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駐在巡査:元警官が書いた駐在ミステリー

秋の雨
 
 昨日も今日も朝雨が降っています。朝だ、雨が降っている…朝だ雨だ…浅田飴だ(オイ)。

浅田飴

 駄洒落になってしまいましたが、大昔は喉が痛いというと浅田飴でしたね。クールとニッキがあって、私はクールが好きでした。パッションはだいぶ後の登場のはず。しかし当時(私が子供の頃)は現在ののど飴のように常時手元にあるというものではありませんでした。ヴィックスもあったはずですが、やはり私の周囲にはありませんでしたね。

浅田飴水飴

 浅田飴水飴はおいしそうだったのでぜひ舐めてみたかったのですが、多分舐めないままに大人になってしまった気がします。

昔のホールズ

 受験生になった頃にホールズが登場。山之内製薬のハーブキャンディーは効きそうなイメージだったのですが、高価だったので、もっぱら一個100円のホールズにお世話になりました。当時はハニーレモンとラズベリーがお気に入りでした。メント・リプタスはドライでちょっと。今ならいけそうですが、もうないみたいですね。

 本日は佐竹一彦の「駐在巡査」です。佐竹一彦の作品は初めて読みました。

 佐竹一彦(1949-2003年)は本名松本豊。栃木県出身で明治大学法学部卒業後、警視庁に入庁しました。警備部機動隊、武蔵野警察署警備係長などを経て、警部補で退官しました。機動隊の警備係主任を勤めていた30代半ばごろ退職を考え始め、武蔵野署に配属され警備係長になった段階で辞表を提出したのだそうです。

 1990年『わが羊に草を与えよ』で第29回オール讀物推理小説新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビューしましたが、2003年に急性心筋梗塞のため54歳にて逝去しました。

テレビドラマ「ショカツ」

 著作のほとんどはいわゆる警察小説で、自身が警察官であった経験から捜査や警察組織内部の描写は非常にリアルですが、急逝のために作品数が多くないのが残念です。『ショカツ Real police story』(2000年、角川書店)は:関西テレビ系連続テレビドラマ『ショカツ』の原作となり、『駐在巡査 警察ミステリー』(2003年、角川書店)は:『猪熊夫婦の駐在日誌』としてテレビ東京の「女と愛とミステリー」でテレビドラマ化されました。

 私が読んだ「駐在巡査」は、上記『駐在巡査 警察ミステリー』の文庫版で、2006年8月に刊行されています。

 例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

 四方を山に囲まれた人口六〇〇人あまりの絵に描いたような僻地の山谷村にある「駐在所」に猪熊喜三郎巡査が赴任した。その直後、殺人および死体遺棄事件が発生!平和な村は大騒ぎに。だが、捜査は依然、難航し解決の糸口は全く見られない。容疑者はもちろん、犯行の動機も、被害者の足取りさえも、いまだ不明のまま。そんな中、猪熊巡査が「原点」に戻って再捜査を開始すると事件は思わぬ展開に…。元警視庁警部補が描く初めての駐在ミステリー。

 猪熊喜三郎は下町のおまわりさんとして地域課勤務が長いベテランですが、シックハウス症候群が重症化する妻の靖子の健康を気遣って自然環境豊かな地での勤務を希望し、いずれ限界集落になりそうなど田舎の山谷村の駐在さんとして転勤しました。

猪熊夫婦の駐在日誌(地井武男と研ナオコ)

 タイトルでは「巡査」となっていますが、通常「駐在さん」にはベテランが配属されるので、勤務する警察官は警部補や巡査部長、巡査長などがほとんどということで、猪熊も巡査長にはなっているのではないかと思います。あの「こち亀」の両津勘吉も就いている巡査長は、正式な階級ではなく、巡査の階級にある者のうち、一定期間の勤務を経験して優れた指導力を認められた者が、選考を経て巡査長に任命されるのだそうですが、厳密にはベテラン巡査といったポジションなのだそうです。

 作中で猪熊は警部補以上には敬語を使っていますが、巡査部長クラスとはタメ口をきいているのですが、下々では警察でも軍隊のように階級より年期が物を言うのかもしれません。軍隊でいうところの「星の数よりメンコの数」というヤツですね。

兵隊やくざ(あんまり関係ありません)

 本作では春夏秋冬にそれぞれ発生した4つの殺人事件などの重大犯罪が描かれています。もっとも一年で一気に発生したのではななく、猪熊が赴任中の数年間に起きた事件なのですが、人口600人の寒村でこれほど重大犯罪が起きるとは大変なことだと思います。
 
 駐在さんとしての猪熊の活動振りは推理の切れ味とか派手なアクションとは無縁で、事件が起きてもやることと言えば立ち入り禁止のテープを現場周辺に貼ることや、本署や県警の捜査員の道案内を村人に頼むと言った地道なことばかりです。映画の金田一耕助スリーズなんかでも捜査の主体は県警から派遣されてくる捜査員で、駐在さんは案内役といった役回りでした。

 じゃあただの脇役なのかといえば必ずしもそうではありません。山谷村は非常によそ者に対して閉鎖的なので、見慣れない捜査員が何を尋ねてもなかなか口を開こうとしません。その点、常に慣れ親しんだ駐在さんに対しては、さりげない会話の中で重要な情報を話したりするのですね。

ミス・マープル

 アガサ・クリスティーが作り上げたポアロと並ぶ名探偵のミス・マープルは、ロンドン郊外のセント・メアリ・ミード村に住み、普段は編み物や刺繍、庭いじりを趣味として村に閉じこもったような暮らしぶりをしていますが、優れた観察力と長年の経験に裏付けられた洞察力を持っており、事件に関する出来事や話された内容を、セント・メアリ・ミード村で過去にあった出来事に当てはめることで推理しています。周囲の人間はそんな彼女を、田舎と都会は全然違うといった風に鼻であしらったりするのですが、のちに舌を巻くことになります。ミス・マープルによれば村で起きる出来事は人間社会の縮図そのものなのです。

 「駐在巡査」もこれに似ていて、山谷村に住む人々も様々な事情を抱えており、それを立ち話や宴会で収集しておくのが駐在山の重要な仕事でもあります。もっと猪熊は特別優秀ではない(優秀だったらもっと出世しているでしょう)ので、せっかく聞いた貴重な情報を二日酔いと共にほとんど忘れていたりしますが。

 なにしろ駐在さんは一人きりなので、配偶者である奥さんも業務をサポートしなければなりません。ゆえに警察官がパトロール等に出かけ不在中の駐在所を管理するため、配偶者にも研修を受けさせ、対価として5万円~9万円程度の報償金が支払われているようです。海外勤務では奥さんの内助の功の有無が大きな影響力を持つといいますが、駐在さんも奥さんの出来不出来(この場合は地域との関わり方ということになるでしょう)は、駐在さんの仕事にとって極めて大きい要素となっています。幸い靖子は猪熊にとって非常に良い奥さんで、地域の人々とよく慣れ親しんでいるほか、数々の推理で猪熊を助けています。

 猪熊自身は推理とか分析が極めて苦手な人のようですが、靖子の受け売りをそのまま離すことで捜査本部の幹部をうならせたりして、結果的に事件解決につながって表彰を受けたりしています。副賞に2泊3日の温泉旅行とか商品券とかを貰っていますが、表彰状だけでは寂しいけどそんなにつくもんなのでしょうかね?

 本書最後の「冬の事件」では東京から弁護士や検事までやってきて大騒ぎになり、猪熊は県警本部長自らの電話でお褒めの言葉を貰っています。妻の内助の功があるとはいえ、そんなに何度も功績を挙げていたら昇進してもおかしくない気がしますが、巡査部長には昇任試験を受けないと絶対なれないものなのでしょうか?

駐在巡査 単行本
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