューサーの海原さん登場。いい人なんでしょうが、胡散臭さ大爆発なんですよね。もちろん海原雄山よりは100倍マシですが。「入れてきちゃったよ~。どでかい案件!」ですと。なんですと。

見せられた「案件」に驚く3人。一体なんなんだ。二期制作への準備は万端だ。なんかこういう「二期やる気マンマンなんでそこんとこヨロシク!」なラスト多いですね。特に決定はしていない、でも作りたいんじゃあということでしょうか。

ちなみに双葉のCV高橋李依はイヤホンズの3人の中では一番有望株で、「がっこうぐらし!」でもみーくん(直綺美紀)を演じていました。美人さで鈴のCV髙野麻里佳やいちごのCV長久友紀の方が上ですが、声優として生き残れるのは誰かということになると……みんな頑張って欲しいですけどね。

萌咲いちごと小花鈴は「好きなアニメキャラ」で取り上げる予定です。双葉は…まあ高橋李依はほっといても売れそうですから(笑)。

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