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赤ちゃんがいっぱい:「助産師シリーズ」第二弾は長編です

赤ちゃんがいっぱい
 
 天気が崩れる、雨が降るなんて予報でしたが、帰宅まで保ってくれました。三連休は実に行楽日和だった訳ですが、いつものとおり、サーバー空間以外どこにも行きませんでした。この空間は天気はほとんど関係ないんですがね…。出勤してきましたが、電車はいつもより少しは空いてたかなという感じ。通勤者は皆なんとなくだれた感じでした。ワシもじゃみんな!!

 さて気を取り直して今日の記事です。本日は青井夏海の「赤ちゃんがいっぱい」です。4月3日の当ブログ記事で同じ作者の「赤ちゃんをさがせ」を取り上げましたが、タイトルから一目稜線、同じ「助産婦(師)探偵シリーズ」の作品で、「赤ちゃんをさがせ」が第一弾、本書が第二弾となります。

 「赤ちゃんがいっぱい」は、2003年4月に創元推理文庫から刊行されています。同文庫では同年1月に「赤ちゃんをさがせ」が刊行されているので、ハイペースだなあと思ったら、「赤ちゃんをさがせ」の単行本刊行は2001年10月なのでした。前作が3編の短編から構成されていたのに対し、本書は長編となっています。
 
 それでは例によって文庫本裏表紙の内容紹介を。

 アルバイト先の助産院を解雇された陽奈は、急場を凌ぐために“ハローベイビー研究所”に就職するが、そこでは価値のないものばかりが消え失せる目的不明の盗難が続き、さらには十八年前を再現したかのような赤ちゃん置き去り騒ぎが起きた。いったい研究所内で何が進行しているのか?「伝説の助産婦」にして安楽椅子探偵・明楽先生の推理が冴える!助産婦探偵シリーズ初長編。

 今回も、赤ちゃんにまつわる推理譚で、いわゆる「日常の謎」系なのですが、助産師という職業自体が私のような男にとってはあまり日常的ではなく、しかも舞台は妊婦とかお産といったさらに男にとっては非日常に満ちているので、「非日常の謎」だよなあと感じてしまいます。ただし、陰惨で血なまぐさい事件は一切起きないので、心静にというか気楽に読み進めることはできます。

 前作「赤ちゃんをさがせ」でコンビを組んでいた聡子は再婚(しかも前夫と)し、第二子出産直後なので、あまり登場してきません。今回は亀山陽奈が一人でストーリーを回していきます。舞台となるその名も胡散臭い“ハローベイビー研究所”は、妊婦と胎児の健やかさを促進維持するための機関で、妊婦さんはここで運動したり産科医の講演を聴いたり、おしゃべりをしたり趣味を覚えてみたりと、気楽に過ごすのですが、不測の事態(急な出産ということですね)に備えて助産師を配置しておきたいのだということになっています。

 着任早々、陽奈は赤ちゃん置き去り事件に遭遇するのですが、実は18年前にも同様の事件が起きていました。なぜかひどく動揺する首脳陣。なにやら怪しげな気配を感じた陽奈は、とりあえず預かることになった赤ちゃんを、生まれて間もない自分の赤ちゃんの世話に追われる聡子に預けて調査を続けますが、誘拐未遂事件が二度も発生するなど不穏な気配はますます濃厚。

 そんな陽奈に絡んでくるのは、研究所設立の原動力ともなったかつての広告塔「元天才少年」奥園時夫。天才少年少女だった彼とその妹の話は父親が本にしており、30年ほど前にベストセラーになっていたということです。彼は今は研究所のスーパーバイザーと言う名の昼行灯として、仕事もせずに給料を貰っている結構な身分なのですが、次第に明らかになっていく時夫の真意。彼に強力することになった陽奈ですが、しかし時夫にも奇妙な言動がつきまといます。

 正直、陽奈な推理小説ファンに較べてもおつむの具合は特別よろしくないので、すこはスルーしろよというところでもたついたりしますが、結局は明楽先生に事件を(そして赤ちゃんも)持ち込んで、円満な解決をお願いすることになります。明楽先生は70歳を過ぎていますが伝説的な助産師で、ミス・マープル並の推理力を持っているのです。

 明楽先生の推理によって、全ての謎はばっさばっさと快刀乱麻に解明されていく…確かにそうなのですが、今回については、「なぜ明楽先生はそう思ったのか」という推理の根拠が弱く、傍目には山勘が当たっているだけなんじゃないかという気もしてしまいます。あと陽奈のもたつきぶりもちょっといらっとする場面があるので、改めてアガサクリスティの筆致というのは凄いなあと思わずにはいられませんでした。

 まあ陽奈は一介のかけだし助産師に過ぎないのであって、助産師探偵というのは明楽先生のことなのですが、日本のミス・マープルにするためには、もっと明楽先生自身が直接事件にタッチしないといけないなあという気がします。いや、作者がそうしたいと思っているのかどうかは知りませんが(笑)。もっとも明楽先生は既に助産婦を引退しているので、「元助産婦探偵」というべきなのかも知れませんが。

 基本的には悪人が登場しなかった前作に比べ、本作は明らかに胡散臭い連中がいて、予想通り胡散臭い事実が発覚するのですが、三巨頭のうち一人が逮捕されるのは必然なのですが、残りの二人はどうなったんでしょうか。従犯になって逮捕されたのか逃走しているのか、その辺が最後まで明らかになっていないのがちょっと残念です。

 劇中、置き去りにされた赤ちゃんは一人だけなので、なぜに「赤ちゃんがいっぱい」なのかと思ったら、その謎(?)はラストで解明されたのでした。なるほど、いっぱいだ。なお、個人的には子猫がいっぱいだったりすると私は悩殺されます。

まさしくいっぱい

 出産にまつわる話なので、明るく終わるのは大変結構です。しかし多分次作以降も登場するであろう聡子の夫は、男からみても非常にいけ好かない男なので、ベテランにして腕利きの助産師聡子であっても、男の趣味の悪さはどうにもならないということなのでしょうか。陽奈にはその点だけは見習わないようにして貰いたいものです。
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ちはやふる2(その5):珍しい「神回」ならぬ「新回」

本気を出す新
 
 本日の穏やかな春の日。布団が干せて嬉しい限りです。そろそろ花粉も一段落してきたんじゃないでしょうかね。こういう日がずっと続けばいいな、なんて思っていると、すぐに暑くなってきてしまうのですが……そういうものだ。

眼鏡を取った泉水子。次は髪をほどこう!
雪ノ下雪乃

 さて、先週は春アニメ序盤の評価というのをやったせいでお休みした「ちはやふる2」、今週はやりますよ。しかしアニメを7本見るというのは結構大変ですね。「絶対防衛レヴィアタン」とか「フォトカノ」とかは、正直なところこんなん見てて日本は大丈夫なのだろうかと思ったりもするのですが(笑)。でも声優陣がやたらと豪華なんですよね。

新垣あやせ
レヴィアタン

 「RDGレッドデータガール」は高校編に入って俄然面白くなってきました。今後のオカルト展開に期待大です。泉水子も眼鏡を取って可愛くなったし、早見沙織の「内気で臆病な少女」の演技がとてもいいです。そういえば今期の早見さん、新垣あやせ、雪ノ下雪乃、鈴原泉水子、レヴィアタンと、軒並み黒髪ロングの女の子を演じていますね。あやせは黒髪じゃないですと?あれはあの世界では明らかに黒髪の範疇でしょう。レヴィアタンの髪はどうみても青いですと?超カラフルな髪の色のキャラばかりのあの世界では、あれが黒髪の表現なのですよ(きっと)。

真響

 ちなみに泉水子のルームメイトの真響(まゆら)、可愛いですね。髪に飾った赤い紐(リボン?)がチャーミング。

第9首 わたのはら

 しかーし、それはさておき「ちはやふる2」、まずは第9首「わたのはら」です。

 この回は異色の「新」回でした。新が主役を張るというのはこれまでありませんでした。団体戦は見ないと千早には告げておきながら、こっそり大海神宮にやってきた新。そして新を捕捉した若宮詩暢、というところで8話は終わっていましたが。

誰?と言われて大ショック

 「誰?」と訪ねられて泣く詩暢。激太りしたり体型変化激しいからね、アンタは。それにしてもクイーン、やはりかつて新に負けていたんですね。明日の個人戦で雪辱を期するというところでしょうか。新は競技かるたから離れていたので、現状まともにやれば勝利は動かないでしょう。

鳥人間コンテストも日テレですね

 詩暢は近江神宮にお参りに来ただけ。新同様団体戦には興味ないみたいです。琵琶湖の「鳥人間コンテスト」を毎年見に行くのが楽しみだとか。日テレ配慮か(笑)。

新がいる…!
ジェラシーストームの太一

 一方、いよいよ二回戦に登場しようという瑞沢高校ですが、新の気配を感じて動揺する千早。お前はニュータイプか。千早は新のことになるといつも目の色が変わりますね。嫉妬の嵐に苛まれる太一は、集中しろと一喝。新がいるのなら、なおさらみっともない姿を見せるんじゃないと。「新がみているんだぞ!」てなところでしょうか。

コンスコン少将

 この辺、ガンダムの「シャアが見ているんだぞ!」(byコンスコン少将)を連想させますね。ある意味これは死亡フラグです。なにしろニュータイプとして本格的に覚醒したアムロにリックドムを撃墜されまくり、艦隊まで全滅してしまうんですから。アムロはドム系に圧倒的に強いので、グフ系の方が有効な気がしますが…リックグフなんて作っても宇宙ではあんまり有効じゃないでしょうねえ。

シャアが見ているんだぞ!

 一方団体戦なんて、ハハン…な感じの新でしたが、なりゆきで替え玉出場することに。福井代表といっても違う高校なんですが、3人しかメンバーがいない中で、一人が遅れているという。勝つつもりはないけど、せめて試合をしたいという彼らに、つい一肌脱いでしまう新。マスクして眼鏡外しても…どうみてもバレバレでしょうが。

替え玉出場を求められる新
福井南雲会の栗山会長が目の前に

 5対5で3人しが出ないということは、既に2敗しているわけで、もう1敗もできません。といってまかり間違って勝ってしまっては完全に人としてどうよという大反則行為。しかも新が所属する福井南雲会の会長が目の前にいたりして。

小学生時代の団体戦の記憶

 しかし、メンバーの一人が敗れたことで敗北確定。そこで新は眼鏡をかけて本気を出しに行きます。そして思い出す小学生時代の団体戦の記憶。チームのために一丸となる戦いを思い出した新。

負けが確定したので眼鏡装着

 全力でかるたをしないと相手に失礼だということで、本気モードになる新。本気になったらやはり強い!そして…

そして思いっきりばれるのであった

 やはり会長には思いっきりばれてしまうのでした。っていうか、なぜ最初から気付かないのか会長?

栗山会長怒りの鉄槌

 一瞬団体戦の余韻に浸った新ですが、頭に鉄槌が。会長怒りの鉄拳制裁です。知ってしまった以上、公にしないわけにはいかないという会長。そりゃそうですね。明日の個人戦出場は危ないといわれ、ようやく事態の深刻さを把握した新でした。

反則行為で個人戦出場がやばくなる
ようやく事態の重大さに気付いた新

 しかし新、理知的な顔をしていますが、そういうところに頭が回らないあたり、お人好しというかバカというか。菫ちゃんの「かるたが強い連中みんな変人」説を裏付けるかのようです。

日頃の行いが悪いせいでしょうか

 一方、急変した天気で鳥人間コンテストは中止となってしまいました。詩暢の日頃の行いのせいか、団体戦をディスった報いか。団体戦に出るのは本当にかるたが好きな人たちじゃないとかほざいていましたが、かるたが好きじゃなかったら団体戦だって出ないよ!

第10首 むらさめの

 続いて第10首「むらさめの」。瑞沢高校の2回戦の模様と新の処分に関する動向が描かれます。

山口美丘高校

 瑞沢高校、二回戦の相手は山口県代表の山口美丘高校。女帝曰く、公立高校で東大合格者数日本一という「公立の星」だそうです。しかも千早と対戦するかるた部副部長はクイズ研究会の会長を兼任しており、高校生クイズ選手権で優勝しているという。そういえば、それも日テレの番組じゃあ…。宣伝乙。

毎回のように札を動かされて混乱する千早

 特異な札配置と、毎回のように札を動かすという奇策に、千早以下愕然。暗記がパアになるので敵陣を攻められません。自陣の専守防衛は千早の「攻めかるた」スタイルと違うので調子が出ません。

暗記頑張る団と頑張れない団…千早が入るのは当然…

 太一とかなちゃんは新規の暗記に追随していくタイプですが、肉まん君と筑波は暗記頑張らない(頑張れない)派。千早はどちらかといえば、当然「千早さん、頑張らない」です。

貞子か伽耶子か…いや詩暢だ!
窓の外に詩暢(千早が映っています)

 しかしそんなとき、鳥人間コンテストが見られなくて意気消沈した詩暢がずぶ濡れで窓の外に登場。まるでホラー映画の怪物のような出現に、会場騒然。

詩暢にびびりまくる選手一同

 みんなびびってます。何しろ後光が射してましたから。しかし、これを切っ掛けに立ち直っていく千早。クイーンの出現で闘志がかきたてられたか。加えて、場に札が少なくなってくれば暗記の手間もなくなります。こうなると千早の「感じ」が相手を圧倒していきます。所詮は虚仮威しだったのでしょうか。

ずぶ濡れのまま新を引き摺る詩暢

 一方、新の出場停止処分の可能性を知った詩暢、格好つけてないで謝れと、新を引き立てていきます。今や詩暢の最大の関心事は、新をぎったんぎったんににやっつけることなのです。

精一杯謝れと

 役員の前で精一杯謝れと頭を抑える詩暢。そういえば新はかっこつけて、必死に謝罪するというポーズがありませんでしたね。この世話焼きっぷり、何か恋愛フラグが立ちそうですね。新と詩暢がくっつけば、太一大喜びということになるのでしょうが…太一にそんな歓喜を与えてはいけない気がするのは私だけでしょうか?

一緒に頭を下げる詩暢

 自らも頭を下げる詩暢。その一方で、新が出られなければ自分も出ないと脅しも忘れません。また、新は関係者によると現在無敵の周防名人を倒しうる逸材なのだとか。というか、問題行動多すぎて名人嫌われすぎ(笑)。かるたを取ったら大学を卒業することもできないしょうもないヤツなんですけどね。   

かっこいい女戦士のイメージ
ゲェ~!立ったまま寝てる!

 さて二回戦の結果はといえば、3-2と僅差ながら瑞沢勝利。千早、肉まん君、太一と主力がしっかり勝利しました。筑波はともかく、頑張ってた様子のかなちゃんも結局負けてたのは残念ですが。立ったまま寝ている千早。お前はウォーズマンか。敵として会いたくなかったぜと山口美丘高校は思っているでしょうが(負けたから)。 

太一NTR顔

 最後に新や詩暢の存在に気を取られがちな千早を一喝する太一。しかし…これは戦略というよりただの嫉妬に近い。多分今の千早は動揺しても苦戦しても「最後には勝つ!」という少年ジャンプのヒーロー的状態だと思うのですが…。

 さて恒例の千早顔芸集、行ってみましょう。

もはやシュールレアリスムな千早

 札を移動されまくって混乱の極みの千早。メダパニでも連続で喰らったかのよう。げ、芸術は爆発だ!

美人がだいなしすぎる

 札を睨んで目を血走らせる千早。100年の恋も冷めようというもの。千早の顔芸写真集を作って太一にあげたら少しは落ち着くかも知れません。薄い本にしてコミケで売りましょう。

妙なスタンドを出している千早

 如来と明王、二種のスタンドを出している千早。複数のスタンドを操れるとしたらぜひ「ジョジョの奇妙な冒険」に出て欲しいですな。きっとジョジョの強敵になるでしょう。

肉食系千早

 場の札が少なくなり、如来と明王のスタンドの意見が一致し、「攻めて行け」ということになった時の千早。思いっきり肉食系な感じですが、千早が肉食系なのはかるたの時限定です。それにしても最後の肉まん君の発言は気になりますね。その真意は…というところで次回に続くのでした。

好きな声優さん第三期(その3):林原めぐみ~現在の業界の礎となった伝説の“超声優”

林原めぐみ
 
 麗らかな春の日、そんな言葉がぴったりな日曜日いかがお過ごしでしょうか。秋麗という言葉がありますが、本日はまさに春麗。おっと格闘ゲームのキャラみたいになってしまった。あるんですねえ、こういう快適な一日というのが。天気は良くても気温はそんなに高くなく、風は気持ちよく吹いて。こういう日に図書館に行っただけで部屋に閉じこもってブログ書いているなんて、人生無駄にしているような気になってきたりしますが…

だがそれがいい!!

 ということで、何だかよくわかりませんが声優の日曜日を始めるとしましょうか。

熱唱する林原めぐみ

 本日はある人からのご指摘により、うっかり忘れていた超大物が登場です。いくら大物だって私が好きじゃなければ取り上げないのですが、この人はこの人については本当にうっかりしていました。かつては声優界の頂点にいたといっても過言ではない、競技かるたならクイーンともいうべき、林原めぐみです。

革ジャンの林原めぐみ

 林原めぐみは1967年3月30日生まれで東京都北区出身。生年を明かさない声優も多い中、実に潔い情報公開ぶりです。小学生の時に映画「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」を見て「声優」の存在を意識したそうです。また、「銀河鉄道999」関連のイベントに参加して、会場に不在だった池田昌子に代わってメーテル役を演じた事があるとか。当時私が好きだったものと完全に一致ですね。「君と僕は似ている」なんて言ったら、やっぱり「あなた誰」とか言われちゃうんでしょうか。

歌う前のポージング

 中学時代はバドミントン部、高校時代は放送部・英語部・生物部・演劇など複数の部の掛け持ちをしていたそうです。進路は当初堅実に看護婦を目指したそうですが、看護学校の受付の態度の悪さに怒り、腹いせにマンガを立ち読みしていたところ、声優無料養成オーディションの広告を見つけて応募したところ、特待生の一人として合格したそうです。このとき持っていたミカンを審査員に配ったことで「ミカンの子」として強烈なインパクトも残したとか。それは賄賂じゃ(笑)。しかし、両親からは声優を目指す条件として、看護婦免許を取得するよう言われたということで、看護学校と声優養成所を3年間両立させて通ったということです。すごい根性ですね。ただ、声優は志望者は多くてもなかなか大成しない職業ですから、食いっぱぐれなさそうな看護婦免許を持っておくべきという両親の考えはよく判ります。それにしても大変だったことでしょう。

鴨川会長
 
 この鴨下会長の有名なセリフの好例ともいえる存在ですね。ちなみにこのセリフ、元ネタはブレアウィッチの「努力した者が全て成功するとは限らないが、成功した者は全て努力している。」という格言だそうですが…ブレアウィッチって誰?

初のメインキャラ忍部ヒミコ

 声優デビューは1986年で、しばらくモブキャラを演じて実力を付け、1988年にメインキャラを演じて以降、80年代終盤から90年代はまさに林原めぐみ時代となりました。演じたキャラの一部については後述しますが、その活躍ぶりは、1990年代を中心とした第三次声優ブームの立役者とされ、アニメ雑誌「アニメージュ」の開催するアニメグランプリでは声優部門1位を通算12回(1989 -1993年度、1995-2001年度)獲得していました。結婚や出産によって徐々に活動を抑えるようになってからも長く人気を堅持し、TOP10には18年連続(1989-2006年度)、TOP20に21年連続(1989-2009年度)でランクインし続けていました。この記録は今後も破られることはまずないでしょうね。

40過ぎてるとは思えない林原めぐみ

 それだけに声優界に大きな影響を与えており、尊敬の対象として林原の名を挙げる後輩声優は多いそうで、例えば白石涼子・水橋かおり・伊藤静らは林原めぐみの出演作品を見て育ち、朴璐美・佐藤ゆうこなどは共演した際に指導を受けたそうです。

CDジャケットその1
 
 今となっては声優の歌唱も珍しいことではなく、水樹奈々は紅白歌合戦に連続出場するなど、一般にも浸透していますが、その先駆けも林原めぐみです。歌手デビューは1991年で、声優がレコード会社と専属契約をする先駆者となり、本格的かつ継続的な活動を初めて行ったことで「声優アーティスト」の礎を築きました。もっとも当初は、歌唱に関する教育を受けていなかったこと や、歌手志望では無かったこと、さらには当時の声優の歌手活動は極めて稀であったことから、歌手活動には非常に消極的だったそうです。

CDジャケットその2

 しかしプロデューサーの説得により歌手活動を本格化させて以降は、J-POPによるメジャーアーティストのCD売上が隆盛を極める中、マイナージャンルであった声優ソングをランキング上位に次々と送り込み、その成功によって後続の声優が積極的な歌手活動を行う契機となりました。そのため「林原は業界内で『声優業界の美空ひばり』と呼ばれている」との声もあります。

ファンに歓声に応える林原めぐみ

 さらにはラジオパーソナリティー、作詞家、エッセイストとしての顔も持ち、多芸ぶりを見せていますが、「声優は、自身が表舞台に立つ事で、児童の持つキャラクターへのイメージを損なってはいけない」という考えを確固として持っているため、テレビ等の映像メディアへの派手な露出は好まず、歌手面でも同様の考えから、活躍・記録の大きさに反して歌番組への露出は極端に少ないものとなっています。

林原めぐみ修正版

 スターチャイルレーベル・すたちゃまにあ内のオフィシャルサイト“MEGUMI HOUSE”です。

MEGUMI HOUSE

 http://www.starchild.co.jp/artist/hayashi/index.html

 それでは私の知っている林原めぐみの演じたキャラです。

 加納深雪(デジタル・デビルストーリー 女神転生)

加納深雪

 1987年のOVAです。林原めぐみのデビュー当時の作品ですね。出演していたことに今初めて気付いてびっくりです。十聖学園で、主人公の中島朱実(♂)が所属する選抜クラスのクラスメートです。原作小説ではヒロインの白鷺弓子と仲が良く、互いに「弓子」「深雪」と呼び合う仲でした。OVAでは転校二日目で事件が起きてしまうので、親しくなる暇なし。セリフは「白鷺さん、行きましょう。さ、早く。」とちょっと笑うだけ。中島が召喚したロキに他のクラスメート共々喰われてしまいます。

 天野あい(電影少女 -VIDEO GIRL AI-)

天野あい

 こちらもOVA。5年経ったらもう押しも押されぬ主役声優です。あいは主人公の弄内(「もてうち」ですが誰もが「もてない」と読む)洋太がから借りてきたビデオテープから現れたビデオガールです。ビデオガールというのは、ピュアな心の持ち主にしか見えない、特殊なビデオテープから実体として現れる少女です。

天野あい1

 あいは、洋太のビデオデッキが壊れていたため、がさつで男っぽい性格になり、本来ビデオガールが持ち得ない「人を愛する心」を持ってしまいます。ここから色々な事件が発生していくわけですが…。

天野あい2

 原作者の桂正和は、本作から著しく画力が向上しました。ちなみに私は早川もえみが好きでした。誰も聞いてないか(笑)。

早川もえみ

 幻海(幽☆遊☆白書)

老いた幻海

 幻海といえばBBAですが、林原めぐみが演じたのは若い頃及び若返った時です。

若返った幻海

 主人公浦飯幽助の師匠で、人体に宿る霊力を活用する武術「霊光波動拳」の高名な使い手です。70歳前後の様子で、生涯独身。若い頃は戸愚呂弟とは恋人未満な関係のようでした。

もっとも綺麗な年齢とか中国後でキャプションが

 霊力を高めると細胞が活性化し、一時的に若かった頃(本人曰く、肉体の全盛期たる20歳前後)の姿に戻る事ができます。暗黒武術会では出場した試合には全勝しましたが、決勝前に戸愚呂弟と決闘し、敗れて死亡しますが、優勝した浦飯チームの願いという形で復活することができました。

若き日の幻海

 リナ・インバース(スレイヤーズ・シリーズ)

リナ・インバース

 自称、剣士にして美少女天才魔道士。他人からは「ドラゴンもまたいで通る」より「ドラまた」リナと呼ばれています。人間としては尋常ならざる魔力キャパシティを持ち、一般に最強の攻撃呪文とされる「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」も容易く操る等、黒魔術に関する腕は超一流で、さらに精霊魔術にも精通しています。

ディスられてるリナ

 攻撃呪文で人を吹っ飛ばすのを軽いコミュニケーションと言い切り、怒るより先に、人に攻撃呪文や蹴りを放ち、柄の悪い人間を見れば喧嘩を売り、魔法実験で森を消し飛ばしたり、八つ当たりで「ドラグ・スレイブ」をかまして地形を変えたり、自分のやった犯罪を人になすり付けたり、依頼料の少なさに腹を立てて世界を滅ぼしかけたりと無茶苦茶しているので、様々な悪評とともに、「命にかかわる危険な生物ベスト百」という本や「友達にしたくない人物ベスト10」というランキングに載っていたりします。

ドラグ・スレイブを唱えるリナ

 食に対する執念は凄まじく、行く先々の食堂や宿屋で全メニュー制覇を狙い、チャンスあらば他人に飯代をおごらせ、食べる量も半端ではありません。身長147cmと小柄で体型や胸に自信がなく、「大平原の小さな胸」とか「ひらべったいひと」などと呼ばれてしまいます。また、明らかに魔道士の格好をしているにも関わらず、その容姿からただのハッタリと思われるせいか、呪文を使うまで魔道士と気づかれないことも多いとか。

水着のリナ

 なんと、リナのキャラクターデザインのイメージモデルはオードリー・ヘプバーンだという信じられない話が。

「ティファニーで朝食を」のオードリー

 綾波レイ(新世紀エヴァンゲリオン)

月とレイ

 もはや説明の必要がない気もする超有名キャラ。レイとリナを同時期に演じたというところでも林原めぐみの凄さを感じます。

綾波レイ1

 本作のヒロインであり、最大のキーパーソンです。エヴァンゲリオン零号機のパイロットでファーストチルドレン。ほとんど感情を表に出さず、寡黙で常に無表情ですが、感情の表現の仕方を知らないだけだそうで、ストーリーが進むと次第に様々な感情を見せ、自我といえるものが芽生えていきます。

ゴスロリ風レイ

 「エヴァに乗ることが全てで、他には何もない」と言い切り、どんな危険な任務であっても自らの命を省みることなく毅然とこなしていきます。か細い美少女が凜々しく強敵に立ち向かうというところがまた萌えポイントだったりして。ドSのつもりはないのですが、苦しんでいるレイがまたいいのですよね。

シンジのママン・碇ユイ

 正体は碇シンジの母・碇ユイのクローン…というのは正確ではなく、魂は第二使徒・リリスのものであり、肉体はEVA初号機に取り残された碇ユイをサルベージして得られたユイとアダムの遺伝子が半分ずつ受け継がれたハイブリッドだそうです。1人目や3人目に見られた嗜虐性はアダムによるものとされています。人によっては2人目のレイだけがレイだとも。

ゲンドウの眼鏡を抱くレイ

 魂はリリスと言っても、綾波レイになったことでリリスだった頃の記憶はほぼなくなっています。綾波レイとしての肉体が長く保てないのは、本来の自分の肉体ではないからだそうです。

レイ壁紙

 なお、無表情で感情の起伏が乏しく、「人形」を彷彿とさせるキャラクター像は、綾波レイ以前にも存在していましたが、あまり目立つものではありませんでした。しかし、それらを体現しながらも物語の枢軸に据えられた「綾波レイ」が登場し、これが大人気を博したことにより、後のアニメのみならず、ゲーム、漫画、ライトノベルなどでのキャラクターデザインや造型に大きな影響を与えることになりました。綾波レイと同系統に属するキャラクターは「綾波レイ系」などと呼ばれます。一時期はまりましたよ、綾波系。

笑えばいいと思うよ

 最終回にちょっとだけ出た「学園エヴァ」ではトーストをくわえて走る陽気な転校生として登場していました。レイだけ全然雰囲気が違います。あの世界で1クールくらいアニメを作ってくれませんかね。使徒とかネルフなしの日常系で。きっとゲンドウもああいう世界で暮らしたかったことでしょう。

最終回のレイ

 http://www.youtube.com/watch?v=pJYNevKRgUg

 エレ・ラグ(影技 -SHADOW SKILL-)

エレ・ラグのイメージ画像

 岡田芽武(めぐむ)の原作にして代表作ですが、掲載誌を転々とする不幸に見舞われ、20年以上経てなお未完という作品です。アニメは1998年7月から12月にかけて2クール26話が放映されました。

マンガ版でのエレ・ラグ
 
 エレは18歳にして第59代の修練闘士(セヴァール)という天才です。字名は「影技(シャドウスキル)」。傭兵王国クルダに伝わる戦闘術「クルダ流交殺法」は、剣技を除いては基本的に武器を持たずに徒手空拳で相手を倒します。

氷漬けになるエレ

 修練闘士(セヴァール) は、クルダの力の象徴で、「最高の栄誉と恐怖を司る者」とされる闘士として最高位の称号です。クルダ2000年の歴史上59名しか存在せず、修練闘士が存在しない時代もあったということで、相撲でいえば横綱みたいな存在です。

ガウ

 エレは闘いにおいてはその強さと闘いの美々しさで人々の畏怖と尊敬を集める一方、普段は酒にだらしなく、飲み過ぎて金を使い込んだり、多額の借金を抱えたりしています。主人公のガウは住んでいた村が盗賊に襲われて壊滅し、孤児となったところでエレと出会い、以来エレの弟として育てられています。エレの薫陶よろしく、後に第60代修練闘士「黒い咆哮(ブラック・ハウリング」となります。

SHADOW SKILLのDVDパッケージ

 特徴的なのは、武技言語です。これはクルダ流交殺法で必殺の一撃を放つ際にある一定の言葉を唱えることにより、自身の攻撃の破壊力を増幅させ、さらに相手の動きを一瞬停止させるもので、催眠術とか暗示のような技です。

アニメのエレ・ラグ

「我は無敵なり、我が影技にかなうものなし、我が一撃は無敵なり」
「I'm never defeat. My assault is the white Lightning. My Lightning is never defeat.」
「一撃一撃の勝負ならば、我が影技にかなうものなし、我が咆哮は絶対無敵」

 まあ中二病的といってしまえばそれまでですが…カッコイイでしょ?

影技ポスター

 ちなみに生存している修練闘士としては、第55代「鷹の目(ホーク・アイ)」のイバ・ストラ(クルダ国王)、第56代「紅(クリムゾン)」カイ・シンク、第57代「刀傷(スカーフェイス)」ヴァイ・ロー(実はガウの本当の兄)、第58代「G」カイン・ファランクス(ガウと戦って死亡)がいます。一人も修練闘士がいない時代もあったという話ですが、この時代は同時期に5人もいたということに。
 
 ルーン・バロット(マルドゥック・スクランブル)

黒いドレスのルーン・バロット

 原作については7月19日の当ブログ記事を参照していただければと思います。2006年のOVA(未完),2011~2012年に3作製作された劇場アニメとも、林原めぐみが演じています。

銃に変身したウフコックを持つルーン・バロット

 ルーン・バロットは本作の主人公の少女娼婦です。この名前は娼婦としての源氏名で、本名は不明です。ギャンブラーのシェルの専属娼婦となっていましたが、彼の計画により命を落としそうになります。

コミック版のマルドゥック・スクランブル

 この際、ウフコックとドクター・イースターによって、生命の保護などに限って禁じられた科学技術の使用を認める「マルドゥック・スクランブル-09法」に基づき、全身に金属繊維による人工皮膚を移植されることで一命を取り留めます。また、それにより常人より遥かに優れた身体能力と体感覚、あらゆる電子機器を触れずに操作する能力を得ました。

射撃するルーン・バロット

 その後、ウフコック、イースターとともに積極的にシェルの犯罪を追究する事になり、その過程で否応なく多くの戦いに巻き込まれていきます。その過程で様々な人間や弱肉強食の世界に生きる者たちと語らい、時に戦うことで真に闘う意味と自分の存在の意義を確立していきます。

救出直後のルーン・バロット

 ルーン・バロットは火傷により声帯(肉声)を失っているという設定であるため、林原めぐみは通常のマイクとは別に首と喉に骨伝導用マイクも装着し、合計3つのマイクを用いてアフレコを行ったそうです。

ルーン・バロットと主要登場人物

 林原めぐみはなんと都合2度オファーを断っています。1度目はOVA製作時で、育児のために仕事量を抑えていて負担をかけられないことが理由でした。しかし、「今一度出演検討を」という再オファーにより引き受けてましたが、今度は製作が頓挫してしまい、未公開となってしまいました。2度目は劇場版製作時で、このときは「5年前(OVA時)に私だったからといって今私である必要は無い」と断ったそうですが、この際にも熱烈な再オファーがあり、最終的に仕事を引き受けることとなったそうです。

“楽園”のルーン・バロット
  
 このほか、ちはやふる2にも桜沢翠のCVとして出演しているそうです。まだ見ていないのですが、千早達瑞沢高校が全国大会本選(団体戦)の決勝戦の対戦相手である富士崎高校の顧問で、クイーンになったことこそ無いものの、過去に5回準クイーンの座についたことがあり「最強の挑戦者」との呼び声も高かったそうです。見るのが楽しみです。

桜沢翠

 「女らんま」など超有名どころを抜かしていますが、これは私が見ていないから(笑)。伝説の声優「林原めぐみ」。これからも息の長い活躍を続けていって下さい。

林原めぐみ修正版その2

大悪司(その2):わかめ組制圧まで

わかめ組
 
 今日は天気も良く、といって気温はさほど高くはなくということぜ、GW初日らしい絶好の行楽日和ではないですか。ちょっと風が強いから野外の球技とかには良くないかもしれませんが、気分良くウオーキングしてきました。

加古をこます

 さて、先週に引き続き超大作地域制圧シミュレーション「大悪司」を紹介していきましょう。このゲームはシミュレーションなのでどこから攻めてもいい…という訳ではなく、一応勢力毎に抗争する順番があります。最初は弱小勢力なので、いきなり大勢力とぶつかっても勝ち目はありませんし、小さなことからコツコツとやって勢力を拡大していかねばなりません。

一発の愛人蘭

 まずはオープニングで悪司は帰還早々生家ともいうべきわかめ組を叩き出され、行き倒れていたところを助けてくれた青年奉仕団を“こまし”で乗っ取ります。

 この青年奉仕団が存在するミドリガオカが悪司の本拠地となります。本拠が陥落すると自動的にゲームオーバーなので、ここだけは死守しなければなりません。

青い部分がミドリガオカ

 上の地図で青い場所がミドリガオカです。当初、奉仕青年団の縄張りはここだけです。緑はわかめ組の勢力圏、茶色は中立というか独立地帯です。元々はわかめ組が支配していたのですが、わかめ組の勢力が低下して管理が行き届かなくなっているのです。ミドリガオカも本来はわかめ組の傘下地域なのですが、無法地帯となったために奉仕青年団というボランティア団体が自治を行っていたという。左端の紫色は新興宗教・那古教の勢力範囲、右端のピンク色はピーチマウンテンの勢力範囲です。那古教は遠すぎ、ピーチマウンテンとは戦力差がありすぎるので、当面はわかめ組を相手にせざるを得ないことがわかると思います。

 それでは最初期の悪司の戦力となる奉仕青年団の面々を紹介します。

青葉曜子

 青葉曜子。ヒロインになっても良いくらいの美人ですが、実は既婚者です。しかし夫は戦争で行方不明になっています。奉仕青年団のリーダーですが、助けてあげた悪司に抱かれて、自分も含めて組織ごと取られてしまいます。恩を仇で返されるという理不尽ぶりが悲しいですが、実は夫(青葉一郎)が戻ってくるイベントがあったりします。夫の元に返してやるか、そのままにするかはプレイヤーの胸先三寸。まあ夫と一緒にしてやったほうが、忠誠タイプが「愛欲」(悪司に抱かれることで数値が回復)から「仁義」(忠誠が低下しない)になるのでありがたいのですけど。戦闘力は低いですが、内政は優秀です。体力を1より下げないスキル「手加減」は捕獲に使えます。

加古未来

 加古未来。語尾が「にゃり」と独特な、H大好きで大食らいの子。玉の輿を狙っているようです。序盤の参入キャラは大した性能はないのですが、最初は面子が足りないので我慢して使っていくしか有りません。この人はイベントが面白いです。食べ過ぎで死んだり(笑)。

衣笠智子

 衣笠智子。真面目で内気な眼鏡っ娘。マゾの素質がありますが、思い詰めるとかなりやばいことに。戦闘力は高くありませんが、必ず戦闘が終了するスキル「白い煙幕」は使い勝手がいいです。

 この三人、なにしろ最初はメンバーが足りないので戦闘に使わざるを得ないのですが、後半になると能力不足で前線では使わなくなります。そんな時期には娼館に落とすという外道な手段も可能です。人の心がないのなら、ぜひ。私は…もちろんやったことあります。

従順(重巡)トリオ

 なお青葉・加古・衣笠という名前でピンときた人はかなりの軍事通。そう、旧帝国海軍の重巡洋艦の名前ですね。三人娘とかけて重巡洋艦と解く。その心はジュウジュン(重巡・従順)でしょうという。
 
 さて、ミドリガオカを手中に収めた後は、市議会に行って他の戦力との交戦許可を貰います。相手は担当者は鴉葉月。

鴉葉月

 月と書いて「つき」です。「ライト」とは読みません。この男、チャラい二枚目に見えますが、賄賂など裏取り引きは大得意で女の子はみんな可愛くて好きという腐れ外道。もっともこういう男の方がヤクザな悪司としては好都合なんですが。「僕達、公務員ってさ、薄給じゃない。だからさ、こーいう特権はおおいに利用した方が人生の勝ち組だと思うけど?」なんて言って、積極的に荷担してくれます。

わかめ組からの襲撃
 
 さあいよいよわかめ組と交戦可能となりますが、いきなりはまずいです。まだまだ戦力は圧倒的に劣勢です。まずは中立地帯を征服して勢力を拡大しましょう。勢力の拡大とは、単に征服地域を増やすだけではなく、戦力となるメンバーの獲得も含みます。

 ということでヘグリやハクアに侵攻し、傘下に収めます。その過程でこの地域に住む連中とイベントがあったり、仲間を増やしたりできます。先週紹介した殺っちゃんや大杉がやってくるのもこの時期です。

鬼門始

 この地域で仲間にできる連中その1:鬼門始。悪司にライバル心を燃やすヤンキーです。HPと攻撃力の初期値はかなり低いですが、回避値が非常に高い上に、悪司のレベルが上がると始のレベルも上がるようになっていて、勝手にレベルが上がっていきます。早めに仲間にしておくと主戦力になります。

長崎旗男

 その2:長崎旗男。激戦区から一人生き残ってきた帰還兵です。戦場で友と共に死ねなかった事を悔やみ、今の世の中に失望して森の奥で犬達と密かに暮らしています。武器は三八式歩兵銃ですが、銃弾がないので銃剣で攻撃します。戦闘能力が高く、スキル「手加減」が使えるので、敵キャラの捕獲に非常に有効です。ただ、戦いがないと自殺してしまうので、時折戦闘に参加させることを忘れずに。未亡人とのイベントで幸せになることもできるのですが…この人はニヒルがよく似合う。

大谷善継

 その3:大谷善継。ウィミィにアシヤで軟禁されている戦犯・乃木将軍の用心棒です。元は絶世の美男子で映画スターでしたが、戦争により全身焼けただれてしまい、スケキヨ状態に。以後人を避けて生活するようになりましたが、乃木に救われました。乃木と知り合いになって親しくなると仲間になります。乃木屋敷を攻めて捕獲してもいいのですが…自発的に仲間になってくれた方が忠誠が「仁義」なので楽です。

野比ひかり

 その4:野比ひかり。彼も乃木将軍の用心棒。元関取「鉄大和」でしたが、取組中に張り手で相手を殺めてしまい、道を外れて荒れていた所を乃木大将に助けられた過去を持っています。

いよいよわかめ組と戦闘に

 さてそれではわかめ組と抗争を開始です。当然雑魚キャラには野郎もいるのですが、幹部は女性ばかりとなっています。

市橋蘭

 市橋蘭。ウィミィの政策により親わかめ組の分になりました。一発の愛人ですが、今は男を信用していません。意外に純情一途で、部下の前では傲慢に振舞ってはいますが、影でそれ以上頑張っているタイプです。一発に置いていかれた後、一発に再度認めてもらう為に頑張っていたという感じでしょうか。

森田愛

 加賀元子は既に紹介済みなので、さておき、森田愛。目に無駄に星がきらめく任侠命。35歳以下は恋愛対象ではないそうです。可愛くてバカで、テレビが大好きです。古墳に近づくとえらいことに……。こう見えて、中距離キャラとしてはかなり強く、スキル「不器用ですから」は回避率0になる代わりに命中&攻撃力200%になるという、近距離キャラ殺しです。ただし遠距離キャラとは相性が悪いです。

辻家晴子
 
 辻家晴子。既婚者ながら別居中。別居の原因になったのは若き日の悪司の悪事のせい(笑)。そのため悪司に怨みを抱いています。火照った躰をもてあましているとか。イメージは山口百恵らしいです。

ぬらりひょん

 他に加賀太郎という、元子の父で悪司の父百発と仲の良かったおっさんもいるのですが、ぬらりひょんみたいなので詳細はパスします。さて段々とわかめ組を追い詰めていくと助っ人して登場するのが異形の二人組です。

素敵医師

 まずは素敵医師。全身血のにじんだ包帯姿の素敵な(?)医師。本名、長谷川均。天才医師でしたが、薬の打ちすぎて壊れてしまいました。助っ人として現れますが、こいつに依頼すると組織はジャンキーだらけになって無茶苦茶になってしまいます。シコクはこいつが壊滅状態にしたとか。語尾は「がやき」。

デカオ

 デカオ。シコクの山奥でその名を知られたキコリだったが、素敵医師により薬づけにされて自我を失ってしまいました。人間離れしているくらいなんもかもデカイです。口癖は「エっ?」。

やばい二人組

 こいつらも倒してわかめ組を制圧すれば、第一段階が終了です。次の敵は謎の新興宗教・那古教です。

簀巻きで処刑

コミック版「ほしのこえ」を読む(その10):最終回。気持ちが一つになったミカコとノボル

コミック版ほしのこえ
 
 昼間は暖かでしたが、夕方以降一転して肌寒くなってきました。明日は気温が下がり気味みたいですね。今日は夕方雨なんて予報がありましたが、降らなくて良かったです。

 さて、明日から皆さんお待ちかねのゴールデンウィークです。

ワシもじゃみんな!!

 世間には10連休なんて羨ましい職場もあるようですが、てやんでぃ、こちとらカレンダーどおりでいっ。きっと10連休の職場には休日出勤とか超過勤務とか色々あってのことでしょうから、上を見ればきりがなく、下を見てもきりがない。そして上と下は遙か彼方でつながってたりして。

トレーサーのコクピット内のミカコ

 そんな素敵なGWイブにお送りするのは、なんと不人気企画コミック版「ほしのこえ」精読会。しかし皆さんお喜びあれ、遂に最終回なのです。思い返せば開始したのは2月15日。まだまだ冬枯れの日々だったわけですが、それが今では春も終わりという時期です。時の流れは、季節のうつろいは早いものですね。それではChapter.10、行ってみましょう。

Chapter10扉絵

 扉絵はミカコとノボルの後ろ姿。なにやらじゃれ合っているようですが、楽しそうなのが背中からも伝わってきますね。中学時代の記憶の一コマなのか、こういう高校時代を過ごしたかったという夢なのか。

第三次プロジェクト艦隊。リシテア以外は全艦沈んだ模様…

 ノボルが念願の艦隊勤務についた直後、ミカコの参加する第三次プロジェクト艦隊がタルシアンの攻撃によりほぼ壊滅状態という知らせが地球にもたらされました。急遽編成された援軍に志願したノボル。同僚があきれています。どうも援軍は質量ともにかなりしょぼいらしいです。外部に向けてのアリバイ作りのためにもやらなければならないけど、頭数あわせの性質が濃厚のよう。

 そんな同僚の心配を意に介さず、見つめる携帯にはノイズだらけのメール「25歳のノボルくんこんにちは。16歳のミカコだよ。」というその文面は、前回戦闘直前にミカコが送ったメールに間違いありません。

ノボルとミカコ。背後にはトレーサー

 「……それでもオレにとっては最後の機会になるかも知れないんだ……」呟くノボル。そう、これを逃してはもう会えるかどうかもわかりません。

 一方、シリウスのリシテア艦内。外では雪が降っているということは、惑星アガルタの地表なのでしょうか。何人かが床に横たわったりうずくまったりしています。ミカコも負傷しているようで、右手に包帯が巻かれています。しかし相変わらず中学の制服です。どんな軍隊なのだ。ミカコの奮戦ぶりは一切描かれていませんが、映像版ではリシテアに特攻してきた巨大タルシアン母艦を、ミカコのトレーサーがリミッターを切ったビームサーベルで真っ二つにしていました。きっとミカコの活躍でかろうじてリシテアは生き残り、アガルタに不時着したのでしょう。

リシテア艦内のミカコ

 そこへミワさんが呼びに来ました。作業を手伝ってもらいたいようです。暗い中でごそごそ作業しています。灯りを持つミカコ。「……これから……どうなるんでしょう……」と問うミカコに「救助部隊が到着するまでこの船がもってくれることを期待しましょう」と答えるミワさん。あなたや私のしてきたことがデータとなって形になっていくだけで今は充分だそうです。

 そして送られてきた救助部隊のリストの中にヒサちゃんの名前があったと打ち明けるミワさん。びっくりして見に行くミカコ。名前が書いてあるだけなのですが、確認せずにはいられません。

ヒサちゃんの名前を確認
 
 別室でリストを確認するミカコ。本当にヒサちゃんの名前がありました。他のクルーに無駄なエネルギー消費は避けるように注意され、リストを懸想とした時、ミカコの目に飛び込んできたのは……「NOBORU TERAO」の文字!

ノボルの名前が!

 座り込んで両手で顔を覆って泣くミカコ。

 “ねえノボルくん 私にはね……”
 “ねえ長峰 オレにはね……”

 “懐かしいものがたくさんあるんだ 夏の雲とか 冷たい雨とか 秋の風の匂いとか 傘に当たる雨の音とか 春の土の軟らかさとか 放課後のひんやりした空気とか 黒板消しの匂いとか 夕立のアスファルトの匂いとか 夜中のコンビニの安心する感じとか”

ラジオドラマ版ほしのこえ

 “そういうものを私はずっと……”
 “そういうものを僕はずっと……”

 “一緒に感じていたいって思っていたよ……”

 “私たちは ここにいるよ……いつかきっと出会えるから……”

 地球とアガルタ。8光年以上離れた二人の心が重なった瞬間。

ラストシーン

 じゃあハッピーエンドなのか?という問いに、曖昧に首を振って微笑むしかないのが「秒速5センチメートル」ファンなんですけど……

 これまでお付き合い下さいましてありがとうございました。来週からは別の企画を開始する予定です。乞うご期待。

小説版ほしのこえ

今井美樹の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その1):悲しみに充ち満ちた理紗の心…

闇夜をさすらう鳥たち
 
 春だなあって感じの良い天気でしたね。しかし奥様、もはや紫外線は相当強いとか。UVケアは忘れずに。どこの奥様がこんなブログを覗いているというのだ。見てたらいいなあという願望を込めて。もっとも、関東地方は明日はまた雨になるらしいですね。

flow into space

 さて本日の記事行ってみましょう。昨日はついうっかり午前零時を回ってしまって、見かけ上一日2回の更新になってしまっていますが、今日もしつこく妄想「秒速5センチメートル」劇場を続けるとしましょう。2回に分けて、貴樹と水野さん(以後、理紗と呼びます)の別れた直後の両者の気持ちを歌った詞を取り上げます。

IvoryⅡ

 まずは理紗サイドから。楽曲は今井美樹の「The Days I Spent With You」です。この曲は、1992年12月にリリースされた今井美樹の7枚目のアルバム「flow into space」に収録されているほか、1993年11月にリリースされたベスト盤の「IvoryⅡ」にも収録されています。また2004年6月に発売されたベスト盤「IvoryⅢ」にも「The Days I Spent With You 2004 New Arrange」としてアレンジを変えて収録されています。

IvoryⅢ

 作曲は現夫の布袋寅泰で、布袋寅泰が今井美樹の楽曲に係った最初の曲だそうです。後に布袋もギタリストとして参加したコンサートツアーにて、今井自身より「私達は、この曲から始まりました。」と紹介されたということです。オリコンチャート1位になっています。この頃は勢いあったなあ、今井美樹。

 さよならだけが 二人の答えと
 あなたがこの愛に 終わりを告げたあの夜
 悲しみを 歌うように 雨が降ってた


 うーん、まるで「秒速」第三話を見たかのようではないですか。1000回メールしても心は1センチ位しか近づけず、ついには電話にもメールにも出なくなった貴樹…。

壁を見つめる…

 世界は動き 時は流れていく
 私はひとりきり 壁をただ見つめてる
 苦しみを癒やすものなんて 何もない


 季節に取り残されて、悲しみの淵に浸りきっている理紗。この痛み、悲しみ、苦しみを弱めてくれるのは、ただ時の経過だけのはずなのに、一向に解放されないままです。白い壁を見つめる理紗の瞳はきっとこんな…

レイプ目
 
 春の息吹も 夏の陽射しも 
 秋の木立も 冬の星座も
 あなたのそばで生きていたから 気づいた


 繰り返し思い返されるのは、貴樹との楽しかった日々。貴樹と一緒にいて、理紗の人生は光に溢れるもとのはったのでした。しかし、あんなにも光輝いていた時は、もう二度と戻ってはきません。

 二人はいつも 何かを探して
 夢を話し合った そして励まし合った
 いくつかの暗い夜も 愛を信じて

 
 二人の相性は良かったはずです。探していたのは二人の未来。理紗はそうだと確信していたのですが……残念ながら、貴樹の探していたものは、別のものだったのです。

 静かな瞳 着古したシャツ
 ソファーのきしみ 好きだった歌
 あなたのそばで暮らした日々は 帰らない


見捨てられてうちひしがれているようにも見えますね

 決して戻ってはこないわかっているのに、いや、わかっているからこそ、理紗は貴樹の面影を忘れることができません。あんなにも愛しくて、あんなにも近くにいたのに、あんなにも手が届かなかった人……

 あなたを愛し あなたに抱かれ
 あなたと笑い あなたの泣いて
 夜明けを歩き 明日へ願い 夢を見た

 
 理紗の中に明里を見いだそうとしてたい貴樹。しかし、理紗は似ていた部分はあったにせよ、決して明里にはなりえませんでした。近づけば近づくほど、明里ではない。明里にはならないというジレンマに苛まれた貴樹。そしてありのままの自分を愛してはくれない貴樹が一体自分に何を求めているのか理解できなかった理紗。いや、理解したとしても上手くいくはずはありません。同床異夢、それが二人の悲しい現実でした。  

 それでは聞いてみて下さい。

 2007年のライブ版。HDです。

2007年ライブ版

 http://www.youtube.com/watch?v=6Q1ZHm7G4g8

 こちらは1997年のライブ版です。若い。なぜか中国語の歌詞付き。

1997年ライブ版

 http://www.youtube.com/watch?v=8dENGyWIcZg

 良い歌ですね、これ。恋を失った悲しみと絶望が響いてきます。次回は貴樹サイドから。

貴樹も哀しい


春期アニメ序盤の評価(その2):「ニャル子さんW」「フォトカノ」「俺ガイル」

アイキャッチ
 
 雨模様でしたね。たまに降る雨はいいですね。大気に潤いがでて。ほこりも抑えられるし。ただし何事も「過ぎたるは尚及ばざるがごとし」ですが。

 さて、一日空いてしまいましたが現在視聴している春期アニメの序盤の評価の第二弾を行ってみましょう。なぜに一日空いたのか?間隙があるのは当ブログの仕様なのです。「ファイブスター物語のMH語り」なんて10月に(その1)をやって以来、半年経った今なお(その2)が出てこないという(笑)。いや~ゴティックメードなんて出されちゃうと意欲がなくなりますよね……3月までやらなかった理由にならないですけど。

 ④ 「這いよれ!ニャル子さんW」

這いよれ!ニャル子さんW

 待望の第二期です。三話まで見ました。パロディ満載で全てを把握するのはほぼ不可能という本作ですが、第1話「進撃の邪神」、第2話「セラエノ図書館戦争」、第3話「超邪神黙示録」とタイトルまでパロディです。

第一話タイトル

 「進撃の邪神」はすぐわかりますが、同時期に放映している「進撃の巨人」のパロディ。いきなり大胆ですな。そうえいば、今季、野球で巨人が強いのもこのアニメのお陰なのかもしれませんね。

第二話タイトル

 「セラエノ図書館戦争」はこれも有名な「図書館戦争」のパロディ。セラエノはクトゥルー神話に登場するプレアデス星団の恒星で、その第四惑星にある図書館(黒く分厚いブロックで造られている)が有名です。ちなみに、この図書館には旧支配者達の秘密の知識が記された石板の欠片があり、それを翻訳したものがクトゥルー神話に登場する架空の文献「セラエノ断章」です。

第三話タイトル

 「超邪神黙示録」、これは正直全然わかりませんでしたが、ネット界の賢者によると10年以上前のアニメ「勇者ガオガイガーFINAL」のサブタイトル「超勇者黙示録」が元ネタのようです。

ニャル子さんシャワーシーン

 ガンダムとか古い作品のパロディはわかるのですが、比較的新し目の作品は追随できませんね。なるべ知りたいと言う方のためには、「這いよれ!ニャル子さん 元ネタwiki」というサイトがあります(http://www15.atwiki.jp/nyaruko/)。これを見るとどんだけパロディをぶち込んでいるんだと驚くばかりです。

突如現れて一緒に歌っている暮井珠緒

 第三話は第二話と前後編でしたが、なにかというと最終回ネタをぶちかましていましたね。その他、特撮番組からのパロディが多かったらしく、あんまりついて行けませんでしたよ。古い特撮ならまかしとけ!なんですけどね。あ、でもアラオザル(これもクトゥルー神話の地名で、ミャンマー奥地の山岳地帯にある湖の島にある古代都市。ロイガーとツァールが幽閉されているとされています。だからロイがー星人とツァール星人が登場していたわけです)に由来する新邪神「アラオ猿」は明らかにドラゴンボールのサイヤ人が変身する大猿でしたね。あと書いたことが事実になるノートはウイングマンのドリームノートでは。

ロイがーとツァール

 ちなみに「双子の卑猥なるもの」と呼ばれるロイガーとツァールは「風」の神の一員とされているので、本来なら「風」の首領であるハスターに牙を剥くなどありえないことですね。

右上の「くー音」は新キャラみたいです

 ハイテンションアニメで、基本的に「大事件か?」と思いきや思いっきりしょうもない原因とか結果ということがお約束(今回真尋も突っ込んでいました)なアニメですが、今期は比較的バトル多めに行くのでしょうか?ものすごく面白い時とそうでもない時の落差が大きいですが、第一期8話頃の面白さを継続してくれればうれしいです。

 
 新OP「恋は渾沌の隷也」はまたハイテンションですね。「SAN値ピンチ」を連呼しています。例によって「後ろから這いより隊G」名義でニャル子(阿澄佳奈)、クー子(松来未祐)、暮井珠緒(大坪由佳)が歌っています。フルバージョンです。なにげにHDですが画像は動かず。

恋は渾沌の隷也

 http://www.youtube.com/watch?v=o0XiO_EwJ1E

 EDは変わるみたいですね。1話と2話では「よってS.O.S」、3話では「Wonderナンダ?片思い」です。

 「よってS.O.S」は歌は「RAMMに這いよるニャル子さん」ということでニャル子(阿澄佳奈)ですね。ワンフレーズのみですが。

よってSOS

 http://www.youtube.com/watch?v=yLKcFtDV-Bc

 「Wonderナンダ?片思い」は「RAMMに這いよる邪神さん」ということで、ニャル子(阿澄佳奈)、クー子(松来未祐)、ハス太(釘宮理恵)のようです。ニコニコ動画ですが。

Wonderナンダ?片思い
 http://www.nicovideo.jp/watch/sm20670849

 ⑤ フォトカノ

主人公の見た夢

 エンターブレインのギャルゲーが原作のアニメです。ゲームの方は、「キミキス」、「アマガミ」といった同社一連の既存作品から、基本システムや画面構成を踏襲しているようです。3話まで見ました。1話「出会い」、2話「学園天国」、3話「百花繚乱」と、これまでのところタイトルには特にこだわりはないようですが。

ヒロインズ
 
 あらすじは、「主人公前田一也は、光河学園に通う高校2年生。 特に心が沸き立つこともなく、平凡に夏休みが終わろうとしている。 そんな、夏休み最後の夜。主人公は父親からデジタル一眼レフカメラを譲り受けた。 これまで、デジカメには特に興味がなかった主人公だが、 いざ手にしてみると、そのずっしりとした手応えと、機能美に魅了された。 元々、所謂デジモノが好きなのだ。 (とりあえず、明日、学校へ持って行って、何か撮ってみるか) 代わり映えのしない毎日に、変化が生まれた瞬間だった。」ということで、デジカメで学園生活が一変し、なぜか女の子にモテまくるようになる(要努力)わけです。

ちょろいののか

 なんとヒロインが7人もいて、さらに妹とか美人の先生とか可愛い教育実習生まで出てくるので目が回ります。最初は名前どころかキャラも掴めなかったりして。3話まできてだいたわかってきましたが。

新見遥佳ドール

 名作「アマガミ」は第一期26話もあったので、オムニバス形式でヒロイン6人×4話+隠れキャラ(上崎裡沙)+妹(美也)のエピソードを丁寧に描いていましたが、「フォトカノ」は12話しかないらしいので、おそらくヒロインは一人に絞ることでしょう。

新見遥佳
 
 で、それは誰かというと、おそらくは「誰もが憧れるテニス部の幼なじみ」のキャッチフレーズを持つ新見遙佳(CV伊藤かな恵)になるのでしょう。しかしこの人、明らかに主人公に最初から好意的だし、いきなり水着で「写真撮って」なんて言ってくるし、ちょろい感じに充ち満ちています。それもそのはず、元々主人公と幼なじみだったのに、主人公の方が、綺麗になってしまったために釣り合いが取れないと距離を取っていたということです。

自ら撮影志願の遥佳

 まあ藤崎詩織なら距離ができるのも仕方ありませんが、遙佳は気さくなんだから腰が引けなくてもいいのにと思いますが。

撮影を強要される亜岐

 「理想の学園を追い求める、完璧な生徒会長」室戸亜岐(CV中原麻衣)は3年生なので先輩です。2学期にもなれば3年生は部活や生徒会からも引退するのが常ですが…。校則違反取り締まりに燃えているくせに、自ら高速を破ったところを主人公に目撃され、写真まで撮られるという始末。エロゲーならえらいことになるところですが、ギャルゲーなので水着写真を撮られるだけで許されています。しかしこれもかなり脅迫じみていましたが。

可愛い舞衣ちゃん
 
 「新体操に打ち込む、純真な下級生」早倉舞衣(CV金元寿子)は妹の果音の友だちで1年後輩。大人しくて引っ込み思案らしいですが、妹つながりで主人公にはなついてくれます。ちっちゃくて可愛いので私のお気に入りです。声は思いっきり琴浦さんですが(笑)。彼女も新体操の練習を撮影するのを認めてくれるなど非常に好意的です。誰も彼もちょろいなあ。

しっかり撮影されている氷里

 「ポートレートが苦手なフォト部の後輩」実原氷里(ひかり)(CV水橋かおり)は主人公の属する写真部のライバルであるフォト部の後輩です。今のところ深い接触はありませんが、そのうち撮影される側に回ることは確実でしょう。声はミズハズながら、マミさんのような雰囲気はみじんもありません。さすがベテラン声優。

ののかとキス

 「天然活発ソフトボール娘」間咲ののか(CV斉藤千和)は、中学時代からの主人公と悪友的な関係の女の子です。アクシデントでいきなりキスしていましたが、全然平気なあたり、この人も主人公に最初から好意的らしいです。モテ過ぎだぞ主人公。それにしても声優が豪華でびっくりですね。そして流石は斉藤千和、ほむらともひたぎともメイド長ともつるぎとも違うキャラとしてきちんと演じ分けています。

どうみても痴漢です。通報しましょう

 「世話好きで料理好きな、学園の嫁」柚ノ木梨奈(CV大亀あすか)は3話で突如接触が増えた料理研究会の女の子です。やたらに胸が大きくて、優しくてちょっとドジっ娘で料理好きという、まさに「嫁」。大亀あすかといえば「ときめきメモリアル4」のメインヒロイン星川真希の印象が強いのですが、大分キャラが違いますね。アクシデントとはいえ、水着の胸を揉まれたりしているのに全然怒らないなんて、ぜひ私の周囲にも一人くらい居て欲しいものです。

深角友恵

 「影の薄い孤独な同級生」深角友恵(みすみ ともえ)(CV沢城みゆき)はいつも一人でいる目立たない女の子です。新見遙佳の机に座っていたりと百合の気配を見せていましたが、どうやらそうでもないみたいです。沢城みゆきを充てているからには、今後活躍すること間違いなしでしょう。

 ⑥ 「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」

タイトル

 早見沙織主演故に見始めたアニメ第四弾。早見沙織がラジオで原作者の渡航(わたりわたる)と対談しているのを聞いて見始めました。これも三話まで見ました。1話「こうして彼らのまちがった青春が始まる。」、2話「きっと、誰しも等し並みに悩みを抱えている。」、3話「たまにラブコメの神様はいいことをする。」で。最後は「。」で終わるのがお約束のようです。

八幡の「絶対許さないリスト」

 ストーリーは「千葉市立総武高等学校に通う高校2年生の比企谷八幡は幼少時から友達ができず、その結果友達を作ることをあきらめて「ぼっち」を極めようとしていたが、生活指導担当の教師、平塚静に目をつけられ、学校一の美少女、雪ノ下雪乃が所属する「奉仕部」に入部させられた。奉仕部は生徒の問題を解決する手助けをする部であり、表立ってはその活動が明らかにされておらず、静による紹介によって生徒が送り込まれて来る。奉仕部に入部した八幡は、彼とは正反対のカーストに属する由比ヶ浜結衣、中二病全開の材木座義輝、テニス部員で可愛い女子にしか見えない戸塚彩加たちと行動を共にするようになる。」というものです。

八幡を見下す雪乃

 奉仕部は主人公の比企谷八幡・雪ノ下雪乃・由比ヶ浜結衣の3人で構成され、毎回誰かが持ち込む悩み事を解決するというパターンのようです。千葉県の学校なのに、なぜか登場人物は神奈川県の地名に由来する名字なのですが、これは千葉の神奈川コンプレックスを示しているのでしょうか。千葉の方、お許し下さい。私も千葉出身なのでつい。

比企谷八幡
 
 比企谷八幡(ひきがや はちまん)(CV江口拓也)は、目つきは悪くて「ぼっち」ですが、他の登場人物が「目が腐っている」「根性が腐っている」などと言うほどのことはないですが。むしろいいやつな感じが(それがなければ主人公やれませんが)。

テニスをする八幡

  幼少時からずっと友達ができず、これまでの経験から他人からの好意を信じられず、特に女子に対しては強い警戒心を抱いているようですが、なんかわかるなあ。「キミは、ボクに似ているね」とか言いたくなるような。

中二病だった頃の八幡

 高校入学の当日、登校途中にたまたま通りすがりの女の子(これが由比ヶ浜結衣らしい)が散歩させていた犬が大型のリムジン(これに乗っていたのが雪ノ下雪乃らしい)に轢かれそうになったのを身を挺して助けたことで、3週間入院するはめになり、そのために高校で「ぼっち」デビューすることとなったそうですが、それがなくても結果は変わらなかっただろうと本人は考えているようです。

雪ノ下雪乃

 雪ノ下雪乃(CV早見沙織)は本作のヒロインです。学力テストでは常に学年1位で、運動神経も並外れて良く、楽器も歌もでき、家事もできるという完璧超人です(ただ持久力はあまりないらしいです)。流れるような黒髪に大人びた端正な顔立ちの細身の美少女でもあるのですが、やはり「ぼっち」(笑)。

天使のようなゆきのん

 美貌と完璧さのために、小学生の頃から多くの男子に好意を寄せられ、反面女子から嫉妬の対象とされて壮絶ないじめを受け続けていたそうです。そういった経験から、人の嫉妬などの醜い部分を含めて世界を変えるため、奉仕部で活動を行なっているということですが、八幡には罵倒の限りを尽くします。新垣あやせの激しい罵倒に較べると、静かな口調で罵倒するので、早見沙織ならではの美声を落ち着いて聞けていい(?)という気もしたりして。

百合展開?

 普段はクールですが、勝負ごとでは極度の負けず嫌いの一面を見せます。良くも悪くも正直であり、建前や嘘、ごまかしは口にしません。部活動時は本を読んでいることが多い。実家はかなり裕福で、現在は高級マンションで1人暮らしをしているようです。お前は沙織バジーナか。結衣からは「ゆきのん」と呼ばれています。

由比ヶ浜結衣

 由比ヶ浜結衣(CV東山奈央)は八幡のクラスメイトです。いかにも今風なギャルという外見で、八幡は当初「ビッチ」と読んでいました。クラスではいわゆるリア充グループに所属していますが、彼女自身はいわゆる「キョロ充」に近く、友人関係が壊れないよう迎合しているところがあります。

クッキーを作る雪乃と結衣

 自分と正反対の生き方をしている雪乃の姿に感銘を受け、自から奉仕部に出入りするようになり、部員となって雪乃とも友達になります。 学校の成績は悪く、料理も壊滅的(クッキーを作ろうとしても「ジョイフル本田で売ってる木炭みたいなもの」になってしまいます)。

困る二人

 派手な外見とギャル風な言葉遣いに反して性格はきつくはなく、むしろ空気を読んで周囲に合わせるタイプです。また自分が悪いことをしたと気づけばちゃんと謝ることができる素直さも持っています。さらに見かけに反して男女交際の経験は豊富ではない(「まだ処…」と言いかける場面があります)ようです。あいさつは「やっはろー!」

キャラ一覧(今後登場する人も含む)

 この作品、高校内に階層というかカーストみたいなものがありますが、アメリカの高校のヒエラルキーをモデルにしているようです。というか、日本でも似たような構造があるんでしょうかね?私の高校生時代はそれほどはっきりしたものではなかったようですが。

Wikipediaより、アメリカの学校のヒエラルキー
 
 これでいくと、八幡はナード、雪乃はクイーンビーの資質はあるものの孤立しているので不思議少女、結衣はサイドキックスないしワナビーあたりという感じでしょうか。わたしもきっとナードだったと思います。

いわゆるジョックとクイーンビー

 八幡にはなんとなく共感を覚えてしまうので、雪乃に罵倒されながら、段々と距離を縮めて親しくなって欲しいものです。あ、結衣も悪くはないですけどね。でも結衣は結構ちょろいかも知れないんで、あくまで雪乃攻略を主目標に。

だんだん距離は近くなる

美しき凶器:究極のドーピングの果てに生まれた悲劇

美しき凶器
 
 段々と暖かくなってきましたが、明日から雨模様。今度は梅雨が近づいてきたような気がします。尖閣諸島の領海にやたらと中国船が侵入しましたが、そんな暇があったら大地震後の四川地方をなんとかいしろよと思うのは私だけでしょうか。

 話はがらりと変わりますが、本日は東野圭吾の「美しき凶器」です。今回は内容紹介の画像があったので貼り付けてみます。

内容紹介

 東野圭吾はスポーツを題材にした作品を多数書いています。デビュー作の「放課後」からして高校のアーチェリー部の話でしたし、このブログでも野球を題材としたミステリー「魔球」とかスキージャンプを題材としたミステリー「鳥人計画」を取り上げてきました。

 今回の「美しき凶器」は、競技というよりは、アスリート達への誘惑と、それに乗ってしまった人々のその後の運命を描いている作品です。

 「禁じ手」に手を出したことで栄光を手にした5人のアスリート。しかし1人が自殺したことにより、秘密の発覚を恐れた4人は、彼らの「過去」を消去しようとして、結果的に彼らの過去を知る人物を殺害してしまいます。しかし、その人物には「最終兵器」があったのです。その「最終兵器彼女」は、4人への復讐のために行動を開始します。

 本作で難しいのは、主人公は誰なのかということかも知れません。女なのか、追われる4人組の一人の日浦なのか、それとも山梨県警の紫藤刑事なのか。それぞれの視点で物語が進行するので、誰を主人公としていいのか悩みます。

 4人組が殺害したのは、言ってみればマッドサイエンティストなのですが、その最後の作品は、女性ながら190センチくらいの大女で、しかしあらゆる競技で驚異的な記録を生み出せるだけの資質を持った「生体ターミネーター」のような人物です。ですが、外国人なので日本語がよくわからず(漢字の読みは絶望的)、4人組の住所を入手してもそれがどこなのかよく分かりません。その苦労は、ちょうど我々がニューヨーク近辺で放り出されて、アメリカ人4人を追跡しろと言われるが如きです。

タイトルは一緒だけど違った

 彼女の超人的能力は、やり投げのやりで自動車を貫通したり、自転車やローラースケートを駆使して追跡行を続けたりと凄まじいものがあり、警察は常に後手に回り、4人組(これも警察は把握していないのですが)も次々と殺されていきます。しかし、土地勘もなく日本語も不自由な彼女が殺害を成功させている裏にはおそるべきトリックもあったりします。

 タランチュラと4人組から呼ばれる彼女ですが、例え復讐が終わったとしても逃走に成功する見込みはありません。事件とは直接関係のない警官や警備員を殺害したり重態に陥らせたりしているので、感情移入もちょっとしずらいですし。途中登場する暴走族についてはあれでいいかな、なんて思ってしまいますが(笑)。

 とにかく大柄で目立つのに、自動車や交通機関を使用しないので検問や非常線をかいくぐって、後から目撃情報を得るという展開で、警察の面目は丸つぶれです。また、4人組についても彼女が警察に確保されることは、彼らの犯罪が明るみになることでもあり、最大限避けたいところだというのが物語のキモとなっています。

 物語の中盤で、マッドサイエンティストの研究していた恐るべき肉体強化策が出てきますが、ラストで、まさしく彼女がその手法を持って強化されたのだということが明らかになります。その際の彼女の心情を思うと、非常に哀れではあるのですが…彼女の人となりが一切語られていないので、その点で彼女を主人公とするにしても感情移入をしにくいかなと思います。

カッパノベルズ版

 4人組の一人、日浦の方がいろいろと彼の周囲の状況が判明してくるので、感情移入しやすいのですが、しかしこいつはそもそも犯罪者だし、終盤で…おっといけない。紫藤刑事に頑張ってもらうのが一番いいのですが……山梨県警の彼が東京で大活躍では警視庁の面子が立ちませんし。

 という訳で、はっきりした主人公が確立しないままに終盤にもつれ込むのですが、一番恐るべきタランチュラは彼女ではなく…というところがゾクッとするところです。まさしく衝撃の真相と言う奴でした。

 1992年の作品ということでブレイク前の作品なのですが、サスペンスなのにミステリーの要素もあるというところはさすがだなあと思います。

 最後に惜しいと思う点。

① 「彼女」の人となりはもっと掘り下げておくべきでは。ラスト部分、流し読みした場合はちょっと判らないかも知れません。

② 彼女は4人組以外は殺さないで欲しかった。たしかに殺さないようにしている部分もあったけど、最初の警官は復讐対象ではないのにあっさり殺してしまいましたね。暴走族は正当防衛なのでノープロブレムですが。

 途中ご都合主義的な展開だな…と思われる部分があるのですが、終盤そればすべて計算されていたことが判明して、「黒幕」の狡猾さに驚くと共に、作者の伏線の張り方は凄いなあと改めて思います。やはり東野圭吾はすごいや。

新版
 

春期アニメ序盤の評価(その1):「俺妹」「レヴィアタン」「RDG」

ねぇ、なんだか
 
 今日は気温が戻ってきました。昨日は仙台とか山形とかでは雪だったらしく、4月下旬に雪なんて、流石に東北でも珍しいことなのではないでしょうか。咲いた桜に雪が積もっている映像が見られました。

まるで雪みたいじゃない?

 明里「ねぇ、なんだか、まるで雪みたいじゃない?」

雪だよ!

 貴樹「そうかな…って雪だよ!」

 まだ少し平年より低めみたいですが、週後半は暖かくなりそうです。個人的にはあんまり暖かくならなくてもいいんですが。

 さて、無謀にも7本ものアニメの視聴に手を出してしまったこの春。本日は各作品の序盤の状況について感想を綴ってみたいと思います。「ちはやふる²」はもはや連載だし、冬からの継続なので置いておきますが、残り作品を2回に分けてご紹介ということで。

 ① 俺の妹がこんなに可愛いわけがない。

俺妹2期2人バージョン

 3話まで見ました。1話「俺の妹が再び帰ってくるわけがない」、2話「信じて送り出したお兄さんが携帯美少女ゲームにドハマリしてセクハラしてくるようになるわけがない」、そして3話「俺の友達が眼鏡を外すわけがない」。この作品は「~なわけがない」というタイトルばかりですが、必ずそうなるというのがお約束です。すなわち「俺の妹はこんなに可愛い」が本当のタイトルなんでは。

あやせのヤンデレフィギュア

 でもまあ、個人的には正直桐乃はどうでもいいです(笑)。2話は既に神回として紹介済みですが、あやせはいいです。実にいいです(大事なことなので2回言いました)。ヤンデレっぷりも素敵なラブリーマイエンジェル。

眼鏡の沙織

 3話は沙織・バジーナの回でした。典型的オタクスタイルで登場していた沙織ですが、1期で既に正体は大金持ちの令嬢でしかも上品な美少女であることが判明していましたが、今回いきなり京介達にばれることになりました。

素顔の沙織・バジーナ

 京介は「お前誰だよ?」なんて驚いていましたが、ストーリーの本質は沙織がいかにしてオタク達をまとめてコミュニティを作るに至ったかという過去話でした。良くも悪くもお姉ちゃん(香織)の影響だったんですね。反発しつつも憧れていたお姉ちゃんに、近づきたくて近づいた実感がなくて。

香織とその仲間達

 でもまあ愉快な仲間達が集まって、それはそれでよかったじゃないか。しかし、沙織って18歳くらいなのかと思ってたら、まだ15、6歳なんですね。そのくらいの年で昔話ってもの…。

沙織と愉快な仲間達

 それはそうと、来栖加奈子の姉来栖彼方が「沙織・バジーナ」のキャラクター設定に大きな影響を与えていたんですね。ぐるぐる眼鏡も彼女のものだったし。しかも黒猫が大好きなアニメ「MASCHERA 〜堕天した獣の慟哭〜」の原作者だったなんて。それに加えてCVはくぎゅだし。姉は漫画家・妹はコスプレアイドルと、意外に才能溢れる姉妹ですが、絶対おつきあいするならお姉さんのほうと。

加奈子の姉・彼方

 京介、あやせもいいけど、付き合うなら絶対沙織がいいって。逆玉だし、スリーサイズはB88/W60/H89とナイスバディだし。身長が京介より5センチ大きい180センチというのがちょっと辛いけど、シークレットシューズでなんとか。

美少女だった沙織・バジーナ

 ちなみに「俺妹」2期、4話はアメリカの桐乃のライバル登場らしいので、この分でいくとサブキャラのストーリーが次々語られていくことになるんでしょうか。そうだろすると、黒猫や地味子(麻奈美)の回もきっとあるに違いないですね。麻奈美は大学生になると大きくイメチェンするらしいので、そういうのも見せてくれると嬉しいですね。

俺妹2期3人バージョン

 ② 絶対防衛レヴィアタン

絶対防衛レヴィアタン

 早見沙織偏愛故に見始めてしまった作品。全部「俺妹」第2話がいけないんだ。がんばって3話まで見ました。1話「絶対仲間にするもん!」、2話「絶対ハマっちゃうもん!」、3話「絶対奥までイッちゃうもん!」で、これはこれで「絶対…もん!」で統一していく勢いです。

3人のプロフ

 異世界・水と緑の惑星アクアフォール。平和な星に突如降り注いだ隕石は、邪悪なモノを放ち、大きな危機が迫っているらしいのですが……。妖精シロップが見いだした竜族の3人の少女がアクアフォール防衛隊を結成していくお話だそうですが、3話時点ではまだ結成には至っていませんね。

アニメのレヴィアタン

 主役は水使いのレヴィアタン。なぜかフランス語読みですね。英語読みすればリバイアサンです。そう、旧約聖書に登場する海の怪物ですね。多分「レヴェイアたん」という萌えネーム風にしたかったんじゃないかと。ファイナルファンタジーなどの影響で大海ヘビというイメージになってしまいましたが、竜とはちと違います。

レヴィアタン

アニメのバハムート

 火使いはバハムート。こちらもファイナルファンタジーなどの影響で竜の王様というイメージが強いですが、元はやはり旧約斉唱に登場するベヒモスです。アラビア語読みでバハムートになるそうです。リヴイアサンが海の怪物なのに対し、ベヒモスは陸の怪物です。こちらも本来は竜ではないですね。というか、キタエリが泣いちゃいそうなイメージ。

ベヒモス

アニメのヨルムンガンド

 怪力のヨルムンガンド。こちらは北欧神話由来の大蛇ですね。北欧神話のトリックスター・ロキの子で、神々の黄昏・ラグナロクにおいては、雷神トールと戦って相打ちになるという大物ですが、やっぱり竜じゃない。

ヨルムンガンド

 まあ幻獣の名前を冠しているだけだということで、別に目くじらたてることではありませんが。他のキャラもツチノコとかムシュフシュとかスフィンクスとかいう名前だし。

主演トリオ

 しかしキャストは人気声優をずらりと揃えていますね。早見沙織、喜多村英梨、竹達彩奈、花澤香菜……なんとキタエリ以外は「俺妹」主役キャラとモロかぶりだ!このメンバーなら面白くやって貰わないと困りますなあ。とりあえず、3話でレヴィアタンにというか、早見沙織に「すごく…大きいです…」ととんでもないセリフを言わせてくれたので、しばらくは見続けることにします。

元ネタ

 あと、主役3人組を見ていたら、古いアニメ「魔法騎士レイアース」を思い出しました。変身シークエンスもあるし。レヴィアタン場合、メインが光から海に変わったという感じでしょうか。レヴィアタン=海、バハムート=光はほぼ合ってますが、ヨルムンガンド=風はどうでしょうか。緑成分はあるのですが…。

魔法騎士レイアース

 ③ RDGレッドデータガール

泉水子さん

 これも早見沙織主演ということで急遽見始めた作品。ニコニコ動画が先行放送をしているせいで、すでに6話までやってますが、私は3話まで見ました。1話「はじめての転校生」、2話「はじめての手のひら」、3話「はじめてのお使い」ということで、こちらもタイトルは全て「はじめての~」で統一する勢いです。熊野古道の古い神社で暮らしていたヒロイン鈴原泉水子が、3話終盤で高校生になって東京の鳳城学園に進学することになったので、イントロが終わってこれからが物語の佳境ということになるのでしょう。

熊野古道編
 
 1話の泉水子は正直ウザかったです。極度の人見知りで引っ込み思案で。相方の相楽深行(みゆき)ならずとも好きになれなくて当然というところです。早見沙織も、ラジオで過去のネガティブな記憶を総動員して演じたという旨語っていましたから、演じていてもかなりストレスが溜まったことでしょう。

中学生泉水子

 でも泉水子の声、とっても穏やかで優しくて、新垣あやせやレヴィアタン以上に早見沙織の本質の声に近いような感じがしました。2話での怯えっぷりは実に達者で、これは冴えない女の子(失礼)といえども守ってやらねばと言う気持ちにさせるに十分でした。さらに3話後半では、山の神霊相手に突如深行もびっくりの意志力を見せてくれたので、今後の変身ぶりに期待大です。

高校編

 こちらにもくぎゅ登場。しかし、和宮さとるという男子というか人外(神霊)でした。「ニャル子さん」のハス太といい、釘宮理恵に少年&人外役をやらせるのが流行なのでしょうか?

高校生泉水子

 第1話は正直「おいおい」という感じもありましたが、段々面白くなってきました。原作は「西の善き魔女」などで知られ、数々の児童文学賞を受賞している荻原規子のファンタジー小説ということなので、安心して見ていられるようです。頼みますよ先輩。

巫女と山伏

 ところでアニメのED、「予感」というタイトルで伊藤真澄が歌っています。独特の歌い回しでなんか聞いたことのある歌声だと思ったら、「人類は衰退しました」のED「ユメのなかノわたしのユメ」を歌った人ですね。なかなかいいなあと思っていたのですが、第3話のEDは泉水子バージョンということで早見沙織が歌っていました。

予感(泉水子バージョン)

http://www.youtube.com/watch?v=k1h_MQbdUvg

 これは素晴らしい!早見沙織の歌唱はかねて評価が高く、ニコニコ動画でも「キャラソンに定評のある早見沙織」というタグが貼られているのは承知していましたが、本当に泉水子になりきったような優しい歌声で、心が清められるというか癒やされるというか。これは神霊も動くというものですよ。ぜひフルバージョンも聞きたいです。

姫神降臨

好きな声優さん第三期(その2):瀬戸麻沙美~綾瀬千早でブレイクした若手エース候補

瀬戸麻沙美 

 寒くなるとは確かに聞いていたけど、今日の寒さは一体何なんでしょうか。10度に満たないなんて二ヶ月以上季節が戻ってしまったようです。

「ちはやふる」のポスター前で

 

 そんな極寒の日も日曜日には変わらないので、本日も好きな声優さん第三期を。今日はここのところ偏愛しているアニメ「ちはやふる」のヒロイン綾瀬千早を演じる瀬戸麻沙美です。

ジャージの瀬戸麻沙美 

 瀬戸麻沙美は1993年4月生まれのハタチなりたての新進若手声優です。中学生2年生の時、偶然視聴したアニメ(D.Gray-man)の主人公、アレン・ウォーカーに魅せられ、キャラクターだけでなく演者の声優にも興味が湧き、声優を志したそうです。

アレン・ウォーカー
小林沙苗

 

 ちなみにアレン・ウォーカーを演じていたのは小林沙苗で、夏目友人帖シリーズの夏目レイコやエルフェンリートの「にゅう」(怖い…)なんかを演じている人ですね。

夏目レイコ
にゅう

 

 中学生時代はバレーボール部、高校では新体操部に所属していたそうです。身長は167センチとかなりの長身ですし、体育会系だったんですね。2012年からは大学に進学し、歴史関係を学んでいるそうです。特技はピアノ、歌、新体操、絵と多彩ですね。

高槻よしの 

 高校在学中の2009年に声優事務所のオーディションを受験し、2010年から声優活動を開始し、初めて受けたオーディションでテレビアニメ「放浪息子」(2011年)の準主人公で“男の子になりたい女の子”高槻よしの"役に抜擢されました。これは瀬戸麻沙美にとって初仕事の収録だったにも関わらず、監督によれば、演技などに関して事前の指示はほとんど必要としなかったそうです。

千早のコスプレをする瀬戸麻沙美 

 2011年、日本テレビ系テレビアニメ「ちはやふる」で主役の綾瀬千早役とエンディング主題歌の歌唱を担当しました。番組関係者によると、千早は美しい容姿を持ちながら、自分ではそれを意識していないという個性的な性格のキャラクターのため、キャスティングは大いに難航していたのだそうです。その際、同局系アニメ「ハンター×ハンター」のクラピカ役のオーディションに、部活帰りの制服姿で来ていた瀬戸さんの演技に注目し、千早役のオーディションを受けさせたところ、満場一致で瀬戸麻沙美の起用が決まったそうです。

大江奏役の茅野愛衣と

 

 プロデューサーは「わざとらしさや、けれんみのない無垢な芝居が決め手になった。透明感のある素直な演技は、クラピカのオーディションの時も千早の声にしか聞こえなかったほど」と太鼓判を押したということで、瀬戸さんはエンディングテーマ「そしていま」も担当することになりました。

茅野愛衣・潘めぐみ・瀬戸麻沙美

 

 しかし、2011年って高校三年生で思いっきり受験生じゃないですか。「ちはやふる」以外に8本ものアニメに出演していますよ。よくもまあ…という感じがします。そりゃエスカレーターかも知れないし、推薦入学とかもありでしょうけど。

セーラー服姿の瀬戸麻沙美(右は大坪由佳)既に女子大生になってますが…

 

 特技が歌というだけあって上手ですね。ちょっと年上(2歳上)の早見沙織に近いものを感じます。とにかく聞いてみて下さい。
  「ちはやふる」のED「そしていま」です。

そしていま 

 http://www.youtube.com/watch?v=BPggErrEskk

 

「ちはやふる2」のED「茜空」です。

茜空

 

http://www.youtube.com/channel/UCqYw-CTd1dU2yGI71sEyqNw

  二曲を比較すると、「茜空」はさらに歌唱が上手くなっているように感じます。さすが成長期(声優として)。

お洒落した瀬戸麻沙美

 

 それでは瀬戸麻沙美の演じた役です。この人の場合、「古い順」というほどの経歴はありませんが。
  ゆきあつ幼少期(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない)

ゆきあつ(少年時代) 

 本名は松雪集(まつゆき あつむ)。高校生になってからは櫻井孝宏が演じています。幼い頃からめんまこと本間芽衣子に好意を抱いており、告白もしますがうやむやにされてしまいました(めんまはじんたんが好きだったので仕方ないですが)。それがめんまの死んだ日の出来事だったために、自分の行為がめんまの死に繋がってしまったのではないかという罪悪感に囚われていました。ちなみにめんまは茅野愛衣が演じており、大江奏と綾瀬千早は妙なところで出会っていたことになるわけですね(笑)。

  斉藤菜々子(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)

斉藤菜々子

 

 東京都立程久保高校の家庭科部の部長です。野球部のマネジメントを参考に、野球部員に家庭科部の手作り料理を食べさせてもらい、味・量・彩りや盛りつけなどのアンケートを提出してもらうことにして、部活動を活気づけることにしました。

中央、ミドリのエプロンの後ろ姿が斉藤菜々子

 

コトネ(Fate/Zero)

コトネ

 

 遠坂凛の小学校でのクラスメートで、親友です。男子からいじめられているのを凛に助けられたりしていました。シリアルキラーの雨生龍之介とキャスターが跋扈する中で行方不明となりますが、凛の奮闘によって救出されました。しかしこれはアニメ版での変更であり、原作では龍之介の手にかかって、悲惨な末路を辿ってしまうことに。アニメでは殺されなくて本当に良かった。

凛とコトネ

 

綾瀬千早(「ちはやふる」シリーズ)

瑞沢高校の制服(コスプレ衣装)

 

もうさんざんアニメの紹介をやっているし、これからも続けてる積もりなので今さらという感じもしますが。

原作の千早

 

 言わずと知れた本作の主人公にしてヒロインです。6月1日生まれで、血液型はB型。身長は167cmだそうで、これは瀬戸麻沙美と同じ高さですね。好きな教科は理科、社会、体育、音楽だそうですが、学校の成績は学年順位を下から数えたほうが早いほど悪く、一時期は下から5番目という香ばしい状況になっていました。机君の指導により少しは好転したようですが…。

小学生の千早

 

 小学6年生の時に綿谷新と出会い、競技かるたを知り、かるたで世界一になることを夢見るようになりました。その後に瑞沢高校へ進学して競技かるた部を創設し、キャプテンに就任します。ただし別に部長がいて(真島太一が務めています)、実権のない「象徴的存在」となっていますが。しかしかるたに向ける真摯な姿勢は、時に部員達の精神的支柱になっていることも事実です。

十二単衣千早 

 「かるたバカ」と言われるほどかるたへの情熱は人一倍強く、夢や目標は全てかるた中心となっています。 天性の聴力を持ち、「感じ」の良さを武器としていますが、その反面モメごとは徹底して不向きです。

原田先生に鍛えて貰う中学生の千早 

 自分の名前で始まる在原業平の「ちはやふる」の札が一番好きで、得意札としています。部活での練習・試合を問わず、対戦中は周りの声が耳に入らないほど勝負に集中するタイプで、終わると同時に白目を剥いて寝てしまったりします。

中学生編

 

 チョコレートが好物で、試合後によく食べています。高価なゴディバチョコをむさぼり食ったことも。容姿端麗ですが、動いたり話したりすると台無しになることが多く、およそ美人顔とかけ離れた壮絶な「顔芸」はもはや持ち技です。

千早電車 

 そのため、高校では「無駄美人」と評されており、美人にも関わらず高校入学まで告白されたこともなく、恋愛に関する話題への免疫はありません。ちょっと告ればとりあえず付き合ってみようと思う「ちょろさ」を持っていますが、太一がガードしているので実際は攻略は困難ですね。テディベアがモデルと思われるダディベアが大好きなところは女子高生らしいです。

一年生の千早と二年生の千早 

 ちなみに比較画像。あられもない姿でかるた部の部員勧誘ポスターを貼っていて女帝に叱られる千早の一年生時(上)と二年生時(下)。トレス疑惑が出るくらい同じ構図ですが、千早の表情がちょっと違っています。一年生の時は素直にしゅんとしている感じですが、二年生になるとちょっとふてぶてしい感じの表情に。「でも先生、部員を集めないと…」と言いたげでもありますね。

千早電車その2 

 なお、かるたの聖地・近江神宮を通る京阪石山坂本線(「近江神宮前駅」があります)で、600形617Fを、2012年7月24日より「ちはやふる」のラッピング電車が運行されています。京阪線は「中二病でも恋がしたい!」でも登場していましたが、ラッピング電車は走らなかったみたいです。作品の“格”の差でしょうかねえ(笑)。

千早電車その3

 

一発で決まったという綾瀬千早役は完全なハマリ役ですね。こんな良作に巡り逢うとは、運も相当いいのではないでしょうか。これからも様々な役を演じて演技の幅を広げていって欲しいですが、千早のまっすぐさはぜひ持ち続けて欲しいです。

可愛い瀬戸麻沙美

大悪司(その1):傑作地域制圧シミュレーション

大悪司
 
 さ、寒い…。今日は寒いです。どんよりと曇って寒々とした土曜日。子供の頃はこういう天気が好きだったなあ…。暖房を仕舞ってしまったことを後悔している人もいるのでは。明日も寒いらしいですよ。この極端な気温差が体調を悪くするんですよねえ。

悪司組

 さてギャルゲーの土曜日、久々にPCの18禁ゲームを紹介しましょう。大型SLG「大悪司」です。

悪司と殺っちゃん

 「大悪司」は2001年11月30日にアリスソフトから発売された18禁のシミュレーションゲームです。いわゆる「地域制圧型シミュレーション」というカテゴリーの作品で、アリスソフトはこのカテゴリーで傑作を連発しています。

悪司とメインヒロイン白民華

 「地域制圧型シミュレーション」は、「国盗りシミュレーション」または「地域征服型シミュレーション」などとも呼ばれますが、王朝や宗教的団体など複数の勢力が存在する世界の中で、プレイヤーが率いる勢力が他の勢力を打ち倒してその地域を平定する事が主な目的となっています。部下を増やしてその忠誠心の維持に努めたり、組織運営のための予算の捻出など、内政的な問題にも取り組む必要があります。そう言うと、コーエーの「三国志」とか「信長の野望」といった歴史シミュレーションゲームが連想されますが、まさしくその系統だといえるでしょう。

鬼畜王ランス

 アリスソフトの「地域制圧型シミュレーション」の嚆矢は、「鬼畜王ランス」でしょう。1996年に発売されたこのゲームは、アリスソフトの屋台骨ともいえる鬼畜戦戦士ランスの冒険活劇シリーズの一つですが、「もしもランスが王様になったら…」というif設定の基に作られた外伝的位置付けの作品でした。

施設建設中

 「大悪司」は「地域制圧型シミュレーション」の第二弾といえ、アリスソフトでは“鬼畜王ランスより、エロい。鬼畜王ランスより、いろいろ多い。(イベントなど)鬼畜王ランスが面白かった人は、面白いはずだ。”として、2001年の年末は「大悪司」だけでOKだと主張し、その出来に自信を見せていました

酷い拷問シーン

 「地域制圧型シミュレーション」には、敵味方合わせて多くのキャラクターが登場します(多くは戦闘要員)。敵方のキャラクターも捕獲するなどして味方に引き入れることが可能であるほか、多くのキャラクターは幾つかの個人イベントを持っています。またターン数制限があり、プレイヤーはゲーム進行のペースをある程度強制されてしまうので、ゲーム一周中には見ることができるイベント数に限りがあり、全てのイベントが見たければ繰り返しプレイする必要が生じてきます。それを作業とは感じずに楽しくできるところがアリスソフトの老獪なところだなあと思いますが、ヒロインも複数用意してあるので、やはり4~5周はついついしてしまいます。

乃木喜久子と悪司(このシーンは無理矢理じゃありません)

 また、アダルトゲームメーカーが製作するゲームなので、当然ながらHシーンが多分に含まれています。やるとわかるのですが、シミュレーションパートの出来があまりに良くて面白いので、Hシーンはなくていもいいなあと思ってしまうくらいなのですが、やっぱりないよりはあった方がいいのはもちろんであり、またHシーンがゲームシナリオとか組織運営、或いはゲームの攻略と何らかの関連付けがなされている場合が多く、上手に組み込んでいるなあと感心します。なくてもOKと思えるゲームシステムにあえてHシーンを大量にぶち込んだ上、面白さを増幅させているところは流石アリスソフトだと思います。

調教します
 
 Amazonの内容紹介は次の如くです。

 殺って、犯って、やりまくる18禁地域征服型シミュレーションゲーム。「わかめ組」の次期組長として英才教育を受けてきた主人公は、文武両道に秀でて、さらに女をこましていいなりにさせたり、暴力、恐喝、拷問・・・ありとあらゆる悪いことをするが、弱肉強食の世界でそういう行為が当たり前と育てられたので罪悪感は一切無い。そして、自分のシマを増やすべく、金と部下と女を使い戦後の荒れた土地を奪い合っていく。敵となるのは同業者のほか、進駐軍、怪しげな宗教団体や政治家たち。登場するキャラは、巫女、ロリ、人妻、幽霊、忍者、お嬢様、外人など100人以上。

駐留部隊

 ストーリーの前提として、絶対男性上位国家ニホンが、新興の絶対女性上位国家ウィミィと太平洋戦争を戦い、敗北したことが語られます。舞台は戦後復興中のオオサカで、従軍していた山本悪司が戦地から復員してきてところから始まります。

戦闘シーン

 悪司は実家である「わかめ組」に向かいますが、組はかつての部下の女性陣に乗っ取られており、悪司は追い出されてしまいます。 そこで悪司は弱小の地域管理組合「奉仕青年団」を乗っ取り、シマの奪回とオオサカ制圧を決意するのでした。

大悪司のウリ

 戦勝国ウィミィの占領政策により、あらゆる組織の長は女性でなければならないため、悪司は影番として組合を仕切っていきます。当面の敵はわかめ組ですが、わかめ組を征服すると、他の組や新興宗教などと抗争していくことになります。抗争の激化により市当局が調停を行ったりしますが、悪司は市政の乗っ取りまで画策していきます。

ゲーム開始画面

 終盤はウィミィのオオサカの司令部を襲撃し、ウィミィの女性司令官をこまして、自分の女にすることにより、オオサカの全てを支配下にすることを目指します。

情報分析中

 各勢力の面々や中立勢力も多岐にわたるため、今回は主人公である山本悪司の一味とヒロイン候補の紹介にとどめたいと思います。

いじめる一択(笑)

 まずは主人公・山本悪司とその郎等。

 山本悪司

山本悪司

 主人公でわかめ組の先代組長である山本百発の息子。組織の次期当主として(悪の)英才教育を受けてきました。文武両道に秀でた上に、女をこますことで、道具として自由に扱う事が出来るというスキルを持っています。ヤクザなので 暴力、恐喝、強姦、拷問などあらゆる悪い事をするが、弱肉強食の世界では当たり前のことだとして育てられたので、罪悪感は一切ありません。敵には非情ですが、身内には情が厚く、人望も高いです。スキル「大悪司」は便利で強力です。

 岳画殺

岳画殺

 中学生ながら、悪司の叔母(山本一発の娘)です。通称は殺ちゃん(さっちゃん)。本作の重要キャラで、死亡、捕縛などでいなくなるとゲームオーバーになってしまいます。 冷静、冷徹で爆発物や火器を使いこなすため戦闘力は高く、主力メンバーとして活躍できますが、HPや気力が低めなので注意して使う必要があります。13歳で悪司とは三親等の近い親戚ですが、二周目以降条件を満たすとメインヒロインとしても登場します。しかしまさかの夢オチ……。絶対必中のスキル「死ぬがよい」は強力です。

殺っちゃんフィギュア

 一番人気かも知れないキャラで「真のヒロイン」との声も。

 山本一発

祖父山本一発

 悪司の祖父で、丸太バイクを乗りこなしています。零戦で駆逐艦を沈める男であり、作中最強です。倒した男と抱いた女は星の数で、しかもなお現役。そのため悪司の叔父叔母は無数にいるらしいです。「悪司」とか「殺」とかとんでもない名前を付けているのはこの人です。山本一発と江田島平八と範馬勇一郎が揃っていたならば、太平洋戦争で日本は勝っていたことでしょう。というか負けようがない(笑)。

 神原夕子

神原夕子

 悪司の性教育係で本作における重要キャラの一人であり、殺同様、死亡、捕縛などでいなくなるとゲームオーバーになってしまいます。 若い身空で人身売買で売られ、若き悪司が女を知るためのおもちゃとして連れてこられました。悪司にとっては姉であり初めての女であり、大切な理解者です。前線向きではありませんが、内政は優秀です。

 大杉剛

大杉剛

 わかめ組の元幹部で幼少の頃からの悪司の教育係で、 ヤクザ者として心構えや、武道を徹底的に悪司に教えてきました。悪司の帰還を聞きつけて序盤に駆けつけてきます。忠誠には一点の曇りもなく、その強さは絶大なので主力戦力となります。スキル「土竜」は「大悪司」を凌ぐ強力さです。序盤の悪司との訓練は必須です。

 島本純

島本純

  情報収集能力に長け、その能力を買われ、わかめ組の幹部となりました。悪司の帰還を知って彼も戻ってきます。何を考えているか分からない男ですが、悪司を面白いデータだと思っています。彼を参謀にして情報を持っていないと後々色々と苦労します。ただし前線で戦わせるキャラではないので、後方で内政に当たらせるのが吉です。

 タマネギ調教団

タマネギ

 タマネギ、石原千手、小原小春の3人組です。悪司のヤクザとしての資金源は、娼館ということになりますが、女性達の調教に当たるのが彼らです。どんな女も一人前の娼婦に仕立て上げてくれます。戦闘要員でもヒロイン候補でも、娼館にたたき落とすことが可能なのがこのゲームの怖いところです。ある周でハッピーエンドを迎えたヒロインを、次の周では娼館の“穴奴隷”にしてしまったり。鬼畜だなあと思いますが、ヤクザなら仕方がない(笑)。

石原千手

 ちなみにこのゲームの娼館は、資金源ではありますが、働く女性の健康や衛生には配慮されており、収入もかなり良く休日もちゃんとあるそうなので、現代のソープランドに近い性格の施設のようです。

小原小春

 続いてヒロイン候補。殺っちゃんは重複するので除外します。

 白民華

白民華

 メインヒロイン。中華料理屋「水陸両用」の娘で料理上手で悪司の思われ人です。彼女を思って悪司は戦場に赴きました。全メンバーの中で唯一の“普通の女の子”で、悪司のことは好きですが、カタギの世界で生きていたため、ヤクザの生き方には納得できません。彼女をヒロインにした場合、娼館やこましが使えなくなるため、メインヒロインでありながら、最初はヒロインにしないほうがいいと説明書に書かれています。もちろんタマネギ調教団も雇えませんが、小原小春のみある提案を持ってきて、それを資金源とすることになります。ちなみにOVAでは悲惨な末路が待っていて可哀想です。

 加賀元子

加賀元子

 わかめ組の幹部でわかめ組の元幹部加賀太郎の娘です。悪司の幼なじみですが、戦後は悪司と対立する立場になってしまいました。無口で冷静ですが、ストーリー展開の中で回避不能のひどい目に遭います。救出に失敗すると……。なお、ヒロインにしない場合も戦力としては有能ですし、娼館に落とすことも可能です(幼馴染みになんてことを…)。なおOVAではメインヒロインに登用されています。悪司のヤクザぶりを当然と思っているので、一番気楽に過ごせそうな気がします。

元子と結婚

 乃木喜久子

 元日本軍の大将である乃木重彦の孫娘で礼儀正しい大和撫子です。乃木大将に接触する悪司に惹かれてしまいます。純情華麗な大和撫子ですが、芯はしかっりしています。ヒロインにすると一家団欒なエンドを迎えることになります。娼館に落とすなら“穴奴隷”になるまで調教しないと自害してしまいますので注意。

喜久子エンド

 プリシラ・ヴァドル

プリシラ・ヴァドル

 二周目以降、いわゆる「イハビーラ」ルートでのみヒロインになるウィミィの戦闘機パイロットです。戦時中はエースとして活躍していました。ルソン島で撃墜されジャングルで遭難した際に敵兵だった悪司と接触した過去があります。正義感が強くとても真面目です。ヒロインにならない場合は、終盤の起爆剤(笑)になってしまうキャラです。一度は幸せにしてあげたいですね。

 アンリ・ペロリ

アンリ・ペロリ

 なんと説明書にも登場しない裏ヒロインです。白民華をクリアしないと登場しません。コウベのイタリア料理店「ムッソリーニ」に登場するヒロイン候補の一人で、魔女っ娘です。悪魔に陵辱されるアンリを魔界まで行って奪還しなければなりません。体力は低いものの攻撃力や命中率が高く、忠誠値が下がってきたキャラを魔法で回復させたり、妙な部下を手に入れたりとなにかとお役立ちな人。中途半端に付き合うと殺っちゃんに殺害されてしまいます。

殺っちゃん制裁

 次回は他の勢力を紹介します。


 



コミック版「ほしのこえ」を読む(その9):惑星アガルタにて

扉絵
 
 昨日とは一転して涼しくなりました。女心と秋の空とか言いますが、春の空も不安定ですね。明日明後日とさらに気温は下がっていくとか。今日くらいが私は好きなんですけど。

 昨日久々にコメントが来たんですが、管理人以外非表示でした。故に全文を晒すことは控えますが、一応回答を。ここでしていいのかどうかという点については異論があるかもしれませんが、まあ私のブログなんで好きにやらせてもらいます。

 当ブログのカテゴリを見ていただければおわかりの通り、ご期待に沿うようなカテゴリはありませんし、今後も新設する予定はありません。また、私は裕福ではありませんし、お金はいつでも欲しいのですが、少なくとも当ブログにおいては一銭も稼ごうとは思っていません。故にステマかと疑われるような行動は一切取るつもりはありません。

 私がこのブログで「いい」とか「好きだ」と言っているものは、純然たる私個人の趣味嗜好感情に由来するものであって、何者かに誘導されたり強要されたりしたものでは一切ありません。そして過去も現在も未来も、何者からであれそうした要請・介入・干渉等を受けるつもりはありません。

 「おれに命令できるものはおれだけだ。おれを支配しようとする力には、手段を選ばず対抗し、必ず打ち砕いてやる」(「敵は海賊・海賊版」より)。別にケンカを売っている訳ではありませんし、実生活ではこういう訳にはいかないことは百も承知です。しかし、当ブログにおいては私はこのポリシーを貫きますのであしからずご了承下さい。

 以上、回答終わりです。大半の無関係な皆さん、お目お汚しで失礼しました。

 さて本日の記事ですが、金曜日ですので恒例コミック版「ほしのこえ」精読会を継続していきたいと思います。今日はChapter.9ということで、大詰めに入って参りました。興味が出てきたという奇特な方は、ぜひご一読下さい。というか、「秒速5センチメートル」にハマったという人は、映像版の「ほしのこえ」と「雲のむこう、約束の場所」も見た方がいいと思います。この三作は三部作を構成していて、トリを務めるのが「秒速」なのだと思います。「ほしのこえ」や「雲のむこう、約束の場所」のラストに光明を見いだした人々の希望を無残に打ち砕くという役目を果たしていますが。

 扉絵は大地に立つトレーサー。しかも純然たる扉絵ではなく、この章の一コマ目を兼ねています。ミカコ達はシリウス星系第四惑星アガルタに到着し、調査活動に当たっている模様です。ただ突っ立ってるだけのような気もしますが。

アガルタの生物

 アガルタは地球によく似た環境のようです。山羊か羊に似た動物もいます。どうみても哺乳類にしか見えません。空から振ってきたにわか雨をトレーサーのコクピットから見上げるミカコ。エルガイムやZガンダムのような全天周シートになっているようですね。

アガルタの雨

 「雨に当たりたいなあ……コンビニ行って……アイス食べたい……」ミカコは相変わらず中学校の制服姿でコクピットで体育座りをしています。宇宙でもそうでしたが、ノーマルスーツみたいなのを着なくていいんでしょうか。まるでシャアです。

ユメの中のノボルのユメ

 そんな私の心配をよそに物思いに耽るミカコ「……ノボルくんに……会いたいな……」その時“ミカコ”と呼ぶ声が。顔を上げるミカコの前に、ノボルの幻が現れます。教室の隅、窓辺で腰掛けるノボル。ノボルのこぐ自転車に二人乗りするミカコ。ノボルの首っ玉に抱きつくミカコ。

目の前にタルシアンが!

 「私はただ……会いたいだけ……好きって……言いたいだけなのに……」幻とわかっていながら目の前のノボルに手を伸ばすミカコ。しかし目の前には異形の姿が。

映像版目の前にタルシアン

 タルシアン!冥王星沖(いいなあ、この表現)で遭遇したタルシアンが目の前にいます。トレーサーの銃を向けるミカコ。しかし、タルシアンは微動だにしません。どこからともなく飛んできたアガルタの鳥がタルシアンの肩に止まります。射撃をためらうミカコ。

タルシアンの遺跡を発見

 しかし、警報とともに通信が。『タルシアン反応確認。直ちに表示ポイントに向かって下さい』気付くと目の前のタルシアンの姿はありません。指示に従ってトレーサーを飛ばしたミカコは、前方に遺跡を発見します。火星のタルシア盆地で発見した遺跡にそっくりな形。

突如攻撃を受けるミカコ

 着陸して遺跡を調べるミカコは突如攻撃を受けます。『タルシアン反応複数確認。全艦一斉に戦闘開始。全機は直ちに援護に向かって下さい』どうやらリシテア艦隊が攻撃を受けているようです。

 「25歳のノボルくんこんにちは。16歳のミカコだよ。私はいまでも……ノボルくんのことすごくすごく好きだよ」

舞い上がっていくトレーサー

 ノボル宛てのメールを送信。トレーサーは戦闘上昇を開始する。←ちょっと「戦闘妖精・雪風」っぽく(笑)。

 次回、いよいよ感動の(?)最終回です。

原作だともう一人のミカコに出会うのですが

南野陽子の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その4):水野理紗の「復活」を願って

ニュータイプ5月号
 
 今日は暑いほどの陽気でした。4月なのにすっかり新緑も出そろって。5月はどこに行ったのでしょうか。ところで、本屋に寄って本を買ったんですよ。そうしたら通りかかった雑誌コーナーにこれが。

 普通はヒモで立ち読みできないようになっているのですが、こいつにはヒモがありませんでした。おそらく「見本」扱いだったのでしょう。それでついつい立ち読みをしてしまったんですが……

なんじゃこりゃあー!!

 なんじゃこりゃー!!

在りし日の黒騎士

 バッシュ・ザ・ブラックナイト、あの黒騎士が…

黒騎士が…

 こんなことに!

A・トールBS

 A・トール(画像はスバース隊のA・トールBSですが実際はスキーン隊のA・トールSKS)が…

A・トールが…

 こ・れ・は……!!今後は……

わたしは一向にかまわんッッ

 といえる人のみが楽しめるのでしょうか?……まあ永野センセ、とりあえずは13巻を出せや。絶対買うから。話はそれからだ。

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 ということで本件はとりあえず判断保留として、本日の記事です。またもや妄想「秒速5センチメートル」。南野陽子の歌には妄想要素が多分にあっていいですね。

 映像版では「1000回メールしても、心は1センチくらいしか近づけなかった」との名言の残しながらもそれは、貴樹のモノローグであり、出番は極端に少なかった水野さん。コミック版では理紗という都会っぽい名前を与えられて出番も大幅に増えたものの、貴樹に岩舟で置き去りにされるという、貴樹のとてつもない「放置プレイ」に遭遇した不幸のどん底の水野さん。

 私の“妄想秒速シリーズ”でも、斉藤由貴の「ひまわり」では親友の明里を裏切り(4月10日)、同じく「morn~透明な壁~」では貴樹との間に立ちふさがる絶望的な「透明な壁」に気付いて別れを想ったりと、ろくな妄想をされていません。誰が悪いといえば、無論私が悪いわけですが、今回は贖罪の意味を込めて「立ち直る理紗」を描きたいと思います。

gaucheの宣伝

 楽曲は1989年7月リリースの7thアルバム「GAUCHE」に収録された「さよならGirl」です。「GAUCHE」というアルバムは、アイドル・南野陽子としては最後の良作アルバムだろうと思います。オリコン1位も最後です。当時、女性週刊誌などで理不尽ともいえるなバッシングに遭い、90年代以降は歌手活動は休息に停滞・終了していくことになるのです。

 “GAUCHE”とは「不器用」という意味で、既に周囲で起きていたバッシングに対するナンノなりの答えなのかも知れません。どうも事務所独立が円満に行かなかったことが原因のようなのですが、女優・南野陽子としてはともかく、私の愛した歌手・南野陽子としては、事務所独立はいい結果を生みませんでした。

 アルバムに収録されている「月夜のくしゃみ」という歌と、同時期に発売された同名のエッセイでは、当時のナンノの心境が綴られていますが、これもいずれ“妄想秒速”で……

月夜のくしゃみ

 それはさておき、「秒速」の本編でもだいたいそうと知れますが、コミック版でははっきりと冬に終わったことがわかる貴樹と理紗の恋。年が明けて春に偶然駅のホーム越しに再会した際にも、理紗の瞳は哀しみで一杯でした。

 しかし時間は最高の傷薬というわけで、深く大きな心の傷も徐々に癒えていき、季節はもう初夏です。元気を出して今日も会社に出勤する理紗でした。ホント、結婚焦って退職しなくて良かったです。

 混んだ朝のエスカレーター

 すべる人波が ほどける地下鉄

 くらむ陽射しにに 目を細め 一人歩き出す
 
 もうあなたのいない夏の街に


 理紗は回想します。貴樹との出会いと交際、そして別れを。お互い不器用なまま手探りで愛を深めようとして、結果的に傷つけ合ってしまった苦い記憶。

 ちがう道を選んだ あの時の二人

 愛し方も知らずに

 求めあい 傷つけた

 まぶしい 風のシーズン


 しかし、もう立ち直らなければなりません。前を向いて歩いて行くためにも過去に決別を告げなければなりません。

 Girl さよならって さぁ 告げるのよ

 哀しみにたたずむ きのうの私に

 Girl まだ夢は ああ 遠いけど

 輝いていたいの あなたに負けないくらい


 引っ込み思案で内気な理紗でしたが、失恋という経験は、痛みだけではなく、理紗の心の成長も促したようです。今の理紗に必要なのは、彼氏よりは信頼できる女友達のような気がします。

 今年 知りあったばかりの

 友だちがくれた おはようの笑顔が うれしかった


 元気を出そうとしてもフラッシュバックのように甦る貴樹への想い。しかし、もう振り向いてはいけません。

 懐かしいよそ風が ふと髪をゆらし

 私を追い越しても

 もう二度と 振りむいて

 あなたを探さない


 貴樹も、決して故意に理紗を傷つけようとした訳ではなかったのです。そもそもが明里との記憶に縛られていた貴樹が、積極的に理紗を誘惑した訳でも有りません。貴樹のような優しくて影のあるイケメンに、ある種の女性は強く惹きつけられてしまうようで、不幸にして理紗もその一人だったのです。貴樹も理紗のことを心配していたことは事実です。

 Girl 平気よって さぁ 告げるのよ

 心配してくれた あの日のあなたに


 “陽のあたる坂道を昇る その前に また何処かで会えるといいな その時は笑って”というミスチルの「innocent world」の歌詞が、本編ラストの踏切から遠ざかる際の貴樹の想いであるとすれば、これのフレーズはそれに対応した理紗の想いであるといえないでしょうか。

 Girl まだ胸は ああ 痛むけど  

 いつかこの都会で 笑ってすれちがいたい


 この歌、歌詞の健気さもいいですが、メロディも非常にポップで前向きでいいのです。ぜひ理紗にはかくあって欲しいです。それでは聞いて下さい。

 フルHD。桜の花びらが散っていて秒速にぴったりです。歌詞的には季節は初夏という感じなのですが…

さよならGirl

 http://www.youtube.com/watch?v=nNnL8pNqQTY

 本人出演のカラオケ版。若き日のナンノが可愛い!

本人出演カラオケ版
 
 http://www.youtube.com/watch?v=OMQyX0Nn900

瑠璃の雫:少女ハードボイルド小説

瑠璃の雫
 
 ボストンの爆発、やっぱりテロだそうですね。無差別は怖いなあ。そりゃ狙われたらもっと怖いけど、最低女子供は対象から外しましょうよ。

 今日は暖か…というか暑かったですね。4月からこれじゃ夏が思いやられますよ。早くスーパークールビズを。そして最近拍手も途絶えて…おねだりして押して貰うというのも趣旨が違うのでしょうが、でも拍手が欲しいよ~。

 さて本日は、伊岡瞬の「瑠璃の雫」です。伊岡瞬の本は初めて読みました。

 伊岡瞬は1960年生まれで東京都武蔵野市出身。日本大学法学部卒。2005年に「約束」で横溝正史ミステリ大賞受賞し、「いつか、虹の向こうへ」と改題して角川書店から刊行して作家デビューしました。「瑠璃の雫」は三作目で、「7月のクリスマスカード」という題で2008年6月に角川書店から刊行され、2011年7月に角川文庫入りした際に、「瑠璃の雫」に改題されました。

 私は文庫版で読んだのですが、原題の「7月のクリスマスカード」は、ラスト付近で確かに実登場してくるのですが、長編にもかかわらず、それ以前では「?」となるタイトルなので、「瑠璃の雫」の方がいいかなと思います。

 例によって文庫版裏表紙の内容紹介です。

角川の宣伝

 母と弟の2人で暮らす小学6年生の杉原美緒。母はアルコールに依存し、親類に引き取られた美緒は心を閉ざしていく。そんな折、元検事の永瀬丈太郎という初老の男と出会う。美緒は永瀬の人柄に心を開いていくが、彼はひとり娘を誘拐されており、大きな心の傷を抱えていた。数年後、美緒は事件を調べ始め、余りにも哀しい真実を知る―。家族とは何か。赦しとは何か。今最も注目を受ける気鋭が贈る、感涙のミステリ巨編。

 本書は三部構成となっていて、第一部は美緒が12歳の時の物語です。内容紹介のとおり、父は美緒達を捨てて離婚して別の家庭を持ち、母はアル中。知恵遅れ気味?な弟・充は厄介者と、美緒の周辺は八方塞がりな状態です。怒りを感じたときや絶望を感じたときなど、美緒は右手の人差し指を噛む癖があるのですが、皮膚を食いちぎって縫わなければならないこともあります。「おはなしゆびさん」という童謡で歌われているとおり、人差し指は「お母さん指」とも呼ばれ、母の象徴でしょう。美緒が人差し指を噛む時は、もっぱら母親に関する事柄が原因となっています。

おはなしゆびさん

 名探偵ポアロがしばしば言及するように、過去に起きた事件は長い影を引きます。美緒には充の下に穣という弟がいたのですが、3年前、まだ乳児だった時に死んでしまいます。そして殺したのは当時5歳だった充だというのですが…。この事件は美緒の家庭崩壊に直結しており、父が去り、母がアル中になり、弟の性格が奇妙に歪んでいるのはこの事件の影響といえます。

 美緒にとって唯一の救いは、母の従姉妹である薫が近所に住んでいたことでしょう。美緒にとっては五親等ということで、近い親戚とも言い難いところですが、非常に親切な人です。母がアル中で入院する中、薫の知り合いの永瀬丈太郎と知り合うことになった美緒は、彼と親しくなる中で、彼の抱える“闇”を知ることになります。

 第二部は永瀬丈太郎の物語で、30年前の娘・瑠璃の誘拐事件と当時の状況が描かれています。やがて永瀬は真実を知ることになるのですが、その内容は読者に知らされることはなく、第三部まで引っ張られます。

 第三部では19歳になった美緒が再び主人公となり、永瀬にまつわる真実を追究する中で、穣の死亡事件についての真実にも行き当たるようになります。

 美緒と永瀬、二人に影を落とす過去の事件の真相は何か、というのが本書のキモなのですが、特別な名探偵はおらず、美緒も特段推理力がある訳でもないのですが、極めてハードボイルドな展開をします。

瑠璃の雫POP

 まず美緒は孤立無援であり、また援助を拒む頑なな心を持った女の子です。要するに可愛くない女の子ということになるかも知れません。中学生の不良達に集団で暴行(但し婦女暴行にあらず)されても、助けを求めようとしません。母や弟を殺したいと度々思い、一部ラストではいっそ自分が死にたいとさえ思ったりします。でも、父が消える前日にくれた赤い毛糸の手袋をずっと持っていたり、父の新居をこっそり訪ねてみたりと、そこはそれ、少女らしいところもあるのですが。

 そして美緒の保護者格となる遠縁の薫ですが、実は永瀬の娘・瑠璃とは幼稚園時代に友だちで、瑠璃が連れ去られるところを目撃していたのでした。しかし幼稚園児の証言は証拠としては採用されず、容疑者は起訴に持ち込めませんでした。そして薫は、瑠璃が連れ去られるのを見送ってしまったことをずっと後悔していたのでした。幼稚園児の薫を責めることなど誰にもできないですが、ただ一人、薫自身が自分を責めているのです。

 永瀬によれば、美緒は瑠璃そっくりなんだそうです。永瀬は美緒に娘の面影を見て、美緒は永瀬に父、というか父性の面影を見るかのような関係で、二人はゆっくりと親交を暖めていきます。

 事件の真実を追及するというストーリー展開のほか、もう一つのテーマは「どうすれば許すことができるのか」ということだろうと思います。深い恨み、今となってはどうしようもない感情を、どうすれば解消することができるのか。確かに憎悪し続けるということは大変な労力なので、許してやった方が楽になるということもあるでしょう。しかし、意識して憎み続けようとするのとは違う、決して消えない憎しみというのもあるでしょう。そういった憎悪は、別に故意にかき立てることをしなくてもずっと心の中で燃え続けるのではないか。そういう憎しみの炎はどうやって消せばいいのか、という。復讐できればいいのでしょうが、復讐する相手が既にいなかったり、復讐することで無関係な人々を不幸にするという場合もあります。
 
 ただし、構成上仕方ないのかも知れませんが、読んでいて気になったのは、物語をラストまで引っ張るためなのでしょうが、手の内を晒さないというか、読者を故意に誤解させようとするかの描写があることです。第一部ラストで美緒は窮地に陥り、その際に重要人物が巻き込まれるのですが、まるでその人物が死んでしまったかのように年月が過ぎて美緒は19歳になります。確かに死んだなんて一言も言われていないのですが、第三部にも登場してこないし、読者は死んでしまったものと誤解しても仕方がない気がします。

 第三部終盤で突如その人物が登場することで、場面の緊迫感が一層増す効果があり、読者をびっくりさせることにも成功しているとは言えるのですが、それが判明するまでの感、私の中には「美緒にはもう人を糾弾する資格はないのではないか」とか「自分のことは棚に上げて真相究明かよ」といった気持ちが消えませんでした。こういう描写はあざとい、と言うのは、作者の掌で転がされているということなのでしょうかね。ただ、本作の場合は上手く騙されたなあという感想を持つには至りませんでした。

 美緒自身にとっては、それまで頑なに拒絶していた「忘れる」という選択肢を検討できるようになっただけ良かったということになりますが、事件自体は救いはなく、重苦しく立ちこめたままです。またそれとは別に、「クズの子はやっぱりクズ」というほかないような展開もあり、なまじ温情をかけてむしろそれが仇になるというのは本当にやるせないです。だからハードボイルドなのかなあ。

7月のクリスマスカード

ちはやふる2(その4):幕間回と高校選手権団体一回戦

ある~日~森の中~クマさんに~出会った~
 
 ボストンマラソンの爆発事件、怖いですねえ。テロだとするとアメリカ本土では久々です。何者の仕業かとかまだ判然としませんが、卑劣な。

 われは知る、テロリストの 
 かなしき心を-
 言葉とおこなひとを分ちがたき 
 ただひとつの心を、
 奪はれたる言葉のかはりに
 おこなひをもて語らんとする心を、
 われとわがからだを敵に擲げつくる心を-
 しかして、そは真面目にして熱心なる人の常に有つかなしみなり
 
 はてしなき議論の後の
 冷めたるココアのひと匙を啜りて、
 そのうすにがき舌触りに
 われは知る、テロリストの
 かなしき、かなしき心を。

(石川啄木の「ココアのひと匙」)

 この詩は幸徳秋水らの大逆事件に触発された書かれたものですが、今やテロリストにシンパシーを感じることはほぼ不可能になりましたね。むしろどんな高邁な思想なり理想なりがあるにせよ、無差別テロという手段を採った時点で「全人類の敵」として殲滅対象とすべきなのではないかと思います。個人に対するテロ…つまり暗殺については、また別途検討する必要があるのかも知れませんが。いえ、暗殺が「いい」と言っているのではなく、遙かな昔から存在しているものなので。無差別テロなんて恐ろしい行為はいつから始まったんでしょうね。

第七首 しるもしらぬも あふさかのせき
  
 さて気を取り直して本日は「ちはやふる2」の第7首と第8首を紹介しましょう。まずは第七首「しるもしらぬも あふさかのせき」。対戦のない幕間回ですが、「ちはやふる」は幕間回こそ面白いのです。

落ち込む千早

 団体戦で北央学園に敗れたショックをひきずる千早。最近は敗北を引き摺るようになりましたね。特に団体戦は、自分が買っていれば優勝だっただけに悔しさもひとしおなのでしょう。

千早が元気ないと千歳も暗い

 千早が暗いと千歳も暗いです。千歳も芸能活動に行き詰まりを覚えているようです。こういう時、千早の元気さ(脳天気っぷりともいう)は非常に効果的なのですが。

何気に肉まん君良い席だなあ

 加えて学校では70点以上取らないと短歌20首作らなければならないという宿題が。かるた部なんだから20首位なんとかせいや。「本歌取り」という名の盗作が認められてるんだし。

顔芸じゃないけど机下土下座

 さらに新入部員が2人しかいないことが発覚。5人以上入部しない場合は部室の2階を吹奏楽部に明け渡すという約束がありましたが…。机の下で土下座するという荒技を披露する千早。地震が来ても安心ですね。

千早ママン

 にっちもさっちもいかなくなった千早に、ママン(千恵子さんだそうです)が珍しく声をかけ、外出します。行き先は大江呉服店。お世話になっているお礼にお中元を渡すついでに、千早に着物を買ってくれると。

元気になった千早

 1期でも千早には無頓着で千歳ばかりを気にかけている雰囲気があった両親ですが、実は千早をネグレクトしていたわけではないことは12話で判明していました。今回は千早を放置気味にしている理由が判明しました。「千早はかるたをしていれば大丈夫」だと確信していたのです。そしてその確信は確かに間違っていなかった。成績はともかく、一見ギャルっぽい容姿の千早がまったく非行とか精神的な病とかは無縁だったのはかるたあればこそ。まさに「落ち込んだりもしたけれど、私は元気です」というキキ状態なのでした。

驚く千歳

 知らなかった親心を知って元気を出した千早。すると千歳も元気になるから不思議です。一家のムードメーカーですね。

吹奏楽部が応援
感激屋の千早

 陰徳を積めばかるたにも返ってくるのではないかという、極めて不純(笑)な動機で吹奏楽部に2階を明け渡したかるた部ですが、さっそく校歌演奏によるエールが。かるたをやっていない人達に応援されて感激する千早。全く感激屋ですが、だがそこがいい。

新に電話する千早

 さて近江神宮に向かった一行。女子は何と女帝と相部屋です。そんな中、かろうじて行われたガールズトークで会いたい人はいないのかと聞かれた千早、携帯で新に連絡を取ります。

黒い嫉妬の炎がメラメラと…

 それを見る太一の表情が……

第八首 みかさのやまに いでしつきかも

 続いて第八首「みかさのやまに いでしつきかも」です。

相変わらず書き換える気マンマンの筑波

 性懲りもなくメンバー表を書き換えて出場する気マンマンの筑波(もう呼び捨て)。反省の心はないのかお前は。

すっかり参謀役が板に付いた机君

 しかし、最初から筑波はスタメンに入っていました。決勝トーナメントまでは情報収集に徹するという机君。こういう献身的なことをやってくれる人が他にいるでしょうか。かるたを始めて人間的に一番成長したのは机君で間違いありません。

かるた始めて一番大化けしたのは机君

 既に前夜、太一と話し合って決めていたようです。太一より頭良さそうな感じがするんですがなぜ2位なんだ机君。案外自分が1位になると太一がかるたをやめさせられるから手加減してたんだったりして。

ヒョロ君の冷やかしにも動じない太一

 昨日の新の千早NTR(笑)を引き摺っているかと思いきや、太一もやる気マンマンです。冷やかしにきたヒョロ君に対し、「個人戦は一回戦で負けても、団体戦は全部勝つ!」と宣戦布告です。 

相手は外人軍団だった

 さて一回戦の相手は千葉県代表の千葉情報国際高校。その顔ぶれは何と全員外国人!

びっくらこいた瑞沢高校の面々

 競技かるたの国際化に驚愕する瑞沢高校一同。

天然でモテモテで毒舌の恵夢ちゃん

 一方、机君とともに情報収集活動に従事する菫ちゃん。マークするのはクイーン挑戦者決定戦でユーミンに敗れた逢坂恵夢を擁する明石第一女子高校。当然メンバーは全員女子です。なんと追っかけのカメラ小僧達もいます。

カメラ小僧も出る明石女子

 ここで疑問。名人とクイーンがいるということは、名人戦とクイーン戦は男女別なわけですよね。体力とか筋力とかが競技かるたの試合ぶりに大きな影響があるのだとすれば当然のことと思いますが……。ではなぜ高校選手権は男女混合なのでしょうか?男女差があるのであれば、男女別にした方がフェアなんじゃないでしょうかね。逆にそうでなければ、名人位とクイーン位を分ける理由がわかりません。全員で戦って、一番強い人が男でも女でも名人でいいんじゃないでしょうか。はたまた、名人とクイーンで戦って、本当の日本一を決めるというのもありじゃないでしょうかね。これに勝ったら「皇帝(女帝)」を名乗るとか。競技かるたよりずっと男女差が小さそうな麻雀競技を描いた「咲-saki-」が徹底して男女別で麻雀をやっているのに較べると、実際がそうだから仕方ないのかも知れませんが、このあたり結構いい加減な気がします。

かるたやってる女子はこんなんばっかか!

 それはさておき恵夢ちゃん、現クイーンの若宮詩暢を除いては、西日本の女子かるた選手で最強なのですが、菫ちゃんチェックによれば天然でモテ女で毒舌らしいです。千早との共通点を見いだしていますが、それは情報として価値があるのか(笑)。というか、明石女子は全体的に可愛い気がします。

かるたの国際化?に感激する千早
 
 一方瑞沢高校V.S.千葉情報国際高校。オール外人に気圧される面々の中、千早だけが競技かるたが国際化したと妙な感激で泣いています。やはり天然……。

実は日本語が得意な外人勢

 しかし、皆日本生まれで英語より日本が得意であることが判明。イロモノ扱いですが、皆楽しそうにかるたやってていいですね。千葉は競技かるたのレベルが高くないようです。まあ東京でも全14校ですからね。

圧倒的じゃないか、わが千早は!

 落ち着いて普通にやると瑞沢高校が圧倒します。「かるた好き」と「競技かるた」はちょっとレベルが違うみたいですね。

惨敗の千葉勢
千葉勢へのメッセージ…英語の必然性はないのですが

 しかし負けて泣く外人勢に、千早達がエールを。日本語の方が得意だというのに何故にあえて英語を使うのか。しかし試合後の爽やかな感じは悪くありませんね。やっぱりもめるのは感じ良くないですよね(ね、ユーミン?)。

応援に来た新

 千早の応援のために近江神宮に到着した新。いよいよ太一から本格的に略奪体勢か。

忍び寄る影が

 しかし忍び寄る魔の手が「つ~かま~えた~!」。貞子のような影。もし鎬昴昇だったら眼底砕きが来るところですが……

貞子…いや詩暢でした

 現れたのはすっかり元に戻った詩暢でした。やっぱり新となにか因縁があるんでしょうね。詩暢が千早から新をNTRとかいう展開もこれまたよろし。実は太一が雇ってたりして。

 さて、恒例顔芸特集です。今回は千早もたくさんありますよ。

団体戦の敗北から立ち直れない千早

 敗戦から立ち直れない千早。夏休み最後の日にもこんな顔するような気がします。 

自動書記か

 落ち込んで無意識にノートに落書きする千早。自動書記か。それでも意味のない落書きしかないところはやはり学業成績に問題が……

久々の顔芸

 ママンとお出かけする前の落ち込んだ千早。もはや悪霊か悪魔が取り憑いているとしか。

悪そうな奏ママン

 やたら悪そうな奏ママン・利恵子さん。別に悪だくみしているわけではなく、千早達が和服でかるたをしてくれているせいで売り上げが伸びているそうです。あれだけ協力してくれてるんだから、それくらいの見返りがあって当然です。ところで利恵子さん、もしや若い頃セーラー戦士じゃありませんでしたか?

高い袴を買った上、交通費と宿泊費も

 着物を買って貰った千早ですが、さらに近江神宮に行くのに交通費と宿泊費が必要なのに気付いて。しかも近江神宮では着物着ないし。千歳が持ってそうな気がするので、借りときましょう。

素顔の菫
 
 素顔の菫。いきなり素朴顔になっています。おめさどこの村さから来ただ?これこそ菫じゃなく韮でしょう。

俺の妹がこんなに可愛いわけがない。:第2話は個人的「神回」でした

「ひぎぃ」顔のあやせ
 
 新聞休刊日の月曜日は、朝がつまらないですね。何気にスポーツ新聞の売り上げが伸びるんじゃないでしょうか。夕刊紙やスポーツ新聞が年中無休のところを見ると、配達員の休養がメインなんでしょうかね。

二次元の「彼女」からのメールににやける桐乃
一緒にいてもゲームに夢中の桐乃に不満のあやせ

 さて昨夜「ちはやふる2」の7話と8話を見たんです。今日は当然この話題を…と思ったのですが、その後たまたま見た「俺の妹がこんなに可愛いわけがない。」の第2話が私にとっては信じられない位の神回だったので、こちらを先に紹介したいと思います。 

ゲームに嫉妬のあやせ

 タイトルは「信じて送り出したお兄さんが携帯美少女ゲームにドハマリしてセクハラしてくるようになるわけがない」。な、長すぎる…次回予告であやせがタイトル自体がセクハラだと怒ってました(笑)。

京介に相談というか脅迫
あやせ涙の訴え

 ということで、主人公高坂京介を只一人「お兄さん」と呼ぶ新垣あやせがヒロインの回です。桐乃の親友・新垣あやせは、携帯美少女ゲームにドハマリして、自分と話をしている時でもゲームの少女に没頭する桐乃をなんとかしてほしいと、京介に相談を持ちかけます。

この顔が見たくて願いを聞いちゃう京介

 あやせのため、桐乃にゲームを控えるよう説得しようとした京介でしたが…。桐乃は桐乃で同好の士を欲していたみたいです。

桐乃がはまってたのはラブタッチ(笑)

 そのゲーム「ラブタッチ」をを桐乃から借り受けることに。試しにゲームを始めた京介でしたが……。

どはまりする京介

 はい、タイトルどおりドハマりしました。幼馴染みの麻奈美もあきれるハマリっぷりです。珍しく麻奈美が怒っていますが、全く意に介さない京介でした。

地味子もあきれるハマリっぷり

 この「ラブタッチ」、本編ではPS vitaそっくりの携帯ゲーム機用ソフトでしたが、元ネタは明らかにDSや3DS用の「ラブプラス」でしたね。

ラブプラス

 新垣あやせのCVは、早見沙織が演じているのですが、このラブプラスの3人のヒロインの一人、高嶺愛花のCVはやはり早見沙織が演じています。

「オッス、愛花だよ」のポーズ

 他のヒロインの声は皆口裕子と丹下桜というベテランが演じている中、只一人リアル女子高生だった、そして当時はあまり有名でもなかった新人声優の早見沙織が演じたのです。

実際の画像(ツインテール)
実際の画像(茶髪メイドスタイル)

 そしてもちろん、「ラブタッチ」のヒロイン「藤崎あやか」のCVも早見沙織。あやかの容姿もあやせに似てたりして。そもそもこの「あやか」という名前、「あやせ」と「愛花(まなか)」を合体させたとしか思えません。姓の「藤崎」はもしや「藤崎詩織」からなのでしょうか?  

藤崎詩織風高嶺愛花

 実際ありましたよ、藤崎詩織のヘアパーツを着けた高嶺愛花のフィギュアが。「ラブプラス」も「ときメモ」もコナミだからなあ、親和性があるっていうか何というか……

ラブタッチのあやか(その1)

 それにしてもあやか。もはや「キレイなあやせ」にしか見えません。どっちも二次元なのになんだこの差は?これがギャルゲーの力なのでしょうか?

ラブタッチのあやか(その2)
 
 それはともかく、翌日、ミイラ取りがミイラになったことを詰るあやせですが、京介も言葉巧みにささやき攻撃を仕掛けます。桐乃がはまるゲームキャラの言動を真似たらいいんじゃないか?

部屋にあやせを連れ込む京介

 そして桐乃好きさにのこのこ性欲に充ち満ちた男子高校生の自室について行ってしまう女子中学生。ちょろいもんだぜ。

ちょろいもんだぜ

 そのキレイな顔を羞恥で赤らめさせてやる!!

ラブタッチのあやか(その3)

 そして何気にゲームキャラ「あやか」の胸を触ったりしてセクハラ三昧の京介。あやかのセリフをあやせに言わせようとします。このあたり、あやかもあやせも早見沙織が演じているのでおかしいったらありゃしません。しかしデレデレで激甘なあやかのセリフとツンツンで罵倒系のあやせのセリフは、別録りしたんでしょうか。同時にやってたら凄いわ。

あやせにあやかのセリフを言わせる京介

 「お前は一体俺をなんだと思ってんの?」
 「ドスケベのセクハラやろーだと思っているんです!」
 「俺がセクハラするのはお前だけだぜ!」

がんばるあやせでしたが…

 なんだこの会話は…たまげたなあ…。京介、一期では結構ナイスガイな部分が強調されてた気がするんですが、二期になって本性を出したてきたのでしょうか。

京介のしつこいセクハラ攻撃

 そしてあやせにギャルゲーセリフの朗読を強いる京介。

って言えるかあああああああ!

 「って、言えるか死ねえええええええええええええええええええ!」

顔面キック炸裂

 あやせの戦闘力なら京介に襲われる心配はないみたいですね。

地味子に泣いて訴えるあやせ

 その後、地味子こと麻奈美に京介のセクハラを訴えます。

性的虐待と聞いて驚く地味子

 性的虐待を受けたという発言に驚く麻奈美ですが、「言葉責め」だったことに一安心。京介も麻奈美にしておけば平穏なのになあ…どうも彼女には“女”を感じていないようです。

麻奈美だよ、一緒に行こう

 そして翌日。京介を迎えに来た麻奈美。「麻奈美だよ。一緒に行こう♡」

麻奈美にドン引く京介

 ドン引く京介。お前あやかの同じセリフにデレてたくせに(笑)。

登校するために玄関を出た桐乃

 そしてこれはただのプレリュードなのでした。玄関に出てきた桐乃に……

ラブタッチそのままに迎えにきたあやせ

 なんだかんだと、結局京介の「ラブタッチせりふ作戦」を実行に移すあやせ。「うん、あやせだよ。一緒に行こ!」

ほら、微妙に髪型を変えています

 よく見ると何気に髪型もあやか風にしています。

ヤンデレあやせ

 「あたしね…。桐乃がいないと生きていけないの…」

加奈子だって殺せるんだよ…

 「桐乃のためなら私…加奈子だって殺せるよ?」

今朝の私どう?

 まさかのヤンデレあやせ。ゲームでは登場すると知っていましたが、アニメでも遂に登場。それにしてもなぜここで今回全然関係のない来栖加奈子の名前が出てくるのか(笑)。

禁断のヤンデレルート有り…

 そういえば「ラブタッチ」のパッケージ裏にも「まさかのヤンデレルート?」の文字が。京介から奪ってきた「ラブタッチ」を一晩プレイしてきたのでしょうか。

一緒にお兄さんを殺しに行こう!

 「一緒にお兄さんを殺しに行こう?」というあやせ。やはり本気で怒っていたのか。しかし桐乃に「そこまで嫌いじゃないし」と却下されてます。

ちょっとキモい

 せっかくあやかのセリフを真似たのに、「若干キモイ」と桐乃にドン引きされたあやせ。二次元キャラのセリフを三次元が真似ても無駄ということでしょうか。しかし、これはアニメだから二次元キャラの真似を二次元キャラがしているのになあ。

ゲームどおりにやったのに!

 そういえば第2話ED「フィルター」はあやせが歌っていました。「通報しますよ」とか、いつもの対京介のセリフだ。公式HPで予告共々見られます。
 
EDもあやせが歌っていました

 http://www.oreimo-anime.com/story/02.html
 
 しかし、なんだかんだと京介に絡んでくるところを見ると、あやせも京介が単に嫌いなわけではないようですね。でも京介、確かにあやせは美少女だけど…長生きしたけりゃ麻奈美にしとけ。ヤンデレはゲームならいいけどリアルは怖い(まあこれもアニメなんですけどね)。

仕事中のはやみん

 今回は早見沙織好きにはたまらない回でした。またはやみんの演技力も凄いですね。ちょっと前に最近罵倒系ばかりだから激甘な声も聞きたいと書いたのですが、はからずも叶ってしまいました。個人的には罵倒系はそれほど好きではないけど、ヤンデレはぜひもっとやって欲しいですね。デレデレ→ヤンデレでお願いします。

早見沙織

 春アニメでは早見沙織は引っ張りだこで、「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」のメインキャラ雪ノ下雪乃も演じています。

鈴原泉水子

 他にも「RDG レッドデータガール」のヒロイン鈴原泉水子や…

レヴィアタン

 「絶対防衛レヴィアタン」メインキャラレヴィアタンもやっているんですね。これは私に「RDG レッドデータガール」と絶対防衛レヴィアタン」も見ろという啓示か何かなのでしょうか。

愛花フィギュア(ポニテ)

 よーしわかった!2本追加だ!!しかし見る暇があるのでしょうか?必殺の「GW一気見」を使うしかないのか……。

ショート

 それにしても余談になりますが、私のラブプラスの最初の彼女は寧々さんだったのですが、結局ドハマリしたのは愛花だったんです。現役女子高生ボイス恐るべし。

ストレートロング

 というか、愛花はデレてポニーテールから髪型を変えだしてからが真の姿という感じでしたね。

ツインテール

 はやみんの演技力恐るべし。栴檀は双葉より芳しということでしょうか。最後はせっかく画像集めたから使わにゃ損々という雰囲気バリバリになってしまいした。
 

好きな声優さん第三期(その1):植田佳奈~ぜひ半荘お手合わせ願いたい「雀士声優」

植田佳奈
 
 今日は暖かくなると聞いていたのですが、筑波嶺はそうでもなかったですね。それよりも風が強くてほこりが目に入って往生しました。先週も強風が吹いたし。風は3月で4月は雨のはずじゃなかったのでしょうか。

 声優の日曜日、先週は都合によりお休みしましたが、今日はちゃんとやりますよ。ところで前回で「好きな声優さん第二期」は13人が揃いました。EX13こと13人衆・第二期ミラージュ騎士団の完成です。そのメンバーはといえば、

 釘宮理恵
 加藤英美里
 桑谷夏子
 日笠陽子
 滝田樹里
 水橋かおり
 新谷良子
 阿澄佳奈
 沢城みゆき
 冬馬由美
 三石琴乃
 松来未祐
 大原かおり

 第一期にも勝るとも劣らぬ豪華メンバーとなりました。

和服姿の植田佳奈

 さて、実はもう2、3人追加して声優は一休みしようかなと思っていたんです。それで前回「もうちっとだけ続くんじゃ」という例の亀仙人の画像を使ったのですが、そう言ったドラゴンボールがその後延々続いたというジンクスからすればあまり良くない画像だったかと思いつつも、ドラゴンボール化はしないと言ったのですが。

最大トーナメントの出場者達

 非常に恐縮なのですが……「好きな声優さん第三期」を始めたいと思います(笑)。いや~実はまだまだ結構残っていたんですよ。元々はグラップラー刃牙の最大トーナメントの「全選手入場」を声優さんで再現しようかと思っていたんです。各声優さんのキャッチフレーズとか考えるのは非常に大変そうなのでこれは止めようと思いますが、最大トーナメントは正選手32人+リザーバー4人なので36人必要だなと思っていたのです。しかし思い返せば、天内悠とかアレクサンダー・ガーレンとかアナコンダといった、飛び入り選手(アナコンダはヘビですがなんと体長25メートル!)も登場していたので、全部で39人必要なんですね。39人…ということは、13人×3…ということは第三期を実施すればピッタリ。

 4人のリザーバー枠にはレジェンド声優さんを充てたいと思います。若い人は全然知らないかもしれませんが、昔お世話になったということで。

「板野友美に似ている」説も

 それでは第三期一回目の今日は、ヒロイン役を多くこなす植田佳奈です。

キャプテン佳奈(左は中原麻衣)

 植田佳奈は1980年6月9日生まれで現在32歳。奈良県出身で小学校の頃に引っ越した大阪府で育ちました。この関西出身という部分は演じる役にも反映される場合があります。自身のオフィシャル・サイトのプロフィールでも「特技:関西弁」としています。小学生の頃からコスプレにハマり、同人即売会やコミケにはコスプレイヤーとして度々参加していたそうです。また児童劇団に所属し、舞台やミュージカルをやっていたとか。

レイチェル・アルカードのコスプレをする植田佳奈

 タカラジェンヌに憧れて小学生の頃から宝塚音楽学校予備校に通い、声楽・バレエ・ダンスを習っていましたが、高校三年生までに身長が伸びず諦めたそうです。宝塚音楽学校の応募資格は、①容姿端麗で、宝塚歌劇団の舞台人に適する者 ②義務教育終了~高卒までの年齢(15歳~18歳)の女子となっており、特に身長制限は記載されていませんが……。植田佳奈の身長は公称156センチだそうですが、真偽の程は不明ながら、実際には153センチくらいだとか、いや151センチくらいだとかいう説もあります。

音楽DVDパッケージ

 高校では放送部や軽音部に所属していました。放送部では部長だったとか。ほうほう、良い部活をお選びですね。神戸女学院大学在籍中に雑誌のオーディションでグランプリを受賞し、大学に籍を置きながら声優養成所で学んでいました。2001年に声優デビューし、同年に歌手としてもデビューしました。

みっくすJUICE

 歌手としては、中原麻衣・斎藤千和・森永理科と声優ユニット「みっくすJUICE」(2002-2003)を、能登麻美子・後藤麻衣 ・清水香里・佐藤利奈と声優ユニット「N's」(2008-2012)を、N'sからスピンアウトする形で生天目仁美・松来未祐を加えた声優ユニット「N±」を、ラジオからの派生で清水香里との声優ユニット「M's」を結成したりしています。

Ns.jpg

 なお、「みっくすJUICE」はかなりのアイドルユニット的売り込みを行っていたらしく、現在では黒歴史扱いされていますが、メンバーだった斉藤千和がラジオで言っているところによると、決して黒歴史ではないそうです。当時斉藤千和が「私、大丈夫なのかな、役者さんとしてやっていけるのかな」というもっと根本的な部分で悩んだ挙句に体調を崩して咳き込んだときに血が出たことから、「こんなアイドルユニットやってられない」というストレスで吐血したというふうに解釈されたとか。

雀鬼?佳奈

 植田佳奈はゲーム好きで知られ、オンラインゲーム依存症でもあったそうです。好きなのはコンピューターゲームばかりではなく、麻雀も大好きで、覚え立ての頃は一人で雀荘に通っていたそうですが、友人の伊藤静(静御前!)の知人から不要になった全自動麻雀卓を譲ってもらい、自宅に据えたそうです。このことが声優仲間などの間で口コミで広まり、自宅が雀荘化して「雀荘うえだ」と称されるようになりました。麻雀好きな声優が集まって「J-1グランプリ」を開催しており、植田佳奈は毎回出場しています。

雀士植田佳奈

 なお、麻雀アニメ「咲-Saki-」で主人公の宮永咲を演じることになりましたが、番宣ラジオ番組「咲ラジ-清澄学園麻雀部-」では、なんと麻雀をしながら番組を進行していました。ゲストが麻雀やって出演料貰えるなんてと感激していたり(笑)。2011年には竹書房主催「麻雀最強戦 著名人代表決定戦」に出場し、「近代麻雀」のコラム連載も行い、同年には業界人を中心とした「二次元学園麻雀部」を発足して部長に就任し、部員は120名を越えるほど大きなものになっているそうです。極めているなあこの人。

麻雀姉妹でもある小清水亜美と

 それでは私が知っている植田佳奈の演じたキャラです。例によって原則的に古い順です。

 松永沙羅(Ever17シリーズ)

松永沙羅

 鳩鳴館女子高等学校2年生の16歳。 知性の広さを感じさせる、学生服姿の少女です。驚異的なコンピュータに関する技術を持っています。

ジッポのライター?

 学校の行事でLeMUに来たところを事件に巻き込まれ、閉じ込められることになりました。登場は少年編のみで武編には登場しませんが、それには深い理由があるのです。

エレベーターからこんにちは

 趣味はハッキング。忍者に憧れていて、頻繁に語尾に「ござる」や「ニンニン」等をつけています。その後のリメイク版では忍者の真似もあながち単なる遊びではなくなっているそうです。

サバイバルナイフを突きつける沙羅

 メル(グローランサーⅣ)

メル

 別の大陸から来た、明るく元気な女の子です。関西弁を炸裂させています。これが異国情緒なのか。本編ストーリーとは直接絡みませんが、ヒロイン候補であり、彼女とのエンディングもあります。

攻略可能なメル

 手先が器用なので、手作りのアクセサリーを使って行商をしていましたが、夢は自前の店を持つことでした。主人公がマーキュリー王国の女王からもらった土地に作った街(MY CITY)で商売を始める事になります。

メルエンドその1

 客が思うように集まらないということで、主人公達にチラシ配布を依頼するサブイベントがあります。また、メルの店はヒロインとのデートスポットとしても活用されたりします。

メルエンドその2

 琥珀(真月譚 月姫)

琥珀

 主人公遠野志貴の家のメイドです。双子の妹の翡翠も同じくメイドをしていますが、洋装の翡翠に対し、琥珀は和服に割烹着が普段着です。

琥珀壁紙

 志貴の妹で当主の秋葉の身の回りの世話の他、幅広い業務を司っており、ほとんど執事か家令のようです。いつも明朗で笑顔を絶やしませんが、それは笑顔でしか表情を表現できなくなったためです。

明るい琥珀

 幼少の頃から前当主槙久の感情の捌け口としての性的虐待を受け続け(翡翠を守るために一身に受けました)、復讐のため策謀を巡らせて槙久を殺害することに成功しましたが、主人公・志貴の帰還は琥珀の復讐を、琥珀本人も気づかないうちに違う方向へと誘っていくことになります。 

琥珀(右)と翡翠(左)

 福沢祐巳(マリア様がみてるシリーズ)

福沢祐巳

 本編の主人公。小笠原祥子の妹にして、水野蓉子の孫(なぜか姉の姉は祖母になる理不尽)で紅薔薇(ロサ・キネンシス)ファミリーに所属しており、紅薔薇のつぼみの妹(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトンのプティ・スール)→紅薔薇のつぼみ(ロサ・キネンシス・アン・ブゥトン)→紅薔薇さま(ロサ・キネンシス)と出世(?)してきます。

ロサ・キネンシス・ファミリー

 妹はドリル頭こと松平瞳子です。物語は、祐巳の憧れである紅薔薇のつぼみこと2年生の小笠原祥子に呼び止められたことをきっかけに始まります。

タイが曲がっていてよ

 幼稚舎からリリアンに通う、自称「チャキチャキのリリアンっ子」ですが、容姿も中身も成績も平均的で、特に目立ったところのない平凡な生徒であることから、「小心者の一般庶民」とも自称しています。

いつもと違う髪型の祐巳(右はお姉様の祥子)
将来の三巨頭

 性格は素直で前向きですが、思い込みや心境変化が極端で、素直ゆえに感情が顔に出やすく、「百面相」とからかわれたりすることもありました(特に佐藤聖から)。様々な分野で秀でた人物が多い山百合会の中では異色の存在ですが、下級生からは「親しみやすいアイドル」として絶大な人気を獲得しています。

実写映画版で祐巳を演じた未来穂香

 弟の祐麒は年子ながら誕生日の関係で同学年で、リリアン女学園と姉妹校的な男子校・花寺高校に通っています。必殺技は安来節(いわゆる「どじょうすくい」)です。

秘技どじょうすくい

 遠坂凛(Fateシリーズ)

遠坂凛

 本作のヒロインの1人。穂群原学園に通う女生徒で、女魔術師です。アーチャーのマスターとして、亡き父・遠坂時臣の遺志を継いで聖杯戦争に臨みます。

遠坂凛の壁紙

 遠坂時臣の戦いを描いた「Fate/Zero」ではまだ小学校低学年ながら初歩魔術を行使できる天才児として登場しました。遠坂の血族であることに誇りを持ち、時臣を父と尊敬していました。第10話「凛の冒険」では主役を務め、シリアルキラーの雨生龍之介にさらわれた友人と十数人の子供達を助ける活躍を見せました。

眼鏡の遠坂凛
水着の遠坂凛

 学校では男女問わず絶大な人気を誇る美少女で、優等生を演じていますが、、その本性は士郎曰く「あかいあくま」。魔術師としては高い実力を誇りますが、肝心な所で凡ミスをする悪癖(先祖代々の遺伝らしい)があります。

遠坂凛のFigma

 遠坂家の魔術である「力の転換」によって宝石などに魔力を貯めこんだり一気に開放したりすることや、相手を指差すことで人を呪う北欧の魔術「ガンド」を得意とします。また武術としては八極拳も用います。 高価な宝石を多用する必要があるため、見た目とは裏腹にお金に細かいところがあります。

うるし原智志が描く凛

 ちなみに妹の桜は間桐家の養子に出され、拷問にも等しい間桐特有の魔術の鍛錬を受けたため、髪や瞳の色などの容貌が著しく変わってしまいました。間桐家に来て以来、到底耐えられないような凄惨な状況下にあったため、以前とは別人のように感情が稀薄な状態となってしまいました。

うわあああああ……
小さい頃の凛と桜
凛と桜。髪や瞳の色に注目

 宮永咲(咲シリーズ)

宮永咲

 長野県の清澄高校の一年生。凛が「あかいあくま」とすれば咲は「白い悪魔」です。気が弱くて泣き虫なドジっ娘ですが、麻雀においては超人的な勘と運を持っています。

どんなアングルでもパンチラはない咲

 感性派の打ち手で、魔物や怪物と呼ばれることもあります。現在は父子家庭で、別居中の母と姉・照は東京にいますが、その経緯については語られてません。かつて家族麻雀で負けてお年玉を巻き上げられるのが嫌で、といって勝てば怒られるからという理由で、勝ちも負けもしないようにプラスマイナスゼロで終局させる打ち方を身につけました。

原作の咲

 半ば強引に連れてこられた麻雀部の部室で、初めて家族以外麻雀を打ち、部長の竹井久から「次は勝ってみなさい」という言葉を受けて、生涯初の役満・四暗刻を和了り、圧倒的な力量差を見せつけます。

清澄の白い悪魔

 好きな役でもある必殺技は自分の名前に類似した嶺上開花ですが、嶺上開花は結果に過ぎず、実際には「槓材が流れてくる」「嶺上牌を正確に察知する」「槓をすることで他家の手に影響を与え、それを逆用して自分の和了りに生かしたり他家の手を潰したりする」能力があります。

咲の画像を使ったパロディ

 気が弱いために威圧感のある相手の前では萎縮してしまう欠点もありますが、戦いの中でより強い相手を求めるなど成長していきます。極度の方向音痴で、見知らぬ建物で単独行動を取ると必ずといって良いほど迷子になります。

怖い咲

 固法美偉(とある科学の超電磁砲)

固法美偉

 奇妙な名字のキャラばかり登場する「とある」シリーズですが、この人は「このり みい」と読みます。

頼れる先輩

 第177支部所属の「風紀委員」で、白井黒子や初春飾利の先輩に当たる女子高生です。セミロングヘアに眼鏡をかけ、着痩せするプロポーションの良い容姿を持つ、巨乳のクールビューティーですね。

脱いだらすごい固法美偉

 面倒見の良さと厳しさを併せ持ち、かつて新人研修を担当した時から白井黒子の性格や問題点を見抜いており、黒子にとっては頭が上がらない人物です。

固法美偉と白井黒子

 能力はレベル3の「透視能力(クレアボイアンス)」で、相手を透視することで、隠し持っている武器などを発見できます。喧嘩もそこそこ強く、能力との併用で不良程度は簡単に撃退できます。アニメ版ではプロポーションがさらに強調されており、ビキニの水着姿や全裸の入浴姿は注目の的となっています。

凜々しい固法美偉

 都心のゲーセンに行くと普通にいると噂される植田佳奈。ぜひ一度麻雀を一緒にやりたいですが、きっとギャルゲーなんかはやってないんでしょうね……。率直な発言がネットで物議を醸すこともあるようです。私は正直な発言ぶりに好感を持ってますが、世間には揚げ足取りや悪意を持って曲解する人もいることですし、それだけ影響力を持つ有名人であるということで、ご用心ご用心。

 オフィシャルサイト「Ks Laboratory」です。

オフィシャルサイト

 http://www.uedakana.com/index.html

可愛い植田佳奈

 

天仙娘々~劇場版~:PCから移植された隠れた名作の麻雀ギャルゲー

天仙娘々
 
 淡路島で震度6弱の地震がありました。震度5弱を超えると怖いですよね…。阪神淡路大震災から18年、現地ではあの忌まわしい記憶がよぎった人も多かったのではないでしょうか。死者はないことが不幸中の幸いですが…心からお見舞い申し上げます。

PC版タイトル画

 さて話は変わってギャルゲーの土曜日。先週は飛びましたが今日はしっかりやりますよ。本日は「天仙娘々~劇場版~」です。本作は1998年2月にタイムポイントから発売されました。元はPC98用ソフト「天仙娘々」で、こちらは1992年10月発売。ということで、6年近く経過してのコンシューマー機への移植ということになります。こちらの発売メーカーはPonytail Softwareになっており、もしかするとタイムポイントというのは同社のブランド名なのかもしれません。

PC版対戦画面

 ゲームはAVG+麻雀という感じです。麻雀ゲームにはなにげにギャルゲーが多いですね。普通にやっても楽しい麻雀に“脱衣”という要素を突っ込むことを考えついたのは一体誰なのでしょうか。誰にせよ天才と呼ばせていただきたいと思います。

このバニーが脱いだようです

 ちなみに世界初の脱衣麻雀ゲームは、1983年に日本物産が発売した業務用の「雀豪ナイト」だそうです。 これは三人打ち麻雀ゲームで、プレイヤーが和了すると画面中央に小さく表示されたバニーガールが1枚ずつ衣装を脱いでいき、5連荘で全裸となるものだったそうです。初期はこんなんでも楽しかったんですね

二人打ち麻雀

 本作では、主人公の仙女・鈴花が、街の中にあるいくつかの建物を巡ったり、雀荘で麻雀をしてお金を稼いだりしながら、敵を倒していくことになります。また、この過程で二人の女の子(雷羅と彩燕)が仲間になります。

鈴花と神符

 ヒロイン鈴花。頭の両側のピンクの花がチャームポイントです。

雷羅

 拳法家の雷羅(ライラ)。鉄球(モーニングスター?)を振り回す肉体派です。

彩燕

 学者というか兵法家の彩燕(サイエン)。巻物を持っていて、ちょっとロリロリな感じ。私は彼女をよく使いました。

空飛ぶ三人娘
 
 PS版である「劇場版」の内容紹介はこんな感じです。

チラシ(表)

 昔、昔の、遠~い昔の、麻雀大王という妖怪が住んでいた頃の「雀国」という小さな国での物語。言葉巧みに麻雀に誘っては、うら若き乙女の着物を二度と脱げない破廉恥な「呪いのうすぎぬ」(要するに水着)に変えてしまう、という妖術を封じ込めるため、仙女の鈴花・武道家の雷羅・兵法家の彩燕ら異色の三人娘が、仙術・武術・謀略を駆使して、そしてちょっぴりのお色気を振りまいて暴れまわる。生唾ゴックン痛快麻雀大活劇。

チラシ(裏)

 ちなみにPC版でのプロローグはこんな感じです。

キョンシーを操る鈴花

 大昔、あるところに「雀国」という国がありました。そこでは、人々は貧しいながらも幸せに暮らしていました。そこで、人々を支えていたのが「麻雀」だったのです。
 ところがある日、自らを「麻雀大王」と名乗る妖怪が現れて、手当たり次第に「麻雀勝負」を挑み始めたのです。なにせ、麻雀を生きがいにしている「雀国」の人々が、挑まれた勝負を断るわけはありません。人々は、次々と麻雀大王に敗れ、着ていた服を剥ぎ取られた上に「二度と服を着られない呪い」をかけられてしまったのです。
 そして、このような状況を憂いた「大仙人」さまが、弟子の「鈴花(リンファ)」に麻雀大王討伐を命じたのです。

技を繰り出す鈴花

 PS版とPC版の大きな違いは、PS版が「二度と脱げない破廉恥な水着に変えてしまう」、PC版が「着ていた服を剥ぎ取られた上に『二度と服を着られない呪い』」をかけられてしまった」という表現です。すなわち、PC版ではいわゆる脱衣麻雀だったのですが、PS版ではそういう訳にはいかないので水着に着替えさせられるというというルールに変更されている訳ですね。ことさら性的描写に厳しかったPSで脱衣麻雀などもっての外と言うことです。

鈴花のバニーガールコスプレ

 元脱衣麻雀だけに、麻雀勝負で3回和了らないと勝利となりません。敵味方が一回和了るごとにお色気シーンとなるわけですが、PSだけに脱衣というわけにはいかず、1回目と2回目の和了りではコスプレCGが表示され、3回目で「呪いのうすぎぬ」を着せられて敗北するということになります。

鈴花のアンミラ風コスプレ

 この3回目の敗北確定の「呪いのうすぎぬ」時のグラフィックは、要するにPC版だと脱衣状態な訳なので、各キャラともとても恥じらいます。この表情がとてもいいのです。大事なのは、見せていることではなく、見せていることを羞恥する心ということでしょうか。真っ裸で仁王立ちされているより、ビキニを恥じらってうずくまっている女の子が可愛いではないですか。

鶴嘴千本?

 脱衣麻雀としてはボリュームがあって、ストーリーモード自体、キャラが非常に多くて遊び応えがある上、フリー対局ではストーリーモードで登場したキャラクターの中から、対戦相手を自由に選んで遊べます。

 味方キャラ三人もなかなか可愛いのですが、敵として登場するキャラも当然全員女の子です。例えば…

茉莉鈴(マリリン)と伽沙鈴(キャサリン)

 「茉莉鈴(マリリン)と伽沙鈴(キャサリン)」の姉妹。

金髪お姫様風イレーヌ

 「パツキン女王様のイレーヌ」

アラビア風のナルジス

 アラビア風のナルジス。

極貧少女。その名も赤貧公主

 なぜか関西弁の赤貧公主。その他にも沢山います。 

 麻雀部分は、二人打ち麻雀にしては結構辛口で、最初からの全力で殺しに来ます。普通にプレイすれば何度もコンティニューしながら進むことになるでしょう。しかし、お金さえあれば「神符」という「お札」を手に入れることが出来、各種の役を積み込みすることができます(安い物は「タンヤオ」や「ピンフ」。高い物は「大三元」や「四暗刻」のような役満)。

鈴花勝利

 要するにイカサマですが、この手のゲームにはつきものなので目くじらをたてることなく、強敵と戦うときには、素直に「神符」を使うのがよいでしょう。なお、それでも勝てないという場合、ツモる牌を任意に選べる裏技や、果ては天和ないし地和であがれるという必殺の裏技があります。

 なお、「呪いのうすぎぬ」についてはゲーム内で後日談が。

まっ裸で海に入っている鈴花(雷羅や彩燕すらも)

 ワシには会うとらんが、このとき雀国には、マルコ=ポーロとか申すヨーロッパの人物が、とう留しておったらしい。
 この者、呪いのうすぎぬに目がとまり、それを本国にもち帰ったらしいんじゃ。そこで、この妙ちきりんな衣装がなぜか大ヒットしてのう。
 それまでは、海にはいって遊ぼうと思う者は、鈴花たちのように、着物をみんな脱いで、まっ裸になるしかなかった。呪いのうすぎぬは、海で遊ぶ衣装としては、うってつけだったわけじゃな。
 2年もせんうちに、この衣装は、シルクロード経由で中国に逆輸入されたんじゃ。鈴花たちのように、大胆な娘ばかりではないからのう。海では遊びたいが、裸にはなりたくないという娘たちにとっては、朗報だったじゃろう。
 中国でも大ヒットしたこの衣装は、そのときには、水着…と、名を変えておった。

 ……ということで、やはり「呪いのうすぎぬ」は水着そのものでしたとさ(笑)。

リアル天仙娘々

 なおタイトルとなっている天仙娘々ですが、これは碧霞元君(へきかげんくん)という仙女(女神)の別名で、中国では泰山老母という名前のほうがポピュラーなようです。

九天玄女

 出世・結婚・豊作などの女神だそうで、その神通力は戦術と兵法を司る九天玄女(水滸伝にも登場する道教の仙女)とも互角に渡り合えるということです。

 Wikipediaにも記事がないという超マイナー作品なもので、記事を書くのにいつも以上に苦労しましたが、面白い作品ですよ。古い作品なので見つけるのも難しいかも知れませんが、機会があったらぜひプレイしてみて下さい。

PSP版

コミック版「ほしのこえ」を読む(その8)~本妻(ミカコ)一筋を決断したノボル。それでいいのか?

扉絵
 
 今日もわりと気温が低め。私にとっては快適だったのですが、肌寒いと感じた方も多いことでしょう。この寒気は半島の方からの殺気のせいなのでしょうか。物騒なものはとっととしまって静かに対話ができないものなんでしょうかね。国ごと中二病というのも困ったものです。

 さてハナキンかフキンかゾウキンかはさておき、金曜日になったので例によって「ほしのこえ」精読会を開催することにしましょう。え?冒頭の死語は何なんだ、ですか?ハナキンは「花の金曜日」で、デートとか飲み会とか楽しい夜が待っている場合、フキンはいわゆる「普通の金曜日」、ゾウキンは明日が出勤だったりするときの「がっかり金曜日」のことを指します。完全週休二日制が普及して以降は、ハナキンからハナモクになったなんて言われましたが、ハナモクの方はあまり流行らなかった気がします。

 さて今日はChapter.8です。終盤ですね。扉絵はミカコの横顔のアップ。無表情のような感じがします。

 地球にて。ノボルは宇宙工学科に編入するようです。高校にそういうのがあるんですね。これまでは普通科だったようですが。昇降口で待っていた若菜と一緒に、小雪がちらつく中を下校します。

でも行くんでしょう?

 時期が悪いし、何年かかるかわからないし、会える保証もないしと言うノボルに対し、直截的に「でも行くんでしょう?」と切り込む若菜。

別れの予感

 彼女はもうノボルの答を知っているかのような表情です。ミカコを羨む若菜。これは事実上、二人の別れを意味しています。

愁嘆場

 涙ぐむ若菜に謝ることしかできないノボル。若菜は花苗的ポジションになってしまいました。いい子なんだけどなあ。しかし、ミカコは何となく明里に比定したくないなあ(笑)。

 自宅で荷造りをするノボル。宇宙工学科に編入するにあたって寮に入ることにしたようです。ふと目に入った携帯で、ミカコにメールを打ちます。「遅くなったけど オレも宇宙を目指すことに決めました……何年かかるかわからないけど 会いに行こうと思います」なぜだろう、「秒速5センチメートル」を見てからだと嫌な予感しかしないのですが。

地球に帰還するヒサちゃん

 舞台は一転して宇宙。負傷者などは地球に戻ることになり、ミカコの友達だったヒサちゃんも帰還するようです。顔の左側に痛々しい傷がそのままですが、ほぼ通常通りの生活に戻ることができるそうです。ミカコとなるべく近くにいたいからと、地上勤務を希望するヒサちゃん。ここで意外な事実が。ヒサちゃんの負傷の原因はタルシアンの攻撃ではなく、味方の誤射だったようです。

 その頃、リシテアの個室にいるミワさん。ベッドで膝を抱えて窓の外を見ています。「争いを仕掛けたのは私たちの方だったもの……」とここでも意外なカミングアウトが。人類の調査隊は火星でタルシアンに攻撃されて全滅したとされてきましたが、実際には人類の方から先制攻撃したということでしょうか?

ミワの元カレの話

 もっといろいろ教えて欲しいところですが、ミカコが訪ねてきました。ミーティングがあるんだそうです。ミワの個室には一葉の写真が。微笑むミワさんと野郎が写っています。彼氏かと尋ねるミカコに、昔は、と答えるミワさん。ミカコより前から宇宙に出ているミワには、もうウラシマ効果が出ていて、元カレはおっさんになっているようです。それから怖くて地球に戻れないと言っていましたね。

ウラシマ効果

 ちなみにウラシマ効果は、SF的ガジェットではありますが、相対性理論で予言されている現象で、運動している状態によって時計の進み方が異なることを指します。特殊相対性理論では、物体が高速で移動するほど、その系における時間の流れが遅くなり、速度の上限は光速なので、光速に近い速さで運動する物体はほとんど時間の進みがないことになります。つまり光速に近い宇宙船で宇宙を飛び、何年か後に出発地点に戻ってきた場合、宇宙船に乗っていた人からみると、わずかな時間の間に出発地点にいた人が年を取っているという現象が生じることになります。

 この状態が、日本のお伽噺である「浦島太郎」において、主人公の浦島太郎が竜宮城に行って過ごした数日の間に、地上では何百年という時間が過ぎていたという話にそっくりであるため、日本のSF作品などではウラシマ効果と呼んでいるのです。ガイナックス制作の「トップをねらえ!」でも、主人公ノリコが宇宙に出撃して帰ってくると、周囲の人々の成長から取り残されてしまっている(自分は高校生のままなのに、友達は結婚して子供もいる)という悲哀を味わうシーンがあります。

「ごめん、キミコ!もう逢えない!!」

 まあ現在の地球の乗り物では、たとえ宇宙ロケットといえども体感できるほどの時間の差は発生しないでしょうが。

 莫大な時間を要するのに、それでもキミは待ち続けるのか?とヒサちゃんに尋ねる先生。「それが一番自分に納得できる行為だと思うから」と答えるヒサちゃん。その結論が間違っているとは誰にも言えません。しかし……「心は…変わるものだ…」(戸愚呂弟)。

ミカコとノボルの心が重なる

 “そう先は全く見えない けれど僕らは いつか出会えるその日まで 一人で大人になることを決めたんだ……”このノボルのモノローグでミカコとノボルの心は重なっているかのようです。「瞬間、心、重ねて」でしょうか?しかし、あくまで瞬間なんですけどね。

瞬間、心、重ねて

斉藤由貴の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その3):理紗が貴樹との別れを自覚した朝の夢

奥様はニャル子
 
 今日は気温が低めでした。朝なんかちょっと寒いと感じたり。冬を思えばどうってことないんですが、暖かい日が続くと柔になってしまうのですね。

ヤマンソドットコム

 昨日ブログを更新してから「這いよれ!ニャル子さんW」を見たんですが…いやあ、予想の斜め上を行く弾けっぷりで大変おいしゅうございました。多分繰り出すギャグの半分も判っていない気がしますが、判っただけでもパロディてんこ盛りで、まさか終わったばかりの「ささみさん@がんばらない」まで繰り出してくるとは思いませんでした。中の人つながりで面白かったですが、連続して饒舌キャラとはあすみん大変ですね。それでも演技の質の高さは、さすが声優アワード主演女優賞は伊達じゃないというところでしょうか。クトゥルー神話普及のために頑張って貰いたいものです。

ニャル子「圧倒的じゃないですか!地球のエンターテインメントは!!」クー子「あと10年は戦える」壺持ってるし

 クトゥルー神話といえば、いっそ「クトゥルー教」という宗教でも立ち上げたらどうでしょうかね。欧米なんかで私の宗教はクトゥルーですなんて言ったらどういう反応が返ってくるのか。おそらく、一神教徒にとっては、クトゥルーの旧支配者達というのは、信仰や教義、果ては彼らのアイデンティティに対しての脅威であり、そういったものが揺さぶられるというところに恐怖の源泉の一つがあるのではないかと思うのですが、日本人の大部分は確固たる宗教観を持っていないので、旧支配者といっても外なる神といっても、いわゆる八百万の神の一種のように捉えるので、クトゥルー神話をホラー小説としては楽しんでも、それはリングとか呪怨とかいう恐怖小説と大差ないものなのでしょう。

多分「人類は衰退しました」のパロ

 女神転生シリーズの一つである「ペルソナ2」ではニャルラトホテプがラスボスを務めていましたし、「デビルサバイバー」では悪魔合体で作り出せる仲魔としても登場していました。こういったところも、日本人はクトゥルー神話を他の多くの宗教と同一視して扱っている証拠といえるのではないでしょうか。果ては萌えクトゥルーなんてとんでもない作品まで繰りだしてくるのですから、この懐の深さは他民族にも見習って欲しいくらいです(笑)。

「まだです!まだ終わりませんよ!!」クワトロ大尉

 さて話はがらっと変わって本日も昨日に続いてまたもや妄想「秒速5センチメートル」です。昨日は水野さんに哀しい悪役をやらせてしまったので、今回はあまり妄想の余地なく、水野さん(以下、理紗と呼びます)が思う、恋人のはずの貴樹との距離感についての歌を紹介したいと思います。



 これは理紗と貴樹が交際している間というか、やはりもうダメだと思い始めたころの心情だと思って下さい。そう、第三話の「1000通のメールのやりとりをしても心は1センチくらいしか近づけませんでした」というメールを送る直前の頃です。貴樹のモノローグによれば、3年間付き合っていたそうですし、一瞬ですが同じベッドで寝ているシーンもありましたので、深い関係にあったことは間違いありません。コミック版によれば理紗は処女だったみたいです。
帰宅した理紗

 ここで聞いていただきたいのが、斉藤由貴の「morn~透明な壁~」です。この曲は、1988年3月にリリースされた6thアルバム「PANT」に収録されており、作詞は斉藤由貴自身です。斉藤由貴の作詞は玄人はだしで、リリースしたアルバムにも多数収録されていますが、実体験かなと思えるような詞もあったりします。これは…どうなんでしょうかね。

 ちなみにmornはmorningとイコールで、朝とか暁という意味です。PANT収録曲では、「三年目」を斉藤由貴の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その1)で使用しました。ずばり、傑作アルバムでしょう。それでは聞いてみて下さい。

 YouTube版です。静止画は“透明な壁”のイメージなのでしょう。

透明な壁のイメージ

 http://www.youtube.com/watch?v=UEBrx-_J5LM

 朝目覚めた 夢をみた

 何かを知らせるような

 背中のすじ 手のひらに にじんでた汗

 
 詞のせいか、倒置法を多用しています。理紗の見た夜明けの夢は、ある予感をもたらしたもののようです。

 むかいあい立つ二人 水平に平行に

 けれどはっきりあいだ 隔てる透明な壁


噴煙が分断する光と影
 
 交わらない川と線路、電線で分断された月…「秒速5センチメートル」にはそういった「別れ」を暗示するモチーフが多数登場しますが、理紗の見た夢も、決して結ばれない二人というイメージのようです。

 夜より深く青い空 日差しをかえす海に
 
 そびえたつ 透明な壁 冷たく果てしない

 
 理紗と貴樹を隔てる壁は透明ですが、決して破ることも越えることもできない圧倒的なもののようです。

二人を隔てる踏切

 あなたといるとやすらぐの

 咲き初めのバラのように

 微笑んでも 求めても わからない人


 貴樹と理紗は感性は合うのでしょう。貴樹の優しさは安らぎをもたらしてくれます。しかし、それ以上のものを望んだ場合、貴樹は決して与えようとしません。しなを作ってもほのめかしても。貴樹の本心がどこにあるのか、何を考えているのか、どんなに親しくなっても彼は教えようとしません。

水平に平行に

 交わらぬ道のよう 水平に平行に

 目的や理想のこと話せる でもそれだけね


 貴樹は友達としては良い奴なんですよ。しかし、その接する誰に対してもの優しさは、恋する者にとってもあまりにも残酷な甘さといえるでしょう。

 私の仕草や言葉で あなたは傷つかない

 心には透明な壁 恋とは呼べない恋


電線が分断する月

 結局理紗は本当の恋人ではなかったのです。理紗は確かに貴樹に恋していたでしょう。しかし理紗が心をどんなに開いても、全てを捧げて愛しても、貴樹は等量のものを理紗に当たることはありません。また、理紗を失ったとしても痛手を受けることはないのです。それは、貴樹の心のがっちりと掴んで離さない「永遠の少女」のせい……

 そびえたつ 透明な壁 決して触れ合えない

 貴樹の心とは決して触れ合うことはない……そうはっきり自覚して、理紗はさよならのメールを出したのでしょう。

 斉藤由貴といい南野陽子といい、バブル前夜デビュー組の歌には良い作品がそろっています。これからも折に触れて妄想がてら紹介していきたいと思います。

斉藤由貴の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その2):理紗の哀しい裏切り

風夢
 
 5万アクセスに到達しました。まいどご贔屓に。4万アクセスが2月19日だったので、およそ50日で1万アクセスです。ということは一日平均200アクセスというところですね。あと一ヶ月で一周年なのですが、アクセスカウンターが起動したのが8月31日だったので、カウンター的にはまだ8ヶ月足らずです。今年の8月31日までにどこまで行くのでしょうか。現状のペースなら8万アクセス足らずといったところでしょうが、目標は8万アクセス超えとしておきましょう。まあ目標を上回っても下回っても特にご褒美もペナルティーもありませんけどね。

 さて今日は、またもや妄想「秒速5センチメートル」を展開したいと思いますよ。先週は南野陽子だったので、今週は斉藤由貴が適当でしょう。今回の妄想は、明里と水野さんが高校のクラスメートだったらという設定です。例によって種子島と岩舟はなしです。ただ、東京でというより、山梨か長野あたりの設定が都合がいいなあと思います。

明里その1

 高校で同じ文芸部になった明里と水野さん(バランス上、以後は理紗と呼びましょう)。たちまち意気投合して親友になりました。中学ではバスケット部に入っていた明里ですが、おかげで体力が付いたので、高校では満を持して好きな読書を思う存分堪能している訳です。そしてちょくちょく明里を訪ねてくるのが、弓道部の貴樹なのでした。二人とも転校しなかったので、同じ私立中学から高校に進んでいます。理紗は高校から入学したのでしょう。

水野理紗その1

 性格的に似通ったところのある明里と理紗。理紗も貴樹と知り合いになりますが、当然男の趣味のごく近いのでした。明里の恋人と判っていても、日に日に募る想い。もちろん理紗は二人の前では自分の気持ちは隠しているのですが、その忍耐も次第に苦痛になっていくほどに燃え上がる恋心。そんな状態で、ある日理紗はばったり貴樹と会うのでした。そこで貴樹から、明里への伝言を頼まれた理紗は……

水野理紗その2

 ここで斉藤由貴の「ひまわり」です。「ひまわり」は、斉藤由貴の4thアルバム「風夢」(1987年4月21日発売)に収録された作品で、作詞は谷山浩子です。とりあえず聞いてみて下さい。

 YouTubeから。画像はまさしくひまわりのみです。 

ひまわり

 http://www.youtube.com/watch?v=ifA1RBC13ms
 
 アイマスの如月千早が歌っています。ニコニコ動画ですが。

ひまわりを歌う千早

 http://www.nicovideo.jp/watch/sm20567849

 ひまわり私を隠して あの人の視線から

 天使の折れた翼

 彼女にあなたからのメッセージ

 伝えたと言ったのは 嘘なの

 初めてあなたについた


弓道部合宿中
 
 季節は当然夏。文芸部の活動は夏休みも続いています。弓道部の合宿から戻った貴樹は、学校に行って明里と会おうと想っていましたが、偶然理紗と会ったことから、合宿疲れもあって伝言を頼みました。多分ごく気軽にだったのでしょう。理紗もさりげなく頼みを聞いたのですが……なんと理紗、実際には告げなかったようです。友達になんてことを。

 今あなたはひとり 高原の駅に立ち

 来ないあの娘を待っている

 背中にまぶしく 光る夕焼けを

 私 遠くから見てたの

 
 高原の駅で一人明里を待つ貴樹。夜行列車にでも乗るのでしょうか。そして海かなんかに行くつもりなのか?女子高生明里の水着姿はちょっと見てみたいですね。もちろん人妻明里の水着姿もたまらんですが。待ちぼうけを喰らっている貴樹を、こっそり物陰から見ている理紗。「ごめーん、待ったー?」なんて明里の代わりに明るく出て行くわけにも行かず。理紗持ち前のストーカー気質が炸裂しています。

 今頃彼女は何も知らず あなたを想ってる

 いつもの図書館の椅子で

 
図書館だ!ここは図書館なんだ!

 貴樹のメッセージを聞いていない明里は、いつものように図書館で夏休みの宿題を片付けています。貴樹君、合宿が終わったから今日は会えると想ったんだけどなあとか想いながら。

 ひまわり 今なら間に合う

 自転車を走らせて
 
 でもダメ足が動かない


明里その2

 今理紗が真実を伝えて謝れば、とりあえず貴樹の待ちぼうけは解消されます。しかし自分のしでかしたことの重大さが理紗の足をすくませています。

 携帯で連絡すれば……とも想いますが、「秒速5センチメートル」においては、貴樹の携帯はメールの草稿書きにしか使えないのです(笑)。「ひまわり」のリリースされた1987年当時は一般にはまだ携帯は全然普及していなかったので、ここでは携帯普及前と考えて下さい。「桜花抄」で貴樹の部屋にはスーファミがあってプレステはありませんでした。あれが90年代初頭だとすると、高校時代は96-98年。まだ高校生が携帯を持ってなくても不思議ではない頃ではあります。

明里その3

 今発車のベルが あなたを急がせてる

 黒い鞄を手にして

 もう一度振り向き あなたは耳をすませた

 だけど風が空で歌ってるだけ

 今 発車のベルが あなたを急がせている

 
 岩舟では明里は夜中まで貴樹を待っていたんだぞ、お前も待てやと言いたいところですが、この時間軸では「雪の一夜」はありません。ギリギリまで待った貴樹ですが、明里は来ない。来るはずもないとは知るよしもなく、貴樹の心に去来するのは怒りか諦めか悲しみか。

 今頃彼女は何も知らず あなたを思ってる

 いつもの図書館の椅子で

 サヨナラつぶやいた

 ひまわりに隠れて


コミックの水野理紗
 
 今は発覚しなくてもいずれはばれる嘘。理紗はどんな顔をして明里に会うつもりなのでしょうか。この程度のすれ違いは、きっと貴樹と明里にとっても何の障害にもならないでしょう。案外二人は誤解の原因を語り合う中で、理紗の気持ちを忖度し、さほど怒らないかもしれません。或いは何事もなかったかのように振る舞ったりするかも。しかし、一つだけ判っていることは、貴樹も明里ももう二度と理紗に伝言を頼んだりしないだろうということです。

コミックの理紗と貴樹

 明里がいる以上、貴樹は決して理紗を顧みません。それは理紗にも十分判っていたはずです。判っていても、二人の恋路を邪魔せずにはいられなかった理紗の哀しい心。「サヨナラ」は貴樹に対してなのか、それとも貴樹への恋心に対してなのか。そして君の哀しみを受け止めてくれる人は誰もなく……

ベッドの貴樹と理紗

ライオンハート:恩田陸が描くロマンスの極致がここに

ライオンハート
 
 暴風はどうやら収まったようですが、汚染水が漏洩するとかミサイルが飛ぶとか、物騒な話題に事欠きませんね。平和は日本はもう戻ってこないのでしょうか。当ブログはなるべく平和ボケした話題でやっていきたいと思っています。疲れたあなたのオアシスになれたら……いや、なれやしないか(笑)。

 それはさておき、本日は恩田陸の「ライオンハート」です。私も好きな「麦の海に沈む果実」はかなり人気作のようで、いまだに拍手をいただいたりしていますが、本書もまたロマンチックの極致のような作品です。きっとファンも多いのではないでしょうか?

リチャード1世

 “Lion Heart”は英語の慣用句で「勇敢な心」を意味するほか、イングランド王リチャード1世(1157年9月8日~1199年4月6日)の異称でもあります。

 この人は生涯の大部分を戦闘の中で過ごし、その勇猛さから獅子心王(Richard the Lionheart)と称されました。中世ヨーロッパにおいて騎士の模範とたたえらましたが、10年の在位中イングランドに滞在したのはわずか6か月だけで、その統治期間のほとんどを戦争と冒険に明け暮れたというすごい王様です。

らいおんハート

 またSMAPの楽曲に「らいおんハート」(2000年)というのがありますが、リリースは8月で、本書の単行本発行が同年12月なので、さすがに「らいおんハート」の影響というのには無理がありますね。

ケイト・ブッシュのライオンハート

 あとがきによると、本書はケイト・ブッシュのセカンドアルバム「ライオンハート」(1978年)及び収録曲の「ライオン・ハート」(原題は“Oh England My Lionheart”)に影響をうけています。そういえば物語の始まりも1978年です。タイトルのとおり、「ああ、イギリス、私の獅子の心」(“Oh! England, My Lionheart ”)のフレーズを何度も繰り返しています。いい曲なので、良かったらどうぞ。

Oh England My Lionheart

 http://www.youtube.com/watch?v=Ydls3iAcs0A

 それでは例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ……。17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、20世紀のパナマ、フロリダ。時を越え、空間を越え、男と女は何度も出会う。結ばれることはない関係だけど、深く愛し合って――。神のおぼしめしなのか、気紛れなのか。切なくも心暖まる、異色のラブストーリー。

 本書はけっこうボリュームのある長編ですが、5章立てで、それぞれ年代や場所が異なっています。一番古くは1603年、一番新しいのは1978年。しかし物語のラストシーンは1855年ということになるでしょうか。

 エリザベスとエドワード。男女二人の魂は、生まれる前から、死んだ後まで、常にお互いを求め合って彷徨います。待ち望んだ出会いは歓喜をもたらしますが、それは長い時の中ではごく一瞬です。しかもどんなに愛し合っていても、決して結ばれることのない関係。

 さらに、お互いの輪廻転生の順序は食い違っているらしく、初めての出会いが同じ時間と場所ではないというのも、彼らの出会いを複雑なものにしています。エドワードが初めてエリザベスに出会うのは1932年ですが、12歳の美少女エリザベスは漸く会えたという喜びで一杯であるものの、青年エドワードは多額の負債で学業も放棄してお先真っ暗という状態です。一方、エリザベスがエドワードに初めて出会うのは1978年で、その時エリザベスは20代半ばの美女、エドワードは66歳の老教授となっています。その年齢差はどうしたことだ?と思われるでしょうが、1932年のエリザベスはエドワードの命を救って代わりに死んでしまうのです。すなわち、1978年のエリザベスは生まれ変わりと言ってもいいでしょう。

 そう、これは転生を繰り返す二人の魂の物語なのですが、転生の順番はばらばらなんです。その発端は1603年にあるのですが……。その謎についてはぜひ一読していただきたいと思います。本書は素晴らしくロマンチックなラブストーリーなので、お好きな方は絶対はまります。

 魂は全てを凌駕する。時はつねに我々の内側にある。
 命は未来の果実であり 過去への蘆舟である

 これは19世紀半ばのフランスに生まれたエドゥアールが、祖父の日記の末尾に見つけた一文です。これだけでは意味が良く分かりませんが、全部読むと、「ああ、なるほど」と思うことになる訳です。

 各章は絵画から名付けられており、同名の絵画とセットになっています。

 第一章「エアハート嬢の到着」

エアハート嬢の到着

 雨の中、アメリカから飛行機で渡ってきたアミリア・エアハートの到着を待ち受ける人々を描いた作品です。

 12歳の美少女エリザベスは重篤な病に罹っていてもう長くはない体ですが、失意の底に沈むエドワードと出会うために病をおして外出します。しかしこの時、エドワードはエリザベスとの初めての出会いだったため、仕方がないのですが、後から見ると極めて冷淡な態度を取ります。

 未来に出会う話をしても、エドワードを全く信じません。未来の彼は著名な大学教授になっているというのですが、八方塞がりの今の彼にそんな未来が信じられないのは仕方ないことなのかもしれません。失意のエリザベスは、しかし最後にトラックに轢かれそうになったエドワードを救います。今際の際に渡したハンカチには“from E. to E. with love ”の刺繍が。

第一章のエリザベスのイメージ

 それがどうして始まったのかは分からない。
 神のおぼしめしなのか,気紛れなのか,手違いなのか。

 私たちは何度も出会っている。結ばれることはない。
 でも,離れた瞬間から,会う瞬間を待ち続けている。

 生まれる前も,死んだあとも。

 いつも,うれしかった。
 覚えていてね,わたしのライオンハート…。

 第二章「春」

春

 フランスの画家ミレーが目撃する1871年のエドゥアールとエリザベトの邂逅の物語。

 戦争で負傷したエドゥアールは、祖父の日記で見たエリザベスとの出会いの光景を求めて軍を脱走します。そして現れた女神のようなエリザベトとの歓喜の出会いの瞬間。しかし、エリザベトは一週間前に意に沿わない結婚をしていたのでした…。

 どんなに愛し合っていても、決して結ばれない運命の二人。今度はエリザベトを落雷から救ってエドゥアールが命を落とします。ミレーが描いたのは、エリザベス(エリザベト)が現れる寸前の光景だったのでした。

 第三章「イヴァンチッツェの思い出」

イヴァンチッツェの思い出

 主人公は妻を殺された実業家です。パナマのホテルで居合わせた人々の中に犯人がいるのですが……。推理小説という訳ではなく、不思議な運命の巡り合わせという話でしょうか。ここでもエドワードとエリザベスは出会うことになるのですが、それは直接描かれていません。老いたエリザベスと若いエドワードの邂逅はやはり非常に短いものだったでしょう。

 第四章「天球のハーモニー」

天球のハーモニー

 1603年のエリザベス1世の物語。エリザベスとエドワード、二人の魂の彷徨の発端が描かれます。しかしここが二人の出会いの始まりというわけではないというのが、この物語の不思議なところです。

 どうして二人が互いに強烈に求め合いながら、決して結ばれないのかの理由もここで説明されます。

 いつもあなたを見つける度に、
 ああ、あなたに会えて良かったと思うの

 いつもいつもあなたに会った瞬間に、
 世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ

 第五章「記憶」

Memories (Lawn Tennis) by Fernand Khnopff

 1855年のオックスフォードでの物語。これは第二章のエドゥアールの祖父の物語です。これは見方によっては二人が結ばれた初めての事例とも取れますが、二人が互いを認識するのが死の直前という意味ではやはり結ばれていないとも考えられます。

 私はその人を愛していた。ずっと昔から。
 ほんの少ししか会えない人なのに。
 いつも悲しい別れが二人を待ち受けていると知っているのに

 私たちはいつも出会う。時を超えて、場所を超えて。
 その短いひとときのために自分の人生を生きてきたの

 二人の関係は悲恋なのでしょうか。しかし、「このために生きてきた」という、人生の意義を見つける瞬間があるなんて、ある意味羨ましいとも言えますね。

 私にとってのエリザベス。それはもしや……あなたなのか?

単行本

 

ちはやふる2(その3):惜敗の瑞沢高校。楽しくも悔しい戦いに涙する千早

無心の千早
 
 春の嵐は各地に大きな傷跡を残したようです。被害に遭われた方は誠にご愁傷様です。何となく年々日本の気象が過激になっているような気がします。これも温暖化の余波なのでしょうか。原発廃止も一つの考え方ですが、その代替案が火力発電への回帰であると、地球温暖化を促進してしまうような。いきなりダイソン球殻というわけにはいきませんが、技術革新は必須でしょう。

第5首 なほあまりある むかしなりけり

 さて、そんな話とは全く関係なく、ちはやふる2のレビューを始めるとしましょう。今日は5話と6話です。まずは第5首「なほあまりある むかしなりけり」。

決勝戦に向けて星飛雄馬状態の千早(5話)

 さて東京都大会の決勝戦に進んだ瑞沢高校。今年は東京から2校が全国大会に出場できるということで、既に大会出場は決定しているのですが、千早は優勝に向けて気合い十分です。まあ東京で優勝できなきゃ全国で優勝出来るわけがないというのがロジカルな理屈なのですが、実際には往々にしてそうではないというのが勝負の不思議なところです。

姉NTR?

 例によって決勝の相手は強豪北央学園ですが、なんと太一のライバル・ヒョロ君の彼女は肉まん君のお姉さんであることが判明。お互いないものを求め合っているのでしょうか?しかしどうやって知り合ったのやら。

肉まん君大ショック!

 他の面々はいざ知らず、肉まん君は大ショック。NTRか?NTRなのか?個人的には誰と付き合おうが気にならない姉のような気がしますが…弟にとってはそうはいかないということでしょうか。この肉まん君の動揺が勝負に大きな影を落とします。

再犯の筑波容疑者

 そんな中、またもやメンバー表書き換えが発覚する筑波。お前というヤツは……。正直ブログの面汚しなんで筑波という名前は止めて欲しいです。

麗子ママンと太一

 キレた太一、「でも」「だって」禁止の部長命令発動です。男子部員だけというところがフェミニストというか何というか。実は太一自身、小三の頃からママン(千早曰く「ミセス・プレッシャー」の麗子さん)から申し渡されていたとか。

ヒョロ君に詰め寄る甘糟主将

 さて決勝戦。北央の主将甘糟那由太はヒョロ君の「ひょろっとカード」の予測により、効率の良い勝負を指向しますが、なんとヒョロ君が反逆。占い結果を偽って、千早-甘糟、太一-ヒョロという対戦を実現させます。激怒する甘糟に対し、ヒョロ君は「東京で一番強いのは北央学園!何より俺はそれが見たいんだ!!」と啖呵を切ります。格好いいぞヒョロ君。そこに肉まん姉も惚れたのか!そうえば肉まん姉、西田 優華璃(ゆかり)という名前だそうです。この名前は姿にそぐわなすぎる(笑)。

強い北央が見たいんだ!

 ただ、格好はいいけど、戦術的には甘糟の言っていることはもっともです。「ひょろっとカード」というオカルトアイテムを平然と出してくるところはどうかと思いますが、孫子曰く「彼ヲ知リ、己レヲ知レバ、百戦シテ危ウカラズ」(謀攻編)。情報を入手・分析して最善の手を打つことは戦いならば当然のことでしょう。そしてベッケンバウアーも言っているとおり、「強いチームが勝つのではなく、勝ったチームが強いのだ」なのです。一番強い北央学園が見たければ、勝つために最善を尽くすべきだと思います。心情的には高校生らしい熱いシーンですが、兵法的には落第ですね。孔明の罠に陥るタイプでしょう。

一方の高校の関係者がやることはフェアなのか?

 そこて読手として北央の前主将・須藤登場。瑞沢のみならず、北央の面々をも凍り付かせています。

 ここも疑問なんですが、対戦校の一方と特殊な関係がある人物を起用するのって、フェアなんでしょうかね?この起用にクレームを付けるとどうなるんでしょうか。今回は北央の面々も知らなかったみたいですが、事前に読手が分かっていたら、何らかの打ち合わせで有利に勝負を進めることも可能なような。このあたり、かるた人口が少ないということもあるのでしょうが、日本語であるというだけでなく、かるたの国際化を阻害する要因なような気がします。仮に柔道のように競技かるたが国際化した場合、合理化が徹底されるでしょうから、もめる場面の決着の付け方や、空札の排除、読手の公正さなんかは厳しく定められることでしょうね。まあかるたが国際化する機運は当面ありませんけど。

襷掛けで機動力向上

 余談はさておき、女帝の差し入れた襷をかけて、冷却性と機動性を向上させた瑞沢高校の面々、いよいよ勝負です。

惨敗肉まん君

 熱い勝負が展開される中、早くも決着が付いた対戦が。なんと千早と並ぶA級のポイントゲッター・肉まん君が13枚差で惨敗です。相手もA級でしたが、優華璃NTRの精神的ダメージのせいなのか。優華璃と書くと可愛い彼女でも奪われたのかと思ってしまいますが、あくまで肉まん姉ですからね。

ショックの瑞沢高校の面々

 この一敗が瑞沢高校に重くのしかかるのでした。しかし諦めず勝利に向かおうとするメンバー一同。特に千早は、クイーン・若宮詩暢の正確さと名人・周防久志の「感じ」の良さの二つを併せ持とうとしています。二兎を追う者は一兎をも得ずとか、虻蜂取らずといった諺を思い出すのは私だけでしょうか。

名人とクイーンの能力を併せ持つ?

第6首「たつたのかはの にしきなりけり」

 続いて第6首第6首「たつたのかはの にしきなりけり」。

説明は難しいので本編を見て下さい

 決勝戦の続きです。机君もかなちゃんも頑張って、戦況はほぼ五分。それだけに肉まん君の早すぎる一杯は厳しい。とうとう4組とも持ち札一枚ずつの運命戦となりますが、試合巧者の北央は、反則すれすれの手口で戦況を有利に持ち込みます。玄人から見て反則すれすれという「札わけ」は平気でやるのに、「ひょろっとカード」の結果を活用するのは卑怯だと感じる、ヒョロ君の感性がよく分かりません。「ひょろっとカード」はオカルトだから、誰も正面切って批判できないのに。

必敗のシフトに気付いて焦る千早

 体勢が完成してからようやく気付いて焦る千早。しかしまだ諦めない!千早の素振りに太一も呼応します。部長とキャプテンだからというより、千早Loveのなせる技か。しかし、普段と違う太一に焦ったヒョロ君、まさかのお手つきで敗北。

自爆するヒョロ君

 これで一勝一敗ですが、強い北央が見たいと言っておいて自分が負けるというのは相当格好悪いです。強い選手が勝つんじゃない、勝った選手が強いんだ!一勝一敗の五分に追いついて意気上がる瑞沢。しかしまだ「札わけ」の有利さは北央にあるのです。

敵陣を取りに行く千早

 結局残り3人は、いずれも自陣の札を取り、3勝2敗で北央がリベンジ。千早は果敢に敵陣を抜きに行きましたが、札に触ったのが同時だったため、自陣側の取りになってしまいました。このあたり、競技かるたは純和風の競技というか、性善説に基づいた競技というか、競技としての体系付けがまだ未熟な気がします。同時なら、果敢に攻めていった側が取ってもおかしくない気がしますし、なんとなればフェンシングみたいな機械判定も必要になってくるのでは。千早は潔く引き下がったけど、ユーミンだったら小一時間は揉めるところです。

負けても挨拶できるようになった千早。でも哀しい……

 この間、須藤がちょろちょろしているのですが、私は糸目男爵が嫌いなのでことごとくパス。本家の糸目男爵は良い奴なのになあ。だいたい大学に進学しているので、大学のかるた部かなんかに入っているんでしょう、こいつは。それなのに母校にちょっかい出しているということは、大学で上手くいってないのではないでしょうか。

一番楽しかった

 勝負には負けたけど、一番楽しかったという千早。爽やかでいいですね。まあこれも全国大会出場が決まっているが故の余裕とも解釈できますが。

新のメール

 しかし、太一と帰る電車内で新からメールが。

号泣する千早

 それを見て忘れいていた悔しさを思い出して号泣する千早。千早はよく泣くから今さら太一も驚きませんが、そりゃ負ければ悔しですよね。千早はよく負けます。しかし敗北から這い上がって成長することろがいいんですよね。太一もそう。というか、瑞沢のメンバーは全員敗北から学んでいく姿勢があるので、肉まん君も次回の成長に期待です。優華璃は諦めましょう(笑)。

 今回の顔芸集は、なんと千早はなし。千早の顔芸のない「ちはやふる」はクリープを入れないコーヒーみたいですな。

菫ちゃんの情報に激怒する太一・机君・かなちゃん(その1)

 菫ちゃんが聞き込んだ甘糟の発言に激怒する太一・机君・かなちゃん。千早と肉まん君は捨てて残り三勝すれば勝ちという、当然の戦術なんですが…

菫ちゃんの情報に激怒する太一・机君・かなちゃん(その2)

 まあ弱敵認定されたらそりゃ怒りたくもなりますね。実際勝負では大健闘した3人でした。

須藤襲来(その1)

 須藤が読手をやるということで凍り付く瑞沢高校の面々。彼と千早は因縁がありますからね…

須藤襲来(その2)

 しかし、もっと凍り付いている北央学園の面々。どんな主将だったんでしょうか。人望がないことは確かですね。

ヒョロにハートを打ち抜かれる優華璃

 ヒョロ君の発言にハートを打ち抜かれた肉まん姉こと優華璃。本人達は大まじめなんでしょうが、存在自体がお笑いという二人。ラブシーンは映像化しないでね。

ボイン重そうなのにと言われたかなちゃん
 
 「ボイン重そうなのに」という北央の選手の発言に激怒するかなちゃん。これはセクハラで問題視すれば反則負けでもおかしくないレベルです。少なくとも口に出して言うことじゃない。そもそも「ボイン」なんて死語じゃないのでしょうか?

時生:息子が父を導くタイムスリップ譚

時生
 
 今日は出かける用事があるので早朝更新です。しかし…雨はあがったけど風が強くなってきました。無事に外出できるのか不安ですが、やるべきことはやっておかねば。

 さて、本日は東野圭吾の「時生」(トキオ)です。SFファンタジー小説で、2002年7月に「トキオ」のタイトルで講談社から単行本が発行され、2005年8月に講談社文庫版が発行された際に「時生」に改題されました。10年以上前の作品ですが、漸く手にすることが出来ました。東野圭吾の作品は、図書館で見つける度に片っ端から借りるのですが、いまだ未読の作品が多いので、生きる縁にしようかと思います。
 
 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 不治の病を患う息子に最期のときが訪れつつあるとき、宮本拓実は妻に、二十年以上前に出会った少年との想い出を語りはじめる。どうしようもない若者だった拓実は、「トキオ」と名乗る少年と共に、謎を残して消えた恋人・千鶴の行方を追った―。過去、現在、未来が交錯するベストセラー作家の集大成作品。

韓国語版

 ここでは不治の病はグレゴリウス症候群とされています。これはおそらく作者の考案した架空の病気でしょう。遺伝病で、思春期以降に発病し、運動機能を徐々に失って寝たきりになり、内蔵機能が低下し、意識障害が発生して死に至ります。X染色体に欠陥遺伝子が乗る伴性遺伝病で、女性はX遺伝子が二つあるので発症することは少なく、大半の患者は男性という病気です。

 巧実はこの病気のキャリアである麗子と、子供を作らない約束で結婚し、避妊の不注意で妊娠すると、生むよう説得します。生まれた子供男の子で、時生と名付けられ、案の定15歳で発病することになります。

 物語は時生の死の間際から始まります。意識の戻らない時生の入院する病院の深夜の待合室で、巧実は20年前に起きた不思議な事件について麗子に語り始めるのです。

時生の名言その1

 ストーリーの大半は、巧実の23歳の頃のものです。内容紹介にあるとおり、どうしようもない青年でした。確かに同情する余地はあるのです。生みの母から里子に出され、養父母を本当の両親と思って成長した巧実は、高校入学の際に戸籍謄本を見て真相を知ります。以後も何事もないかのように振る舞う家族でしたが、ストレスで養父が浮気や事故を引き起こし、家庭の空気は冷え切り、家族はバラバラになってしまいます。高校卒業と同時に家を飛び出した巧実は、職を転々とし、どれもこれも長続きせず、生まれを呪い、世を恨んで、努力も我慢もせず、一発当てることだけ夢想しています。

 生みの母は再婚し、名古屋で大きな和菓子店を営んでいるのですが、自分を捨てた母への反発から、重病でもう長くないと知らされても会いに行こうとはしません。

 そんな状態の巧実の前に姿を現したのが、トキオです。理解できないことばかり言ってはつきまとうトキオと寝食を共にしながら、二人は徐々に打ち解けていきますが、恋人の千鶴の失踪を機に、巧実の運命は大きく変わっていくのです。

時生の名言その2

 読者にはすぐに判明することながら、トキオは巧実の息子の時生です。トキオの魂は時間を遡り、過去に戻ったのでしょう。肉体は?という疑問が湧きますが、これについてはラスト付近で説明がつきます。

 自分の知っている父はかなり立派な人だったのに、時生が会った独身時代の巧実は若気の至りとはいえあまりに粗暴、無頼、無礼、無教養、無責任で時生も呆れかえっています。しかし息子だと言っても信じる訳もなく、時生自身も17歳の若者なので、劇的な解決法も思い浮かばないままに、何とか若き日の父を正しい方向に導こうとするのですが……

 時生は母麗子と結ばれる以上、当時の恋人である千鶴とは結ばれないことを知っていますが、失踪した千鶴を探すという巧実を止めることができません。おまけに謎の組織が絡んできて、千鶴の失踪に大きな影がまとわりついていることが示唆されます。時生としてはなるべく巧実に無事でいて欲しいのですが、未来を信じない・未来を受け止められない巧実は短絡的行動を繰り返していきます。

時生の名言その3

 時生の登場は、過去の改変にはならなかったようです。実は彼はラスト付近で過去改変の危険性を承知である大事件を防ごうとするのですが、歴史は全く変わりませんでした。しかし、巧実は思うのです、トキオのおかげで死傷者の数は減っていたのではないかと。そして、歴史は変わっていないかも知れませんが、トキオがいたことで、現在の巧実があるというのも間違いのないことなのです。

 そして、あの時のトキオが時生なのではないかということも、時生の死ぬ寸前に思い出すのです。この辺りはタイムパラドックスが起きないような仕組みがあるのかも知れません。実は母の麗子も、上記事件に巻き込まれているのですが、無事脱出できた背景にはトキオの活躍があったことを思い出しますが、それも同様に時生の今際の際です。

 巧実はトキオに反発しつつも、名古屋・大阪と旅をしながら次第に成長し(はっきり成長が感じられるのはラスト付近で、それまでは相変わらず短絡的なバカ一直線ですが)、漸く大人への道を一歩踏み出します。

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 千鶴との別れを受け入れ、真面目に働き、生みの母にもきちんと会い、実の父の身の上も知る…負うた子に教えられるという諺がありますが、生まれてもいない子供に導かれるというのもなかなか得がたいというか情けない経験というべきか。

 本書のキャッチコピーは
・ あの子に訊きたい。生まれてきてよかった?
・ 明日だけが未来じゃない
・ 悩む妻に夫が語る、過去からの伝言

 東野作品を語るとよく行き当たるのですが、本書も映像化されていました。「トキオ 父への伝言」のタイトルでテレビドラマ化され、2004年8月30日から9月30日までNHK夜の連続ドラマで20回に亘って放送されました。巧実をTOKIOの国分太一が、トキオを嵐の櫻井翔が演じています。TOKIOだけに、国分太一がトキオの方がいいという気もしますが(笑)。

NHKドラマ

 2004年から25年前に当たる1979年にタイムスリップした拓実(国分太一)の息子・トキオ(櫻井翔)が、25年前の拓実の恋人であった千鶴(富田靖子)を探し、列島縦断の旅に出て、共に1979年の世界で生活をしていくといくというストーリーらしく、タイムスリップの期間とか、時生の年齢とか、細部には若干相違があるようです。が、舞台が1979年というのは同じなんですね。日本ダービーでのカツラノハイセイコーの勝利を覚えていたことで交通費を稼ぐことができたという設定上、過去の年代は同じにしないといけないのでしょう。

 悲しい物語ですが、時生の死の間際に至って、時生の過去の活躍を思い出した二人は、多分さほど悲しまなくて済むでしょう。少なくとも、彼は生まれてきて良かったと思っていることが明確に分かるので。肉体は死んでも魂は滅びず、再び旅に出かけている、そう思えるようなラストは、切ないけどさわやかです。

 ただ、若き日の巧実が立ち直るのにこれほどの体験が必要だとすると、世にひねくれたまますさんだ暮らしをしている人間が少なくないのも不思議ではないような。こういうファンタージは滅多に起きません。ほとんどの人間は、自分は自分で救わないといけないというのが人生の辛いところです。

単行本

冬季アニメ総括と春季アニメ視聴予定

まおゆう魔王勇者
 
 ギャルゲーの土曜日ですが、本日は内容を変更してアニメの話題をしたいと思います。というか、明日日曜日も都合により声優の話題はしません。個人的に色々都合がありまして…。もし楽しみにしてくれている人がいるとすると大変申し訳ないのですが、なにとぞご了承下さい。

 そうそう、声優といえば、好きな声優さん第二期ももうすぐ終わりそうなので、その後はどうしようかと思ったのですよ。第三期を始めるほど、もう「お気に」声優は残ってない気がするし。一つ考えたのは「左翼大隊」。ファイブスター物語を知らない人にはさっぱり判らない設定でしょうが、表舞台に出てこない声優さん、つまりエロゲー声優さんを取り扱ってみてはどうかという。

 一色ヒカル、白井綾乃、北都南、風華、草柳順子……タマはいくらかあったりもするんですが、最大の問題点は、名義を変えて表と裏で活躍している声優さんがいるってことでしょうかね。エロゲーというか、エロアニメなどを含む18禁作品に登場する声優さんについては、あんまり深く突っ込まない方が吉ではないかという気がしてきました。そもそも当ブログはアダルトではないですし。

 エロゲーについても、ギャルゲーカテゴリーの一つとして取り上げてきましたし、今後も取り上げる予定ですが、あまり生々しいCGや画像はやはり使用しない予定です。 

 さてそれでは話を戻してアニメの話題に。冬アニメも終了して、春アニメに移行中ですね。私、今季の冬アニメは「琴浦さん」「ささみさん@がんばらない」「まおゆう魔王勇者」を見たわけですが…ここで感想を述べたいと思います。

① 琴浦さん

琴浦さん

 まったりしたりラブコメしたりシリアスになったりと、それがいいか悪いかは別として、とにかく方向性が定まっていないような感じを受けました。多分原作がそういう作品なんでしょうけど。第一話の壮絶鬱展開を見てどうなることかと思ったら、意外とあっさり受け入れられる琴浦さん。しかも実家は超大金持ちだし。

レイプ目琴浦さん

 自称SF者としては、テレパスってのはさあ、もっと苦しみ抜くものなんじゃないのですかいと突っ込みたく成る部分もありました。そんなにあっさり楽しく生きられるなら、火田七瀬も苦労しなかったろうに。琴浦さんのテレパス能力は、嫌でも心の声が聞こえてくるというよりは、かなり指向性があって、注意して心の声を聞くという感じだったので、聴覚というよりは視覚に近いのかも知れませんね。

悪い頃の森谷

 個人的に感じたその他の問題点としては、御舟部長は花澤香菜を起用する意味がよく分かりませんでした。また森谷さんも扱いのあまり良くない可哀想なキャラになってたような。あと琴浦ママンに17歳を起用するのはいいとして、やさぐれ声一辺倒でがっかりでした。最後はエンジェルボイスを聞かせて欲しかったですね。

琴浦ママン「生むんじゃなかった…」

② ささみさん@がんばらない

ささみさん@がんばらない

 アニメでは非常に珍しい日本神話をベースとした物語。もしかすると1987年のOVA「デジタル・デビル物語 女神転生」以来かも知れません。あちらは最初から北欧神話のロキとか、ケルベロスとかも登場していたので、純然たる日本神話ベースと言うよりは、各国神話混交状態でしたが。OVAは一巻しかでませんでしたが、原作ではエジプト神話のセトやルシファーなども登場、ゲームではさらに世界各国の神々・悪魔が入り乱れていました。

デジタル・デビル物語 女神転生

 ちょっと突っ走りすぎた感もあって、呪呪編とかアラハバキ編はもっと尺をとって壮絶バトルを展開して欲しかったという気もしますが、全体的は楽しく見ることができました。毎回のタイトルがいちいちひきこもりやニートを連想させてユニークでしたが、がんばらないと言う割に、ささみさんは学校行く努力をしていたり(行けなかったのは外的要因のせい)、その後は普通に学校に通ったりしていたので、それなりに努力していた気が。

かがみと肉ちゃん

 さらに演じていたあすみんは大熱演で大変だったと思います。モノローグなどで一人でしゃべり倒していた感がありましたね。さすがは第七回声優アワード主演女優賞声優。邪神(「やがみ」と読みます)三姉妹も斉藤千和、花澤香菜、野中藍とタレントを揃えていて良い感じでした。特に花澤さんの邪神かがみは「琴浦さん」の御舟部長に較べて非常にいい配役だったと思います。

邪神三姉妹

 OP「Alteration」については既に紹介してある(3月13日の記事参照)ので、EDの「浸透圧シンフォニー」について。「魔法少女まどか☆マギカ」では、鹿目まどかがいつ魔法少女になるのかが注目されましたが、「ささみさん@がんばらない」では、ささみさん(阿澄佳奈)がいつ「浸透圧シンフォニー」をちゃんと歌うのかが注目されました。毎回毎回手を変え品を変えて色々遊んでいましたが、結局まどマギと同じ展開に(笑)。

江戸川情雨
可愛い玉藻前

 おにいちゃん(月読神臣)の正体が最後まで不明なままだったので、その辺りの解明などで、2期制作はかなり可能性が高いのではないかと思います。

顔は絶対見せない神臣

③ まおゆう魔王勇者

魔王と勇者

 ドラクエ風典型的勇者と魔王の大バトル…かと思いきや、全然違う展開に。「ドラクエⅠ」で竜王に「世界の半分をお前にやろう!」と言われて思わず同意した私から見ても大変面白かったです。竜王もちゃんと世界の半分をくれていたなら死なずに済んだものを……

魔王と勇者とメイド長

 長年に亘る人間と魔族の戦争。しかし、戦争そのものが体制維持のための必要悪となっており、急に和平を結べば食糧危機など様々な問題が噴出しかねないという状況で、社会構造そのものを変えようとする魔王とそれに協力する勇者の物語です。

終盤になってようやくしゃべった女魔法使い

 まずは農業革命、さらにその前提として教育と、一見迂遠な手法を取っているかに見えましたが、魔王の薫陶を受けたメイド姉や弟子達が立派に国を支える人材に育っていったのが面白かったですね。合戦シーンもありましたが、いたずらに大勝しようとせず、敵味方とも死傷者を最小限に抑えようと努力しているのも興味深かったです。やはり「魔族と人間の共存共栄」という大目標はなかなかに困難だとは思いますが、憎しみの連鎖を生まないようにする努力は必要でしょう。

デュラハーンを発射するメイド長

 人間側のアンシャンレジームと魔族の一部が裏で結託していたり、銃器の開発が進められていたりと、まだまだ「俺たちの闘いはこれからだ!」的なところで終わっているので、2期制作は必至ではないでしょうか。というよりぜひ制作していただきたいです。

魔王になる前の魔王とメイド長

 メイド長を演じた斉藤千和が「ささみさん」の邪神つるぎと全然違うキャラで、改めてこの人の変幻自在ぶりには恐れ入りました。あとメイド姉を演じた戸松遥は、美人だということは知っていましたが、声優としては「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の安城鳴子役くらいしか知らず、個人的にはこの作品もキャラもあまり好きではなかったので、今回しみじみ演技を見せて貰ったという感じですが、今回の配役と熱演ぶりは良かったと思います。

脱走農奴だったメイド姉妹

 それはそうと、メイド姉はひどい目に遭いすぎで可哀想。女性を平気で鞭打つような狂信者になるくらいなら、無宗教の方がよっぽどいいなあ。

メイド姉が化けている紅の学士

 春アニメはとりあえずこれらを見ようと思います。

① ちはやふる2

ちはやふる2

 まあ2クール目に入った冬アニメですが、当然見続けます。こんなに面白くて熱いアニメはなかなかないし。ただ、なんかあまりにもかるた一辺倒になっていて、「かるたこそ世界」的な認識の連中ばかりになっているのはちょっとどうかと思います。

紅の千早

 人はかるたのみにて生きるにあらず。まして仮にかるたを極めても食っていけないのが社会の現実。1期の机君の名言「やりたいことを思いっきりやるためには やりたくないことも思いっきりやらなきゃいけないんだ」という部分ももう少し描いて欲しいかなと思います。

園城寺怜

 熱血女子高生麻雀アニメ「咲-Saki-阿知賀編」に園城寺怜(おんじょうじ とき)というキャラが登場していました。声は可愛い小倉唯。それはさておき、この子、一巡先を見るという凄い能力を持っているのですが、彼女が競技かるたを始めたら、次の読み札が事前に分かるので、非常に有利に戦えるだろうと思います。「感じがいい」程度ではとても対抗できない。しかし、「咲-Saki-」の世界では彼女の超能力をもってしても対抗困難な化け物がいるのでした。

綾瀬千早役の瀬戸麻沙美と大江奏役の茅野愛衣

② やはりオレの青春ラブコメはまちがっている。

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。

 略称「俺ガイル」。私の好きな早見沙織がヒロインを演じているのでついカッとなって1話をみました。今も後悔していない。

アニメ版俺ガイル

 主人公の比企谷 八幡(ひきがや はちまん)は、「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」の主人公である高坂京介の目つきを悪くしたようなキャラの感じがします。

比企谷 八幡
高坂京介

 ヒロインの雪ノ下雪乃はちょっと「化物語」の戦場ヶ原ひたぎを彷彿とさせるような感じがしましたが、あれほどは女子高生ばなれしていないかな。押しには弱いというか、押しにはデレてしまうというか。

早見沙織演じる雪ノ下雪乃
戦場ヶ原ひたぎ

 はやみんこと早見沙織、罵倒系のキャラも結構やりますね。それも悪くはないのですが、ラブプラスの高嶺愛花のような激甘な声も聞かせて欲しいです。個人的には皆口裕子の後継者ではないかと思っているので。

高嶺愛花

③ フォトカノ

フォトカノ

 かの名作ギャルゲー「アマガミ」を送り出したエンターブレインのゲームが原作なので。ゲーム自体はやってませんが(汗)。「アマガミ」はアニメ版も出来が良かったので期待したいのです。しかし「アマガミ」の前作「キミキス」については、アニメ版の不評ぶりが気になるところです。大丈夫かな?

フォトカノのヒロイン達

 1話見ました。ヒロイン候補全登場で多すぎて覚えきらないです。年子の妹がいるのはもはやお約束。アマガミのようにヒロイン毎のオムニバス方式にはしないらしい…というか12話しかないんじゃ無理でしょうね。アマガミは26話もあったからなあ。2期は1クールでもいいけど、ギャルゲー原作アニメは1期には2クール欲しいところ。

ゲーム版フォトカノ:水着のヒロイン達

 キミキスなら能登麻美子演じた祇条深月(しじょう みつき)、アマガミなら静御前演じた森島・ラブリー・はるかと、これまでエンターブレイン系のヒロインにはキラーキャラ(私個人にとっての、です。異論は思いっきり認めます)がいたのですが、フォトカノだと誰なのかな…?

‌祇条深月
森島はるか
メインヒロインらしい新見遥佳

④ 這いよれ!ニャル子さんW

這いよれ!ニャル子さんW

 滅多に見られない“クトゥルーアニメ”は見逃せません。1期も楽しく見ましたし。第7回声優アワード主演女優賞受賞の阿澄佳奈にまたまた頑張って貰いたいところです。しかしささみさんに続いてニャル子さんか…オーバーワークじゃないですよね、あすみん?

もうすぐ始まります

 第七回声優アワードで「後ろから這いより隊G」に歌唱賞をもたらした名曲「太陽曰く燃えよカオス」に匹敵する楽曲を期待しています。それとさらに続々と旧支配者を登場させて欲しいですね。

公式サイトより

⑤ 俺の妹がこんなに可愛いわけがない。2期

俺妹2期

 ほほう、これも2期やるんですね。1期は面白かったし、「ラブリーマイエンジェルあやせたん」こと高垣あやせを見ないわけにはいきませんね。最近ちょっと早見沙織を偏愛してる気もしますが(笑)。

地味子さん

 16話まで制作し、原作最後までやるそうです。京介は最後に誰を選ぶのか。平和に暮らしたかったら、悪いことは言わないから地味子にしとけ。案外黒猫も悪くはないかも知れない。沙織・バジーナの正体に気付いたら大した物です。

制服姿の黒猫

 しかし、桐乃はどうしても

タブー中のタブー

 それにあやせも案外ヤンデレなので危険かも知れません。

沙織・バジーナ

 う~む。ちょっと手を広げすぎたような気が。ちょっとでもつまらなかったらとっとと視聴打ち切るつもりで行きたいと思います。どんだけ上から目線だ(笑)。

コミック版「ほしのこえ」を読む(その7)~愛人(若菜)との浮気の危機に届いた本妻(ミカコ)からのメール

扉絵
 
 今日もうららかな光のどけき春の日でしたら、明日は嵐の予感。暴風雨になるかもしれません。大したことがなければいいのですが……

 就職・転勤された人は新年度初めての週末と言うことになるのではないでしょうか。月曜から始まった新年度はさぞや長かったのではないでしょうか。新しい環境って、ホントに疲れますよね。この土日は鋭気を養って下さい。悪天候みたいだし。 

 さて先週は個人的に思い切った買い物をした興奮で中断しましたが、本日はコミック版「ほしのこえ」精読会を再会したいと思います。本日はChapter.7です。

 扉絵は在りし日のノボルとミカコでしょうか。目が描かれておらず、表情ははっきりしませんが、談笑しながら歩いているようです。ノボルはミカコについて、「わりと仲の良かったクラスメイト」と言っていました(Chapter.1)が、回想シーンを見る度に、ほとんど付き合ってたんじゃないかと思いますが。

 地球ではあれから1年が経ったみたいです。剣道部を辞めたノボルは弓道部に入って練習しています。弓道部といえば思い出されるのは貴樹です。そこへやってきたのは髪を伸ばした真枝若菜。あんたも弓道部だろうに、どうして制服なんだ。

 ミカコのメールを待つのは、去年の冬にやめたそうです。1年間ミカコのメールは不着だそうですが、そりゃ1光年先からメールしているんだから仕方ありません。若菜との帰り道の話題は進路。「普通に卒業して普通に就職できたら満足かな」と力の抜けたことを言っているノボル。良い高校入ったんだから進学じゃないの?

 そこへにわか雨が。にわか雨は不意にミカコとの想い出をもたらします。濡れるのも構わずバス停まで走る元気なミカコ。ボーっとなったノボルの注意を喚起した若菜が指さす先には、ビルのスクリーンに映ったトレーサーの姿が。タルシアンプロジェクトの最新のニュース映像のようです。

若菜のNTR

 別れ道。一本だけの傘を若菜に差し出すノボル。ま、男としては当然ですね。「どこか……行かない?」という若菜。こいつ…誘ってやがる(笑)。

こいつ…誘ってやがる

ノボルも思わず「うん」と乗ります。「それじゃ明日」と別れようとするノボルを呼び止め、ノボルの肩に手を乗せて、背伸びして若菜の口づけ。

ズキュウウウン!

 NRTがいよいよ本格化して参りました。「初めての相手はミカコではない!この若菜だッ-!」

勝ち誇る若菜

 バアアーアン!

ファーストキスを奪われたノボル(笑)

 というのは真っ赤な嘘で、何と言うこともなく帰途につくノボル。歩いている途中でかつてミカコと雨宿りしたバスの待合が目に入ります。懐かしさからか、中に入ってベンチに腰掛けてハンカチで頭を拭くノボル。その時携帯に着信音が!

1年ぶりのミカコからのメール

 鞄から取り出してメールを見ると、若菜からでした。一瞥してズボンのポケットに携帯をしまうと、またもや着信音が。それはミカコからの一年ぶりのメールでした。

ミカコの想い

 「ねえノボルくん……わたしたちは……宇宙と地上に引き裂かれた恋人同士みたいだね……」

 「ノボルくん本当は……本当はね……このまま何も見つからなくて早く……みんなで早く帰ることができたらなって思ってたん

だ……」

 「帰りたい……帰りたいよノボルくん。帰って会いたい。ノボルくんに会いたい。会いたいよ。」

 もう完全にラブレター状態のミカコのメールです。

 自分はミカコのことを諦めたのに、ミカコは諦めていなかったということを思い知らされたノボルでした。若菜のNTRに乗ってる場合じゃない。しかし…「秒速5センチメートル」をご存知の方は判って頂けると思うのですが、弓道部の男に制服で会いに行くというシチュはよろしくない。非常によろしくないです。これは花苗式といって悲恋に終わるパターンですぞ。

浮気に罪悪感のノボル

爆笑問題の日本原論:今もなお続く人気シリーズの第一弾

爆笑問題の日本原論
 
 昨日の荒天が一転して今日は穏やかな春の日でした。ちょっと暖かすぎたかなという感じもありましたが、うららかでいいですね。しかし週末はまた荒れ模様だとか。春の天気は変わりやすくてまいっちんぐですね。

まいっちんぐマチコ先生

 本日は爆笑問題の「爆笑問題の日本原論」です。1999年3月の出版で、著者名は爆笑問題となっており、内容は二人の漫才のように展開されていますが、おそらく太田光が一人で書いているのだと思います。

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 太田光と田中裕二。学生時代に出会った二人が漫才コンビ「爆笑問題」を結成。93年のNHK新人演芸大賞受賞を皮切りに、TV、ラジオ、出版で大活躍!政治から芸能界まで、日本から世界まで、世紀末社会のさまざまな問題を過激に斬りまくって爆笑させる圧倒的パワーで人気沸騰!!いまや知らない人はいないという彼らの名を一躍天下に知らしめた、これが問題の爆笑デビュー・ベストセラー。

 本書では1994年から1996年頃までの様々な事象を取り上げて、爆笑問題らしいブラックなギャグを炸裂させている名著中の名著なのですが、元は宝島社の雑誌「宝島30」に連載されていました。残念ながらこの雑誌は休刊になってしまうのですが、というか「爆笑問題の日本原論」(以下、「日本原論」)を掲載する雑誌は次々と休刊になるというジンクスがあったりするのです。これは雑誌掲載では2ページ程度の「日本原論」が突出して面白いので、他の連載が色褪せて見えるせいではないかと個人的には思っています。「日本原論」は読みたいけど、この2ページを読むためには他の連載は包装紙状態に見える雑誌の価格は高すぎる、じゃあ立ち読みでいいじゃんという読者の思考が働いたのではないかと。

爆笑問題

 「日本原論」はあまりに面白かったのでシリーズ化し、

「爆笑問題の日本原論」

「爆笑問題の日本原論2」

「爆笑問題の日本原論3 世界激動編」

「こんな世界に誰がした 爆笑問題の日本原論4」

「偽装狂時代 爆笑問題の日本原論5」

「大恐慌時代 爆笑問題の日本原論6」

と続いていて、時事問題を斬りまくっています。

 私は海外勤務の際に一作目の「日本原論」を持って行ったのですが、その間何度も読み返しては笑い、同僚にも貸したりして非常に有効活用させて貰いました。鬱病やノイローゼみたいな海外での孤独を端緒とする心の病を回避できたのは「日本原論」の力も大きいと思います。

 ではどういう内容なのかといえば、折々の時事の話題を取り上げて漫才にしているのです。第一回は1994年4月8日の細川護煕首相の辞意表明について取り上げており、「自慰表明だったら面白い」とか、首相を辞めてもパブ「大人の関係」をやれば食っていけるとか(今後の日米関係についてこういう言い方をした)、注文を取るとき客をボールペンで一人一人指したりするとか(記者会見で記者の質問を受ける際の行動)、名物料理は「日米交渉カツレツ」だとか(当時日米交渉が決裂したことがある)、メニュー全品を突然7%値上げすると言い出して客が文句言ったらすぐやめるとか(突然消費税増税を言い出してすぐ撤回した)、それはもう太田光の妄想炸裂が凄いのです。

 この後、北朝鮮のIAEA脱退とか、大江健三郎のノーベル文学賞受賞とか、阪神大震災とか地下鉄サリン事件とか、当時次々に発生した事件を取り上げているのですが、折々繰り出すギャグが凄まじい殺傷力を持っていて思わず笑ってしまいます。全盛期のビートたけしの毒舌をより知的にしたような切れ味とでもいえばいいでしょうか。その一部を紹介すると……

① 北朝鮮のIAEA脱退に関してのくだり

太田-まさに、“金ちゃんの、どこまでやるの?”って感じだね。

田中-そんなノンキなこと言っている場合じゃないだろ!

太田-略して“金どこ”。

欽どこ

田中-略さなくていいよ別に!……でも本当に、追い詰められたら何するかわからないって感じだから怖いよな。

太田-そのうち“金ちゃんのド~ンといってみよう!”なんて……。

田中-そっから離れろよ!

太田-“金ドン!”

欽ドン

田中-いいよ、もう!しかしまた、あの息子もすごいよな。

太田-見栄晴君でしょ?

田中-違うよ!金正日だよ!これも相当なモンらしいからな。

太田-向こうじゃ、トンビがバカを生んだって言われているらしいからね。

田中-殺されるぞお前……。

太田-“親子鷹”転じて“親子バカ”とも言われているって話だけどね。

田中-本気で殺されるぞ!


② 大江健三郎のノーベル文学賞受賞に関してのくだり

太田-しかし、これだけみんながすごいすごいって大騒ぎする賞のわりには、発表のしかたが地味すぎるよな。

田中-受賞した人の家に電話がかかってきて知らされるんですよね。

太田-どうせだったら、レコード大賞みたいに武道館かなんかで客を入れて、みんなの前で発表すればもっと盛り上がるのにねえ。

田中-盛り上がらねえよ、そんなに安っぽい賞じゃないんだから!

太田-司会をロイ・ジェームスにすれば、高級感が出るでしょ。

田中-出ねえよ!

太田-舞台上にノミネートされた人たちが並んで、暗転の中、ドラムロールでさんざん煽ったりして。

田中-やるか!そんなこと。

太田-今年、平和賞のPLOのアラファト議長あたりは、名前呼ばれて自分にピンスポットが当たっているにもかかわらず、「えっ?」てな顔をして、すっトボケてまわりの人を見回しちゃったりして……。

アラファト議長

田中-何なんだよそれは!

太田-で、その隣には、受賞できなかった池田大作先生が唇噛みしめて真っ赤な顔で立ってたりして。

田中-やめろぉ!


③ 阪神大震災に関してのくだり(当時あったCMを思い出して下さい)

田中-関西地方じゃ、CMも流さなかったらしいですよ。

太田-そりゃそうですよ。避難所じゃ、みんな食べる物すらなくて腹ペコの状態で、テレビが唯一の情報源としてかじりついて見ているわけでしょ?そこへいきなりカップヌードルのCMかなんかが流れてきて、「ハングリー?」なんて聞かれたら……。「当たり前だ、バカ野郎!」って、怒っちゃうでしょうからね。

田中-だから、流さなかったんだから、お前がわざわざこの場でやってみなくていいんだよ。

太田-まあね……。でも本当に、食べる物はおろか水すらなかったんですから。そこへ急に田中邦衛が出てきて、「食べる前に飲ーむ!」なんて言われたら……。「どっちもできねえんだよ!バカ野郎!」なんて……。

食べる前に飲ーむ!

田中-だから、いいって言ってんだよ!いちいちやってみなくて!

太田-しかし驚きましたよね、震度7ですからね。

田中-ものすごい“揺れ”ですよね。

太田-家が倒壊して、行き場を失ってしまった人がたくさんいるんですからね。そこに葉月里緒奈が出てきて……、「今、ブルったでしょう?」……。

葉月里緒奈

田中-もういいよ!

 こんな感じのギャグが満載です。もう昔の話ばかりじゃないかと言わず、あの日あの時を回顧してみるにも役立ちますから、一家に一冊揃えてはいかがでしょうか。

赤ちゃんをさがせ:出産にまつわる突飛な“日常の謎”

赤ちゃんをさがせ
 
 今日も朝から雨で。のみならず強風まで。四月は雨で三月は風のはずではなかったのですかい。ダブルで来るとは……

卑怯とは言うまいね

 いや言う!雨と風のダブルは厳しいの。特に強風は電車が止まったりするから勘弁して欲しいです。まあ幸い夕方までにはどちらも納まったものの。そういえば所用で渋谷まで行ってきたのですが、渋谷でのアウェー感ったらないですね。新宿や池袋なんかとは全然違う拒絶感があるような。上野とか浅草あたりだと

なじむ。実に!なじむぞ

 という感じなのですが。ウソだと思うかも知れませんが、実は銀座も得意です。もっとも銀座の方が私をどう思っているかは別問題ですがね。

 それはさておき、本日は青井夏海の「赤ちゃんをさがせ」です。本書は2001年10月に東京創元社から出版され、文庫版は2003年1月に創元推理文庫から出版されています。私が読んだのはいつものとおり文庫版です。

 例によって文庫本裏表紙の内容紹介です。

 三人の妊婦が妻として登場した家で始まった本妻捜し。女子高生の出産騒動。次々キャンセルされる依頼の謎。自宅出産専門の出張助産婦コンビが向かう先は、なぜかおかしな謎を抱えた家庭ばかり。それらの謎を鮮やかに解き明かすのは、「伝説のカリスマ助産婦」明楽先生!見習い助産婦・陽奈の成長と、安楽椅子探偵の冴え渡る推理を描く、爽やかなユーモアに満ちたシリーズ第一弾。

 2002年3月から法改正で助産婦や看護婦は助産師・看護師に名称変更されていますが、本書はそれ以前の作品なので助産婦・看護婦の名称が使用されています。様々な理由や必要性はあるにせよ、「看護婦」とか「スチュワーデス」という名称がなくなってしまったのは惜しいですね。「看護師」や「キャビンアテンダント」にはあんまりときめきを感じませんし。

 本書はデビュー作「スタジアム 虹の事件簿」に続く作者二冊目の作品で、自身の助産院での出産経験をヒントにしたそうです。助産婦(師)探偵シリーズはその後、二作目「赤ちゃんがいっぱい」、三作目「赤ちゃんはまだ夢の中」が出ています。

 ミステリーとしては大事件が発生するわけではない(三編目の「赤ちゃんをさがせ」は拉致監禁があるので事件性がありますが)、いわゆる「日常の謎」に該当する作品ということになりますが、出産とか助産師という存在自体が、普段あまりお目にかからないものなので、描かれている事件も非日常的な感じがします。まあ本書の出来事や登場人物達が肩の凝らないお気楽なものなので、ひたすら楽しんで読めるものとなっています。

 「赤ちゃんをさがせ」は連作短編三編から成っていますが、2003年2月から3月にかけて、NHKの夜の連続ドラマシリーズで放映されています。主人公の新米助産婦亀山陽菜を高野志穂、コンビを組むベテラン助産師児玉聡子を麻生祐未、そして安楽椅子探偵役の明楽友世を今は亡き岸田今日子が演じました。

NHK連続ドラマ

 せっかくHPが残っているので、各編の内容紹介はお願いしてみようと思ったのですが、かなり内容は改変されているようです。仕方ないので自分でやりましょう。

 第一話「お母さんをさがせ」

 新米助産師・亀山陽奈は、自宅出産専門の助産師・児玉聡子のお手伝いをしています。ある日、仕事を請け負った食品会社社長・加々見佑介の屋敷を訪れると、なんと3人の妊婦が登場。このうち男の子を産んだ女性が妻であり、産まれたその子が跡取りであると言います。陽奈と聡子は、推理と足で本当の妻を明らかにしようとしますが…。

 第二話「お父さんをさがせ」

 高校生妊婦・理帆の相手はこれも高校生の斎木透。しかし理帆の家庭教師の米村正樹、理帆のメル友佃洋一郎(ブライダル業の営業)が登場し、生まれる赤ちゃんに責任があるなんて思わせぶりの言動を行います。本当の父親は誰なのか、そして一斉に失踪した三人の父親候補の行方は?

 第三話「赤ちゃんをさがせ」

 聡子との復縁を望む元夫宝田が登場。亀山陽菜は次々とキャンセルされる自宅出産依頼は、彼の差し金だと踏んで調査を開始しますが、なぜか聡子は消極的です。自宅出産を主張する胡散臭い宗教団体の暗躍、そして失踪した妊婦の行方は?

 亀山陽菜は看護婦だった姉の後を追って看護婦になったものの、姉が結婚して専業主婦となったことで改めて助産婦になりました。人生経験もまだまだ足りないひよっこですが、好奇心は人一倍で野次馬根性いっぱいのお調子者です。三十代の児玉聡子はバツイチ子持ちでしっかり者。明楽先生は年がら年中旅に出歩き、おとぼけなとこもありますが、人生の達人で推理は冴え渡っています。

 結局の所現場では陽菜と聡子が奮闘するものの、何もしていない明楽先生が彼女らから聞いた話だけで真相を明らかにしていくので、通常の推理物だと、刑事が二人、名探偵が明楽先生党という構図でしょうか。明楽先生はアガサ・クリスティーのミス・マープルを彷彿とさせるキャラで、マープル同様、これまでの人生経験から日常の謎を解明することに長けているという感じです。

 そういえば、明楽先生は二人から話を聞きながら不明な点を追及していきますが、これはソクラテスが用いた真理探究ないし教育の手法と同じですね。これは一般に問答法とか対話法と言われますが、ソクラテスは、それを当然生まれてくるべき知的な関心であり、それがしかるべく生まれてくるべく、その誕生の手助けをするということで、たまたま彼の母親が産婆の仕事をしていたことから、それを魂の産婆術、助産術とも呼びました。まさに助産婦に相応しい推理方法と言えるでしょう。

 最後には赤ちゃんが無事生まれてめでたしめでたしとなる点も明るくていい雰囲気です。殺伐としたミステリーに疲れた方には非常にいい癒やしの小説となるでしょう。

単行本

南野陽子の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その3):明里から花苗へのアンサーソング

涙はどこへいったの
 
 3月の風と4月の雨が美しい5月の花を咲かせるらしいですが、早々に結構な雨降りとなりました。日本では4月の雨はむしろ桜を散らせてしまうようです。

今でも綺麗な南野さん

 さて、昨日の妄想「秒速」の続編を行ってしまうのです。昔の南野陽子は、若い女性の心を等身大でなおかつ非常に説得力のある歌いっぷりをしていたなあとあらためて思います。確かに歌唱力は大事ですが、それ以上に、当時の南野陽子には伝える力というものがあったような気がします。

秒速POP

 「接近(アプローチ)」で親友の花苗とつきあっていた貴樹を狙った明里は、見事奪取に成功(NTRだNTR)、恋人と親友の梁芳を同時になくした花苗の悲しみが「ガールフレンド」で描かれた訳ですが、実は南野さん、「ガールフレンドPart2」という歌を歌っていたのです。

涙はどこへいったのCD版

 「ガールフレンドPart2」は1989年2月にリリースされた14thシングル「涙はどこへいったの」のカップリング曲でした。「涙はどこへいったの」は熱愛状態だった彼の心変わりを嘆く歌ですが、「ガールフレンドPart2」は、昨日の「ガールフレンド」のアンサーソングとなっています。要するに私の妄想でいえば、明里から花苗に宛てた思いです。

 http://www.youtube.com/watch?v=CD_xJWrS9BI

 ガールフレンド 私ずっと
 あなたのこと 裏切ってたの
 ガールフレンド 彼の愛を
 知らん顔で 盗み取った


目覚めた明里
 
 明里のほうから花苗に謝罪と贖罪の告白です。「ガールフレンド」でも略奪側が待ち伏せていましたから、整合性は取れているような気がします。なにしろ作詞者は同じですし。

 風吹く舗道(みち)は 花びらの嵐
 膝がふるえるから 声もふるえてゆく


桜と明里

 ただ完全に一致ではないのは、「ガールフレンド」は雪がちらつく冬が舞台なのに、こちらでは花吹雪。つまり桜の季節ということです。「秒速5センチメートル」的には、桜吹雪は胸を刺す痛みを思い出させますね…。告白する明里の膝はがくがくと震えていて、声も震えていくわけです。自分から切り出すに際しては、かなりの勇気を振り絞ったことでしょう。

 最低の友達と なじられても 
 仕方ないと思う…


赤らむ花苗

 これはもうどうしようもありません。むしろ花苗が激怒して、悪罵の限りを尽くしてくれたほうが明里にとっては気が楽だったでしょう。
 
 ガールフレンド あんなやつの
 どこがいいの!?そうけなしたね
 ガールフレンド 熱い心
 おさえたくて ウソついてた


うつむく花苗

 これはおそらく「接近(アプローチ)」時代の明里の言動なんでしょう。明里もね、最初から親友である花苗の彼氏を略奪しようと思っていたわけではないのです。しかし、前世の、はたまた平行世界での貴樹と明里の関係からすれば、出会ってしまっては燃え上がらないはずもなく……

 言い訳ばかり 並べたててゆく
 棘のようにささる 沈黙が怖くて


呆然花苗

 怒るでもなく、喚くでもなく、静かに明里の告白を聞いている花苗。その沈黙がなによりも恐ろしい明里なのでした。

 勝手だよね わがままな恋したくせに
 彼といても ちぎれそうに胸が痛い


やっぱり貴樹は明里のもの

 怒りや恨みを自分に直接ぶつけて来ない分、花苗の涙、花苗の嘆きが明里の胸に突き刺さるのでした、

 「ゆずるしかないじゃない」と無理に微笑って
 瞳そらす あなた…

 
泣き寝入り

 誰に対しても健気な花苗。花苗だって、貴樹を愛する気持ちなら負けていないのに。しかし…しかし、貴樹の気持ちはもう完全に明里の方を向いてしまっているのです。失恋再びの花苗。

 大好きな友達に 嫌われても
 彼と歩きたいの……


彼と歩きたいの

 最後の最後に本音が出ました。友達をより恋人を選んだ明里。しかし、ここでは一切言及されていませんが、相手の貴樹にだって心の動きがあった訳です。明里がいくらアプローチしようが、貴樹が花苗を見つめ続けていたのなら。しかし、水野さんだったら揺るがなかったであろう貴樹の心も、こと相手が明里なら揺らいでも仕方がない(と、「秒速」ファンは思ってしまう)。

花苗の涙

 もちろん「秒速」ファンの中には花苗派の人もたくさんいるでしょう。今回明里を恋の勝者にしてしまい、花苗には辛い仕打ちをしてしまいましたが、あくまで個人的な妄想ですのでご容赦を。もちろん花苗が嫌いだなんてことはありません。彼女にも幸せになって欲しいのです。コミック版ではなったのかな…

今度こそ貴樹と一緒に…


南野陽子の歌で妄想する「秒速5センチメートル」(その2):花苗・明里・貴樹の三角関係


 
 四月一日、新年度のスタートです。エイプリルフールでもあるのですが、こっちはハロウィンなんかと違って積極的に広めようとする勢力もなく、あまりぱっとしませんね。大半の学生達は春休み中だということもあるのでしょう。

 本日は久々に妄想「秒速5センチメートル」を。これに関しては、昨年8月30日の記事で「南野陽子の歌で妄想する『秒速5センチメートル』:明里の恋模様」、同じく9月4日の記事で「斉藤由貴の歌で妄想する『秒速5センチメートル』:女子大生・明里の恋の終わり」というのをやっています。これは、「秒速5センチメートル」本編で全く言及されていなかった明里の大学時代を妄想してみるという試みで、大人になった明里の恋とその終幕を想像してみたものです。

 今回は、本編の隙間を埋めるというものではなく、キャラだけ借りてさらに自由に妄想してみようかと思います。ではまず初期設定を。

 舞台は東京。登場人物は、澄田花苗、篠原明里そして遠野貴樹の3人です。別の平行世界での話ということにしておいて下さい。私の今回の妄想での状況は…

① 花苗:主人公。中学時代に貴樹に一目惚れし、頑張って同じ高校に入学。勇気を振り絞ったアタックの甲斐あって貴樹と恋人関係に。現在看護学校に通っています。

② 明里:花苗の幼馴染み。小学校は一緒でしたが、中学校からは中高一貫の女子校に進学しました。花苗とは今でも親友同士。

③ 貴樹:中学2年生の時に長野から転校してきて花苗の同級生に。高校3年生の時に花苗の告白を受け入れて恋人関係に。現在は大学生です。

 ということで、岩舟と種子島は関係なし。そして小学生時代の明里と貴樹の邂逅もここではありません。貴樹は大学に、そして花苗は看護学校にと、道は別れましたがもちろん付き合いは継続しています。ある日、花苗は久しぶりに明里と会います。明里の進学先は貴樹と同じ大学ということを知った花苗は、軽い気持ちでカレシである貴樹を明里に紹介します。

 貴樹と出会った瞬間、明里に走った衝撃。出会ってしまった運命の人。しかし、貴樹の優しい瞳は花苗だけを見つめていたのでした。明里は、花苗に悪いとは思いながらも貴樹に近づきたい気持ちを抑えることができません。幸い同じ大学、接触する機会には事欠きませんでした。

 ここで南野陽子の「接近(アプローチ)」です。明里の気持ちを歌っています。

接近(アプローチ)

 http://www.youtube.com/watch?v=BTX-VDnjXuE

 夕暮れせまるカフェテラス
 ごめんと電話で呼び出した
 あなた着て来たセーターは
 あの子の手編みとすぐにわかる


この人には勝てない…

 ここで言う「あの子」はもちろん花苗。きっと忙しい看護学校の勉強の合間に一所懸命に編んだセーターなのでしょう。特別器用な子ではないはずですが、愛する貴樹のために頑張るところが健気です。
 
 友達の恋 相談したいのって
 言ったけれど
 ホントはあなたにね
 会いたかったの


企む(笑)明里

 相談は口実、とにかく貴樹に会いたいばかりの明里なのでした。当初は花苗の親友だから粗略にはできないなあという軽い気持ちの貴樹でしたが…… 

 会話が急に途切れたら
 あなたの星座を当ててみる
 どうして僕の誕生日
 憶えているのと不思議そうよ


 明里は貴樹の情報なら決して見逃しません。何気ない花苗と貴樹のやりとりなどからシャーロック・ホームズもびっくりの観察力と推理力で情報を収集しているのです。 

 意味もないのにジッと見つめたり
 はぐらかしたり
 そのうち私がね
 気になりだすわ


明里

 女子大生の明里にこんなことをされて、気にならない男がいるでしょうか、いやいない。そもそも明里と貴樹は相性ばっちりなので、最初こそ花苗を愛する気持ちから他の女は眼中になかった貴樹も、いやでも明里の魅力に引き込まれていきます。 

 家の前まで送ってゆくよって
 うれしかった
 あの子が怒っても
 あきらめないわ


 親友のはずの花苗から奪ってでも貴樹を自分のものにしたいという決意の明里。「ロマンシング サ・ガ」のワンシーンが甦ってくるようです。

ロマンシング サ・ガ

 そう、このシーンが……

殺してでも奪い取る

 こういうことに!

 貴樹と明里は運命の恋人。貴樹が明里に惹かれるようになるのにさほど時間はかかりませんでした。そしてその悲しい噂は花苗のもとにも…

 ここで南野陽子の「ガールフレンド」です。残念ながら動画がありません。明里の告白を聞いた花苗の気持ちが歌われています。

 ガールフレンド うわさ聞いてたけど
 彼の相手 あなたなのね 
 チャペルへの坂道 灰色の空

 ガールフレンド 恋を奪った人
 罪を背負う 暗い瞳
 どうしてあなたが 泣き出すの?


放心状態の花苗

 泣きたいのはこっちのほうよと言いたい花苗ですが、明里に先に泣かれてしまいました。むしろ冷静になってしまう花苗。

 あやまりたくて
 まちぶせしてた
 素直な 涙に
 余計傷つく


悲しみの花苗

 明里は一言花苗に謝罪したくて、寒空の下、花苗を待っていたのです。まちぶせなんてちょっとひどい言いぐさですが、今の花苗であれば仕方ないでしょう。

 冬の風に 責められながら
 じっとうつむいてる
 きっと彼はこんなあなたを
 きつく抱きしめたいって
 思うのね…思うのね


雪の中の明里

 そう、花苗。君の分析は大変正しい。貴樹と明里。二人の出会いは「久遠の絆」のごとく運命的なのです。明里は貴樹が求める理想の女性像だったのです。

 「貴樹を奪回できません。シャア少佐、助けてください!」

ザクには大気圏を突破する性能はない

 「か、花苗…花苗には貴樹を明里から奪還する性能はない…気の毒だが」

残念だが…

 ガールフレンド誰も憎めなくて
 だけどまたねって言えなくて
 散らつく雪の中 佇む二人

 
 一体どうしたらいいのか…声もなく立ち尽くす二人の元に粉雪が音もなく降ってきます。

 ガールフレンド平気気にしないで
 次の彼を見つけたから
 どうしてわたしは強がるの?
 

 ……まあ、この辺が花苗のお人好しなところというか、健気さというか。怒り狂って泣きわめいて掴みかかってもいいシーンな

のに、こういう平和的解決を指向してしまう花苗。その優しさが哀しいね。

 知っているでしょ
 ウソはへたなの
 お願いひとりで
 そっと泣かせて


涙の花苗

 強がりを言っているうちに、とっととあの人の…貴樹の元へ行って。もう長くはもたない。涙が瞳から溢れそう。

 蒼い痛み なだめるように
 雪が 降り積もるわ
 こんなふうに 時が積もって
 真っ白だった笑顔に
 戻りたい…戻りたい


 一体何がいけなかったのか。もう一度昔の三人に戻れたなら。暁美ほむらなら「私の戦場はここじゃない」とか言って時を巻き戻すことができるのですが……。もう花苗は貴樹とも明里ともやり直すことはできないでしょう。一度に恋人も親友も喪うとは何と辛い体験か。泣き寝入りの得意な花苗とはいえ、これは辛すぎますね。 

 明里を“悪役”にするのが気が進まなかったので、明里のところに水野理紗を持ってこようかとも思ったのですが、花苗とつきあっている貴樹に水野さんがアプローチしても、貴樹は落ちないかなと思いまして。しかし明里が相手なら陥落しても仕方ないかなあと思ったのであえて明里を起用しました。

貴樹、ゲットだぜ!

 ちなみに「接近(アプローチ)」は1986年10月にリリースされた南野陽子の5枚目のシングルで、「ガールフレンド」は1986年11月リリースのセカンドアルバム「VIRGINAL」の1曲目です。作詞者は違うのですが、同時期に制作されたせいか、連続する物語のような展開をしているところが興味深いです。

接近

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